これは、一歩を踏み出した者と、一歩を踏み出すことができない者の物語である。
将来に確かな展望もなく、希望もない。やり直したい過去を後悔し、波乱の現在を進む覚悟を完了した者と、未だそうなれない者──そんな彼らについての奇譚である。
一歩を踏み出したのは、闇の水底へと沈んでいった姉妹の為に、希望を掴まんとする少女。
一歩を踏み出すことができないのは、光の旋風と共に怒涛の戦いへと命をかけた仲間たちに付いて行けなかった自分に絶望する青年。
彼らが足掻いた先に何があるかは、分からない。もしかすれば、一歩を踏み出した先は崖っぷち、という事もあり得るのだ。
はっきりしていることはただ一つ、彼らが立ち、戦い、踊る舞台は実に虚飾に塗れたものであり、一切信用ならないということだけ。
確かに頼れるものはなく、一瞬先の未来さえあやふやな中、曖昧な希望を目指す戦い──そう、つまり。
これは、単なる普通のごくごく一般的な、なんて事はないよくある戦争の話である。
◆◇◆◇◆◇◆◇
どうしてこんな場所に来たのだろう――と。
学園の校門を目の前に、
パンナコッタ・フーゴは自分の行動に呆れていた。
門は固く閉ざされており、鍵も掛けられている。現在時刻は真夜中なのだから当然だ。
つい数時間ほど前、聖杯戦争の監督役(ルーラー)の使いっ走りを名乗る者――モノクマからホログラムを通じた連絡を受けた。
不気味な熊のぬいぐるみのようなそれが告げたのは、これまで聖杯戦争に対するスタンスに悩み迷う生活を送っていたフーゴに対して、聖杯戦争が本番へと突入するという現実を、否応なしに突き付ける情報であった。
そんなものを見て、心中穏やかでいられるフーゴではない。しばらくは自宅で悶々と過ごしていたが、それでも気が晴れず、気分転換にと少しばかり散歩をすることに決め、気が付けば、まるで引力で引き寄せられたかのように学園の前に着いていた、というわけだ。
「まさか、この世界における僕の日常の象徴とも言える学園に着くことを、僕は無意識の内に望んでいたのか?」
まさかそんなわけ――と、続けて吐き捨てつつも、それを完全には否定できない自分がいる事が心底嫌になるフーゴであった。そもそも散歩をした理由からして現実逃避のようなものである。ならば、彼の心が、日常の象徴という『戦争』とは真逆の場所を求めるのも無理のない話なのだ。
溜息を吐きつつ、フーゴは門に背を向け、凭れ掛った。あまり手入れがされてないらしくキィと錆びついた音が響く。
季節の変わり目を感じさせる夜風を頬に受けつつ顔を上げ、視線を上に向ける。そこにはまるで天の神々が描いたかの如く美しく神秘的な夜空が広がっていた。これが、これから戦争の騒乱に塗れていく運命にある街の夜空とは、とてもではないが信じられない。フーゴの心中で渦巻くネガティヴな感情も、この絶景を見上げれば、少しは晴れそうであった。少し、だが。
フーゴのすぐ傍には、騎士のセイバー、
ランスロットが仕えていた。
月光を受けて光り輝く白銀の鎧は目に眩しい。その上にある整った顔面が放つ美の輝きは、それ以上だ。しかし、その表情には、輝く星空の元に居るとは思えないほどに、暗い翳りが見える。その翳りですら端整な顔立ちに魅力を加える要素となるのだから、全く、美男子というのは得なものであった。
翳りの原因は、マスターであるフーゴが今になっても明確なスタンスを持たないから――ではない。元よりランスロットは己が主が悩み迷うことに、自分がとやかく言うべきではないと一線を引いている。
湖の騎士の美貌に見える翳りは、先ほど『モノクマ』と名乗る監督役(ルーラー)の使いっ走りが出した討伐令に原因があった。
討伐令の対象になった二組と一人を見て、ランスロットが抱いた感情は二つ。
一つは驚き、そしてもう一つは『何故この者たちが討伐令の対象になるのか』という疑問であった。
正義を愛し、邪悪を憎む清廉にして浪漫に溢れた理想の騎士たるランスロットであれば、相手の悪性程度、姿かたちを一目見るだけで分かる。
けれども、彼は討伐令の写真を見た瞬間悟ったのだ――『彼らは討伐されるような悪の者ではない』、と。それどころか、討伐令の対象者たちの姿から、善の輝きさえ感じられたのだ。
そんな人物たちを討伐対象者にするルーラーは、実にキナ臭い。信用に欠けるというものである。
こんなルーラーの元でマトモな聖杯戦争など行えるのか。そもそも勝ち進んだ先に本当に聖杯はあるのか?
(この聖杯戦争は、何かがおかしい――)
元より、昭和という舞台にその未来に生きるマスターが呼ばれている時点で今回の聖杯戦争かマトモなわけがないのだが。
ともあれ、そこまで考えて、ルーラーどころか聖杯戦争全体に不信感を抱いたランスロットは、それまで張っていた警戒の思いをますます強めた──本来の聖杯戦争ならば参加者の頼りとなる存在であるはずのルーラーからして怪しいのだから、当然の行動である。
今の彼にとってはルーラー──どころか、それが用意した舞台であろう昭和の冬木の街ですら簡単には信用できないのだ。
そんな風に思考を外に向けたからだろうか──ランスロットは、ある気配を感じ取った。
「この気配は──」
騎士が感じ取った気配は、人の形をした魔力の集合体、超常の力を感じさせる霊基──それ即ち。
「──サーヴァント……!」
その言葉を聞いたフーゴは目を見開き、ランスロットの方に顔を向けた。
「いるのか、セイバー」
「はい」
肯定の言葉と共に頷くランスロット。
気晴らしの散歩に出た先で他のサーヴァントと遭遇するとは、フーゴは運のない男であった──否。
運命から逃れられない男、と言うべきだろうか。
戦いの運命。それは聖杯戦争の参加者ならば、誰もが背負うものである。未だに聖杯戦争に対するスタンスを決められていないフーゴでさえも、それの例外ではない。
ランスロットはサーヴァントの気配のする方向──学園の門を越えた先、グラウンドの方へと視線を向ける。
其処の中央には、橙色の炎がぽつんと空中に揺らめいていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
フーゴは、セイバーと共に校門を飛び越え、敷地内に侵入し、炎の元に近づいていた。
逃げようかとも一瞬考えたが、その考えはすぐさま棄てた。今ここで逃げた所で、そこを追われれば意味がないからである。
夜の学園のグラウンドは当然ながら無人であった。日が出ている間は体育や部活動の生徒達でさぞかし賑っているであろうこの場所も、深夜の今ではがらんと物寂しい雰囲気となっている。
其処に、一人の男が立っていた。
オレンジのテンガロンハットという実に目立つ被り物をしている彼は、しかし、上半身に布一枚たりとも纏ってない。半裸である。もう少し近づくと、彼の頬にそばかすがあるのが目に見えた。見た目からして、歳は二十を超えるかどうかといったところか。
フーゴの視界には『ライダー』という単語を始めに、いくつかのステータス情報が現れる。それが目の前の青年に関するものである事は、言うまでもあるまい。フーゴは視認したライダーの情報を、ランスロットに念話で伝えた。
テンガロンハットのライダー──エースの手元にはフーゴたちを招き寄せた橙色の炎があった。ライターや松明で点けている──のではない。
エースは己の掌から炎を出していた。いや、正確に言えば、掌の一部そのものが炎と化している。何らかの超能力であろうか。スタンド使いとして数多の『奇妙』を目にして来たフーゴであっても驚くほどの超常が、其処にはあった。
「よォ、来てくれたかい」
炎が照らす範囲内にフーゴたちが入った時、エースは口を開いた。何処か愉快げな口調である。
実際、現在の彼の感情は快か不快かで言えば前者であった。何かと退屈な昭和の時代で、ようやく面白そうな相手を見つけられたのだ。仕方のない事である。
「こんなあからさまに誘ったら、てっきり逃げられると思ったが……。そうはならなくてありがたいぜ。追う手間が省けたからな」
笑うエース。その表情から放たれる雰囲気からは、とてもではないが敵意や殺意は感じられない。寧ろ、友好的な感情さえ感じられる。フーゴは、ライダーが纏う穏やかなオーラに、波一つ立たぬ海面の風景を連想した。
しかし、だからと言って気を抜くランスロットとフーゴではない。
目の前のライダーが、ほんの一瞬後には自分たちに刃を向けられる者──戦士である事を、ランスロットは騎士としての直感で、フーゴは元ギャングとしての観察眼で見抜いていた。
明らかな異能。穏やかさの中に潜む凄味──フーゴとランスロットは確信した。
ライダーが手強いサーヴァントである事を。
(ついにこの時が来てしまったか──)
と、フーゴは思った。
自分が聖杯戦争への答えを得る前に、強敵が現れる──前々から心の何処かで危惧していた事。
それが実際に起きてみると──怖い。
恐ろしい。
ギャングとして、一般人では恐怖のあまり失禁してしまうであろう体験も数えきれないほどに経験してきたフーゴですら、現在の状況には恐怖を覚えていた。
やっぱり逃げていれば良かったのかもしれない──と、今更になって後悔しそうになる。そんな思考から、ますます自己嫌悪が進むフーゴであった。
(元を辿れば、あの時逃げた事を後悔して、僕は今ここに居るんじゃあないか。だったら、ここでもまた逃げてどうするんだ)
必死に己に言い聞かせ、震えそうになる膝を抑えるフーゴ。
彼は一度深く息を吸い、ゆっくりと吐いて、そして言う。
「消してくれないか」
「ん?」
「その炎を消して欲しい。どういう理屈で体が炎になってるかは分からないけど、点けられるなら消すことも可能だろう? 手元に炎という『武器』がある相手と、マトモな話し合いなんて出来るはずがない」
実に落ち着いた声であった。ディベートにて推奨されるのは、このような喋り方なのだろう。
自分の感情を相手に悟らせず、かつワンクッションを挟み、会話の流れを話し合いに持って行こうとする──現時点でフーゴが出せる最良の言葉であった。
けれども、ここまで来てまさか話し合いに持っていけると思っているほど、フーゴはアマちゃんではない。だが、ここで敢えてその話を出す事で、相手の戦闘意欲を少しでも削ぐ事が出来れば万々歳、という考えが彼にはあった。
エースはフーゴの要求を無視した。
聞こえなかった──わけではあるまい。彼はフーゴの言葉を聞いてなお、炎という『武器』を仕舞わなかったのだ。
その行動が意味する事──それはつまり。
「どうやら、戦いは避けられないようだな」
ここで、ランスロットはフーゴよりも一歩前へと踏み出した。己の主人を守る盾となるような立ち位置である。
彼は残念そうに言いつつ、剣を抜く。月光を受けたアロンダイトは、澄んだ湖の水面のように光り輝いていた。
完璧な騎士たる彼の瞳に迷いはない。マスターに害を為そうとする敵は全て斬り伏せる。ただそれだけであった。
「プハハハ、そういう事だ」
その科白と同時に、エースは拳を構える。彼の拳に灯った炎は、熱量を上げた。まるで、彼の戦意を象徴しているかのようであった。
湖光と炎光が、夜闇の中で対峙する。その空間だけ昼間になっているのでは、と錯覚する程の眩しさであった。
「おれのマスターは聖杯を望んでいるんでね。その為には、おまえたちにここで斃れて貰わなくてはならん」
構えを崩さぬまま、火拳のエースは一歩距離を詰める。
「そうか──」
同じくランスロットも更に一歩前へ出た。両者の距離が二歩分縮まる。
場の空気は先程のそれからは一変し、剣呑極まるものと化していた。対峙する二名の戦士を前に、フーゴは思わず後退っていた。それは、これから始まる戦いでセイバーの邪魔にならないように、という配慮故の行動か、それとも、生物的な本能で命の危険を察知したからか。
「──生憎、手加減出来るほどの器用さはない。覚悟しろ、ライダー」
ランスロットが宣戦布告の言葉を投げ掛ける。その瞬間だった──場の緊張が最高潮に達したのは。
開始のゴングが鳴り響くまでもなく、それは戦闘開始の合図であった。
エースとランスロット、両者は完全に同じタイミングで動き出す──が。
「!」
ここで、ランスロットより後方五メートル程の地点まで退がっていたフーゴは驚愕した。動き出したランスロットが走り向かったのは、敵対者ではなく、フーゴがいる方向だったからだ。
「セイバー!? いったい──」
何をしているんだ──と。
そう続けようとしたフーゴであったが、その言葉は右方から響いて来た轟音によって掻き消された。
ドォン! という、まるで花火を打ち上げた時に鳴り響くような音である。
音に釣られ、フーゴはそれが鳴った方向へと目を向ける。
砲弾だ──野球ボールくらいのサイズの砲弾が、フーゴ目掛けて高速で迫っていた。
「何ィーッ!?」
何故ここで砲弾が飛んで来るんだ。まさかあのライダーの能力なのか。
そんな思考を一瞬の内に巡らせるフーゴだが、先程エースが口にしていた言葉を思い出し、答えに行き着いた。
『おれのマスターは聖杯を望んでいるんでね』
あのテンガロンハットのライダーには当然ながらマスターが居る。それも、聖杯を求めているマスターだ。そして、もしもそのマスターに戦える能力があれば、こうしてライダーとセイバーが戦おうとしている間に、無防備なフーゴを不意打ち気味に攻撃する事は十分にあり得る話なのではないのだろうか──こんな風に。
あわや、フーゴは砲弾に撃ち抜かれ、彼の聖杯戦争は始まらないまま終わりを迎える──のかと思われたが、円卓最強の騎士であるランスロットが付いていながらそんな結末はありえない。
ランスロットはほんの一呼吸する間にフーゴと砲弾の間に割り込むようにして躍り出て、フーゴの命を喰らわんと迫る凶弾目掛けて剣の側面を真正面から叩きつけた。宛ら、ベースボールのバッターのようである。
側面から砲弾を受けても、アロンダイトは『無毀なる湖光』の名に相応しく刃毀れ一つしなかった。打ち返された砲弾はランスロットたちから十メートル離れた地点に鋭い角度で着弾。次の瞬間には爆発し、黒煙を上げた。
これら一連の行動を、ランスロットはアロンダイトを握った右手だけでやってのけた。
では、もう片方の左手では何をしていたのか?──エースの攻撃を受け止める為に使っていた。
ランスロットがこれまでの行動をしている間、エースはただ棒立ちしていたわけではない。湖の騎士が見せた隙を目掛けて、飛び蹴りを放っていたのである。
「くっ──!」
歯を食いしばるランスロット。『メラメラの実』の炎によって上昇したエースの推進力は、最強の騎士であっても、受け止めるのが簡単ではないものとなっていた──否。
最強の騎士であるランスロットだからこそ、片手でも何とか持ち堪える事が出来たと言うべきか。
(その気になれば辺り一帯に炎を撒けるであろうライダーを、ここに留めて置くのはまずかろう)
すぐそばに居るマスターを視認しつつ、そう判断したランスロットは、自分の脚力にエースの推進力を足した勢いで、グラウンドの端までわざと吹っ飛んで行った。当然、足を受け止めている左手は離さない為、エースも引っ張られる形で吹っ飛ばされて行く。
砲撃手がいる中、マスターを一人残すのが気掛かりであったが、炎を扱うライダーに比べれば、砲撃という物理的な攻撃手段を使ってくる相手は危険度が低い。スタンドという超常の能力を持つフーゴならば、不意打ちでも受けない限り大丈夫だろう──そこまで考えたが故の行動であった。
ランスロットたちが動き出してから、ここまでにかかった時間、五秒弱。
流星のような勢いで彼方に飛んで行ったランスロット達を目で追うフーゴ。しかし次の瞬間、彼の視線は別の方角に移される──先ほど弾丸が飛んで来た方向だ。
視線の先──グラウンド端の茂みの中からは、煙が上がっていた。砲弾を撃った際に生じたものだろう。そこに、先程の砲撃を放った何者かがいる事は間違いない。
茂みの中から、ガサガサと音を立てながら人影が現れた。砲撃手の登場に、フーゴは身構える。
人影の正体は、少女──白い少女だった。
その肌は、服は、髪は、透き通るように白い。まるで、純度の高い石英で作り上げた彫刻のようだ。夜闇の黒の中で、その白さは尚更際立っていた。
砲撃という破壊力極まる攻撃をして来た者の正体が、こんな人物だった事を、フーゴは意外に思った。
そして、それと同時に。
(こんな幼い女の子でも、聖杯に託したい願いがあるのか──その代償に殺し合いに身を投じても構わないと思える程の願いが)
とも考える。
白い少女の瞳──其処に宿る意思に、フーゴは見覚えがあった。
その意思の名は、覚悟。あの時ボスを裏切り、ボートに乗って行ったブチャラティ達全員の目にあったものである。
かつての仲間達と似た意思を持つ少女を目の前に、フーゴの喉は「くっ……」という声を漏らした。『どうして今ここで、こんな目をした人と会ってしまうんだ』──とでも言いたげな声である。
少女──ヴェールヌイの腰と背中の周りには、戦艦の艦砲のような物体が装備されていた。少女が装備するには重たげなそれが、先程の砲弾を放ったものであるのは、間違いなかろう。
「блин……」
ヴェールヌイが呟いたその言葉が、ロシア語で『くそっ』『しまった』を意味するものであると理解出来たのは、フーゴが幼少期から英才教育を受けていた神童であるが故に、語学への造詣が深かったからに他ならない。
(不意打ちは最初の一発で勝負を決められなければ意味がない。だから、彼女はここで茂みに隠れるのをやめて、ぼくの前に姿を現したんだろう)
そんな推察をするフーゴ。彼の考えは当たっていた。
そして、フーゴはヴェールヌイが次に何をするかについても、大凡のアタリを付けていた。
(不意打ちは、最良のタイミングに最低限の力で相手を斃す方法だ。ならば、次に彼女がやるとすれば──)
持っている力を隠さずに、正面からぶつける──だろう。
ヴェールヌイの腰回りの艦砲のような形をした艦装が金属的な音を立てながら動き始める。砲口は、フーゴに照準を合わせようとしていた。
「ぐ……うぅぅぅぅ……」
奥歯を噛み締めて、呻き声を漏らすフーゴ。
こうして敵が目の前に現れた今、スタンドパワーが備わっていないただの砲弾を相手にフーゴが恐れる部分は何処にもない。彼には、それらを迎撃出来るだけのパワーがあるのだから。
では何故、フーゴが辛そうな様子を見せているのかと言うと、ヴェールヌイが放つ覚悟のオーラに気圧されているからに他ならない。
ただの幼子が見せるには、あまりにも重い覚悟──それを少女が完了するに至るまで、どのような経緯があったのだろうか。きっと、フーゴでは想像にも及ばない事があったのだろう。
そして、フーゴは更に考える。
こんな風に覚悟を持って戦いに臨んでいる彼女を相手に、聖杯戦争の方針すら決められていない自分が戦っても良いのか──と。
それはなんとも自虐的な思考。
自分より年下の少女と己の間にある覚悟の差を思い知ったフーゴの精神は、言うならば『戦う前から負けていた』も同然であった。
──しかし。
(それでも……!)
それでも、フーゴはここで負けを認め、ヴェールヌイに殺されるわけにはいかない。
死にたくは、ないから──生き延びたいから。
そこには、フーゴ個人の何かしらの願いに基づく理由など無く、単なる原始的な生存本能によって構成された感情だけがあった。
けれども──いや、だからこそ。
原始的で単純な感情がフーゴの精神を占めれば占めるほど、『それ』の力はより高まる。
「ぐあるるるるる……」
フーゴの体から生き霊のようにして分離した『それ』は、現れた途端、歯軋りを鳴らしていた。
ツギハギだらけの体。見開かれた眼。口端から止め処なく溢れる涎──およそ知性など感じさせられない、その姿。
『それ』は、フーゴの精神が形(ビジョン)を持った存在──スタンド。
その名は──。
「──『パープル・ヘイズ』ッ!」
フーゴは、叫んだ。叫ばずにはいられなかった、己の能力(ちから)の名を。
そうしなければ、彼の心は耐え切れなかったのだ。覚悟を持った者に自分が反撃するという、あまりにも『恥知らず』な行為に。
フーゴは己の心の弱さを、叫び声で誤魔化したのであった。
ヴェールヌイは艦娘という特殊な存在であるが、それがスタンド使いへの適性とイコールであるわけではない。
彼女にはスタンドは見えない。
しかしながら、突然フーゴが上げた叫びから、『彼が何かした』という事を察する事は出来た。
リアクションとして、ヴェールヌイは瞬時に艦装から砲弾を発射する。
ドドンッ!──次は、二発同時に放たれた。
迫る砲弾。その威力は、戦艦の装甲を貫通出来るほどのものである。人に当たればどうなるかなど、言うまでもあるまい。
しかし、フーゴに着弾するまであと五メートルとなった瞬間、それらの進行方向は急に逸れた。
「なっ──!?」
信じがたい現象であった。まるで、『砲弾が不可視の力で横から思いっきり殴られた』かのような不可思議である。
進行方向が逸れた弾丸は、そのままフーゴが存在しない方向へと直進。彼から離れた場所へと着弾し、爆音を鳴らす。
着弾地点から上がる黒煙は、これから始まるスタンド使いと艦娘の戦いの狼煙のようであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ポートガス・D・エースは、ランスロットに対し驚いていた。
現在、エースはランスロットに足を掴まれ、彼と一緒に空中を吹っ飛んでいる──そう、足を掴まれているのだ。
エースの『メラメラの実』の能力は自然(ロギア)系であり、体そのものが炎と化すものである。当然ながら、先の飛び蹴りの時も、エースは己の体を炎へ変えていた。
だというのに──だというのに、だ。
ランスロットは、それを片手で受け止め、どころか不定形の炎と化したエースの足を掴んだのである。
そんな芸当が出来るのは、『覇気』の使い手しかあり得ない──そう、ランスロットは『覇気』の使い手であった。
ランスロットが生きた時代に『覇気』なる概念は存在しないし、彼にはそれを習得しているという自覚はない。
しかし、ランスロットはスキル『無窮の武練』を所持している。
それは、ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練の証──『覇気』の習得に武を極める必要があるというならば、ランスロット以上にそれを所持するのに相応しい英霊は存在しないだろう。
また、ランスロットの宝具のひとつである『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』 の、『武器と認識した物体にDランク宝具相当の神秘を付与する』という効果が、『覇気』の一種『武装色の覇気』に酷似しているのも、彼が『覇気』の使い手であると考えれば、すんなりと納得のいく話であった。
相手は自然(ロギア)系の長所を無効化する『覇気』の使い手──だからと言って、焦るエースではない。
そもそも、彼が白ひげ海賊団の一員として戦っていた頃は、そんな相手との戦闘など、両手で数え切れないほどあったのだ。
己に不利な相手でも、泥だらけで戦い、打ち負かす──それが、『海賊の誉れ』である。
エースは両手の人差し指を交差(クロス)させ、叫んだ。
「『十字火』!!」
途端、十字型の炎熱のビームが発生し、ランスロットの顔に向かって直進する。
エースが十字を作った時点で嫌な予感を感じていたランスロットは、首から上を動かす事でビームを避ける事が出来た。湖の騎士の美貌を汚す事が叶わなかった『十字火』は、そのまま天高くまで昇っていった。
回避に意識を向けた一瞬の隙を狙い、エースはランスロットの左手の拘束から逃れる。そのまま流れるような動きで炎を噴射し、彼我の距離を離す事に成功した。
空中にて離れ離れになった両者は、数メートルの距離を置いて、別々の位置に着地する。
地面に両足をつけた瞬間に、ランスロットは気付く。自分の周囲の空間に、いくつもの小さな光が浮かんでいる事を。それは、まるで夏の風物詩である蛍が飛んでいる風景みたいであるが、実際はそんな趣深いものではない。
「『蛍火』──」
光の正体は、火の玉──つまり、これは『メラメラの実』の能力者であるエースの攻撃である。
己の掌から今もなお火の玉をポポポポ……と放出するエース。『蛍火』の群は、ランスロットの周りを完全に包囲していた。
「──『火達磨』!!!」
エースの声を契機に、火の玉は一点──ランスロット目掛けて殺到する。
四方八方、全方位から迫ってくる火の玉。これをまともに食らえば、火達磨と化し、死は免れず、仮に免れたとしても、戦闘の続行は不可能となるに違いない。
『無毀なる湖光』は閃いた。
「はっ!」「とうっ!」「せいっ!」
ランスロットが掛け声ひとつあげる間に、剣閃が十、二十と描かれる。常識を遥かに上回る剣速である。
時に体を捻らせ、時に死角にも剣を届かせながら、アロンダイトを縦横無尽に走らせるランスロット。
彼は『蛍火』を次から次に斬り刻んだ。
やがて十秒が経ち、火の玉による怒涛の猛撃は終了する。
ランスロットは、当然のようにダメージひとつ負っていなかった。
しかし、エースの攻撃はまだ終わっていない。
「消えた!?」
『蛍火』を全て斬り刻んだ事で晴れた視界に、エースの姿はなかった。
次の瞬間。ランスロットは上空に気配を感じ、顔を上げる。
そこには、星々が浮かぶ夜空を背に、高度十メートルの高さまで跳び上がっているエースがいた。
彼にとって、『蛍火』が防がれる事は想定内。あくまで次の本命を確実に当てる為に、ランスロットの視界を防ぐ弾幕の役割として放った技だったのである。
では、本命とは何か?
エースは右拳を上空に向かって突き上げた。
「『大炎戒』──」
そう口にした瞬間、彼の右拳が膨張し、半径五メートルの巨大な火の玉と化した。
「──『炎帝』!」
『大炎戒・炎帝』とは、エースが使う技の中でも最大級の威力を誇る必殺の一撃──そして、今彼が放ったのは、それのスケールを小さくしたものである。
本来のスケールでこの技を放てば、グラウンド全域を飲み込む火球を生み出せる。しかし、そうすればマスターのヴェールヌイまで巻き込んでしまう。そうしない為の、やむを得ないスケールダウンであった。
けれども、スケールが小さくなったからと言って、その火球が下級の物であるわけでは断じてない。
現にランスロットは、太陽のようなその火球に、太陽の騎士、ガウェインのイメージを錯覚した。
エースはランスロット目掛けて、火球を撃ち放つ。
夜空の下で太陽が落ちるという、現実では起こり得ない光景が見られるこの状況は、まさに伝説と幻想入り混じる聖杯戦争ならではのものであった。
ランスロットは考える。これからどうすべきかを。
今から火球の範囲外へと走って逃げる?──否。現時点での火球との距離とその大きさ、その速度から考えて、回避は不可能である。
「ならば……!」
ランスロットは両手で握ったアロンダイトを下段に構える。
エースが今し方放った技は、高ランクの対軍宝具のレベルの代物。ならば、それに対しランスロットが切るカードも当然ながら宝具である。
「最果てに至れ──」
詠唱を呟きながら、アロンダイトに魔力を込める。
生半可な宝具であれば、耐え切れず破壊されているであろうほどの魔力を込められても、アロンダイトは煌々とした輝きを放つだけであった。
「限界を超えよ──」
太陽と湖の騎士の距離が五メートルを切った。
アロンダイトの輝きは詠唱が進むにつれて増して行く。
「彼方の王よ、この光をご覧あれ!」
そして、火球が触れるまであと一メートルとなった瞬間、ランスロットは下段に構えていたアロンダイトを振り上げた。今にも爆発せんばかりの光を纏ったアロンダイトは、残像を描きながら走る。
「『縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)』!!」
そして、『大炎戒・炎帝』と『無毀なる湖光』は衝突。
その勢いのまま、ランスロットは剣を振り抜いた。正面から真後ろへと流れるように、剣を振り上げ、振り下ろしたような動きである。
かくして、ランスロットの宝具を受けた火球はどうなったか。
一瞬後、剣が通った跡に、青い筋が生じた。
更に一瞬後、筋から青い光が漏れ出した。溢れ出る魔力。それは、まるで湖のようであった。
紅球が青光に蹂躙されて行く──!
「なっ……!?」
と、あり得ないものでも見たかのような顔をしながらそんな声を漏らしたのは、エースであった。
無理もない。彼が放った『大炎戒・炎帝』が、まるで包丁を落とされたトマトのように真っ二つにされたのだから。
アロンダイトの斬撃は、見事太陽に勝ってみせたのである──と言いたいところだが、何もこれはランスロットの実力だけで成功した芸当ではない。
ランスロット──湖の騎士。
彼は、幼少の頃から湖の乙女に育てられ、その事から『湖の騎士』という異名を持つ男である。また、彼が持つ聖剣『アロンダイト』も、湖の乙女が直々に作り上げた物である。
つまり、ランスロットとアロンダイトは、『湖』という水場の性質を有しているのである。
そんな存在が、『悪魔の実の能力者』という水に弱い性質を持つエースが放った火球に斬りかかればどうなるか──有利な判定を得ないわけがない。
つまるところ、ランスロットが『大炎戒・炎帝』を真っ二つに出来た理由は、彼とアロンダイトの出自に大きく依存していた。
もしも、彼とアロンダイトに湖の性質が無ければ、こうはならなかっただろう。いや、エースが『大炎戒・炎帝』のスケールを小さくせずに、本来の威力で放っていれば、流石に真っ二つには出来なかったはずだ。
詰まる所、ランスロットは相性と偶然でこの場を潜り抜けるのに成功したに過ぎない──もっとも、それらを掴む時の運こそ、戦争では重要視されるものなのだが。
真っ二つにされた事で、火球の中心には、隙間が生じた。
それを潜り抜けるようにして、エースがいる上空へと飛び上がるランスロット。彼の真下にて、半々になった火球は着地し、轟! という音と共に、爆炎を噴き上げた。
(勝った!)
そう確信し、エースの首を断ち切らんと、剣を閃かせるランスロット──だが。
「────」
空中に飛び上がった事で、遥か遠くまで見渡せるように開かれたランスロットの視界──その一点、教会がある地点に突如出現した、光の柱。湖の騎士の視線は、あまりにも目立つそれに向けられた。
柱はあまりにも神々しく、力強い光であった──そう、それは。
「最果ての光……」
ランスロットはどこかの特異点で、あるいはあり得たかもしれないイフの歴史で、その光を見た事があった──その光の所有者についても知っている。
「まさか、我が王が……いや、そんな……まさか……」
ランスロットは、所有者がいかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力の発揮を保証するスキル『無窮の武練』を所持している。
そんな彼であっても、光の柱を目にしてから数瞬の間は、動きが鈍っていた。それ程までに、今ランスロットが見た光景は、彼にとって相当ショッキングなものだったのだ
結果、エースは寸でのところでアロンダイトを回避するのに成功。それと同時に、『火拳』をランスロットの腹に叩き込もうとした。
ここに至って、ようやくランスロットは意識を戦闘へと向け直し、エースの拳をアロンダイトで受け止める。しかし、足場のない空中では踏ん張れず、その勢いのまま地面目掛けて落下して行った。
危うく先程火球が落下し、今も炎が轟々と燃え盛っている地点に落ちかけたランスロットだが、空中で魔力を放出する事で落下する方向を修正し、炎に侵されていない地点へと着地した。遅れてエースも着地する。
(さて、次はどうする……?)
ハンドスナップと共に周囲の火の海を消しつつ、エースは次の攻め手を考えていた。最大級の技は先程攻略されたばかりだが、それで諦める彼ではない。他の手を考えるまでだ。
一方ランスロットも戦闘に関する思考をしていたかと言うと、そうではない。
現在、彼の思考は先程目にした光の柱一色に塗りつぶされていた。
あの光は本当に自分が知っているものだったのか。ただの見間違いではないのか。その地点に己の王は居るのだろうか。
そんな思考が、ランスロットの脳内をぐるぐると駆け回る。
気になる。気になる。気にせずにはいられない。今すぐにでも教会に向かい、真実を知りたい。
「────くっ!」
苦悩の末、ランスロットは高速で駆け出した。ただし、エースがいる方角ではなく、フーゴとヴェールヌイがいる方角である。
「なっ、まさか……!?」
ここで突然マスターたちがいる方向へと駆け出したランスロットに度肝を抜かれるエース。
ここでマスターを狙われたらマズイ──そう考えたエースは、僅かに遅れてランスロットの後を追うのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ただならぬ雰囲気で始まったフーゴとヴェールヌイの戦闘だが、残念ながら彼らの戦闘はおよそ戦闘と言うにはあまりにも酷いものとなっていた。
一言で言い表すなら、泥仕合である。
フーゴの『パープル・ヘイズ』の射程距離は五メートル。それ以上外には害を与えられない。範囲外にヴェールヌイに対して、フーゴが出来る行為など、皆無に等しかった。
一方、ヴェールヌイもヴェールヌイで、フーゴが使う不可視の力を警戒し、彼に近づこうとせず、逆に近づかれたとしても離れるだけ。未知の危険に無闇に突っ込んでいかない慎重性と冷静さこそ、ヴェールヌイを不死鳥の戦艦たらしめる要素であった。
元ギャングのスタンド使いとは言え、身体能力はゴロツキに毛が生えた程度であるフーゴが、艦娘として鍛錬を積んでいるため身体能力の高いヴェールヌイに、グラウンドという開けた場所で距離を詰めるのは難しい話である。
一応、ヴェールヌイは数秒毎に砲撃を放ってはいる。が、放った砲撃は全て不可視の力(スタンド)で弾かれていた。
両者の距離は常に一定であり、特に面白みのない膠着状態。
すぐ近くで剣撃と炎熱の派手な戦闘が起きている中、そんな地味な戦いが繰り広げられていた。
「ねえ──」
何度目かの攻防を終えた後、フーゴはふと口にした。
聞きたいことがあったのだ。
「良ければでいいんだけど、きみが聖杯に託す願いを教えてもらってもいいかい」
「それを教えれば、貴方は私に道を譲ってくれるのかな」
「…………」
沈黙するフーゴ。
ヴェールヌイは一度深い溜息を吐き、続けた。
「亡くした姉妹を、取り戻すためだよ」
フーゴは息を飲んだ。
ヴェールヌイが口にした願い──亡くした誰かを取り戻す。
それは、フーゴが選び掛けていた願い──チーム全員が生き残る結果が欲しい──と、願いの種類としては似たものだったからだ。
「き、きみは……」
震える声で、フーゴは言葉を紡ぐ。
「その願いを叶えるのが、正しい事だと思っているのか? 他者がそれを『良し』とすると……?」
それだけ見ればヴェールヌイの願いを非難するような口調だが、フーゴからしてみれば、それは自分の願いが正しいのか間違っているのか分からずに混乱したが故に出てしまった言葉である。
彼の言葉を受け、ヴェールヌイは少し悲しそうな表情を見せた後、口を開いた。
「……きっと私は間違っているんだと思う。この街にやって来てから、何回そう考えたか数え切れないくらいだ。だけどね、それでも……間違っていると分かっていても、私はこの願いを叶えたいんだ──叶えなくちゃならないんだ」
『割り切れないもの』をなくすために──と。
そう答えるヴェールヌイの瞳に、迷いの色はない。
「…………『割り切れないもの』をなくすために……」
ヴェールヌイの言葉を復唱するフーゴ。
そうすれば、自分も何か答えが得られるような気がして──そして。
「マスター!」
そして、彼の思考は突如高速で駆け寄って来たランスロットによって、中断させられた。
残像が見える程のスピードで地を駆ける湖の騎士は、その速度を緩めぬまま、フーゴを抱き抱える。
ランスロットの接近にヴェールヌイは身構えたが、ランスロットは彼女に目もくれず、付近のフェンスに向かって跳躍。
後から遅れてやってきたエースは、ヴェールヌイの無事を確認した後、両手を指鉄砲の形に曲げ、
「逃すかよぉ! 『火銃』!!」
と叫んだ。すると、指鉄砲の銃口部分から火の弾丸が音速を超えたスピードで飛び出し、ランスロット達目掛けて飛んで行く。逃走しようとしているランスロットの背中はガラ空きだった──が。
不思議なことに、火の弾丸は悉くあらぬ方向へと飛んで行った。『この美男子は幸運の女神すら虜にさせているのでは?』と思わずにはいられない現象である。
ランスロットが湖の乙女の加護によって危機的な局面で幸運を呼び寄せるスキル『湖の騎士』を所持していなければ、今頃彼は焼けた蜂の巣となっていただろう。
「せ、セイバー!?」
ランスロットに抱き抱えられるというこの世全ての乙女が羨み嫉妬するであろう格好のまま、フーゴは困惑した口調で言った。
「すみません、マスター。貴方に刃を向けた者たちを倒してもいないのに、戦闘の場から離れて行くという、騎士道にあるまじき行動を、どうかお許しください。けれどもそれには深い理由が──たった今、私にはやらなくてはならない事が見つかったのです」
申し訳なさそうでそう言うランスロットだが、彼の足は目的地に向かって一つの迷いもなく進んでいた。
こうして、聖杯戦争におけるフーゴの初戦は、泥仕合の末の逃亡という、まあ、人類の戦争史を紐解けば大して珍しくもない結末を迎えたのであった。
【一日目・未明/C-2】
【パンナコッタ・フーゴ@恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-】
[令呪] 残り三画
[状態] 健康
[装備] スタンド『パープル・ヘイズ』
[道具] なし
[所持金] そこそこ
[思考・状況]
基本:どうすれば……?
1:割り切れないもの、か……
2:セイバー!?
[備考]
※ヴェールヌイ&ライダーと接触。彼らの戦闘能力を把握しました。
【セイバー(ランスロット)@Fate/Grand Order】
[状態] 魔力消費(小)
[装備] 『無毀なる湖光』
[道具] なし
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本:騎士としてマスターに仕える。
1:この聖杯戦争は何かがおかしい
2:あの光は……!?
[備考]
※ ヴェールヌイ&ライダーと接触。彼らの戦闘能力を把握しました。
※ C-9地点にて発生した『光の柱』及びそれに関わる人物を知っているかもしれません。誰なんでしょうかね。
【
Верный@艦隊これくしょん】
[令呪] 残り三画
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] そこそこ
[思考・状況]
基本:姉妹を、取り戻したい。
1:願いのために、戦う。
[備考]
※パンナコッタ・フーゴ&セイバーと接触。フーゴの能力については、完全には把握できていません。
【ライダー(ポートガス・D・エース)@ONE PIECE】
[状態] 魔力消費(小)
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本:マスターのために戦う
1:セイバーを逃しちまった……
[備考]
※ パンナコッタ・フーゴ&セイバーと接触。セイバーの戦闘能力を把握し、彼を聖杯戦争の参加者の中で間違いなく上位に位置するサーヴァントだと認識しました。
※ C-2地区で大きな破壊を伴う戦闘が行われました。
最終更新:2017年10月17日 21:34