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ネギま!バトルロワイヤル18

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匿名ユーザー

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丘の上の草原の茂みに身を隠し、アキラはずっと空を見つめていた。
「みんなが殺しあってるのに…私は何をやってるのかな」
銃声や叫び声は聞こえるがこっちにはこない。
死ぬのは何故か怖くない。しかし誰かを殺すことを考えると突然怖くなる。

「…私はただの臆病者だ」
ゲームに参加せずただ時間の流れにまかせて過ごしている自分。
放送のたびに死んでいった人に対して手を合わせている。
自分で決めたことだ。禁止区域になっても誰かが襲ってきても裕奈が仲間を見つけ
脱出する方法が見つかるまではここを動かないことを。

「ゆーな…早く来て…」
不意に弱気になって涙がこぼれるがすぐに拭う。
約束したから、生き残るためにここを動かずただ裕奈を来る事を信じて。

【残り13人】

夢を見た。
人を殺す夢。
後ろから首を絞めて殺した。私が殺したんだ。
木乃香お嬢様の友人のハルナさんを私は殺した。
「ウチは仇を取りたい。絶対許さへん」
木乃香の言葉が突き刺さる。
このことが知れたらお嬢様は私を…

「……ん…」
太陽の眩しさに目を開ける。
刹那は濡れたタオルを額に乗せて寝ていた。銃弾を受けた腹には二つ結んだタオルがきつく巻かれていた。
どうやら、まだ生きてるようだ。
「せっちゃん。よかった、もう目を開けんと思うとったんや」
「お嬢様…」
刹那は辺りを見回した。倒れたところから少し離れた所にいる。
少し進むと湖がある。
時計をみるともう5時過ぎになっていた。
地図広げて確認する。湖がある場所は…Fの4だ。
「えっ!」
刹那が驚くそれはあと50分で禁止区域になるところだ。
「お嬢様!ここは禁止区域ですよ!」
刹那の突然の言葉に驚く木乃香。
「大変や!早よぉ逃げんと!せっちゃん立てる?」
「は、はい…」
木乃香の手を取り傷ついた腹を押さえながら立ち上がる。
二人は走ろうとしたが傷ついた刹那がブレーキになりなかなか前に進めない。
刹那は両足がこんなに重かったとは知らなかった。まるで重りをつけられているように。
「う…あ…」
出血でだいぶ血が抜けたせいか、貧血を起こし近くの木にもたれるように倒れた。
「うぅ…」
私はこんなにも足手まといなのか?脱力感が刹那を包む。
「せっちゃんもう少しの辛抱や早よぉ!」
「…もう走れません」
刹那が力なく呟く。
「じゃあウチがおぶって走るから!」
木乃香が刹那の肩を掴む。刹那はそれを振り払った。
「駄目です。それでは二人とも死んでしまいます。私を置いて行ってください!」
「嫌や!」
必死に拒む木乃香を見る。
こんなにも私を心配しているのに、私のしたことといえば…
「…私にはお嬢様といる刺客などありません」
「何で…なんでそんなこと言うんや」
怒鳴り声がこだまする。
「それは…」
それを話したらきっと、木乃香は自分を憎むだろう。
けれど、話しておかなければいけない。ここで何も言わずに死ぬのは卑怯だ。
「………ハルナさんを殺したのは…この私です」

木乃香の表情が明らかに変わった。心の中で、絶望にも似た感情が膨らむ。
「ハルナさんは何もしませんでした。私が後ろから首を絞めました。
 それでハルナさんも銃を撃ちました。それが肩の怪我です」
木乃香はじっと刹那を見つめていた。何かを必死に考えている表情。
「…だからお嬢様と一緒には行けません。こんな私にお嬢様のそばにいる資格など…」
少しだけ沈黙した後、木乃香が答えた。
「………あかん!せっちゃんを残して一人で行けん!一緒に逃げるんや!」
それが木乃香の出した答え。まだ友人でいてくれるのだろうか。
「だめです!今の私ではただの足手まといです…」
それでも刹那は木乃香を振り切ろうとする。
「いやや!ウチはせっちゃんを助けたいんや」
「ですが、私は…」
なお言い募る刹那に、木乃香は怒った。
「せっちゃん!!」
木乃香は腰に下げていたのこぎりに手を伸ばし、刹那の顔目掛けて振り下ろした。

刹那から見て左側の木にノコギリの刃が食い込んだ。それを手前に引くと刹那の髪留めが切れ長い髪が下ろされた。
「これで、ハルナを殺した人殺しのせっちゃんは死んだ。ウチが殺した、これが証拠や!」
そう言って木乃香は刹那の目の前に切れた髪留めを見せた。
「今ここにおるのは、ウチと一緒に生きて逃げるって約束した、
 学園にいるころのやさしいせっちゃんや。それでええな」
その言葉に、刹那は涙を流して頷いた。

【残り13人】

刹那は泣いた木乃香の顔を見て泣いた。
木乃香もそんな刹那を軽く抱きしめた。

「ホント仲がいいなお前ら」
後ろから声がした。
「誰だ!」
刹那が声をあげた。
木乃香の後ろ約数メートル後ろに千雨が立っていた。
「もうすぐ禁止区域なのに声が聞こえたからな。様子を見に来た」
千雨はじっと二人を見ている。
「た、頼むわ。せっちゃん怪我しとるんや、一緒にせっちゃん運ぼ」
木乃香の訴えに千雨は刹那を見た。腹をやられてるみたいだ木にもたれて動かない。
「動けないのか」
「そうなんや。せやから肩担いで…」
その言葉に千雨は少し笑った。
「そいつは好都合だ」

二人にサイレンサーの付いたソーコムピストルを向ける千雨。
「長谷川さん!あなたも、高畑先生に言われて…」
「高畑先生?何のことだ、私は生き残りたいだけなのさ」
乾いた表情で二人をじっと見る千雨。
「嘘やろ…何で…なんで殺しあわなあかんの!」
木乃香が叫ぶが千雨は聞く耳を持たない。
「知らねぇな。勝ち残ればいいんだよ、勝ち残れば」
刹那はマシンガンを地面に落としたままであることに気付いた。
手榴弾もデイパックの中で今の自分は丸腰状態であった。
龍宮から奪った二丁ある銃は木乃香が持っていた。
しかし木乃香に人殺しをさせる訳にはいかない。手を汚すのは私だけでいい。
「お嬢様逃げてください。ここは私が食い止めます」
「あかん。せっちゃんを置いていけへん、約束したやろ一緒に生き残るって」
刹那のマシンガンは千雨からは影になって見えない茂みに落ちてある。
飛びついてマシンガンを拾えばいいが、相手も銃を構えてる以上大きな隙を残すことになる。
「アハハ。馬鹿じゃねぇの、生き残るのは一人だけだって聞いただろ」
「お嬢様を侮辱するな…あぁっ!」
千雨は引き金を引き刹那の左腕を撃ち抜いた。
「今度はこの程度じゃすまさんぞ」
「せっちゃん!もうやめて、お願いやからぁ…」
必死に懇願するが千雨は構えた銃を下ろさない。

「どっちにしろもうじき死ぬんだろ。さっさと楽にしてやるよ」
刹那に向かって銃を構える千雨。
「逃げてください…お嬢様」
「嫌や。せっちゃんは殺させん」
刹那の前に立ちはだかる木乃香。その手にはグロック17。
「お…お嬢様……」
銃を構える木乃香の手は震えていた。無理もない本物の銃だ。引き金を引けば相手を殺せる武器だ。
「そんな逃げ腰で撃てるのか?」
「せ…せっちゃんを傷つける人は誰も許さへん…」
じっと銃を構えて動かない二人。刹那は傷ついた左腕を伸ばしてサブマシンガンを取ろうとしていた。
(お嬢様の手を汚すわけには…)

といきなり千雨がうつむく。
「…正直、もう嫌なんだよ」
「え…」
千雨のいきなりの一言に黙る二人。
「何の目的かしらんが、殺しあうなんてもう嫌になってきた」
「千雨ちゃん…」
千雨は二人の前で膝をつき顔を押さえた。
「…く…うぅ…」
「千雨ちゃん!それやったら一緒に行動しよ。生き残る方法を探すんや!」
千雨に近づき必死に説得する木乃香。
すると千雨は顔を上げざまに声を出した。

「やっぱ甘いな。お前」
「え」
パスパスパス
小さな音と共に木乃香の体に赤い点がつき、大きく後ろに飛ばされた。
刹那には状況が理解できなかった。
見えたのは自分の所に飛び込んでくる木乃香の背中。
木乃香の背中を受け止めると刹那は木乃香に叫び続けた。
「お嬢様…お嬢様ああぁぁぁ!…」
木乃香はぐったりして動かない。
口が少し動き「ごめん、せっちゃん」と言った。

「お…嬢…さま……」
そこにある現実。木乃香が撃たれたこと、そしてその命が消えようとしていること。
「…せっ…ちゃ…ん……最後まで…生き残っ…て…」
最後の言葉が放たれると木乃香は動かなくなった。
そのときも木乃香は少し笑っていたように思う。
「…」
刹那は涙を流せなかった。今起きた現実を受け入れることが出来なかったから。
「もう友情ごっこは済んだか」
千雨がやっとかという感じで立ち上がる。
「…う…うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
刹那は声をあげて立ち上がった。マシンガンを素早く拾い駆け出した。
木乃香を撃った憎いその相手目掛けて走り出した。

【出席番号13 近衛木乃香 死亡  残り12人】

「ああぁあああぁああああぁぁあ」
刹那は声を上げてマシンガンの弾を千雨に浴びせようとする。
自分が何故立っていられるのか、あれだけ動けなかったのに
こんなに走り回っているのはどうしてなのか分からない。

だが現実に刹那は走っていた。マシンガンを構えて。
しかし照準が合っておらず、千雨には当たらず近くの木々を打ち抜くだけだった。
「下手な鉄砲、数撃ちゃ当るってか?」
千雨がソーコムピストルの引き金を引いた。
「ぐぅ…」
弾は刹那のわき腹を掠めた。
今にも飛びそうな意識を取り戻し、必死に進んだ。

千雨は刹那の側面に周ると引き金を引いたが銃はカチッという音しかしなかった。
「…ちっ、弾切れか」
千雨はでたらめなマシンガンの雨を抜けると木乃香の近くに転がった。
木乃香の手にはグロック17があった。それを手に取ると即座に引き金を引く。
弾丸は体勢を崩した刹那の体に、一つ一つ、穴をあけていった。
それでもなおも、刹那は倒れることをしなかった。
被弾し体をゆらめかせながらも、マシンガンを構えた。
「あああああーー……」
もう立つこともできないはずなのに、依然として刹那は千雨に向かっていこうとしていた。
しかし、千雨は動じず刹那に向かって胸の中心に一発撃ち込んだ。
銃声の後、地面に刹那は倒れた。
動かなくなった刹那を見て千雨は木乃香の体からベレッタを抜き取るとデイパックから予備の弾丸、
水、食料を奪い、弾切れのソーコムピストルを捨てマシンガンを拾おうとした。
「…うぅ…うぅぅ…」
驚いて振り返った。そこには大量の銃弾を撃ちこまれたはずの刹那が生きていた。
「化け物か…」
千雨は拾ったマシンガンを構えたがそんな彼女を無視して這いずって、木乃香の方へ進んだ。
千雨の考えは半分当っていた。刹那の血には烏族の血が混じっていた。
その血が影響して先ほどのように立ち上がったり、銃弾を大量に浴びてもかろうじて生きていた。
全身がとても熱く力が抜けたようになっていたが、それでもまだ這うことくらいはできた。
「お…お嬢…さ…ま…」
刹那は必死に木乃香を呼んだ。一緒に帰ろうと約束した木乃香が木にもたれたまま動かない。
木乃香は刹那の方に顔を向けていたが、その目は閉じられていた。

千雨は銃を下ろした。もう撃つ必要は無いと悟ったのだ。
刹那は木乃香の体までたどり着くと、力を振り絞って自分の上半身を起こした。
それから、木乃香の肩をつかんで揺すった。
「お……じょ…う様……お嬢…さ…ま……」
喋るたび木乃香の顔に赤い霧が降りかかったが、
刹那はそれが自分の口から出ているものなのだとは気づきもしなかった。
「おじょ…さ・・・…うっ…く…このちゃん……このちゃ…ん」
刹那が泣いていた。涙で顔がくしゃくしゃになっても刹那は泣き続けた。
不意に咳き込みだした。真っ赤な血の塊が地面に落ちる。
もう自分も最後の時がやってきたようだ。
全身の力が抜けて支えきれなくなった。
「…この…ちゃん……今……すぐにそっちに…行く…ね」
刹那の体は木乃香の体の上に落ちた。
(向こうでハルナに会ったら、ちゃんと謝らんとあかんでせっちゃん)
(そうやね。このちゃん)
そんな幻を最後に見たような気がして刹那は本当に動かなくなった。
千雨は立ち去るが何歩か歩いて一度振り返る。
(私もあんな友達がいたら…変わってたかもな…)
そんな二人が少し羨ましく思いながらも千雨はその場を後にした。

刹那が木乃香の体の上に落ちた時、反動で木乃香の腕がはねた。
そして偶然にも刹那の頭の上に手がかかった。
その光景は、まるで最後まで悩み続ける刹那を木乃香がなだめているようだった。

【出席番号15 桜咲刹那 死亡 残り11人】

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