■ギュゲスからの手紙
親愛なるシュタイン殿。
「伊達男」が殺されたと、ジーグから知らされた。
しかも「伊達男」は、きちんと武装していたそうだ。
また、多対1ではなく、1対1で倒されたらしい。
詳しい状況はまだ判らぬが、手慣れの剣士に斬殺されたと見て、
ほぼ間違い無いらしいとの事。
「ギルド」も動いているようだという噂だが、ワシのところには、
さっぱりと話が入ってこない。
鉱脈違いの氏族のことゆえ(人間族風に言うと、畑違いと言うのであったかな?
)
、仕方が無いのかもしれぬが、いちばん近くに住んでいたワシが
今まで知らなくて、しかも情報を集める手立ても無いときておる。
歯痒いかぎりだ。
先月、「同窓会」の書状を送ってきたのは貴殿か?
もしそちらにも届いておるのなら、ワシはもちろん、ジーグもラティも、
あんな手紙は出していないそうだ。
不埒にも「私たち6人」と言い、「今、生きている5人と、シュタイン先生」
で集まろう、と書いてあったし、筆跡が、ワシの知る或る男に似ておった。
ワシらの、6人目の「兄弟」の筆跡にな。
いっそ貴殿のイタズラであれば、気が楽にもなろうものを!
だが、もし貴殿のイタズラでなかったとしたら(そうではないと信じているが)
、くれぐれも妙な行動には出んでくれ。
特に、絶対に「剣の館」を訪れてみよう、などと思わぬように!
冒険者を退いたのは同じ時でも、人間族の貴殿とワシとでは、
重ねた歳の意味が違いすぎるであろうからな!
貴殿の一番の呑み友達、鉄頭のギュゲスより。
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・本文と封筒の宛先は共通語だが、封筒の署名のみが「鉄頭のギュゲス」と
ドワーフ語で記されていた。
筆跡は癖時でかなり読みづらく、筆圧のきわめて高い、男性的なもの。
・今朝早くに届いた。
・キーシュの鍛冶師ギルド→パダの魔術師ギルド→オラン魔術師ギルドと経由して届けられた。
・学院の担当者に確認を取れば、運んできた担当者の名前も調べがつくかもしれない。
●鑑定結果
(10以下/ヒノキ)
・癖時がひどい文面だ……羊皮紙もありふれたものだし、インクも普通のもののようだ。
ちょっと鑑定は、難しそうな気がする……。
(11以上/リコリス)
・書いた人物は右利きであるらしい。
・1通目と2通目の手紙の書き手は、別人だと思われる。
・使われている羊皮紙もインクも、ごく普通のものだと思われる。
(13以上/リコリス)
・書いた人物は右利きだろう(少なくとも「右手」で筆記してあり、わざと逆手で書いたようなブレは見えない)。
また、文章全体は、1本のペンのみを使って書かれている。
・この手紙は封筒の宛名、本文、本文の署名まで含めて、同じ人物が筆記していると思われる。
・1通目と2通目の手紙に使われているインクや羊皮紙は、別な産地のものだと思われる。
(15以上/リコリス)
・もしこの手紙と、同じ筆跡の人物が書いた文書とがあれば、同定が可能だろうと思える程度には特徴が把握できた。
・これを書いた人物は、数字の形などから、事務的な書類を多く書く仕事に従事しているわけではなさそうだ。
・既知の筆跡(有名な書物の原本など)で、この手紙の筆跡と合致するものは無いようだ。
・1通目と2通目の手紙は、別人が別な時期に出したと見て、ほぼ間違いなさそうだ。
(17以上/リコリス)
・これを書いたのは男性、中年から初老(または種族年齢的に「中年から初老」ということ)だろう。
また、文字の形態からドワーフ、或いはドワーフ語で文章筆記をすることに慣れた者である可能性が高い。
・インクと羊皮紙は、パダあるいはオラン近郊で普通に手に入るもの。ただしインクは成分から、パダで買い求めた可能性が高い。
最終更新:2009年04月14日 11:11