ヒグマ・ヴァーサス・バンディット
ニンジャとは、カラテによって平安時代の日本をカラテによって支配した半身的存在である。
しかし彼らはキンカク・テンプルで謎のハラキリ儀式を行い、歴史から姿を消した。
歴史は改竄され、隠蔽され、ニンジャの真実は忘れ去られる。
やがて世界をヒグマが覆いつくし殺し合いが普遍化した未来。
数千年の時を越えて復活した邪悪なるニンジャソウルが、突如、ヒグマロワイアルの闇へと解き放たれたのだ……!
鬱蒼とした森の中を一人の男が駆けていた。目を血走らせ、時折後ろを振り返るその姿は、見るもの全てにこの男が何かから逃げていることを如実に伝えている。
足跡を残さず、足音を立てず、それでいて風めいた速度で駆ける男は、茶色のニンジャ装束を纏っていた。そう、彼はニンジャなのだ。
その名は
バンディット。邪悪なるニンジャソウルの憑依者にして、ソウカイ・シックスゲイツの一員。それが彼の正体である!
だが、邪悪なニンジャであるバンディットは焦燥し、恐怖していた。ニンジャである自身が追われるというこの状況を、バンディットは想定すらしていなかった。
ましてやその追手はニンジャですらなく、ヒグマなのだ!
バンディットのニンジャ聴力は、自らを追跡するヒグマの足音を捉えている。故にバンディットは認めざるを得ない。その足音が、だんだんと近づいているという事実を。
このままでは追いつかれるのも時間の問題だ。自らの知識を総動員して、バンディットはこの状況を打開する策を編み出そうとした。
その時である!
「イヤーッ!」
バンディットは突如後方の草むらにスリケンを投げ放った! バンディットのニンジャ第六感が、彼に反射的にスリケンを投げさせたのだ!
だが、見よ! スリケンを跳躍して躱しバンディットに飛びかかるヒグマの姿を! コワイ!
「イヤーッ!」
バンディットは素早く側転を繰り出し、致命的な一撃を回避! 体勢を立て直しながらヒグマの着地点を狙い再度スリケンを投擲!
「イヤーッ! ……グワーッ!?」
ゴウランガ! 苦悶の声をあげたのはヒグマではなくバンディットだ! その股間にスリケンが突き刺さっている!
ニンジャ観察眼をお持ちの方は何が起きたのかを見て驚愕に目を見開いたことだろう。
ヒグマは着地しながらも飛来したスリケンをその鋭い爪でバンディットの股間へと弾き返したのだ!
なんたるヒグマ反射神経とヒグマ器用さの両立が成し得る精密極まりない反撃行動か!
さらにヒグマは間髪いれず、たたらを踏むバンディットへと飛びかかる!
「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」
「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」
「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」
「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」
ナムアミダブツ! ヒグマの巨体にマウントを取られたバンディットにはもはや為す術がない! ヒグマ筋力から放たれる凶悪な攻撃に、バンディットの身体が文字通り削られていくではないか!
朦朧とする意識の中、バンディットは口を開け喉笛に食らいつかんとするヒグマの姿を見た。そしてその頭上の髑髏めいた月と眼があった。「インガオホー」月は嘲笑った。
「GRRRRR!」「アバーッ! ……サヨナラ!」
ナムサン! 喉笛を食い破られたバンディットは爆発四散!
月明かりの下、ヒグマは仕留めた獲物の肉を口へと運んでいた。
バンディットは爆発四散こそしたものの、肉体が完全に消し飛んだわけではなかったのだ。
やがて食事を終えたヒグマは、不服そうに喉をならした。
爆発四散したバンディットの肉体だけでは、ヒグマの飢えを満たすには足りなかったのである。
次なる獲物を探すべく、ヒグマは動き出す。……その時である!
「GRRRRR!?」
気がつくと、ヒグマは森の中にいた。
先ほどまでいた森ではない。冷涼な空気が毛皮を撫で、黄金の光が身体に降り注ぐ。
ヒグマが頭上を見上げればその光源は太陽ではなく黄金立方体であることに気がついただろう。
ヒグマは脳内に響く声を聞いた。人間の言語を解さぬヒグマにはわからぬことだが、その声は「ドーモ」とアイサツをし、そして消えていった。
ヒグマは歩き出した。周りの景色はすでに元いた森へと戻っている。
ヒグマの身に何が起きたのか。答えはそう、ニンジャである。
ニンジャであるバンディットの肉を食らったが故か。はたまたヒグマにその素質があったからか。
如何なる因果か、ヒグマはニンジャソウルに憑依され、ニンジャとなったのだ。
ニンジャとなるヒグマ……これもまた、古事記に予言されたマッポーの世の一側面なのだろうか。
答えは無い。明確なのは、ヒグマの目的のみ。
餌食らうべし。慈悲はない!
【H2・森/深夜】
【ヒグマ7】
状態:ニンジャ
装備:無し
道具:無し
基本思考:餌を探す
1:まだ足りない
※ニンジャソウルが憑依し、ニンジャとなりました。
ジツやニンジャネームが存在するかどうかは不明です。
最終更新:2014年09月16日 00:49