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魔法少女達の七夕祭 ~ 紅の館の人形


「今日は七夕ね」

主人はさも興味無さ気に本に目を落としながら呟いた。

「昨日も言われてましたね。
今ではそれに擬えた『恋人同士の特別な日☆』みたいになってて、彦星や織姫なんて、眼中に無い人ばっかりです」

と言う私も、そんな認識をしている。
一応、星空を楽しむ予定がルーミアと入っているのだが。

「そうね。そうして外の世界から、天の川は幻想になったわ。そうして、幻想郷からも消え様としている」

主人は変わらず、無関心そうな声だ。

「パチュリー様はどうです?私も世間一般的な認識しかしてないのですが…
まあ、恋人が居たりはしないので、関係無いのですが」

しばらく間があった後、主人は私の顔を見ながら言葉を返した。

「そう、あなたもそう思うのね。
そうか、なるほど」

普段は感情なんて見えない、と言うよりは端から込められていない主人の言葉だが、この時ばかりは「笑」の感情が読み取れる。

「えっと、私何か変な事言いました?」
「いいえ、貴重な意見よ。参考になったわ」

何の参考になったのかわからないが、怒られる訳では無いらしいので、一安心だ。
しかし、一息付くとやたらと心臓が早鐘を打っている、正確には打っていた事に気付いた。
別に主人に恐怖していた訳では無いのだが、不思議だ。

「そう言えばパチュリー様、魔理沙さんって人形を集める趣味ってあります?」
「まさか、そんな少女趣味してないわよ。あいつは」
「そうですよね。それじゃ、この魔力…人形が独りでに来たのかしら…」
「え!?それ、どういう意味!?」

主人は血相を変えた。
割りに学者気質なため、予想外の事態には弱いのだ。

「あー、パチュリー様みたいな高位の魔法使いだと、こんな微弱な魔力反応、掻き消してしまうんでしたよね。
どうやらアリスさんの人形が来ている様なんです。それも人形だけで。
多分、こっちに向かっていると思うので、迎えに行きましょうか?」

私も大分魔法の腕は上がったと思うが、まだまだ主人には追いつけそうも無い。

「え、ええ。お願いするわ」

やっと落ち着いた主人は本に目を落とした。

「了解しました」

本日、初の図書館からの外出だ。
私は基本、図書館を出るだけで外出と言うようにしている。
事実、出ない日が珍しくないのだ。


廊下に出て、少し歩くとすぐにメイドに出会う。
数だけは恐ろしく多い。仕事ぶりはともかく。
それらのきまぐれなメイド達は、皆妖精だ。
妖精は、微弱ながら魔力を持ち、強い者に至っては魔法を使えたりする。
また、そうでなくても魔力感知能力は高いのだ。
これ等は全て、自己防衛手段なのだろう。
もっとも、妖精は死なないのだが。

「こんにちは」

床のモップ掛けに精を出している妖精メイドに軽く声を掛ける。
掃除はほとんどメイド長がしているのだが、珍しい事もあるものだ。

「あ、お勤めご苦労様です。司書様」

ちなみに私の名前は、主人とルーミア以外は知らない。
お嬢様やメイド長には「小悪魔」と呼ばれ、メイドからは今の様に「司書様」と呼ばれている。
とりあえず、私はメイド以上、メイド長以下の存在の様だ。
十二分に良い身分なのだが。

私が考える素振りを見せたからだろうか、全く関係無い事だったのだが、律儀にもメイドは掃除の手を止め、こちらを見てくれている。段々とそのにこやかな顔が何か怒られるのでは無いかと言う、不安な顔に変化しつつあるので、早急に安心させてやる。

「今、明らかに異質な魔力が館に入り込んでいるでしょう?
その詳しい場所、特定出来るかしら?」

こんな口調で喋る相手は、彼女等メイドとルーミアぐらいだ。

「はい、えーと…あ、意外とこの近くです。
メイド長の自室の前辺り、ですね」

メイド長に見付かると分解され、マリオネットか殺人人形にでもされかねない。
それだと気の毒だ。出来るだけ早くに救出する必要がある。

「そう、ありがとう。
あなた、名前は何と言ったかしら?」

ここ幻想郷にチップなんて無いが、それとなくメイド長にこのメイドの働きぶりを知らせるぐらいは出来る。

「えっと、トルシェって言います」

「じゃあ、トルシェ、お掃除頑張ってね」

掃除している所を歩いたら悪い、羽を羽ばたかせ、少し宙に浮かぶ。


どうやら、私は同じワインレッドの髪をしたそのメイドの事が気に入ったらしい。
私はさっき、珍しい事だと思ったが、このメイドはいつも真面目に働いている気がした。






続く



あとがき

名前付きのメイドが居ないのに、咲夜がメイド長なのが何所か気持ち悪くて、ならばと勝手に登場させてみました

ちなみにナイフは紅魔館のメイドの標準装備ではありません









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最終更新:2008年07月24日 13:10