- 1. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 22:43:45.64 ID:kS0uPjPC0
- さわ子「今から、皆さんに殺し合いをしてもらいまーす♪」
澪「え?」
紬「へ?」
律「おいおいさわちゃん、バトルロワイアルじゃあるまいし……」
唯「りっちゃん、さわちゃん先生。バトロルワイアル……って、何?」
梓「唯先輩、バトロルワイアルじゃなくて、バトルロワイアルですよ」
憂「殺し合いをするゲームのことだよ、お姉ちゃん」
和「先生、変な冗談はやめてください!」
さわ子「冗談なんかじゃないよ♪」
和「殺人は法律で禁じられています」
さわ子「みんな、何生ぬるいこと言ってるの?
日本は変わってしまったのよ。
ほら、政権交代してミンス党がサミン党と連立を組んだでしょ?
それでぇ、サミン党のみずぽが金正日に命令されてぇ、
新世紀教育改革法、通称BR法を成立させちゃったの♪」
唯「BL法?」
憂「お姉ちゃん、それは紬さんが好きなものだよ!
BL法じゃなくて、BR法!」
- 2. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 22:46:04.84 ID:kS0uPjPC0
- さわ子「18歳未満の犯罪者には、警察に捕まっても、
死刑程の重い罪にはならず、おまけに顔も実名も公開されない、
数年を少年院で我慢すれば、何気ない顔をして社会復帰が可能と言う法律、
”少年法”がある。その法律の甘さを気によくした訳ではないが、
罪を犯し、時には人を殺して何のお反省もなくケロリと社会復帰をする未成年が急増した。
”少年法”がそうなっているのだから仕方ないのだ。
本来、その”少年法”は、家庭の仕付けや学校における論理教育を当てにして
設置されたはずのものだった。だが、その教育法で、当時の子供達が親世代まで成長し、
”その時”甘やかされて育った親達がその下の世代の子供達に厳しくしつけれるはずがないし、
いつからか改正され骨抜きになった教育指導(生徒に暴力はダメ!など)で
筋の通った教育ができるはずもなかった。こうして、少年法に守られ、
あげく生意気でいとも容易く人を殺して反省もしない未成年が増え続けた。
『BR法』は、そんな状況に業を煮やした一部の政治家達が立法化させたもの。
『奴らは罪の重さを知らない、人を殺しても平然としているガキ共は、
人の命の重みを分かっちゃいない、だったらそれを自分達の体でわからせてやろうじゃないか。』
このようにしてBR法は立法化された。
――ってことになってるんだけど、ぶっちゃけ、本当は、
みずぽや北朝鮮が少しでも日本を破壊しようとしてるだけなんだけどね♪」
律「ぶっちゃけすぎだろ!」
梓「で、でも、バトルロワイアルって、クラスメート同士で殺し合いをするゲームですよね?
私たちは確かに同じ学校に通ってるけど、クラスメートじゃありませんよ?」
さわ子「それはね、このゲームがプレゼンテーションのためのデモンストレーションだからよ♪」
唯「プレゼントでもストレス?」
憂「先生、お姉ちゃんが話についていけてないので、もう少しわかりやすく説明してください」
- 7. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 22:48:38.52 ID:kS0uPjPC0
- さわ子「要するにぃ、今回はテストプレイってことよ♪
第1回じゃなくて、第0回って感じ?
プログラムを実行するのに、どれだけの人員、資金、面積、日数が必要なのか、
テストプレイしてみないと分からないでしょ?
あなたたちが、そのテストプレイヤーに選ばれたってわけ。
これはとっても名誉なことなんだから、誇りに思っていいわよぉ♪」
澪「ふざけんな! 黙って聞いてれば、いい加減にしろよ!」ガタンッ!
澪、椅子を蹴り立ち上がる。
律が後ろから羽交い絞めにする。
律「お、おい、澪。落ち着けよ」
さわ子「ふぅーん? まだ自分達の置かれた状況が分からないみたいね?」
さわ子、手を叩く。
北朝鮮と韓国の軍人たちが部屋中に入ってくる。
彼らは無表情に、澪に銃口を向ける。
澪「ひぃッ!」
梓「な、何なんですかこの人たち!」
さわ子「安心して。抵抗さえしなければ、この人たちは何もしないから。
だって、あくまでもあなた達を殺し合わせるのが目的なんだもんね♪
この人たちが殺しちゃったらゲームにならないでしょ?
でも、抵抗したら容赦なく撃ち殺すから覚悟しなさいよぉ♪」
- 8. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 22:51:18.89 ID:kS0uPjPC0
- 和「……先生、詳しいルールを説明してください」
唯「のどかちゃん、まさか、このゲームに参加する気なの?」
のどか、唯の肩に手を置く。
和「違うわよ。詳しいルールを聞かないことには、考えようがないでしょ?」
さわ子「のどかちゃんはなかなか賢いわねぇ♪
私、賢い子って好きよぉ。みんなも賢くなってね?」
一同「……」
紬「あのぉ……」
紬、おずおずと手を挙げる。
さわ子「何?」
紬「私の母方の祖父は、政府の高官なんです。
父だって、多額の税金を納めたり、政治家に献金したりしてるし、
琴吹家である私がプログラムに選ばれるなんて考えられません」
澪「お前! 自分だけ助かろうとして!」
律「だから澪、落ち着けってば!」
さわ子「静かになさい!」
澪&律「……」
- 9. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 22:54:14.69 ID:kS0uPjPC0
- 紬「それは……」
さわ子「前回の選挙で政権を失った党よねぇ?
おまけに、あなたのお祖父さんは、
中国や韓国へのODAを廃止しようと画策していたし、
北朝鮮への経済制裁を率先して行なっていたわよね?
全く、困った人種差別主義者たちだわ。
でも、このゲームの結果次第では、あなたのお父さんやお祖父さんも、
人種差別をやめるかもしれないわねぇ♪」
紬「うっ、うっ……」
紬、膝を抱えて泣き始める。
のどか、冷たい目つきで紬を見下ろした後、さわ子に向き直る。
和「……先生、そんなことより、ゲームのルールを」
唯「のどかちゃん……」
さわ子「基本ルールは簡単よ。
生存者が一人になるまで、殺し合いをしてもらうだけ。
食料と水は少しだけ支給するけど、量が足りなかったら自分で何とかしてね♪
言ってる意味、分かる?」
梓「……食料や水が足りなくなったら、
他の人を殺して奪え、って意味ですか?」
- 12. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:01:29.83 ID:kS0uPjPC0
- さわ子「その通りよ。一応、ゲームは三日間かけて行なわれる予定だから。
もちろん、その前に生存者一名になったら終了だけどね♪
三日経っても優勝者が現れなかった場合は、全員抹殺しまぁす♪
それから、島から逃げ出そうとしても無駄よ。
あなた達の首に嵌められた首輪が爆発しちゃうからね♪」
澪「首輪? ……って、まさか、このステージ衣装の……!」
澪、自分の猫耳浴衣水着のステージ衣装に着けられた首輪を見下ろす。
和「軽音部じゃない私や憂ちゃんにまで無理矢理衣装を着せるから、
おかしいと思ってたのよね……。迂闊だったわ」
さわ子「もちろん、無理に首輪を外そうとしても爆発するわよ♪
それと、殺し合いをしやすいように、武器も支給しまぁす。
どんな武器がもらえるかはランダムだから、
外れを引いても落ち込まないでね♪
他に支給されるのは、島の地図とコンパス、一時的に預かっていたあなた達の私物、そして制服よ。
ステージ衣装だと動きにくいと思ったら制服に着替えてね。
殺し合いを円滑に進めるためにどんどん生存エリアを狭めていくから注意してね♪
増え続ける死亡エリアにいたら首輪が爆発しちゃうわよぉ。
じゃあ、支給しまぁす♪」
さわ子、全員に大きな鞄を渡していく。
さわ子「じゃあ、名前を呼んだ順に、この建物から出て行ってね♪
まずは、中野梓ちゃんから♪」
澪「先生、どうして梓が一番なんですか。
ここは、先輩である私たちが先に出発するべきです」
- 14. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:03:14.33 ID:kS0uPjPC0
- ごめんなさい。
>>8
と
>>9
の間の台詞を一つ飛ばしていました。
>>8
と
>>9
の間に、
さわ子「さて、ムギちゃん。
あなたのお父さんが後援していた政治家って、
どこの党の人だったかしら?」
が入ります。
- 18. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:10:05.69 ID:kS0uPjPC0
- >>12
の続き。
梓「澪先輩、先に出た方が有利だから、そんなこと言ってるんですか?」
澪「そういうわけじゃ……」
梓「このゲームに参加する気がないなら、出る順番なんか関係ないじゃないですか。
つまり、澪先輩は先に建物から出て、私を殺そうとしているんですよね」
律「梓! 澪はそんなつもりで言ったんじゃないぞ!」
さわ子「はいはい、喧嘩は外に出てからやってね。
出る順番に、別に大した理由なんかないわよ。
順番はくじ引きをして、こっちで勝手に決めさせてもらったから。
梓ちゃん、早く出て行きなさい」
梓「……はい」
唯「……あずにゃん、本当に行っちゃった」
さわ子「次、平沢憂ちゃん」
憂は唯を励ますように微笑むと、部屋から出て行く。
澪「先に出るのは下級生ばっかりじゃないですか。本当にくじ引きで決めたんですか?」
さわ子が無言で顎をしゃくると、再び澪に銃口が向けられる。
さわ子「澪ちゃん、何か不満でも?」
澪「……いえ、ありません」
- 20. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:18:32.05 ID:kS0uPjPC0
- さわ子「じゃあ、静かにちゃっちゃと出て行ってね。
次は、平沢唯ちゃん」
律「唯、あたし達が出るまで、待っててくれよ」
唯「え……? うん、もちろんだよー」
澪「約束だぞ」
唯「う、うん……」
唯、引きつった笑顔を浮かべ、部屋から出て行く。
さわ子「次は、真鍋和ちゃん」
のどか、紬を一瞥すると、無言で出て行く。
澪「(小声で)なあ、律、ムギ」
律「何だ?」
澪「のどかって、信用できるのかな?」
律「何言ってんだよ。お前、のどかと同じクラスなんだろ?」
澪「そうだけど……。
のどかの奴、自分からルールを聞いたりして、
妙に乗り気だったじゃないか」
- 23. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:27:04.85 ID:kS0uPjPC0
- 律「そんなこと言ったら、ムギだって……」
律、意味ありげに紬を見る。
紬「わ、私が家族の話をしたのは、みんなを助けるためだったのよ。
もしも、私のお父さんやお祖父さんのことを理由に私がゲームを抜けられれば、
同じように頼んでみんなも助けてもらうつもりだったわ」
澪「……そう、だよな?」
律「……そう、だよ」
紬「本当なのよ……」
さわ子「次を呼んでいい? 琴吹紬ちゃん」
紬は泣きながら部屋を飛び出していく。
澪「律があんなこと言うから、泣かせちゃったじゃないか」
律「お前がのどかを疑ったからだろ。
あたしはみんなのことを信じてるぞ。
このゲームに乗る馬鹿な奴なんか、一人もいないって」
澪「さっきと言ってることが……」
さわ子「次、田井中律ちゃん」
澪「律。分かってると思うけど……」
- 25. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:32:23.82 ID:kS0uPjPC0
- 律「心配すんなって。ちゃんと出口で澪を待ってるからさ」
澪「うん。すぐに行くから、待っててくれよな」
律、澪に手を振りながら出て行く。
澪「(とうとう一人になっちゃった……。
みんな、待っててくれるかな……)」
さわ子「さて、残るは澪ちゃんだけね」
澪「もう出て行ってもいいですか?」
さわ子「まだ駄目よ。澪ちゃんに話しておきたいことがあって、
最後に残ってもらったの」
澪「やっぱり、くじ引きで決めたなんて嘘だったんですか。
それで、話って何ですか?」
―――――少し前に戻る。スタート地点の外。
梓「ついカッとなって、澪先輩にあんなこと言っちゃったけど、
やっぱり一人は心細いなあ……。
早く誰か出てこないかな……あっ、憂ちゃん」
- 27. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:35:36.59 ID:kS0uPjPC0
- 憂「あ、梓……」
梓「えーと、その……」
憂「もしかして、お姉ちゃんを待ってるの?」
梓「え? う、うん、そうなんだけど……。
(まあ、確かに、待ってた人の中には唯先輩も含まれるし)」
憂「信じられない……お姉ちゃんを待ち伏せするなんて」
梓「ちょ、ちょっと待って。何かおかしいよ。
待ち伏せしてたんじゃなくて、待ってただけで……」
憂「……行っちゃえ」
梓「え?」
憂「どっかへ行っちゃえ! 行け! 消えろ!
お姉ちゃんは殺させない! お姉ちゃんは私が守るの!」
梓「やめて! 鞄を振り回したら危ないってば!」
憂「うるさいうるさい! お姉ちゃんは私の大切なお姉ちゃんなの!」
憂が振り回した鞄の口から、金属切断用のノコギリが飛び出す。
憂はノコギリを掴むと、梓に向けた。
- 30. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:40:46.28 ID:kS0uPjPC0
- 梓は二、三歩退く。
梓「憂、どうしてこんなことするの……。
友達だと思ってたのに……」
憂「そうだね。梓は私の大切な友達だよ。
でも、大切な人っていうのには、順番があるの」
梓「順番?」
憂「そう、順番。優先順位。
ゆ・う・せ・ん・じ・ゅ・ん・いいいいいいいいいい」
梓「『ゅ』だけ発音するのって、無理があるんじゃない?」
憂「とにかく、私の中の順位では、梓はお姉ちゃんよりも下なの。
私は他の誰よりもお姉ちゃんを優先してる。
お姉ちゃんのためなら、世界中の人を敵に回したって構わない」
梓「狂ってる……」
憂「そうよ。私は狂っているの。
だから、一番大切なお姉ちゃんのためなら、
大切な梓を殺すことだってできる!」
憂、ノコギリを振り回す。梓は必死に避ける。
梓「やめてよ! 私は唯先輩を殺そうとなんてしてない!」
憂「黙れ黙れ! お姉ちゃん以外はみんな敵だ!」
- 39. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:48:36.86 ID:kS0uPjPC0
-
唯「ううー、迷子になっちゃったよぉ……。
この建物広すぎだよ。出口はどっちなんだろう……」
憂「(遠くから)お姉ちゃん?」
唯「あ、憂!?」
憂「お姉ちゃん、こっちだよ!」
唯、憂の声を頼りに進んでいく。
唯「憂!」
憂「お姉ちゃん!」
二人は満面の笑みを浮かべ、抱きしめ合う。
そして、唯は我に返ったように周囲を見回す。
唯「……あれ? あずにゃんは?」
憂「梓は、いなかったの」
唯「え!? いなかった!?」
憂「そうなの。私が出口から出たときは、誰もいなかったの」
- 42. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/11(金) 23:56:07.23 ID:kS0uPjPC0
- 唯「あずにゃん、トイレにでも行ってるのかな?
それとも、私みたいに迷子になっちゃたのかな?」
憂、真剣な表情で唯を見つめる。
憂「お姉ちゃん、よく聞いて」
唯「うー?」
憂「梓は、きっと、逃げちゃったんだと思う」
唯「逃げたって、どうして?
また、あの北朝鮮や韓国の怖い人達に会っちゃったの?」
憂「そうじゃないよ。
梓は、私達から逃げ出したんだよ」
唯「……ねえ、憂。言ってる意味が、よく分かんないよ」
憂「だから、梓は、私達に殺されるかもしれないと思って逃げたんだよ」
唯「そんなわけ……。だってあずにゃんは……」
憂「だから、お姉ちゃん、私達も早く逃げなきゃ」
唯「でも、澪ちゃんやりっちゃん達と、ここで待ってるって約束を……」
憂「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!
美緒さんや律さんだって、お姉ちゃんを殺そうとしてるかもしれないんだよ!」
- 46. ◆Vgr1TMEW9pTH 2009/09/12(土) 00:04:41.51 ID:HjolGcz20
- 唯「ねえ、憂。何言ってるの?
澪ちゃんやりっちゃんやムギちゃんやのどかちゃんが、
あずにゃんを殺そうとするわけないじゃない。
だって、みんな友達なんだから」
憂「お姉ちゃん、しっかりしてよ。
……じゃあ、今から、私が証拠を見せてあげるね」
唯「証拠?」
憂「そうだよ。誰も信じられないっていう証拠」
憂、ステージ衣装のそでを捲る。
真新しい切り傷があり、少し血が流れている。
唯「どうしたの、これ!? 大丈夫? 痛くない?」
唯は傷口を舐めようとする。
憂「いいよ、お姉ちゃん。
別のときだったら嬉しいけど、今はそんな場合じゃないから。
……この傷はね、梓がつけたの。私を殺そうとして」
唯「ひどいよ! あずにゃん、ひどい! (でも、あれ? さっきは、
建物から出たときには誰もいなかったって言ってたような気が……)」
憂「じゃあ、お姉ちゃん。こうしようよ。
遠くの茂みに二人で隠れて、これから出てくる人たちの様子を見ておくの。
信用できそうだったら話しかけて、信用で着なさそうだったら無視する。
これでいい?」
- 47. ◆Vgr1TMEW9pTH 2009/09/12(土) 00:10:18.49 ID:HjolGcz20
- 唯「……うん、分かった。
憂がどうしてもって言うなら……」
憂「じゃあ、早く隠れようよ」
憂、唯の手を引っ張って走り出す。
憂「(ふう、何とか上手くお姉ちゃんを説得できた。
お姉ちゃんがなかなか私の言うことを聞いてくれないから、
咄嗟にノコギリで自分の腕を傷つけた甲斐があったよ……。
傷は痛いけど、これからお姉ちゃんが体験する心の痛みに比べれば、
こんなの傷のうちに入らないよね。
うん、お姉ちゃんのためなら、これくらい我慢できる)」
唯「はぁ、はぁ……。これでいいかな?」
憂「駄目だよ、お姉ちゃん。ステージ衣装がはみ出してるよ。
もっとこっちに来て」
唯「こう?」
憂「違うよ。もっと私にくっ付いて……」
唯「あ、のどかちゃんが出てきた」
憂「(小声で)お姉ちゃん、声が大きいよ!」
- 48. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 00:19:23.32 ID:HjolGcz20
- のどかは、建物から出ると、誰もいないことに驚いた様子もなく、
唯たちが隠れているのとは違う方向へ全速力で走り出した。
のどかは近くの茂みに飛び込み、姿を消した。
唯「あれー? のどかちゃん、行っちゃったよ……」
憂「様子を見る暇もなかったね……。
(よし、とりあえず、これで二人はお姉ちゃんから引き離すことができた。
残るは、澪さんと律さんと紬さん……)」
紬「うっ、うっ、ひどいわ……。
私、本当に、みんなのことを助けようと思って言ったのに……。
できることならお家族のことなんて口にしたくなかったけど、
それでも、みんなのために、って思ったのに……。
でも、出口で唯ちゃんたちが待っててくれるわよね」
紬、無理に笑顔を作って建物から出る。
誰もいないことに気付き、無表情になる。
紬「ひどい……。ひどいひどいひどい。
どうしてみんな私を仲間外れにするの。
あんなにたくさんケーキや紅茶をあげたし、
別荘にだって何度も招待したのに。
やっぱりみんな本当は私のことを歩くクレジットカードくらいにしか思ってなかったんだ本当は友達なんかじゃなかったんだひどいひどいひどいひどいひどいひどい許せない」
- 50. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 00:27:02.44 ID:HjolGcz20
- 和「……琴吹さん」
のどかが、茂みから顔を出す。
紬は驚いたような表情を浮かべた後、笑顔になる。
紬「のどかちゃん! 待っててくれたのね!
あなたは本当の親友だわ!
……でも、どうして『琴吹さん』なんて他人行儀な言い方するの?」
和「私、あなたに謝らないといけないことがあるの」
唯「ねえねえ憂! ほら見てよ!
のどかちゃんは逃げてなんかいなかったんだよ!
ムギちゃんだって! あの二人は信用できるでしょ!?」
憂「そ、そうだね。
(これは予想していなかった……。
てっきり、のどかさんは紬さんのことが嫌いだと思ってたのに)」
紬「(遠くから)嫌あああああああっ!」
唯「ええっ!? ムギちゃんが悲鳴を上げてる!
助けに行かなきゃ!」
憂「違うよお姉ちゃん、よく見て!
襲っているのはのどかさんじゃなくて紬さんの方だよ!」
- 52. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 00:36:48.19 ID:HjolGcz20
- 紬「嫌あああああああああああああっ!
そんなの嘘よおおおおおおおおおおおおっ!」
紬は鞄から出したマシンガンの引き金を引いた。
のどかの身体に無数の穴が開く。
きちんと銃を構えていなかった紬は、反動で後ろに吹っ飛ぶ。
建物の柱に頭をぶつける。
その直後、のどかの身体から噴き出した返り血が紬に降りかかった。
血を浴びてますます半狂乱になった紬は、
不自然な体勢のまま銃を乱射する。
のどかの身体が、岸に上がった魚のように跳ねる。
銃声が消えると、のどかはぴくりとも動かなくなった。
紬「あっ……あっ……」
紬、自分の血まみれの身体を見下ろす。
目から大粒の涙が溢れた。
紬「違う……私が悪いんじゃない……。私は悪くない……。
私はただ、友達が欲しかっただけだったのに……」
紬はうつろな表情で呟きながら、
自分の荷物と、のどかの荷物を拾い上げる。
夢遊病者のような足取りで、血をしたたらせながら歩き始めた。
――――十三時二十四分、真鍋和死亡。
- 56. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 00:44:34.94 ID:HjolGcz20
-
唯「ふがががががががっ!」
憂が唯の口を手で押さえている。
憂「(小声で)お姉ちゃん、静かにして!」
唯「あっえあっえ、おおああんあおおあえあ!
(だってだって、のどかちゃんが殺された!)」
憂「分かってるよ、お姉ちゃん。
だから静かにしてって言ってるの。ほら、見て。
紬さんがこっちにやってくるよ。早く逃げなきゃ!」
唯「いえう?(逃げる?)」
憂「そう。すぐに逃げるの。
私達の持ってる武器じゃ、紬さんに太刀打ちできないから」
唯が小さく泣き出したのを見て、唯は耳元で囁く。
憂「少し落ち着いた? 手を離すけど、叫ばないでね」
唯が頷くと、憂は唯を自由にした。
唯「でも、澪ちゃんやりっちゃんと、待ち合わせの約束をしてたのに」
- 60. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 00:56:10.22 ID:HjolGcz20
- 憂「お姉ちゃん、しっかりしてよ! もうそれどころじゃないでしょ!
どうせ、澪さんや律さんにだって、銃声は聞こえてるよ。
誰かが殺し合う音を聞いた二人が、今さら仲間になってくれるわけないじゃない」
唯「そんな……」
憂「でも、安心して。
私だけは――世界中で私だけは、お姉ちゃんの味方だから」
唯「憂……」
憂は唯を説得した後、振り返った。
紬は、真っ直ぐにこちらへ向かってくる。
銃を構えてはいないが、いつでも攻撃できるように持っている。
唯一の救いは、血を浴びたせいで服が身体にまとわりつき、
歩くスピードが遅いことだけだった。
憂「(どうしよう……。
やっぱり、お姉ちゃんが大声を出すから気付かれちゃったのかな……。
逃げ切れないかもしれない。
そのときは、私がお姉ちゃんの盾になろう。
私は、どんなことをしてでもお姉ちゃんを守ってみせる)」
律「(遠くから)何だよこれ! ムギ、何をしたんだよ!」
紬、振り返り、律の方を向く。
憂「(律先輩が馬鹿なせいで助かった……。
さあ、今度こそ、早くお姉ちゃんと逃げよう)」
- 66. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 01:07:57.80 ID:HjolGcz20
- 紬「りっちゃん……」
律「お前、のどかを殺したのか!?」
紬「違う……。違うの」
律「何が違うんだよ! そのマシンガンで撃ったんだろ!?」
紬「私はただ、友達が欲しかっただけなの」
律「はあ? 何言ってるんだ?」
紬「私はただ、友達が欲しかっただけなの。私はただ、友達が欲しかっただけなの。
私はただ、友達が欲しかっただけなの。私はただ、友達が欲しかっただけなの。
私はただ、友達が欲しかっただけなの。私はただ、友達が欲しかっただけなの」
律「お前、大丈夫か?」
急に紬の表情が変わる。
紬「――あのぉ、見学したいんですけどぉ」
律「はぁ?」
紬「いえ、合唱部の。……あの、合唱部の。……うふっ、うふふふふ。うふふふふ。
何だか楽しそうですね。キーボードくらいしかできませんけど、
私でよければ、入部させてください」
律「(こいつ……私達が初めて出会ったときのことを思い出してるのか!
今、この状況で!)」
- 79. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/12(土) 01:23:00.08 ID:HjolGcz20
- 紬「私、本当は合唱部に入るつもりだった。
軽音部じゃなくて合唱部に入っていれば、
こんな殺し合いゲームに参加させられることもなかった。
他の人たちだってそうでしょ?
澪ちゃんだって唯ちゃんだって梓ちゃんだって、
みーんなあなたが軽音部に引き摺りこんだのよ」
律「確かに……確かに、少しは強引な勧誘もしたかもしれないけど、
みんなだって、軽音部に入って楽しかっただろ!?」
紬「ええ、楽しかったわよ。軽音部に入ってよかった。
私、友達が欲しかったから。
りっちゃんや澪ちゃんと、友達になりたかったから。
友達だったから。
友達になれたと思ったから。
友達だと思ってたから。
だからこそ! だからこそ、許せないことだってあるの!」
律「何言ってるのか全然分からないよ……」
紬「もういいわ。言っても分からないと思うから」
紬は律にマシンガンを向けた。
そのときだった。
建物の窓ガラスが割れた。
澪が飛び出してきたのだ。
澪は割れたガラスの破片を素手で掴み、紬に投げた。
紬はガラスが割れた音に驚き、その方向を見る。
それは、紬にとって最悪のタイミングだった。
最終更新:2009年09月12日 18:28