●発端
ことの発端は 米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)のチアリーダーたちの賃金にまつわる
ツイートだった。
彼女らには交通費も支給されない、小道具も自前、サービス残業あたり前の劣悪な環境、実質最低賃金以下…
ミリオン高給取りが乱舞するNFLにおいてチームを支えるチアリーダーたちは極めて薄給でいるというのだ。
ペンペンペン。カクサシャカイのゲンジツ、ザケンナー、ペンペンペン。
彼は遠方の同胞の苦境に憤り、激しくデスクを叩いた。当然の様にこれをリプライ、コメントを付け広く
フォローするファンに記事の拡散を呼びかけた。
そして 翌日、彼のその発言はオフシャルにより削除され、彼=つば九朗はフロントからの呼び出しを喰らった。
再三の注意にもかかわらず
彼は、球団オフィスから出た彼は、最後まで納得しなかった。
そして
彼はこう自問した。
これは氷山の一角でないか、このような現実がより身近にも存在しているのではないか、これを見過ごしていいのかと。
――2カ月後
―――――スワローズのマスコットは
―――――――希望崎学園にいた。
燕条・つば九朗はいわゆる不良マスコットのレッテルをはられている。
乱闘の最中、仲裁するフリをして必要以上にブチのめしたため、今だ病院から出てこれない選手もいる。
威張るだけの脳なしなんで 気合を入れてやったコーチはもう2度とグランドへとやって来なかった。
他にも性質の悪い酔っぱいの客には冷水代わりに容赦なく平手叩きをお見舞いするし、
「やーい悔しかったらカメハメ波撃ってみろよキックキック」とかわけわからないこといい蹴りを
入れて来る餓鬼には返しでフライングボディアタックをかますこともある。
だが、そんな彼にも吐き気がする『悪』はわかる!
『悪』とは!
自分の都合のためだけに 弱者を利用し、ふみつけること。
しかも華盛りの女の子をだ。
おめーらの『スタンドプレイ』は被害者自身にも法律にも見えないしわからねえ…
だから、オレが裁く!
希望という名の冠したこの学園で行われている弱肉強食の鬼雄戯大会、そこで行われている『悪』を
『減俸つばめ返し』が空を切る。
その失われた相手の年棒が”どこ”に降り注ぐかそれを知る者はいない。
●大グラウンド
「「LETsGO!!GETs!WIN! Swallows!!
L・O・V・E。
L・O・V・E。
TU・BA・KU・RO!!YA!!」」
チアリーダー部の声援を受けながら
呼び出した不明部部長、御来光滝・暗闇が現れるのを大グランドで待っていた。
一説には生徒会とのつながりがあると噂される特殊な能力を持つ人物を
彼は暗黒が彼の誘いを断らないことを確信していた。
”スタンドプレイ”同士は惹かれあう。
『御来光滝暗闇が今回グランドに来るメリットはない。
まあそういう面も含め、今回ここほど戦局が読みやすい場所はないだろう。』
奴は必ず来る!
『何故ならば来ても来なくとも奴は”必ず”他の奴はに狙い撃ちされるからだ。
結果は同じ。それを踏まえ、誰を狙うべきかは明白だろう。
そこでお前達が勝ち抜けれる確率は…、おおよそ5割といったところだな。』
暗黒はこなかった。ペンペンペン#。
「「ハイ。フォークでどーん!!」」
打ち震えたところに後ろから蹴りが飛び、ぺんぎ…燕は大地にスラインディングをかます。
着ぐるみ故にダメージはない。
慌てて振り返るとチアリーダーが二人立っていた。踊っていた他のメンバーは退避している。
二人の腕が交差した。「!?」
「「dangerous!!crossover!!」」
黒き闘士の炎 ダンゲ☆ブラック
燃える命の輝き ロスコ☆ホワイト
「「 ふたりはダンゲロス子!! 」」
「ザケンナー」
「「デスヨネー。」」
変身を終えた本人たちにも自覚があるのか、綺麗にハモッタ返答が返ってきた。
●大グランド2回戦
戦いの均衡は最初の数ターンのみだった。
『お前達に負けはない』そう予言された通り、ダンゲブラックとロスコホワイトが押し始めた。
理由は…
理由は…
…俺はコイツらからはウバエナイ
…もし奪ってしまえば、
…二人の必死な表情から彼女達が何かを守ろうとしていること、その為に戦い抜く『覚悟』を
もった人間であることが
言葉でなく 心で伝わったからだ。
燕条・つば九朗はやれやれだぜと心中で呟くとふらついた足元を気合で”しゃきん”とさせる
「コイ。(カープ的な意味で)」
攻撃を受ければ再び気合を入れ直す。
そして戸惑いを見せる相手に攻撃の手を緩めるなと手まねきをした。
最終的には反撃すら放棄したのだ、その意味―意気を感じとり少女達の目に涙が浮かび始める。
燕条・つば九朗の意気が
スワロー・プラチナの想いが言葉でなく 心で伝わったからだ。
この試合、燕の翼はついに最後まで翻ることがなかった。
(う…)
気が付けば天を仰いでいた。突き抜けるような蒼天だった。そして心配そうにのぞきこむ
チアリーダー部の皆の顔。
そして両脇の手羽先に感じるぬくもり、ハグしているのは先ほどまで戦っていた二人だ。
どうやら気を失っている間、全員で介抱してくれていたらしい
「チクショーメ。」
つば九朗は嗤った。女の子を泣かせた上に泣かせるとは罪深いツバメだった。
『燕条・つば九朗の奇妙な冒険~スターダスト・クルセイダー~(完)
―とかまあそんな感じで1回戦お前らは被ダメージを最小に抑えられるだろう、スロットの2つか3つ、
攻撃0にフッテくれるわけだしな、感謝して懇ろにしてさしあげろよ。あとは生徒会役員が場に来て、
連戦時に彼らと引き分けに持ち込めればベストだが、そうでなければ恐らく真野との削り合い勝負―
その生存競争に勝ち残った奴が、ここでの勝者となるだろう。全ての鍵は…”体力”にある。』
…むむむ、だがこの両方の羽の位置は、もみもみもみ
…ふむ、なかなかの揉み心地、もみもみもみ
「「それはアウト。」」
(チクショーメ。)
ぺちん、二人の同時ツッコミを受け、燕は二度啼いた。
× つば九朗 VS ○英子と四囲美
つば九朗:FS(畜生)2上昇
(おまけ)
●大グランド2回戦
「スナイパーカルタ」とは
遠距離から機先を制し、己の最高のパフォーマンスを維持する!
なにより先制を取り続けることに極意がある。
そこより派生する一撃必殺 それが”スナイパーかるた”だ!!
( ~民明書房「室内武芸帳百選」より~ )
中東の留学生ウェーダ―は一回戦カンガルーとの壮絶な殴り合いの結果ボロボロのはずなのに
独特な陽気なノリでそこに乗り込んできた。
「ハハハ、貴方達が次の相手ですか。五月雨やJKのひざ下眺めて~」
「ハイ!フォークでどーん(下の句的な意味で)」
いきなり正座しJKの膝元を下からのアングル、しかも濃い顔で仰ぎ見たため、反射的に
顔面を蹴られ吹き飛ぶ、ガタイのいい中東の兄さんウェーダ―
(「ふぅが。
これは!?スナイパーカルタ!?0.1秒もたたずに覚えたというのか、
Aikoマスターよ。
ならばおまえにあたえよう スナイパーカルタの免許皆伝を!!」)
バタリ(正座の状態から仰向けで気絶)
その様に思いっきりひく2名。
「わわ、なんかいきなり目の前で正座し異様な目線で見られたから、思わずけちゃ
ったけど、このひとよく見たら同じ野外文化部の人だ!」
「・・・・・・あー、でも、なんかこの人満足そうに気絶してるわね、どーしようか…これ…」
英子と四囲美は顔を見合わせるとどちらともなく頷いた。
そっとしておこう
× ウェーダ VS ○英子と四囲美