水星エピローグSS
――いつかの未来。現世とは隔絶した場所で。
「あぁ。ついにきてしまいましたか」
「来ちゃったよ」
「あまりこちらで会いたくはなかったのですが」
「天寿を全うしたんだからいいじゃない。どこかの誰かと違って早々に退場したわけじゃないし。私、結構寂しかったんだよ?」
「寂しかったなら、なんで最後まで独り身だったのですか。貰い手がいなかった訳ではなかったでしょうに」
「誰かさんに操を立てたからね」
「……まったく馬鹿ですか。誰もそんなこと頼んでないですよ」
「とか言いながら頬が緩んでるぞ」
「いえ、そんなことは――いや、この期に及んで意地を張るのはやめましょう。……嬉しいに決まってるじゃないですか。憧れの人が人生かけて死した私を想ってくれたのですから」
「そう言ってくれると、私も人生かけた甲斐があったな。ふふっ、憧れの人かぁ。そっか、私はずっと憧れの人でいられたのか。良かった」
「ここでも色んな人に出会いましたが、私の憧れの人は揺るぎませんでしたよ」
「そっか。良かったら、私にもその人達を紹介して欲しいな」
「いいですよ。時間はたっぷりあることですしね。一緒に挨拶して回りますか」
「うん。一緒に――――」
【END】
最終更新:2016年10月16日 20:28