カウボーイ
森に飛ばされて早々、
フォックスの命は風前の灯だった。
よっこらどっこい、座って
支給品を確認しようとした時、目と目が偶然あったのだ。
視線の先にいるのは、砕竜
ブラキディオスであった。
それがただのブラキディオスだったらまだ良かったであろう。
彼が出会ったのは運が悪いことに、『G級』で『キングサイズ』でしかも『怒り状態』のブラキディオスだった。
元々のブラキでも危険なのだが、この三つの要素で更に危険度が増してしまった。
より獰猛に、より強力に、その強さは熟練のハンターですら凌駕するほどである。
ヒグマと同等の力を持つであろう。
そしてブラキディオスは、彼を敵と認識した。
瞬時にフォックスは察した。このままだと死んでしまうだろう、と。
そこで彼が取った行動は、うつ伏せに地面に寝っ転がることだった。
彼の十八番、跳刃地背拳を狙っているのである。
真っ向からでは叶わない、ならば不意をつき殺せばいいのだ。フォックスはそう考えた。
ゆっくり、ゆっくりとブラキはフォックスに近づく。
彼が生きているのを察したのか、ブラキは拳を振り下ろさんとした。
その瞬間、フォックスは勢いよく跳躍。ブラキの背中にしがみつく。
そしてその手に仕込んだカマでブラキの甲殻を突き刺す―――ことは叶わなかった。
(か、硬い!?)
そう、硬いのだ。
ブラキの甲殻は、より頑強に発達した、いわゆる重殻と呼ばれるものだった。
並大抵の武器では傷一つつけることは叶わないだろう。ましてや、カマなどという貧弱な武器では太刀打ちなどできるハズがあるまい。
この勝負は最初から結果が見えていたようなものだった。
支給品を確認していたならまだ望みはあったかもしれないが、それでもこの状態のブラキを倒せる支給品が入っている確立はかなり低い。
ブラキはフォックスを振り落とそうと、必死で体を振る。
落とされてしまっては死んでしまう、フォックスはそれに対して必死にへばりついた。
そして、それは突然訪れた。
不意にブラキが暴れるのをやめたのだ。
動きを止め、ただ一点に視線を向けている。
不審に思って、フォックスもブラキが見ている方向に目を向けると、さらに彼を絶望へと追いやった。
ヒグマが、そこにいたのだ。
特別デカいというわけでもない、平均的な大きさのヒグマなのに、彼が放つオーラはそんじょそこらのヒグマとは違ったのだ。
この禍々しいオーラはまるで悪魔の化身―――
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※ヒグマのイメージです
かつて北海道に二千年の歴史を誇る拳法が存在した。
その拳法は人間が習得するものではなく、なんとヒグマが習得する拳法だったという。
『羅漢樋熊拳』、それがヒグマ達が受け継いできた拳法の名前であった。
ヒグマが持つ超人的な力を更に高め、圧倒的な破壊力をもたらす残虐無比な拳法。
そしてブラキの目の前に立つ、ヒグマこそが羅漢樋熊拳伝承獣その獣であった。
かつて百匹のヒグマを本能のままに殺し、食らい尽くしてきた、修羅である。
(ま、マズい……このままでは、俺はs
しかし思考は、ブラキの咆哮により中断された。
耳をつんざくような咆哮に、フォックスは思わず耳を塞ぐ。
ようやく咆哮が終わった次の瞬間に、ブラキは勢い良く跳躍し、ヒグマがいる地面に頭部と両腕をダン!とぶつける。
次の瞬間、その地面は爆発した。
(あ、あちいいいいいいいいいい!!!)
勿論、爆発により発生した熱風は背中にへばりつくフォックスに直撃する。
素肌を晒しているフォックスにとって、それは苦痛以外の何者でもない。
悶絶する彼を余所に、ヒグマは爆風と熱風をものともせず、すぐに反撃に入った。
素早く出される、ボディーブロー。
身軽な動きでブラキは、攻撃をかわして右腕を地面に力強く叩きつける。
また爆発。そして熱風がフォックスを襲う。
(あちちちちち!! だ、誰か助k
また思考は中断される。
ヒグマは爆発を軽々とかわし、ブラキの懐へと潜りこみ強烈な突き。
うめき声をあげつつ、後ろへと後退するブラキだが、このまま追撃を許す彼ではない。
すぐに頭部を地面へと突き刺す。
訝しげにその様子を見守ったヒグマは、その行為が自分には影響を及ぼさないものだと判断すると、追撃しようと距離を詰めてきた。
しかしその行為は突如起こった地面の爆発により、防がれてしまった。
人間が放った散弾銃をものともしなかったヒグマであったが、さすがに爆発をモロに喰らっては無事ではすまないようだ。
後ろへと吹っ飛び、体勢を立て直し着地。
着地と同時に、ブラキも突き刺した頭部を引き抜いた。
なお、やはりというべきかフォックスはやはり熱風をくらっていたのであった。
(げ、げ、限界だ……だが、落ちれば待つのは死……!)
未だフォックスの命は風前の灯であった。
落ちれば化け物の、変な能力で爆発に巻き込まれて死んでしまうであろう。
それをかわしたとしてもヒグマの一撃をくらえば、即死も間違いない。
どう足掻いても絶望。そして、自分がとるべき行動は一つしかないのだ。
(くそっ……! 熱風に耐え、振り落とされないようにしがみ続けるしかないのか!)
それしか方法がない。
不幸か幸いかヒグマは、自分の存在に気付いていない。
加えて今のところはヒグマと、この化け物の戦闘力は拮抗していた。
(ああー、早く終わってくれよお! 俺の体力が確実にm
彼の思考が終わるのを、二匹は待ってくれるはずもなかった。
【C-8/森/深夜】
【フォックス@北斗の拳】
状態:ブラキディオスの背中にしがみついている
装備:カマ@北斗の拳
道具:基本支給品、ランダム支給品0~2
基本思考:振り落とされないようにしがみつく
1:あちい!
※勲章『ルーキーカウボーイ』を手に入れました。
【ブラキディオス@モンスターハンター】
状態:怒り
装備:なし
道具:なし
基本思考:目の前にいる敵を倒す
[備考]
※キングサイズです。更に恐ろしく怒りやすい固体です。
またG級の固体であるために、甲殻は重殻へと進化しています。
【羅漢樋熊拳伝承獣ヒグマ】
状態:健康
装備:なし
道具:なし
[備考]
※羅漢樋熊拳を継承したヒグマです。
※過去百匹のヒグマを殺害したので、戦闘力は普通のヒグマより非常に高いです。
加えて散弾銃では傷一つつきません。
最終更新:2014年12月14日 22:44