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A WAYS AWAY

学校。
一階の教室に、四人の男女がいた。
四人――死神舞凪山本良勝額賀甲子太郎、そして、河田遥
放送の時刻も迫っており、また、ずっと森の中を歩き疲労していたため、見つけたこの学校で休息を取る事にしたのだ。
教室では無く保健室で休息を取ろうとしたが叶わなかった。
保健室には一人の青年の遺体が安置されていたからだ。
頭を鈍器か何かで割られた、かなり酷い有様の死体だった。
四人ともこの殺し合いでの犠牲者を目の当たりにするのは初めてで心が痛んだ、が、
流石に遺体の安置された部屋で休息する気にはなれないので今いる教室にやってきた。
また、戦闘が行われた形跡も、誰かがいた形跡もあったが、校内をざっと見回り、誰もいない事を確認した。

(丹羽君、現在生存……)

――丹羽君は、まだ生きているのか。

放送で、捜し人、丹羽雄二の名前が呼ばれない事を、遥は願う。



~数時間前~



「河田、遥さん」

舞凪は、遥の顔を見下ろせる位置に座り、彼女に語り掛ける。

「……」
「私は、死神舞凪、と言います」
「……」
「色々、誤魔化しても仕方がないと思うので、言います。
……あなたは、この殺し合いの中で、大切な人を捜しているんですね」
「……っ?」

遥の目が驚きのあまり見開かれた。
自分は、この小さな少女――舞凪はおろか、後ろで様子を見ている老人二人にも、まだ自分の名前しか述べていない筈なのに。
確かに自分は捜し人がいる、だが、それはまだ舞凪は知らない筈だ。

「何故、其知」
「なぜ、それを知っているか……私は、人の心が読めるんです。
比喩でも何でも無く、文字通りの意味で。
信じてくれなくても良いですけど……」

人の心が読める。
この子は超能力者だとでも言うのだろうか。
普通なら簡単に信じる事は出来無いだろうが、死んだ筈の丹羽雄二が生き返っていると言う、
非現実的な事が起きている現況を思えば、舞凪の言う事も有り得ない事では無いと、遥は思う。

「……信」
「ありがとうございます」
「……確、私捜人居、名前、丹羽雄二」
「丹羽雄二、ですか」

遥の言った名前は確かに名簿に載っていた、と、舞凪は思い出す。

「あなたにとって、とても大事な人なんですね、きっと」
「……」

静かに、遥は頷いた。
そして、一呼吸間を置いてから、舞凪が核心を突く事を切り出す。

「そして、あなたはその人のためなら、自分の手を汚すのも構わないと思っている」
「……!」
「その人のために、殺し合う事も厭わない……そう考えていたのではないですか?」

背後で様子を見ていた甲子太郎と良勝の二人が若干、顔色を変える。
遥本人も少し険しい表情に変化する。
心を読める、と言うのはここまでの事なのか、と。

「……其」
「……でも、最初からそう考えていた訳では無いのでしょう」
「……」
「あなたが、そう言う考えに至ってしまうような事を、あなたに言った人がいるのではないですか?」
「……っ……」

まだ自分が心の奥底に留めている筈の事実が、この子には本当に見えているようだ、と、
遥は改めて実感し、僅かながら恐怖を覚えた。
心を読まれると言う事がこうも心地の悪い事だとは。
舞凪は遥が明らかに動揺しているのを見逃さず、また、辛くなっているのも分かっていたが、話を続けた。

「いるんですね」
「……貴方、本当、心読可能至」
「ええ、余り有り難く無い能力ですけど……」
「……確、私対『助言』行人、居、名前、阿見音弘之
「阿見音、弘之……」
「阿見音弘之、私対、言」


「丹羽雄二という人物が大切なら、守った方が良い。
それこそ――――"何を犠牲にしても"守り通すくらいの覚悟を持つといい。
貴女が最悪の方法を執ったとしても、きっと丹羽君は《憎まない》」


いきなり遥の喋り方が普通のそれに変わり、舞凪と後ろの二人は面食らった。

「……阿見音弘之、私対言、言葉」

しかしすぐに元の喋り方に戻る。
気を取り直して舞凪は話を続けた。

「それで、あなたはその『阿見音弘之』と言う人と……別れた後、どうすれば良いか迷いながら歩いていた」
「……其途中、青髪少年私襲撃被、気絶……意識取戻、此処居」
「あなたを助けたのは私の後ろにいる額賀さんですよ、ここまであなたを背負ってきて、
先程、私と山本さんも額賀さんに助けられました」
「了……」
「……それで、河田さん、意識を失っている時、あなたは」
「悪夢、見」

遥は、意識を失っていた時に見ていた悪夢の事を思い返す。
その悪夢の中、彼女は自分が行き着く「末路」の一つを垣間見た。
血塗れになり、殺しを楽しむようになった自分が見えたのだ。
もはやそこに「丹羽雄二のため」などと言う意思は存在しないように見えた。
だが、このままだと自分はその末路に向かっていくのではないか。

「河田さん」

そして、遥がどのような経緯を辿ってきたかおおよそ理解した舞凪が、諭し始めた。

「……」
「恐らくあなた自身が一番分かっているかもしれませんが……。
阿見音弘之なる人の『助言』を信じた末に待つ結果は、あなたの見た悪夢です」
「……」
「あなたの捜す『丹羽雄二』と言う方があなたの思う通りの人ならば、
……赤の他人の私がとやかく言うのも図々しいでしょうけど……。
あなたが手を汚すような真似は、喜ばないと……思うんです。
誰かのために、何かを犠牲にする。誰かのために最悪な方法を執る。
例え、丹羽さんが憎まなかったとしたって、そんな方法が最善な訳が無いじゃないですか」
「……」
「阿見音と言う人が、どのような意図で、河田さんにそうアドバイスしたのかは分かりません。
ですが、私から言わせれば、そのアドバイスは間違っています」

少々一方的で頭ごなしかもしれない、と心の中で舞凪は思っていた。
相手は手錠で拘束され自由が利かない状態なのだから。
しかし、舞凪は説得の名人では無いので、こういう話し方以外には思い付かなかった。

「……」

遥は無言で舞凪の話を聞き、考える。
今は、大分精神も落ち着いてきた、ように思えた。

――――そうだ。
丹羽雄二と言う人間が、殺しを望む筈が無い。
自分が丹羽雄二のために他人を殺した所で、彼が救われる訳でも無ければ、喜ぶ筈も無い。
憎まなかったとしても、だ。
そんな事、考えればすぐに分かった筈ではないか。
なぜ、自分はあそこまで悩んでいたのだろう。
「阿見音弘之」と言う、この殺し合いの中で初めて会った男の言にどうしてあそこまで囚われていたのか。
殺し合いを一度経験し、自分の心は、自分自身が思う以上に弱くなっていたのか。

「……河田さん?」
「……死神氏」
「はい」
「……貴方、言通」

遥は、舞凪の目を見ながら、僅かに力強くなった口調で言う。





「丹羽君、殺合、望無」

――丹羽君は、殺し合いなんて望まない。

「私、他人殺害成事、絶対望無、私思」

――私が他人を殺す事も、絶対に望んでないと思う。

「私、丹羽君、捜出望、而、守望」

――私は丹羽君を捜し出したい、そして守りたい。

「然、殺合真似、絶対不可成」

――でも、殺し合うような真似は、絶対にしたくはない。

「私、不迷」

――私はもう迷わない。




「……」

遥が嘘を言っていない事は、舞凪にはすぐに分かった。
遥の心の中と、口から出た言葉は一致していたから。

(救う、何て言うとちょっと大げさかもしれないけど、河田さんを助ける事は、出来た、かな……?)

どうやら、自分の行動は徒労には終わらなかったようだと、舞凪は安堵した。
そして、後ろにいる良勝と甲子太郎の方に歩み寄る。

「……少し、河田さんと話しをしていました。すみません、お待たせしてしまって」
「い、いや……大丈夫じゃけど」
「……死神君、君の目的は果たせたのかね?」
「……はい」

程無くして河田遥は拘束から解放される。
そして、良勝と甲子太郎、舞凪に、改めて事情を話した。
自分が以前にも殺し合いをし、図らずも優勝を遂げた事。
自分が捜す丹羽雄二と言う人間はその殺し合いにおいて出会った存在であり、その殺し合いで死んだ筈の人間だと言う事。
丹羽雄二を捜している時、阿見音弘之なる男に遭遇し「アドバイス」を貰った事。
その「アドバイス」を受け、思い悩んでいた時に、青髪の少年に襲われ気絶し、甲子太郎に助けられた事。
たった今、舞凪が自分の悩みや迷いを打ち消してくれた事。

「……河田ちゃんも、殺し合いを経験しとるのか」
「……?」
「わしも、舞凪ちゃんも、一度殺し合いをしとるんじゃよ。それで、わしも舞凪ちゃんも、一度は死んでいる。
舞凪ちゃんは、一度ではないようじゃが……」
「……!」
「わしも、一度殺し合いで死んでいる」
「えっ、額賀さんもですか?」
「わしら、全員一度は殺し合いやっているのか……」

ここにいる四人全員が、一度は殺し合いをしていると言う事実が明らかになった。

「河田君、君はこれからどうするのだね?」
「……丹羽君、捜出」

遥の丹羽雄二を捜したいと言う気持ち自体は今でも変わらない。
だが、彼のために殺人を犯すと言う思考は今ではもう無かった。

「一人では何かと危険です。もし良ければ……私達と一緒に行きませんか?」

舞凪が遥に提案する。
良勝も甲子太郎も舞凪の提案には賛成しているようだった。

「……良?」

――良いのですか?

「拒絶する理由は、もう何もありませんよ」
「そうじゃ、女の子一人きりじゃ絶対危ないぞ」
「君の『迷い』はもう無くなったのじゃろう?」
「……有難御」

――ありがとうございます。

河田遥は、舞凪達と行動を共にする事と相成った。



~現在~



放送の時刻は刻一刻と迫る。
放送では、死者の名前が呼ばれる。
最初の六時間で、何人の死者が出ているのか四人は気になっていた。
特に、山本良勝、額賀甲子太郎、河田遥はこの殺し合いに知り合い、捜し人がいる。
それらの人の名前が呼ばれない事を祈っていた。

太陽は空高く上がっていた。



【F-5/学校一階教室/一日目/昼】

【山本良勝@俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:後頭部にダメージ(小)
[服装]:特筆事項無し
[装備]:メイス
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(1~2)
[思考]
基本:殺し合いからの脱出。
1:放送を待つ。
2:舞凪ちゃん、額賀さんたちと行動。
3:大崎さんと合流する。
[備考]
※俺オリロワ死亡後からの参戦です。
※死神舞凪の能力をおおよそ把握しました。

【死神舞凪@サイキッカーバトルロワイアル】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(中)、数か所の打撲(処置済)
[服装]:砂埃で汚れている
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:《天使》としてこの殺し合いをハッピーエンドで終わらせる。
1:山本さんたちと行動
2:放送を待つ。
[備考]
※サイキッカーロワ本編開始直後からの参戦です。
※阿見音弘之を警戒しています。

【額賀甲子太郎@俺のオリキャラでバトルロワイアル2nd】
[状態]:健康
[服装]:特筆事項無し
[装備]:木刀
[道具]:基本支給品一式、15人前の冷やし中華@需要無し3rd、包丁
[思考]
基本:殺し合う気は無い。脱出を目指したい。
1:放送を待つ。
2:山本さんたちと行動。
3:佐々木竜也には注意する。
[備考]
※俺のオリキャラでバトルロワイアル2nd死亡後からの参加です。
※緑川美沙子、相川友の容姿を記憶しましたが、名前は分かっていません。
※死神舞凪の能力をおおよそ把握しました。

【河田遥@DOLオリジナルキャラバトルロワイアル】
[状態]:疲労(大)、左肩に刺し傷(処置済)、精神的疲労(中)
[服装]:特筆事項無し
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(2)、手錠
[思考・行動]
基本:丹羽君、捜索。 殺合、不可。
1:死神氏達、共行動。
2:阿見音弘之、警戒。
[備考]
※DOLオリジナルキャラバトルロワイアル、優勝直後からの参加です。
※大分精神は安定しましたが精神的な疲労は若干残っています。
※阿見音弘之を警戒しています。
※死神舞凪の能力をおおよそ把握しました。


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052:犯物語~しかみアリス~ 山本良勝 :[[]]
052:犯物語~しかみアリス~ 死神舞凪 :[[]]
052:犯物語~しかみアリス~ 額賀甲子太郎 :[[]]
052:犯物語~しかみアリス~ 河田遥 :[[]]

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最終更新:2013年01月01日 11:33