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ネギま!バトルロワイヤル3

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匿名ユーザー

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(誰かいないかな……さすがに一人は厳しいし……)
明石裕奈は坂を登る。出来るだけ遠くを歩いた。肩に担いだボウガンがギシギシと鳴る。
矢を番えてはいるが、もし本当の戦いになったら不利な武器だ。いちいち矢を仕掛け直さねばならない。
やがて、丘の頂上付近に来る。

「ゆーな」
突然の声に驚いて辺りを見回す。気を抜いていた。しかし、その声からは戦意を感じ取れない。
「こっち」
よく響く声。声の方を振り返る。
「アキラ!」
大河内アキラ(出席番号6)の顔が草の間から生えていた。地面にペタリとしゃがみこんでいるのだろう。
「無事だった!」
満面の笑顔で駆け寄る。アキラも嬉しそうに笑った。裕奈はアキラの前に座った。無防備に。
「大丈夫みたいね」
「うん。アキラも怪我とかは?」
「全然。私はずーっとここにいたからな、ゆーなは?」
「下にある納屋みたいな所で。寒さはしのいだけど、あんまり眠れなくて」
「あ、目の下に隈が出来てるな」
こんな風に笑ったのは久し振りな気がする。するとアキラが黙り込む。
「ゆーな。もし最初に会った相手が、銃を向けたらどうする?」
「………!」
「ゆーながどんなに信じてくれって言っても、相手が信用しなかったら?ましてや発砲してきたら?」
「………」
「見る限り、ゆーなの持ってる武器じゃちょっと頼りないと思う」
肩に下げているボウガンを見た。裕奈は答えられない。自分でも何度も考えた。発砲されたら、まず逃げるだろう。
もし相手の武器が自分と互角かそれ以下だったら………
(私は、戦ってしまうんだろうか)
極限状態に追い込まれてみなければ、その時の精神状況などわからない。

ふいにアキラが鞄を開けた。手のひらサイズの黒くて平べったいものと紙を取り出した。
「これ、あげるよ」
「え?」
紙と黒い物体を受け取った。
「何?これ」
電子手帳のような物を開いた。そして説明書らしき紙に目を通す。説明書には、
『スペシャルラッキーアイテム!』
と書かれている。大袈裟な見出しだ。
「使ってみたら首輪探知機みたいだ。それがあれば、どこに首輪をつけた人間がいるかわかるから便利だと思うぞ。安全対策にはかなり役に立つ」
裕奈は説明書を見ながら機械をいじった。今自分のいる地点を見る。確かに赤いランプが二つ、重なるようにして並んでいる。ある意味、これは最強の武器だ。
裕奈は希望を抱いた表情になって顔を上げた。
「じゃあ、軽くパンを食べたら行こう!」
しかし、アキラは首を横に振った。

「いや、私は行かないよ」
「どうして?!」
アキラの表情は穏やかだった。
「決めたんだ」
むしろ、笑みすら浮かべている。
「私はここを動かない。もしここが禁止区域になっても」
「そんなことしたら死んじゃうよ?!」
「いいんだ。私には人を傷つけたり、ましてや殺す勇気なんて無いんだ」
裕奈は黙ってアキラの顔を見つめている。
「もし生き残ったとしても、人殺しの重圧に押し潰されて生きるのなんて嫌なの。乗り越える強い精神力、それが私にはちょっと欠けてるんだなって。だからずーっと、ここでいる」
「でも、少しでも可能性があるなら……!」
「だから、こっちの可能性に賭けるんだよ」
アキラの笑みは心からのものだった。裕奈にも、もう説得出来ないことはわかっていた。それでも一緒に来て欲しかった。信頼出来る相手だから。
「ゆーな。もしここが禁止区域にならずにこのゲームが何らかの形で終わったら、それは私の勝ちだ。もし禁止区域になったら、私の負けだ。
ただそれだけなんだ。誰かに直接殺されて死ぬのもここで首輪が爆発して死ぬのも、同じなの。だから私は選んだ。少しでも、誰かを傷つけずにすむ方向を」
真面目に自分の生死を語るアキラ。
「………わかった」
裕奈がうつむいて答える。

「その代わり」
顔を上げた。
「その代わり、もし生き残りが私の信じられるメンバーになって、アキラも無事だったら、ここに迎えに来るからね。一緒に逃げよう!」
真っ直ぐにアキラを見つめている。
アキラは笑顔のままうなずいた。
「分かってる。あんまり無理はするなよ」
「生き残るには無理しなきゃ」
裕奈が歩き始める。今度はボウガンを構えながら。

「……バスケ部。強くしないとね」
「………うん」
こぼれそうになる涙を堪え裕奈は走り出した。


東の丘の上、朝倉和美(出席番号3)は、慌てて荷物をまとめていた。
最初の禁止区域がここなのだ。あと20分あるが、地域の境界線は目に見えない。
走って逃げてもいつ区域から出たかもわからないのだ。
ご丁寧にラインくらい引いておいてくれればいいのに。
そんな悪態までついてしまう。
「とりあえずここを出る。えーっと、西に向かえば住宅地がある。そこに逃げよう。」
鞄の中の武器を見る。よりによってボクシングのグローブとはなんたることだ。
腰の高さまで伸びた草をかき分け、出来るだけ身を屈めて走る。草がガサガサと音を立てる。
少し風が強く周囲の草が揺れる。聞こえるのは草の揺れる音と、自分の息遣い。
逆にいいカモフラージュになってくれているようだ。
(まだ?境界線は………)
その時、体、ちょうど腹部の辺りに何かが勢いよく当たった。まるで体当たりをされたような。
(え?!)
次の瞬間、視界に鮮やかな赤が飛び散る。そして、腹部の痛みに気づく。
(……え……?!)
全身の力が抜け、一回大きく前後に揺れた後、前のめりに倒れた。
薄れゆく意識の中、目の前で相坂さよ(出席番号1)が心配そうに見つめているのが見えた。
(…ごめん、さよちゃん…やられちゃった…)
心の中で呟く和美。
(朝倉さん…)
(あはは…これで地縛霊になったら…さよちゃんと同じだよね…)
そう呟き和美は二度と言葉を発しなくなった。
(…朝倉さんは呪縛霊なんて似合いませんよ。……さよなら)
さよはそう言って涙を流した。

龍宮真名(出席番号18)は血に濡れたナイフを手に風に揺れる草の中から立ち上がった。
(こんな近くに隠れてたなんて、気づかなかったな。)
真名は和美のデイパックの中を見る、水と食料を奪い武器を確認する。
(ハズレか・・・)
さすがにボクシンググローブを持つ気にはなれない。

――それはゲーム開始直後。
自分を乗せたヘリが降下してきた。数十メートル上でホバリングをし続けるヘリの扉が開き
一人の男が通信機を降ろしてきた。
通信機の先の相手は高畑であった。
「単刀直入に言うと、君にはこのゲームで殺す役をしてもらいたい」
「何だと!?」
高畑が続ける。

「報酬も退魔退治なんか比べ物にならないくらい用意しよう、
 拒否してもいいがその場合、麻帆良学園のみんなと龍宮神社の存在はないと思ってくれ。」
「!…」
真名は誰にも聞こえないように軽く、口の中で舌打ちをした。

真名は地図を見る。
(どこだ、人が隠れそうなのは)
丘を降りて進んだ場所に住宅街がある。
(誰か休んでてもおかしくないな)
目的地を定め真名は歩く。
そこに転がっている和美の死体にはもう全くの無関心だった。

【朝倉和美、死亡 残り26人】

真っ暗でひたすら木々が並ぶ森の中を近衛木乃香(出席番号13)は一人とぼとぼと歩いていた。
頼りになるのはデイパックの中にあった、小さなライトの明かりだけであった。
当ても無く歩くたびに暗い気持ちになる。
(どうしてウチらがこんな目に……)
正直なところ、泣きそうだ。
ふと気づくと大きなキャンプ場に出た。隣は住宅街やらレストランが存在する場所だ。
木乃香は、いくつもの屋根の並ぶログハウスを見た。
手前の広場には、おそらくバーベキュー用であろう鉄板が並ぶ。炊事場もあった。
もう使われなくなって、ずいぶんたっているようだが。
近くの木陰に身を隠し地図を広げた。13-Cと書かれた敷地のようで禁止エリアではないようだ。
しばし呆然とした。外は真っ暗な夜中である。
(どなん……しよう……)

木乃香はしばし考えて近くの一つのログハウスに入った。幸い鍵は掛かってなくすぐに入れた。
このまま歩き回るよりは多少のリスクは冒してでも寝る場所は確保したいと言うのが考えだ。
そして朝になればすぐにここを出て信頼できる仲間(理想は明日菜と刹那)を探すこと。
ベッドのシーツをクローゼットの中に押し込み、木乃香はその中で夜を明かすことを決めた。
(アスナ…せっちゃん…たすけて…)
涙声の木乃香は、何時見つかるかもしれない恐怖に怯えながらクローゼットの中で震えた。

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