まっすぐ進め見習いナイト ~猫耳の騎士・ミケナイト登場~
仏壇に並べられた写真に中学生ぐらいの女の子が混じっていることが、魅羽はとても気になった。
生まれつき三色まだらな変な髪の色をしている魅羽と違って綺麗な黒髪だけど、その点を除けば自分にそっくりだと魅羽は思った。
この子は誰なんだろう。
どうして死んでしまったのだろう。
魅羽は祖父に訊いてみた。
「ああ、姉さんのことかい。姉さんは酷いイタズラ者でね、それでオバケに連れてかれて消えちゃったのさ。ミウは良い子にしてなきゃいかんぞ」
「うん。みう、良い子にするよ」
魅羽は良い子らしく、そう答えた。
しっかりと決まりを守る真面目な魅羽の性格は、この写真が原点なのかもしれない。
でも、自分とそっくりな大伯母様が悪い子あつかいされるのは、ちょっと不満だったかもしれない。
(=・ω・=)
高校生になった魅羽は、馬術部に入った。
誇り高い騎士道精神を学びたかったからだ。
だけど、残念なことに魅羽に馬術の才能はなかったらしい。
「ウー、ワンワン!」
「ガルルル、ガルルルルル!」
餌やり当番で馬小屋に行くと、いつも通り一斉に馬たちが魅羽に吠えてきた。そう。魅羽はなぜか馬にすごく好かれにくい体質みたいなのだ。
「みゅーちゃんは、猫っぽいのがいけないのかなぁ」
とは先輩のシベリアン・ハスナイトさんの分析だ。
なんで猫っぽいと馬に嫌われるのか魅羽は不思議に思ったけど、さすがの魅羽もそれ以上はいけないとわかったので何も言わなかった。
とにかく、魅羽は馬に乗ることができず、新入生の中でも一人だけ騎士称号を貰えてなかった。
それでも魅羽は、偉大なる初代部長レトナイトさんのような立派な騎士になりたくて、熱心に武術鍛錬も馬の世話も頑張っていた。
(=・ω・=)
馬の世話には、もちろんお金がかかる。
馬術部が総力を挙げて鬼雄戯大会に挑むことにしたのは当然だった。
魅羽はもちろん戦力外……のはずだったけど……。
「私は猫耳の騎士ミケナイト。騎士道精神に則り正々堂々と勝負しましょう!」
特大スコップで天を指し宣戦布告!
猫耳兜で素顔を隠した、馬を伴わぬ謎の女騎士がそこにはいた!
果たしてミケナイトの正体は誰なのか?
勝手に騎士称号を名乗っちゃった見習い騎士は、過酷な戦いを生き延びられるのか?
まっすぐ進め見習いナイト! 正体は髪の色とかでわりとバレてるぞ!
(おわり)
最終更新:2014年07月24日 18:56