魔法少女失格!
強敵二人を撃破し、卒羽は無事に妃芽薗サバゲー部のみんなと合流することができた。部長以下全員、一一の猛威に曝されてもはや戦闘は不可能だったが、命に別状が無かったのは幸いだ。混乱状態の希望崎学園から脱出しようとする卒羽たち。しかし、彼女たちは最強の敵“ホイサッサーズの宿敵”と遭遇してしまう。
帽子部に所属するその男は“ホイサッサーズ”と名乗る怪しげな連中と交戦中だった。卒羽は状況判断し、ホイサッサーズに加勢することにしたが、その判断が間違いだったのである。味方のはずのホイたちの誤射と、帽子部の男の強烈な攻撃に挟み撃ちされ、卒羽は力尽きた……。
……
どぷん。緑色の粘液で構成された巨大なスライム状の物体が卒羽を包み込んだ。「君が死なずに済んで良かった。『リじぇねれーと・ミゅーかす』。まずはゆっくり休みなさい」「うぅ……老師、すみません。ありがとうございます」
“老師”と呼ばれた魔法少女は、残念そうに言った。「本国から帰還命令が出てしまった。君の人間界修行は一旦終わりじゃ」卒羽は愕然とした。「そんな……私はまだ……」「……素敵な理想の触手に出会えてない、とでも言うつもりかね?」
「うっ……」「魔法少女は、己自身のことよりも世界の平和と人々のしあわせを優先しなければならぬ。魔法少女には様々な在り方があるが、少なくとも君の国はそう考えておる。然るに、ドリミッカ・ドリミ。君は役得を求めすぎた」「で、でも……」
「最近、『タワムレガキ』の世界には行っておるかね?」「う……ホリランに集中してて、実はあまり……」「あまつさえ、合コン先で私闘を行い、少年一人を殺害した。流石の儂も庇いきれなかったよ」「えっ……あの子死んじゃったの……」「その顔じゃ!」
「そこで『貴重な触手が……』って顔をするから君はいかんのだよ」「そっそんな顔はしてませ」「魔法少女歴80年の洞察力を甘く見るなよ」「ううう……申し訳ありません……」「幸い彼は何故か生き返ったよ」「良かった……」
「治癒が終わり次第、君を本国に送還する。再び魔法少女を目指すか、別の道を歩むか、じっくり考えたまえ」「はい……」こうして夢見花卒羽の人間界修行は、ひとまず終わりを迎えた。でも、死ななくて良かった! そして、歴戦の魔法少女・後藤うさは救えなかった命に、特に50年前の雛代の魔法少女たちに思いを馳せるのであった。
(『魔法少女失格!』おわり)
最終更新:2014年07月26日 21:06