俺の目を見てみろ、何が見える?
皆からの尊崇を集める神サマの姿が見えるんじゃないか?
お前の怒りも、夢だって知ってるんだぜ
だが俺はお前のなりたいものやりたい事も全部ヤっちまったんだ
だって俺は人類の崇拝を一挙に集める神サマなんだ
ムッソリーニやケネディみたいな、全人類の憧れのマトなのさ
――リヴィング・カラー、Cult of Personality
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
人は、自分に都合の良い解釈を常に選ぶ生き物である。そして、そちらの方の解釈の方を真実と思い込む生き物でもある。
喧嘩が、あったとする。互角の力量で、埒が明かないと双方共に切り上げて、帰路に着く。その時は、引き分けたと思うだろう。
これが、時が経るとどうなるか。あの勝負は俺の方が良い感じだった、更に時を経れば優勢だったと思い込み、更に時が進むと、あれは俺の勝ちだった。そうと思い込む。
生きている、と言う事実がそうさせる。その時の喧嘩の痛みや傷など当に治り、忘れ去った頃に、そんな事を考えるように人はなる。
――だが最早、目の前の男がそんな事を思える瞬間は、ないだろう。
何故なら彼……セイバーのサーヴァントを召喚したと言うこのマスターは、今この瞬間を以って死絶の運命を辿る事になるからだ。
「う、嘘だ……」
悪い夢に違いない。そうと、続けたそうな顔だった。その言葉が出掛かったその時、声は喉の奥に引っ込み、そのまま胃の中へと落ちて行く。
聖杯に共に到達するのだと、信じて疑わなかった自分のセイバー。それを、ものの数秒で消滅せしめたランサーが、此方に目線を向けたからだ。
良い勝負だったとか、善戦したとか、持ちこたえたとか惜しかったとか。そんなフォローが不能な程の惨敗だった。
明らかに魔力、それも尋常の数ではない回路を保有していなければあり得ないレベルの量を持った人物を発見し、セイバーのサーヴァントが本領を発揮出来る位の広さの空き地にまで誘い込む。
そして、其処に入るや、人払いの術を展開する。サーヴァント同士の戦いだ、人目に触れさせない為である。其処までは、良かった。其処から、戦闘に移った時が、駄目であった。
「……これが、聖杯戦争とやらのレベルなのか? 下らん。二枚羽の天司共の方が、まだマシだったぞ」
傲岸不遜を絵に描いたような、驕慢な態度で男は言った。
偉丈夫である。身長に換算して、180は優に越えて居ようか。くすんだような色味の金髪を長く伸ばしており、顔立ちは端正そのもの。今で言えば、ビジュアル系に相当するだろうか。
身体つきは弛まぬ鍛錬によって磨き上げられた事が一目で分かる、贅肉も無駄な脂肪も一切見受けられない、筋骨の目立ったそれ。特に、岩盤を想起させる胸筋が、人目を引く。
人類史にその名を刻んだ英霊、それこそがサーヴァント。成程、その文句に嘘偽りはない、それが事実である事が一目で分かる立ち居振る舞いとオーラの持ち主だ。
この、傲慢な態度のランサーは、背中から延びている一対二枚の翼を以って、男の従えるセイバーのサーヴァントを葬ったのである。
特別な事は、何もしていない。その翼を器用に、上段からセイバー目掛けて、叩きつけただけ。たった、それだけだ。
それだけでこのランサーは、そのクラス名が指し示す通り剣の宝具で攻撃を防御しようとしたセイバーを、防御に用いたその宝具を脳天に減り込ませながら、そのまま潰してしまったのである。
悪夢だと、現実逃避したくなる。セイバーは恐らく、自身の身に何が起こったのかすらも気づかなかったのではあるまいか。
攻撃を受けたセイバーは、体外に骨や内臓を飛び出させながら、身長が半分以下に縮まってしまい、そのまま金色の粒子となって消滅した。
ここまで、目を覆いたくなる程に残酷で、圧倒的な瞬殺があろうか。聖杯に到達する、と言う展望は、一夜の夢よりも脆く儚く散ってしまったのだ。
「見くびるな。私にとっても貴様にとっても、聖杯戦争は未知の事象の筈。知らぬ、と言う事実を受け止めろ」
ランサーの傲岸な物言いを窘めるのは、彼の手綱を握る者。即ち、マスターに相当する人物だった。
若い。顔立ちは大人びていて、老成したような雰囲気すら感じられるが、肌の張りと、顔自体に残る何処とない幼さは、言い繕いようがない。彼はまだ十代も半ば程の年齢だろう。
流暢な日本語を喋る一方で、目鼻立ちは明らかに日本人ではない。と言うより、アジア人の顔立ちにとても見えない。
美形である事は間違いないが、それはアングロサクソンとかスラヴ寄りの美形である。髪の色も、日本人特有の黒髪ではない。
染めているとしか思えないがしかし、染色特有の不自然さがない銀髪だ。地毛なのだろうか。
男が、ランサーの主従に戦いを挑んだのもひとえに、あのマスターの若さがあったからだ。
あの程度の若造、何するものぞ。そんな心が何処かにあったのだろう。加えて男は、魔術が飛び交う場での殺し合い、その場数も踏んでいる。実戦経験が、即ちあるという事。
ならば勝つのは己だとタカを括っていたのだが、結果はこれなのだから、つくづく笑えない。……いや、もう本当に、笑えなくなる。
――ならばせめて!!――
男は魔術師でもあるが、同時にリアリストでもある。
一刻一秒を争う殺し合いの場に於いて、指を動かせば簡単に相手を殺せる道具、と言うものの利点は計り知れない。
そして、現代を生きる我々は、そのような道具の存在を、大の大人から小さな子供に至るまで、知っている。銃、である。男はそれを懐に隠し持っているのだ。
性根は確かに魔術師であり、常ならば科学とは無縁の生活を送り、多くの魔術師と同じように科学を下に見てはいるが、それでも、科学にも利点がある事は確かに認めている。その証左こそが、この帯銃なのであった。
魔術で強化した身体能力からくる早打ちには自信がある。
実際、魔力の温存と節約の為に、このクイックドロウの技術で犠牲になった魔術師達も、少なくない。男としては磨き上げた自慢の技であった。
スーツの裏側から拳銃を取り出し、照準を合わせる事もせず発砲しようとする。合わせる必要はない、放ったその時が、命中する時とイコールなのだから。
……だが、弾丸が放たれる事は、終ぞなかった。
音を置き去りにする程の速度で、横なぎに振るわれたランサーの翼で、男はわき腹から撃ち叩かれ、ブチブチべきべきと。
肉と骨とが嫌な音を立てて、断たれ潰され。そのまま上半身が宙を舞ったからである。
男は、ランサーの羽が、鋼で出来ていた事を、遂に知る事はなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……ふむ」
『
峰津院大和』は、召喚されたそのサーヴァントを見て、一目で『大当たり』の部類だと言う事を見抜いた。
大和は、網膜に映し出されたそのサーヴァントのステータスだけで、当たりだと判断する程底の浅い男ではない。勿論、ステータスそのものが高いと言う事実から、判断したのも嘘じゃない。
だが現世に於いて、およそ並ぶ者等いないレベルで、悪魔召喚とその使役に練達しているこの男にとって、悪魔の資質を見抜くと言う眼力とは備わっていて当たり前のもの。
その眼力が告げる。このサーヴァントから発せられる威風と、立ち居振る舞い、そして何よりその霊性。全て、上位の悪魔に備わるそれと何らの遜色がない。
……そしてその、上位悪魔に特有の、人間を人間とすら思わぬ、尊大な態度ですらも。
「……」
腕を組むその金髪の男――ランサーは、見下している。目深に被った漆黒のローブ。其処から覗く瞳に宿る光はゾッとする程に、冷徹かつ、冷酷。
命を、それこそ聖杯戦争に於いて一蓮托生の間柄のマスターの命でさえも、量り売りにされている豆の粒一つの価値すらないとでも、断言しそうな目と態度だった。
「そのような態度を、これから使役する存在に取られたのは……幼年の頃以来だな。私が初めて悪魔を使役した時だ」
「貴様の身の上など、余にとってはどうでもよい」
ランサーが口を開いた。やはり、態度に違わぬ威圧的な声。但し、張りぼての虚勢ではない。その威圧に足るだけの、『力』が確かに漲っている。
「二度は言わぬ。肝に銘じておけ、羽虫。余は貴様のサーヴァント(奴隷)ではない。主君(ロード)と知れ」
「言いたい事はそれだけか?」
「重ねて命じる。その、値踏みをするような目をするな。その髪の色が……気に喰わぬ顔を思い出させる」
こちらの命令の方が、私怨の色が濃い。最後の方の言葉には、怒りが滲んでいた。
「優秀な者の頼みとあらば、成程。私の信条の上で、要求を熟慮せねばならない。が……それも程度と態度によりけりだ」
「態度だけは立派な羽虫だ。簡単に潰されるような分際で、羽音だけは大きいと来る」
「私自身、褒められた人間ではない。羽虫呼ばわりも、まぁ流そうか。だが、召喚早々、名乗りすら上げぬ貴様はなんだ? その口は、聞いてもいない言葉を垂れ流すだけの飾りか?」
ランサーの身体に、殺意が凝集されて行く。
裡に溜められたその恐るべき鬼気が発散された暁には、この世に何が起こるのか。想像も出来ないし、したくもなかった。
「おっと……私の方がまずは名乗るべきだったな。峰津院大和。それが私の名だ」
大和の名乗りに対し、数秒は、沈黙で以て受け止めるランサー。しかし、ややあって口を開き――
そう言った。
「私の知る知識の中でのベルゼバブとは、随分と姿が違うな」
これについては本心から大和は言っていた。
古今東西の悪魔……神話や伝承の中での存在について知悉している大和にとって、ベルゼバブの名は、知らない方が恥をかくレベルで、有名な悪魔であった。
それに、名乗る事を躊躇する名前ではないではない。少なくとも大和は、目の前のランサーが、ベルゼバブの名を名乗る事に、力不足を感じていない。十分過ぎる程の説得力があるとすら、思っている。
「ベルゼバブ。蠅の王であり、魔界の君主の一人だ。ルシファーに次ぐ実力――」
そこで、ベルゼバブは溜めていた殺意を開放した。
殺意の発露は、視認不能な速度で背中から生えた金属質の翼と言う形で現れ、影すら映らぬ速度でそれは振るわれ――大和の首筋で、止まった。
当たるまで、1㎜もない。当たっていたら、首が折れるどころの話ではないだろう。それは凄惨な死に方が、大和に約束されていた事は間違いない。
「今、三つ目の命令が浮かんだ」
「欲が深いな」
「二度と、ルシファーに次ぐ等と口にするな。殺す」
嘘も裏もない。本当に、次はない事を実感させる言葉の重みだった。
恐らく次に、そのような事を口にすれば、聖杯への到達可能性すら捨てる程の覚悟を以って、ベルゼバブは大和を殺しに掛かるだろう。
その意思の強さを、確かに大和は受け止めていた。そのような脅しを受けても、大和は物怖じ一つしていない。冷厳な瞳で、ベルゼバブをジッと見つめているだけだ。
「それが君の矜持であり、触れてはならぬ所だと言うのなら、了解した。二度と口にする事はないと誓おう」
気まぐれの権化である悪魔と付き合うと言う事の意味を理解している大和は、悪魔にとっての超えてはならぬラインと言うものも理解している。
サーヴァントにとってもそれは当然のように設定されている事も理解していたが、成程、此処までの重みかと。初めて今理解した。命を失わず、脅しだけで済んだのが、儲けものだ。
「羽虫。貴様は、聖杯と言う物が何か、理解しているのか?」
「私の知る聖杯とは、勝手が大分異なるが……知識としては知っている」
イエスの血を受け止めた聖なる杯、と言う前提は大和も理解している。そして、それ自体が埒外の神秘を秘めた聖遺物である事も、また。
だが、願いを叶える願望器としての側面がある事は、初耳だ。そのような異聞や異伝の類は、寡聞にして聞いた事がなかった。
「では、聖杯に懸ける願いは」
大和は、聖杯の機能については懐疑的である。
自分の知る聖杯の情報とは余りにも似て非なるものであるし、何よりも万能の願望器と言う謳い文句が疑わしい。美辞麗句で相手を釣るのは、人だけではない。疑ってかかるのは当然だ。
だがもしも、殺し合いに勝ち残れば、如何なる願いが叶うと言うのなら? それならば、大和の答えは、一つである。
「真なる実力主義の世界の実現。既存の権益や利権を全て白紙に戻し、家柄や身分、年齢などの差を徹底的に撤廃し、全てを平等にした後で、能力に秀でた者が頂点に立てる世界を打ち立てる」
大和から見た現在の世界は、腐っていた。
国家を霊的に守護する事を旨とする峰津院家に生まれた事、そしてそれに相応しい英才教育を受けて来た事。其処には恨みはない。
だが、彼が命を賭して守ろうとしている物は、何だったか? 既得権に肥え太り、守られる事を当たり前と考え、金と自分を守るSPが居なければ安心して生活する事も出来ぬ、腐りきった権力者。
そんなものの為に大和は自分を磨いている訳じゃない。そして、世の不平等に気付かず、気付いていながらも俯きながら日々を過ごす無知蒙昧で惰弱で臆病な民の為に戦っている訳でもない。
そんな世界を変えるのならば。変えたいと思っても、そのやり方を知らぬのなら。
峰津院大和は、私が全てを背負って立ち、私が代わりに変えてやると本心から思っていた。
だからこそ大和は元居た世界で、世界の改変すらも可能とする『ポラリス』に目を付け、その為の布石を打っていたのである。
……結果として、何の因果で選ばれたのかは解らないが、大和はこうして界聖杯なるものが存在する異世界の東京に呼び出され、聖杯を巡る戦争を行わねばならなくなったが、別に良い。
どの道、ポラリスを目指すと言う目標もまた、艱難ばかりの道であった。その艱難の方向性が、変わっただけ。
しかも聖杯戦争は、足手まといの数が極端に少なく、勝ち残りさえすれば手に入ると、極めてシンプルな
ルールである。
こちらの方が、寧ろ簡単であるし、実力主義の世界を唱える大和にとっては都合が良い。
大和は本気だった。今言った夢は、譫妄の末に口にした戯言ではない。
可能性は低くとも、確かな理論とチャートに沿えば、絶対に実現出来る夢なのだ。だから、本気がある。嘘であると、誰もが思わない、思えない。
つまらぬ夢だと切り捨てようと考えていたベルゼバブも、その行動を撤回した程に、大和の信念は強固だった。
「その世界での頂点とは……何者だ?」
「誰でもない。私ですら、実力が足らねば淘汰される覚悟でいる。尤も、私が頂点である事に疑いはないつもりだが」
「その覚悟は……本物のようだ。だが、貴様は二番目だ」
「……では、頂点は?」
其処でベルゼバブは、フードを外し、顔を全て露わにした上で。不敵な笑みを浮かべて、こう言った。
「余である」
それが、世界の真理や公理であるとでも言うような語調であった。
「余が求めるのは圧倒的な支配よ。余が万物万象の上に君臨し、真なる最強となった上で、遍く力を管理する」
要は、世界征服だ。
およそこれ程馬鹿馬鹿しい願いがあろうか。本来ならば、子供の内に卒業していなければならない願望だ。
それを、この男程の強さと精神的な強度の持ち主が、本気で主張していると言うのだから始末に負えない。
しかしシンプルでかつ、大人であっても、叶うのならばそうしたいと言う願いである事もまた、間違いない。
結局人が世界征服を諦めるのは、そうするだけの力が当然備わっていない事と、何よりも、管理する事は難しく、そしてその対象が世界の全てとなれば、綻びが出て破綻する事が目に見えているからだ。
そんな不可能ごとを、ベルゼバブは、単純に己の力が最強なら、綻びも起こる筈がないだろうと思っているのだから、狂っていた。
狂気の度合いがシンプルで、それ故に付け入る隙もなく、強度も高く。成程、サーヴァントとして召喚されるに相応しい、難物であった。
「聖杯に辿り着く前に……機会はいくらでもあるだろう」
「何の機会だ?」
ベルゼバブの問いに、大和は、不遜な笑みで返した。
「どちらが上か、よく解る事がだよ」
そして、そのポジションは自分なのだと、疑わぬような笑みの大和だった。羽虫の戯言と、ベルゼバブはその言葉を受けてせせら笑った。
聖杯戦争本開催の数日前。
峰津院財閥現当主、峰津院大和の私室での出来事であった。
.
【クラス】
ランサー
【真名】
ベルゼバブ@グランブルーファンタジー
【ステータス】
筋力A+ 耐久A++ 敏捷B 魔力A 幸運D 宝具A++
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。事実上、現代の魔術師ではランサーに傷をつけられない。
【保有スキル】
特異点:B
世界の中心にして進化を加速させる特記人物。世界の運命を左右させる役者そのもの。
その世界観の中に於いては非常に強い意味を持ち、因果や運命にすら作用するものであるが、当企画では多種多様な世界観の人物が入り混じる上に、
そもそもランサーがいる世界群とは全く異なる世界である為か、元の世界程大それた意味は持たない。
その為今回ではこのスキルは、あらゆる状況に於いて優先的に有利な判定が舞い込む程度のものとなっている。また、本来的な意味での真なる特異点は別に存在する為、彼らと比してそのランクは落ちる。
唯我独尊:A+
天上天下唯我独尊。我こそ最強、我こそ至高。それ以外の者は取るに足らない羽虫同然。
異常なまでの自己愛とエゴイズム、そしてその凄まじい精神的強度と、それを維持する不撓不屈の精神性。そのメンタリズムは、世に名を轟かせる聖人や独裁者達のそれと比較しても遜色ない。
同ランク以下の精神攻撃を完全に無効化し、またスキルランク相当の勇猛スキルを兼ね備える。
無窮の武練:A++
ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。
2000年もの永きに渡り戦いを続ける事によって獲得した経験値は、単純な肉弾戦に限って言えば、他の追随を許さぬ程のレベルにまでランサーを昇華させるに至った。
戦闘続行:A
往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
生きているのが不思議な状態であったにもかかわらず、その状態から、当代きっての戦闘能力の持ち主達の連携を容易く凌いだばかりか、圧倒した事もある。
星晶獣:A-
数千年の昔、彼方よりやって来た星の民と呼ばれる種族によって創造された、星の民に対しての奉仕種族。星晶獣であるかどうか。基本、作成時期が初期に遡れば遡る程高位の星晶獣である。
ランクAは星晶獣の中でも最高位、即ち最初期に創造されたグループであるところの、天司と呼ばれる者達に相当する。
通常星晶獣は人智を超えた身体スペックや戦闘能力を発揮するのもそうだが、各々が司る権能のような物を振るう事が可能。
天司はその権能の中でも、極めて広範かつ根源的な要素について力を及ぼす事が出来る。ただランサーは、その天司型星晶獣の中でも特に上位のスペックの星晶獣コアを埋め込まれている。
つまりランサーは成り立ちからして純正の星晶獣ではなく、彼らの活動を保証するコアを埋め込まれ、後天的に星晶獣の要素のみを獲得した存在となる。
それ故に星晶獣の持つ権能を振るう事は出来ず、代わりに星晶獣としての要素は、任意で展開可能な鋼の翼及び、類稀なる耐久ステータス。そして、即死攻撃への耐性と言う形で表れている。
また、元が星晶『獣』と言う存在の為か、サーヴァント化した今では獣に対する特攻を受けるようになり、同時に、ランサーに埋め込まれた星晶獣のコアは『天司』のそれでもある為か、天使と呼ばれる存在への特攻も受け付けるようになってしまった。
【宝具】
『滅尽滅相・混沌招来(ケイオスマター)』
ランク:A++ 種別:対人・対摂理宝具 レンジ:10 最大補足:1~10
ランサーが生前振るっていたとされる槍であり、2000年もの間、幽世の者達が蔓延る赤き地平に於いて絶え間なく戦い続け殺し続けた結果、その槍が変質したもの。
厳密にいえばケイオスマターとはこの槍の銘でも名前でもなく、星の民の間で用いられていたある種の学術用語であり、それがあると仮定すれば、
理論の話を進めやすいと言う理由から使われていた、理論上存在はするだろうがその実在を誰も観測出来なかった、代数のような存在。今でいうダークマターとかと同じものだった。
つまりこの宝具は、その机上の空論の中での物質が、ランサー自身が幽世の者と戦い続けた事により実在を証明されてしまった存在と言う事になる。
その本質はあらゆる因果や摂理を侵食し、腐らせる事にある。創造主によって不滅や不死が定められている存在ですら、この槍に貫かれ致命傷を負えば死亡ないし消滅が確約される。
ランク以下のあらゆる加護・防御・再生・不死などに纏わるスキルを無効化するだけでなく、粛清防御や因果に作用して攻撃を防ぐ類のものすら判定と内容次第で貫通する。
生前この槍を用いて、原初の星晶獣にして不老不滅の存在である、天司長ルシフェルを殺害した逸話から、ことに不死・不滅の存在に対しては特攻以上の効果を得、
獣性や神性スキルを保有するサーヴァントや存在について、追加のダメージやクリティカル等の判定を得る。
またこの宝具はランサーの意思で、槍の一部を欠けさせ、そこから違う武器の形、双剣や大鎌と言った形に変形させて任意の存在に分け与える事が可能。
勿論その分け与えた武器もまたケイオスマターである為か、この宝具と同等の性質を得る事となる。但しケイオスマターは、ランサーをして貴重な代物と言わせしめるものであり、
分割すればその分槍のサイズも縮小される。故に、ランサーが計画上与えた方が良いと考えた存在にしか、ケイオスマターの分譲は現状行わないであろう。
『漆黒の棘翅(バース・オブ・ニューキング)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:10 最大補足:1~10
天司型の星晶獣のコアを埋め込まれた事によってランサーに発現した、重厚そうな雰囲気の鋼の羽。
見た目通りの堅牢さを誇り、ランク以下の宝具では傷一つ負う事もなく、それ以上の攻撃力や威力の宝具攻撃にしたとて、破壊される可能性は相当に低い。
魔力によって負った傷は回復に当てる事が出来、物理的・魔術的な攻撃に対する防御能力は圧倒的。
また防御能力と同じかそれ以上に、攻撃能力にも秀でており、見た目通りの重量を誇るこの羽を高速で叩きつければ大抵のサーヴァントは致命傷或いは即死。
少し離れた所で、羽そのものを超高速で射出させる事でダメージを負わせるなど、遠近共に隙がない。またこのような空気・飛行・航空力学的にも飛翔は不可能な羽であるにもかかわらず、これを用いて空を飛ぶ事も可能となっている。
だがこの宝具の真価は別にあり、ランサーはこの宝具から舞い落ちた羽を使う事で、武器を創造する事が出来る。
この宝具によって創造された武器は、ケイオスマターで生み出された宝具とは違い当然の事、因果や摂理に対する侵食効果はない。
また、武器をいくら創造したとて、この宝具に関して言えば元のスペックから弱体化はせず、武器の元となる羽を生み出す魔力と、その羽を武器に形成するのに必要な魔力の消費のみ。
この羽で作られた武器はアストラルウェポンと呼ばれ、地水火風に闇・光のそれぞれ6つの属性を内包しており、手にした人物の筋力ステータスをワンランクアップさせ、+の補正を一つ追加する。
本来このアストラルウェポンもまた、然るべき手順を踏んで強化をすれば、高ランク宝具そのものに至るのだが、現状その強化手段はないので、極めて便利な礼装程度に使い勝手は留まる。
……完全な余談だが、ランサーは、自分の羽が武器の強化に使われ、それがアストラルウェポンだとか呼ばれている事実を、サーヴァントになって初めて知ったらしい。
思い当たるフシはあるらしく、しかもそんな事をやりそうだと言う人物も、一人だけ知っていると言う。
【weapon】
滅尽滅相・混沌招来:
上述の宝具。三次元空間にその姿はなく。ランサーが出ろと思えば、空間を突き破るようにして出てくる。
漆黒の棘翅:
上述の宝具。任意で展開が可能で、その場合背中から、突き破るようにして出てくる。
【人物背景】
空の世界に突如として現れたインベーダーである、星の民。
その軍勢を率いる司令官で、星の民の統括的意思決定機関、『最高評議会』とつながりがあった人物。
過剰なまでに力を求めた人物で、それを以って世界の頂点に立ち、全てを支配する、と言う極めて明白かつ解りやすい目的を掲げていた人物。
幾度の敗北を経てなお、不屈の闘志で立ち上がり、その度に地道な積み重ねで実力をつけていった、ある種の努力家でもある。
【サーヴァントとしての願い】
最強になって世界に君臨する。書いてて思ったけど頭わるわるか?
【マスター】
峰津院大和(ほうついんやまと)@デビルサバイバー2
【マスターとしての願い】
完全なる実力主義世界の樹立
【weapon】
【能力・技能】
悪魔召喚術:
大和、即ち峰津院家は代々日本国の守護を日陰で負い、それを忠実に果たしてきた家柄である。
特に悪魔召喚の技について造詣が深く、作中日本国以外の国家が悪魔召喚を利用して来たかは定かじゃないが、それを抜きにしても、その実力はトップクラス。
大和の時代では携帯に落とし込んだ特別製のアプリで召喚する事が多く、大和もまたそれに倣っている。
原作では悪魔召喚プログラム(COMP)を利用して主人公達は戦うが、今回の大和は参戦の時間軸の都合上、そのプログラムを持たない。また所持する悪魔も、聖杯戦争の制限から、魔獣ケルベロスの1体にとどまる。
地脈操作:
峰津院家が恐らくは最も得意とする技術。霊脈の管理及び操作に極めて長けており、これを最大限に利用した陣地作成こそが峰津院家の真骨頂。
下手なキャスターよりも霊脈・地脈の管理運営は得意であり、作中ではその埒外の権力も相まって、日本国全体に、避けられ得ぬ滅びの一撃を防げる程の強固な結界を張る事に成功していた。
当企画では流石にロールの都合上、其処までの規模の陣地は展開不能だが、それでも、主要な地脈や霊脈は優先的に抑えられるかもしれない。
魔術:
当然魔術師でもある為行使可能。
科学知識:
英才教育の賜物。現生世界最先端の科学技術や医療知識、コンピューター技術にも造詣が深い。
【人物背景】
ジプス局長を務める17歳の少年。ジプスの創始者一門である峰津院家の嫡男。傲岸不遜な性格で、惰性と保身に腐心する「弱者に甘んじる人間」を激しく嫌う。
悪人ではなく、強者には敬意を払ったり高い権限や活躍の場を与えたりする。
本編開始前の時間軸から参戦。ロールは峰津院財閥の当主。
作中ではジプスと呼ばれる組織の長であり、私用の新幹線を所持していたり、日本全土の土木建築に口出しし、優先的にその要求を叶えられたりなど、規格外の権力を誇っていた。
が、勿論今回の企画ではそれ程までの権力はない。
【方針】
勿論勝利のみ。ただ、場合によっては、力あるものの存在を認め、手元に置く事も考えている。
最終更新:2021年06月03日 21:06