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一人全役VSマスコット

鬼雄戯大会を控えた生徒会室、生徒会の役員達は連日鬼雄戯大会の準備に追われていた。
一般生徒会役員である模府 鋭(もぶ えい)は受付業務に着きつつ参加選手の書類を整理していた、その時
「たのもーっ!」
威勢良く間違った掛け声と共に入ってきたのは野球部のユニフォームを着た男子生徒である。
「一体何の用ですか?後ここは道場の類ではありません。」
野球部といえば今回の鬼雄戯大会では野球神が生徒会所属選手として参加するため、生徒会に不満を持つ各部活動の中では
生徒会側に近い部活動だ、いきなりこの忙しい時期に飛び込んできて道場扱いされてもそこまで邪険にしなくてもいいだろう。
そう思いながら模府は入ってきた野球部員に対して応対した。
「鬼雄戯大会に参加したい!書類はもう持ってきた!」
「…はい?」
「鬼雄戯大会に参加したい!」
前言撤回である、この男子生徒は思いっ切り生徒会の敵だった。
何故参加するんだ、野球部は元々部費が割と多い上に野球神が部費を稼ぐはずじゃないか!
「えーっと・・・何故参加を?野球部には野球神さんが倒しただけの部費が入ると既に通達してある筈ですが?」
「その野球神!俺はその野球神と戦いに来たんだ!」
しかも生徒会所属選手と戦うなどと言い出した、子飼いの犬が全力で襲いかかりに来た形である。

書類を見ると《浜星 昇》(はまぼし のぼる)と迫力のある汚い字で書かれている。
新聞部の出している新聞で見たことはある、どんなポジションでもこなせる野球部期待のエース候補だと。
「貴方は野球部のエース候補等と呼ばれていますよね?そんな選手が長期離脱濃厚な怪我や最悪死亡の恐れのある
 鬼雄戯大会に参加していいんですか?」
「その話ならキャプテンやコーチや監督に散々された!もう聞き飽きたぜ!」
「じゃあ参加を取りやめて…」
「もう説得はし終わったぜ!『俺は野球神と野球したい!そして俺の強さを確かめるんだ!』と言い続けてたらOKが出た!」
何故もっと止めてくれなかったんだ野球部首脳陣、この如何にもな野球バカを止めろというのも無茶な話かもしれないが。
「というわけで参加申請するぜ!」
残念ながら書類に不備は無い、話が色々とややこしいことになるが了承を出さざるを得ないだろう。
模府がそう諦めの表情で書類写しを作りに行こうとしたその瞬間、また生徒会室の扉が突然開いた。

そして入ってきたのは……どこかの球団で見たことのあるペンギン、いや、ツバメのマスコットだった。
「…一体何の用ですか?」
いきなりの有名マスコットの乱入に戸惑いつつもお役所仕事の姿勢を崩さず応対する模府、
するとそのマスコット、つば九朗は手に持っていたスケッチブックを模府の目の前に突き付けると1枚ずつめくりだした。
『きゆうぎ大会にさんかしたいです.』『しょるいはもう持ってきてます.』『しょぞくはやきうぶで.』
しばらく模府は共に呆気に取られていた、このマスコットまで参加者だという、しかも野球部所属で。
参加許可を今か今かとワクワクして待っていた浜星もこの乱入者には呆然としている様子だった。
目の前の畜生ペンギンは書類を受付カウンターに置きつつ続ける。
『12000円とけんこういんりょうののみほうだいじゃさすがに生きていけない.』『やきうぶしょぞくだけどぶひはあげないよ.』
更に横にいる野球部員の浜星の姿を見るとペン置きからペンを取りスケッチブックに何事かを書くと、
『きみもやきうぶなんだ、しょうらいスワロゥズに入らない?』『もんだいおこしてえんじょうしなければ入れるよ.』
と浜星に見せると用事は終わったと言わんばかりに踵を返すとそのまま生徒会室を出てどこかへ行ってしまった。
つば九朗オフィシャルブログで鬼雄戯大会参加の記事が出るのはこの日の夜のことである。
「……」
「……」
「…あ、参加申請通りました。」
「…あ、お疲れ様ッス」
両者乱入者に勢いを削がれたのかその後の手続きはスムーズに進んだ、
子飼いの犬どころか他所の犬もといツバメまで噛み付いてきたという余りの結末に模府は疲弊してその日の業務を終えた。

「キャプテン!」
「なんだ浜星?参加申請は通ったのか?」
「ペンギンを倒す方法を教えて欲しいッス!」
「ハァ?」
浜星の倒す目標に野球神と共につば九朗の名前が入った一日の話である。






最終更新:2014年08月25日 00:34