ふと、自分の隣で今日も欠伸を一つ噛み殺しながら歩いている男をちらりと盗み見て、あたしもつられて欠伸をした。
北の地では特に目立つ褐色の肌と、見た目からして寒そうな砂漠の民の装束。そしてシワだらけの衣服からは想像出来ないくらい手入れが施された、腰のファルシオン。
気が付いたら道連れとなって世界を渡り歩くことになった頼もしいパートナー、ハリードだ。
ハリードはあたしが腰の剣をファルシオンと呼ぶと、少しだけ機嫌の悪そうな顔をするの。
なんでもこれには、カムシーンという立派な名前があるのだそう。
ゲッシアの英雄アル=アワドが愛用した、伝説の曲刀の名前なんだって。
武具には、人と同じ様に魂が宿る。
此間お酒の席で、そんな風に話して聞かせてくれた。
だから、人に名前がある様に武具にも名前をつけてやるんだそうだ。
だからあたしも試しに自分の斧にエリザベスって名付けてみたんだけど、悲しいかなエリザベスは先日依頼で魔物退治している最中に砕けてしまったわ。
そんな訳で本日は新たなる盟友ポンパドゥールを片手にせっせと依頼をこなしに、あたし達は北の最大国家ツヴァイク公国から程近い、西の森に足を延ばしていた。
「・・・珍しい動物、ねぇ」
あたりを注意深く見渡しながら歩いているけど、森に入ってから一時間弱してもキツネやリス位は見えるものの、別段物珍しい生き物がいるわけでもない。
「どう珍しいもんなんだろうな」
ハリードもハリードで、まるで散歩気分のようにそう呟きながら物珍しげに針葉樹林を眺めている。
あたしは早々にハリードに探索を任せることにして、シノンとはまた違った動植物が生息しているこの森を観光することにした。
死蝕以降は、年を重ねる毎に魔物退治や野盗退治の依頼が世界規模で増えていっている。ハリードがそう言っていたのは、ツヴァイクに渡ってくる船の上だったかな。
中でも特にその傾向が強いのは、メッサーナから北なのだそう。
対してあたしの故郷ロアーヌや西の商業都市ウィルミントンなどは、騎士団や自治体お抱えの傭兵団が治安維持の為の遠征を積極的に執り行うので、そういった依頼は数が少ない。つまりはフリーランスの傭兵にとってはあまり美味しい国じゃあない、ってことだそうだ。
ただ今回ハリードとあたしが請け負った依頼は近隣で活発化している魔物の討伐とかじゃなくて、ツヴァイクの西の森にいる珍しい生き物を捕獲したら買い取る、っていうハンターの依頼。
ツヴァイクに着いてから早速路銀稼ぎで一仕事してまぁまぁの稼ぎになったそうだから、出発前に軽くもう一仕事しようってことで受けたんだけどね。依頼内容が曖昧だから、前金主義らしいハリードも今回はあんまり仕事って感じじゃないみたい。だから成果報酬、ってことで北の地の散策気分ね。
「獣の足跡があるな。この辺りは強烈なのがいるわけじゃないはずだが、用心は怠るなよ」
「オーケー」
口数も少なく、ハリードとあたしは前進していく。
二人がこうして旅を始めてから、もう二週間くらい経っただろうか。
最初の出会いこそあまり印象が良くなく、ハリードを口の悪いおっさんだとばかり思っていたけど、今の印象はだいぶ違っている。
思いの外このハリードという男は気さくで、世話焼きで、人情家だった。
ここまでのまだ短い旅路でも、あたしは様々な話をハリードから聞いたし、シノンにいたころから比べたらなんだかとても物知りになった気がする。
世界の事から、いろんな人々の暮らしの事、戦闘技術のこと。
多分ずっと新しい何かに飢えていたあたしは、この男の言葉によく耳を傾け、自分なりに噛み砕き、吸収することに務めた。
「っとぉ!」
五、六頭の狼の一群に囲まれた中、ハリードが軽やかに舞う。
なにやら不可思議なオブジェクトが等間隔で設置された道の途中、背丈に似合わない素早い身のこなしで地形を飛び回り、まるで幾人ものハリードがいるかの様に残像すら見えそうな数多の斬撃により、三頭の狼が殆ど同時に血飛沫をあげた。
そこで運良く斬撃を逃れた一頭がハリードの背後に迫るが、其れに目掛けて突進したあたしはくるりと回転しながら地面を思い切り踏み込み、遠心力を乗せたポンパドゥールの一振りでそいつを吹き飛ばす。
ぐしゃりと骨や肉が潰れる嫌な音がして狼が激突した木の根元で動かなくなると、遠巻きにあたし達を囲っていた他の狼達は、交戦意思を失って一目散に逃げ出していった。
「・・・上手いな。今のは体のバランスの取り方も秀逸だし、斧の特性を活かした重い一撃だったな」
カムシーンにべっとりとついた血糊を絶命した狼の毛皮で拭いながら、ハリードはあたしを褒めてくれた。
「へっへっへ。でもまだまだね。あたしもこいつで、ハリードみたいに動きたいわ」
多少得意気な顔をしながらも謙遜気味に返してみたあたしに、ハリードはカムシーンの刀身を撫でながら何とも言えない自重気味な笑みを作った。
「そりゃ、止めた方がいい」
そう言ってさっさと歩き出したハリードを、あたしは少し眉を顰めながら斧をしまって追いかけた。
この西の森には、この辺りでは有名な天才教授とやらの住む館があるらしい。
昨日酒場で飲んでた時に仲良くなったおっちゃんが、確かそんなことを言ってた気がする。
あんまり人前にでないから見たことのある人は少ないみたいだけど、聞いた話によれば妙齢の女性なんだそう。年中館に引き籠っては、世にも不思議な発明を日夜行っているそうだ。
なんだかそんな話を聞くと、一度は会ってみたくなるわよね。
勿論単なる興味本位だけじゃなくて、ちゃんと理由もある。ほら、今回の依頼の珍しい動物っていうのも、ここに住んでる人なら何か知ってるかもしれないでしょ?
ハリードにそれを言ったら、こっちを振り返りもせずに生返事しか返ってこなかったけど。
なんて考えながら歩いていたら、なにかを見つけたらしいハリードが無言であたしを手招きしてきた。
所々に白石の敷かれた道を踏み抜きながらそばに寄ってみると、ハリードの背中越しに覗き込んだ先にはなんだか大きな足跡が一つ。これはあたしはみたことも無いサイズで、なんの足跡なのかちょっと見当がつかない。
「・・・熊、でもないか」
取り敢えず思いつくまま口に出してみるけど結局自ら否定しつつ首を傾げると、ハリードは浅く頷いた。
「だな。この辺りにこんな足の形をした生物がいるなんて話は聞いたことが無い。となれば・・・」
となれば、つまりはそういう事だ。お互いに顔を見合わせてニヤリと笑い合うと、さっきまでより少しだけ元気良く立ち上がって奥へと再び歩き出した。
いまいち確信が持てないでいた珍しい動物とやらの存在が、これで濃厚になったわけね。
そうと決まればお互いの足取りは早いもので、あたし達は同じような足跡が見当たらないかを注意深く観察しながら、森の奥へ奥へと進んでいった。
狩の道中、エレンは妙にはしゃいでいた。いや、あれでいつも通りか。
息抜きのつもりで受けた仕事にしては思いの外収穫があって満足感があるのは確かに事実だが、にしても、どうにもあのテンションは俺には今となっては理解できそうもない。ジェネレーションギャップというやつか。俺もそろそろ年かね。
道に点在する鉄製の用途不明オブジェクトに背を預け、エレンに荷運びを呼ばせにいって待っている間にカムシーンの手入れをいながらここまでの出来事を思い返す。
その場の勢いであいつを連れ出してから、もう気付けば二週間位になるか。
田舎娘が出会って間もない男に引っ張り出されたとは思えぬほど、エレンは今に対してよく適応し、かつ前向きだ。
育った場所が違えば文化が違うし、世代が違えば常識も違う。
全くと言っていいほど規格そのものが違う俺などに、あいつは道中でよく話しかけてきた。
それは若さ故の好奇心なのか、はたまた別の何かなのか。
俺の故郷のことから育ちのことから、逐一目を輝かせて聞いてきやがる。
町に留まる間に仕事で同業者と組んだことは数あれど、こうして共に旅なんぞをした相手なんて実際は俺にも殆どいなかったものだからか、連日の質問攻めには自分でも驚くほどすらすらと答えてやっていた。
特に戦技術に関することでよく質問をしてくるものだから、それに気を良くしちまった部分もあるのかもしれない。
剣の師や兄弟子が世話焼きだっのが、俺にも移っていたということかね。
とはいえ実際にエレンと言う女は、驚くほどの才覚でこの短期間に変貌を遂げている。
得物が斧だなんて女に似つかわしくないものを選んでいる事など忘れてしまうほど、身体能力そのものも優れている。腕相撲したら負けそうで、挑む勇気が湧かないほどだ。
本人が言うには馬術と格闘にも長けているようだから、故郷の駱駝に乗せても直ぐに慣れることだろう。
・・・別に、連れて行こうと決めたわけじゃない。
兎も角、今はわりかしこの旅を俺自身も楽しんでいるのは、事実のようだ。
下らない自己分析などするわけではないが、国を亡くしてこんな生活を始めてから他人との関わりってものを遠ざけていた自分は自覚している。それが今になってこんなことをしているものだから、こんな気分になっているんだろう。
始まりは同類憐れみみたいなもんだったが、こういうのはこういうので、まぁ悪くない。
そんな物思いに耽っていると、突然背後で腹に響く地響きみたいな唸り声が聞こえてきた。
肩越しにそちらを振り向けば、そこには縄に縛り付けられた奇怪な生物がなにやら恨めしそうに俺を睨み返している。
見たことのない姿なので新種の魔物のようだが、瘴気があるわけでもない。
こいつが件の珍しい生物、というやつなんだろう。
一匹捕まえたら芋づる式に何匹もヘンテコなのが出てきやがって、今俺の後ろにはオブジェクトに括り付けられた生物が合計で四匹居る。
見た目でいえば、うさぎっぽいのと、キツネっぽいのと、竜っぽいのと、なんか動く草。
なんの原種のどんな突然変異なのか、確かに俺が知っている生物にこんな系統の生き物はいない。
好事家の数だけなら間違いなく世界一のツヴァイクの事だ、こいつは中々高く売れるだろう。この辺りのハンター連中は特に余所者にはふかしてくることが多いが、俺を知らないで適当な額で言ってきやがったら一発泡吹かせてやるかね。
どれだけ報酬を釣り上げてやろうかと、今から皮算用をしてしまいそうになる。
俺は元々、面倒臭いのが嫌だから前金主義を通しているに過ぎない。まぁ勿論、傭兵はじめの頃にさんざっぱら報酬関連で辛酸舐めさせられたからってのもあるが、な。
しかし今となっては久しぶりの成果報酬ってのも、なかなか楽しいもんだ。なんといってもこれの醍醐味はやっぱ、最後の報酬釣り上げだ。
競売よろしく幾つかの買い手を巡るのも、ここなら苦労はしない。
なにしろ、ここツヴァイクでは抑も国立コロシアムで定期的にオークションも行われているくらいだからだ。
だがまぁ、あれはダメだ。
まず出品時に掛かる費用がクソなのだ。お陰でその辺を知ってる奴らは利用しないか、最早他に買い手がつかないもんばかりを出品する。
あとは何も知らない素人が出すかってところだ。
つまり、ろくなもんが出回らない。
一部の豪の者ともなると出品申請のつもりで官僚相手に売り交渉を始める奴らなんてのも居るらしいが、流石に俺も慣れぬ異国の地でそこまでする気はない。
だが数百オーラムですますつもりもないからなぁ・・・どうしてやったものか。
ああでもないこうでもないと結局皮算用に時間を費やしていると、やがて遠くの方からガタガタとやかましい音を立て、荷馬車がやってきた。
「ぉーーい!」
何故かその荷台の上に仁王立ちしながら、エレンがこちらに手を振ってくる。
それに軽く腕を振り返すと、片手に弄んでいたカムシーンをしまい、ゆっくりと立ち上がった。
そうだった。あいもかわらず騒がしい旅の相方がこうしてしっかりお使いをこなしてくれた褒美分も、報酬に上乗せしなきゃならないな。
「いやー、あんなに貰えるもんなのね!あたしも傭兵になろうかしら!」
男勝りに豪快にエールジョッキを傾けたあと、エレンは上機嫌に笑いながらそう言った。
結局あの謎の生物たちは元の話を振ってきたハンターにそのまま即金で売ってしまった。多少揺りをかけただけで思いの外いい金額を提示してきたので、他を当たる面倒も省きたかったからそこで決める事にしたのだ。
千を超えるオーラムが積まれた袋を今まで見たことがなかったのか、エレンは銀行でえらく目を丸くしていたな。
それが確認された後に金庫に入っていくところで管理体制は大丈夫なのかと心配するところも、まるで昔の自分を見ているようで思わず笑ってしまった。
「だって、あんな大金だよ!? 強盗とか、心配しない方がおかしくない?」
仰ることはご尤もだ。
俺も昔はそれが心配で利用を控えたものだが、しかしまぁ嵩張るオーラムコインをいつ迄も持ち歩くわけにもいかない。
俺も精々が一万オーラムあたり迄を持ち運んだところで限界を感じ、それからは銀行を利用している。
「今や世界中の都市レベルの町には大抵ある銀行ってのはな、元は聖王暦が制定されたコングレスから存在する、古いシステムなんだ」
負けじと俺もエールを喉に流し込みながらボイルされた腸詰めをフォークに突き刺しつつ、過去に何処かの誰からか聞いたことをエレンに聞かせてやった。
「こんぐれす?」
「・・・聖王が四魔貴族討伐後にメッサーナで開いた、大会議だ。お前、教会で聞いたことないのか」
あーそういえば、なんてエレンは笑いながら答える。
そのコングレスの最中に決められた、世界中の経済循環の円滑化や金融均衡を守る為などの名目で施行されたのが、現在の銀行法だ。
「そんな古いシステムで、大丈夫なの?」
「大丈夫だ、問題ない。これには、当時からフルブライト商会を筆頭とした商会連盟が制度構築に噛んでいる事と、あとは形骸化しつつはあるが、現行の爵位制度が大きく関係している」
運ばれてきたアイスバインにも目を輝かせながら、エレンはこんな話題にも興味津々の様子で身を寄せてくる。
この銀行ってものの最終的な管理責任はメッサーナ王国が持つが、基本的な管理義務は各銀行所在地区を治める爵位各国が担っている。
まず定められている項目として、管理運営上における不測の事態・・・要するに強盗等があった場合、これの対処は最優先で現地国の常備軍が行わなければならない。
これには、明確且つ厳格にルールが定められている。
まず発生時期、場所、犯行人の可能な限りの詳細を事態の発生より十日以内消印の伝書にてメッサーナと商会連盟に報告する義務があり、更にホシを挙げる意味での解決迄を、二ヶ月以内に完了しなければならない。
そのうちには、不測の事態において生じた民間•法人における損害は、これも同期間内に該当地区国家が速やかなる補填の履行をする、という義務も含んでいる。
そして、いかなる理由があってもこれを怠った場合、該当地区の銀行管理の権限を損害の程度に応じて一定期間メッサーナ王国と商会連盟に剥奪される事になる。
これをされると、国家は非常に困る事になる。
なにしろ、銀行の内部で動いている金額には国家財源も含まれるから、だ。これが、運営管理権の代償とも言える。
一部税収をすらこの銀行システムに組み込んでいるので、ここの管理運営権を剥奪される事は、国家運営における大元の財源没収に等しい。
これによる弊害というのは、直接的なものから間接的なものまで多岐に渡る。
だから国家はこの銀行というものに関する管理運営に非常に敏感であり、銀行強盗などという行為は国家に対する大罪として歴史上でも類を見ぬほど悲惨な厳罰が下る。
「ミソは、メッサーナ王国がケツ持ちだってことだな。現行の銀行法を廃止して完全に国家単位での財源•金融管理を出来ればそれが国家としては嬉しいだろう。だがそれはつまり、世界最大国家と全世界に流通網を持つ商会連盟を敵に回すことと、イコールなのさ」
へぇー、なんていいながら、分かったのかどうかエレンが感心したような声を上げる。
「かつてこの均衡を崩しかけた唯一の国家が、実はこのツヴァイクだ。現在のツヴァイク公ってのは、音に聞く辣腕家でな。形骸化しつつあった爵位制度の隙を突き、一代で無名から公爵まで成り上がった。これにより、世界のパワーバランスが変わりそうだったのさ。だがそれも、死蝕が全部持っていっちまった」
「流石おっさん、本当なんでも知ってるのね!」
「けなしたよな?今俺のこと褒めたんじゃなくて、確実にけなしたよな?」
こいつは、酒が入るとすぐ俺のことをおっさん呼ばわりしやがる。
折角俺がためになる近代史をレクチャーしてやっているというのに、チャチャをいれやがって。
これに対して最近は決まって俺がエレンの頭を鷲掴んで頭髪をわしゃわしゃっとやり、エレンはギャーギャー喚きながら降参する。
こんな流れはここ二週間以内に出来上がった習性だというのに、なぜかふと、こんな事がとても懐かしいと感じる。
我ながら調子が狂うが、まぁ別段嫌じゃないからいいがね。
今日はちゃっかり雑魚寝部屋じゃなくてわりかし上質な部屋をとってるあたり、ハリードってあれで案外あたしに気を使ってるんだなーって思う。
明日にもここからずっと西にある聖王様所縁の地、聖都ランスに向かう予定な訳なのだけれど、道中は野宿も多くなるって言ってた。
そんな訳だから今日は早めに寝ろーとかいってささっと自分の部屋に消えて行ったけれど、そりゃあ無理な相談よ。
ここしばらくはこの一日の最後に今日新しく見聞きした事を頭の中でゆっくり噛み砕かなくちゃ、脳みそ興奮しっぱなしでおちおち寝れないんだから。
うーん、今日もあたしの頭じゃパンクしそうなほど、いろんなものを見ていろんな話を聞いたな。まぁ、最後の銀行なんたらは正直半分くらいしか話の内容わかってないけど。
やっぱりハリードとのこの旅は、楽しい。メキメキ実戦経験も積めるし、物知りになれるし。
最早、二週間前に悩んでいた自分がバカらしく思えてきちゃうくらい。
いやまぁ、もちろんまだ全部が全部吹っ切れたなんてわけじゃあないけど、さ。
でも、少なくとも今はなんだか幼い頃みたいに一日が長くて目まぐるしくて、いろんな事を理解するのに必死で。要するに、とてもじゃないけど悩んでる場合じゃないって感じ。
ただ、布団に入ってから奮戦虚しく睡魔に敗北する寸前に、ふとシノンの懐かしい風景や顔ぶれが頭をよぎるんだけど、それでも不思議と心は穏やか。
何だかあたしがこうしているように、他のみんなにもこうして新しい何かが訪れている気がするから。
そう、勿論サラにも。
だから、きっとこうなって良かったって、今はそんな気がする。
あたしの今までの二十年は、この時のためにあったんだな。
そして今は、明日のためにあるんだなぁ。
とか、なんか思考が思春期っぽい。ふふ、日々楽しい証拠よね。
頑張ろう。
おやすみなさい。
最終更新:2013年02月14日 00:42