魅羽とタマ太はとっても仲良し。
いつも一緒にお散歩するの。
「今夜は星が綺麗だから、丘に登って夜空を見ようね」
「ニャーン!(おっぱいもみたい!)」
魅羽とタマ太が丘の上に行くと、柊先輩と水星ちゃんが先に天体観測していました。
「こんばんは。私、馬術部のミウです」
「ニャーン(ちっ先客がいたか……)」
「こっちは三毛猫のタマ太」
「ニャーン(人気の無いところでミウに色々する計画が台無しだぜ)」
だけど、おやおや? なんだか様子がおかしいです。
なにやら柊先輩、ちょっと寂しそう。
「どうしたの?」
「ニャーン?(背の高い方……ふわっとした服で分かりにくいが……少なくともC……?)」
「うん。部員のみんなにも金曜の天体観測に来て欲しいな、って」
「天文部は、部長の人望が限定的なため部員不足なんです(私は先輩と二人だけでも構いませんけど)」
「うーん、それは難しい問題ですね(水星ちゃん今さらっと酷いこと言ったな……)」
「ニャー!(こっちの低い方は胸ぜんぜん無い……それもまた可愛いけど!)」
「そうだ、こんなところに豆乳があるわ」
「ニャーン」
魅羽とタマ太は豆乳を取り出すと、それを柊先輩と水星ちゃんにも渡してみんなで飲みました。
みんなで飲むと豆乳はいっそう美味しいです……何も解決しませんが!
「うーん、バナナみたいに上手くはいかないなぁ……あっ、こんなところにマタタビがあるわ!」
「ニャーン!(やったー!)」
魅羽とタマ太はマタタビの前に屈み込んで深呼吸。
マタタビラクトンを吸引して最高にハイな気分になりました!
「狩るにゃん! 狩るにゃん! 狩るにゃん!」
「ニャーン! ニャーン! ニャーン!(おっぱい! おっぱい! おっぱい!)」
完全にラリった魅羽達の様子を見て、水星ちゃん達もなんだか楽しい気分になってきました。
難しい言葉で言うと『プラシーボ効果』という奴です。
「星見よーぜ! 星見よーぜ! 星見よーぜ!」
「イルカ幼女! イルカ幼女! イルカ幼女!」
きらめく満天の星の下、みんな揃ってハイテンションで大騒ぎ!
楽しい時間が過ぎてゆきます。
水星ちゃんの発言がおかしいですが、最近見てるアニメの影響なので大丈夫です。
「コラーッ! お前たち何を騒いでるんだ!」
あんまり騒ぎすぎたので、巡回中の魔人警官に見つかってしまいました。
慌てて逃げようとしましたが、完全にラリってた魅羽とタマ太のせいで逃亡も失敗です。
「ん……君たち、天体観測をしてたのか?」
「はい。ペルセウス座流星群が見えるかと思いまして」
「ペルセウスにはまだ早いんじゃないかな?」
「え……お巡りさん、詳しいんですね」
「ああ、高校時代にちょっとね」
なんと、お巡りさんは希望崎の卒業生で、しかも天文部のOBだったのです。
「ハハハ、そっかぁ。部員不足かー。天文部はいつの時代もそんな感じだなぁ」
女の子だけで毎週金曜にここで観測してると聞いて、それはちょっと危険だと感じたお巡りさんは、巡回ルートにこの丘を入れることにしてくれました。
でも、お巡りさんからひとつだけお願いがありました。
「時々、僕にも望遠鏡を覗かせてくれないかな?」
「もちろん喜んで!」
「先輩が良ければ……」
天文部の部員は増えませんでしたが、金曜の天体観測に意外な仲間が加わりました。
マタタビ酔いから覚めた魅羽達は、お説教を喰らう前に猫足さし足でその場を離れました。
普段は真面目で規範意識の強い魅羽ですが、マタタビだけは別なのです。
そういう乙女心は、ちゃんとわかって欲しい。
ともかく、今夜のお散歩は大成功と言っていいでしょう!
「今日もいい事したね!」
「ニャーン(イイ事はしそこなったけどな)」
「明日もお散歩しようね!」
「ニャーン!(明日こそもみたい!)」
「明日はどこに行こうかなぁ」
めでたしめでたし。