魅羽とタマ太はとっても仲良し。
いつも一緒にお散歩するの。
「今夜はクラスメートの輝海ちゃんが入った競技ダンス部を見学に行ってみよう」
「ニャーン!(年頃の男女が密着! なんてけしくりからん競技だ!)」
でも、魅羽とタマ太がダンス室に行くと、競技ダンス部の練習はもう終わってて月見輝海ちゃんだけしかいませんでした。
「こんにちは、輝海ちゃん。今日はもうみんな帰っちゃった?」
「ニャーン(あっまた貧乳っ子だ)」
「あ、こっちは三毛猫のタマ太」
「ニャーン……(だめだ……この子のおっぱいは育たない……FSはもう伸びないんだ……。でも貧乳もいいものだよ……。おっぱいで重要なのはサイズじゃない……おっぱいであることそのものが尊いんだ……)」
だけど、おやおや? なんだか様子がおかしいです。
なにやら、輝海ちゃんは少し落ち込んでるみたい。
「どうしたの?」
「ニャー(もし貧乳のままでも可愛いから心配しなくていいぜ)」
「うん……部活のみんなに言われちゃったんだ。私のダンスはなんか質実剛健だって」
「それは褒め言葉じゃないの?」
「多分みんなはそのつもりなんだろうけど……」
どうやら輝海ちゃんの悩みは魅羽にはイマイチ理解しづらい次元のようです。
「そうだ、こんな所に豆乳があるわ!」
魅羽とタマ太は豆乳を取り出すと、それを輝海ちゃんにも渡してみんなで飲みました。
運動後の植物性蛋白質摂取は筋力増強に効果抜群です……輝海ちゃんの悩みは解決しませんが!
「うーん、なかなか上手くいかないなぁ……あっこんな所にマタタビがあるわ!」
「ニャーン!(やったーマタタビだー!)」
魅羽は懐から携帯マタタビ吸引キットを取り出し、タマ太と一緒に軽く吸いました。
「ふーっ、落ち着くなぁ」
「ニャー(なんだか、おっぱいがもみたくなってきたなぁ)」
「輝海ちゃんも少しどうぞ」
「えっマタタビなんて貰っても……あれ、いい匂い!」
なんと、魔法少女に覚醒した魅羽のレイノルズ数操作能力によって、マタタビラクトンの受容性が高まり普通の人にも効くようになったのです!
魅羽とタマ太と輝海ちゃんはマタタビ酔いでいい気分!
「狩るにゃん! 狩るにゃん! 狩るにゃん!」
「ニャーン! ニャーン! ニャーン!(おっぱい! おっぱい! おっぱい!)」
「男子と密着! 男子と密着! 男子と密着!」
どさくさにまぎれて、タマ太は輝海ちゃんの胸に飛び込んでゴロゴロと喉を鳴らします。
輝海はタマ太の背中を撫でながら言いました。
「うふふ、猫ちゃん。一緒に踊りましょうか?」
「ニャ?(えっ?)」
タマ太が返事をするいとまもあらばこそ、輝海ちゃんはタマ太を抱えて立ち上がりました。
窓から差し込む月明かりに照らされたダンス室の中、輝海ちゃんが優雅にくるくると舞い踊ります。
マタタビ酔いで程よく肩の力が抜け『男子と密着したい』という想いが溢れ出した輝海ちゃんのダンスは、魅羽が見ても惚れ惚れするほど艶っぽく、華麗でした。
たっぷり密着できてタマ太もゴキゲンです。
「ありがとう魅羽ちゃん! 私、何か掴めた気がする!」
「ううん、私は何もしてないよ。輝海ちゃんが自分で掴んだんだよ」
魅羽の言うことは本当にその通りで、魅羽はラリってただけで何もしていません。
ともかく、今夜のお散歩も大成功と言っていいでしょう!
「今日もいい事したね!」
「ニャーン!(した! 良かった! 密着!)」
「明日もお散歩しようね!」
「ニャー……(輝海ちゃんが成長したらまたダンスしたいな……)」
「明日はどこに行こうかなぁ」
めでたしめでたし。