■手紙(招待状)
親愛なるシュタイン先生。
あの朝から、もう十年が経った。
私たち6人の、「剣の兄弟たち」が、不幸な別離を体験することになった
朝から。
シュタイン先生も立ち会われた、あの朝から。
「剣の館」での「同窓会」が途絶えてから、十年が経ったことになる。
丁度今年は、12年ぶりの「大虫干し」だ――あのときのような騒ぎには
ならない、とは思いたいけれど、人手が多いに越したことはない。
久方ぶりの同窓会を、行いたい。私たち「剣の兄弟たち」と、
シュタイン教授とで。
予定としては何時もの、「虫干し」会わせのときと同じ要領で良いと思ので、
手配はしておきましょう。
私たち6人の「剣の兄弟たち」と貴方の友情が、変わらぬものであり続けていることを願う。
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・あまり上質とは言えない羊皮紙の封筒。
切られた封蝋には蝋印すら押されず、署名の類すら無い――表面に「オラン、
魔法学院 シュタイン教授宛」とだけ書かれていた。
・筆跡はシュタイン教授の知るソウガ・シャロウベルのものに酷似している。
・1ヶ月前に届いた。
・巡回商人のボブという青年が、近郊からの他の手紙や荷物と一緒に
運んできてくれたもの。
●鑑定結果
(11以上/ヒノキ、リコリス)
・書いた人物は右利きであるらしい。
・1通目と2通目の手紙の書き手は、別人だと思われる。
・使われている羊皮紙もインクも、ごく普通のものだと思われる。
(13以上/リコリス)
・書いた人物は右利きだろう(少なくとも「右手」で筆記してあり、わざと逆手で書いたようなブレは見えない)。
また、文章全体は、1本のペンのみを使って書かれている。
・この手紙は封筒の宛名、本文まで含めて、同じ人物が筆記していると思われる。
・1通目と2通目の手紙に使われているインクや羊皮紙は、別な産地のものだと思われる。
(15以上/リコリス)
・もしこの手紙と、同じ筆跡の人物が書いた文書とがあれば、同定が可能だろうと思える程度には特徴が把握できた。
・これを書いた人物は、数字の形などから、公文書(しかも貴族階級向けにも対応した)を書くことが多い人物であるようだ。
・既知の筆跡(有名な書物の原本など)で、この手紙の筆跡と合致するものは無いようだ。
・1通目と2通目の手紙は、別人が別な時期に出したと見て、ほぼ間違いなさそうだ。
最終更新:2009年04月14日 11:08