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ドッペルゲンガー - (2020/01/25 (土) 02:17:23) の編集履歴(バックアップ)


【種別】
サイボーグ・通称


【初出】
とある科学の超電磁砲 第85~86話

【解説】
操歯涼子が行ったサイボーグ実験時、肉体を繋ぎ合わせた後に産み出された『もう一人の操歯涼子』。
機械にしてヒトの魂を宿したとされる存在であり、経緯上肉体は完全な機械。
人工皮膚を纏った後、身体のほとんどは浅黒い肌色をしており、頭部の右部分や左足の一部は白い肌をしている。
「魂の憑依」を発揮するようになると、皮膚の色は全身褐色になり頭髪は真っ白く変色した。
操歯涼子とは色彩が対照的であり、白黒のツートンの髪色や肌の色が逆になっている。口調はほぼ同一だが、冷徹な一面を見せるのはドッペルゲンガーの特徴である。
知能は人間のそれと何ら変わらないが、機械であるためそのパワーや体重は常人離れしている。

肉体と魂は本来結びついていて、肉体の機能停止と同時に、魂もまた消滅する。
しかしドッペルゲンガーに魂が宿っているとするならそれは機械の身体という器に収まっているだけであり、
器が破壊されれば枷が外れることになり周囲に拡散してしまう。
この通常ならばありえない「自由な魂」はあらゆるものに憑依し、
最悪の場合、学園都市そのものさえ呑み込む可能性すらある・・・というのが、
操歯涼子がドッペルを危険視している理由である。

無論、周囲の研究者達にもこれを伝えたようだが、『魂の生成』という前人未踏の成果に浮かれる彼らは耳を貸さなかったらしい。
その性質上、物理的な破壊は避けるべきとされているものの、操歯涼子が開発した自己保存機能(セーフティ)を有しているため、
ドッペルが自らの手で自分の肉体を破壊する事はできない。

実験後、一ヶ月ほどは自分を人間、つまり「操歯涼子」と認識して缶詰生活を送っていたが、次第に記憶の齟齬や矛盾に気付き始める。
高層ビルの外壁を爆破、研究機関のデータの大半を巻き込んで復旧困難に追いやった上、ビルから飛び降りて脱出を計った。
その際、落下のショックでGPSや瞬間接着拘束機能のみを計算して機能不全に至らせている。
研究機関から脱走した後は本物の操歯涼子の所在を探し出して、その命を狙うも、
研究所からの回収依頼を受けた屍喰部隊の襲撃を受けて、一時は捕縛される。
この際、清ヶがドッペルに向けて叩き落とした金属板を何らかの方法で逸らしている。
しかし、直後にナルが能力で抑えつけていたにも関わらず、何故か紙片の拘束は自然と解けて、側にいたリーダーの少女の片腕を掴んで折ってみせた。
窮地のリーダーを救うべく、攻撃を仕掛けたナルの一撃で右腕と頭部の右半分を喪失したが、自分で自分を壊せないドッペルはこれを狙っていたのか、直後に笑みを浮かべていた。

撃破されたと思われたドッペルゲンガーは喪失した部分を周囲の物質を取り込んで修復。
ナルの紙着包みの一部を取り込み、薬丸が放った薬品で動きを一時的に封じられるものの、結果的に『屍喰部隊』を撤退に追い込んだ。
その後、リーダーの少女によって美琴を暗部の素性を隠した上で協力を取り付ける事に成功し、ドッペルゲンガーの追撃が行われるも、
超能力者である美琴を苦戦させ、さらには周囲の物質を続々と取り込んでいき、60m規模の巨大な瓦礫の巨人を作り上げるにまで至っている。

「ヒト」らしいその振る舞いは、実際には魂が宿ったわけでは無い。
操歯涼子の行った人体の分割・再接合実験の恩恵で、一年間サイボーグ技術に秀でた操歯涼子の脳と同化し、
発想力と想像性を1年に渡って学習し続けていたことで「ヒト」としての思考パターンを学習したに過ぎない。
「感情」さえも学習してはいるが、それはただエミュレータのように再現しているだけである。
ただし人工知能ゆえにその演算速度、シミュレーション能力は人間の比ではなく、非常に高い知能を持つ。

ナルの念動力で操る紙、瓦礫や、高圧ガスホルダーなど、あらゆる物体に干渉する「魂の憑依」を発揮していたドッペルゲンガーだったが、
その正体は、自ら開発した
「自己増殖し、物質の内部にマイクロレベルで食い込み操る、蟻の寄生菌と粘菌の特性を合せ持つ人工筋肉」。
ある種の粘菌と大型草食動物の筋組織を組み合わせており、水・空気と僅かな光さえあれば爆発的に増殖するが、成長しきってしまえば数時間ほどで劣化が始まり枯れてしまう。
全体を取り込んだ上で直接的に操作できるため、美琴の磁力操作を上回るほどの支配力を持つ。
(ただし鉄骨など「金属のみ」で構成されているものでは磁力操作が打ち勝つ)
また、距離による影響力の減衰もなく、どんな物質にも干渉できる応用力もあり、出力と汎用性においては並の能力者を超えている。
物質を取り込むことで破損個所を再生、さらには巨大な瓦礫の巨人を作りだし大質量攻撃を可能とする。また、瓦礫を組み合わせて作った人型のデコイをばら撒き、撹乱も出来る。
物質を操るため基本的に「糸」の状態で行使するが、元が筋組織のため束ねて物体にすることも可能。
作中では服やドリル、槍などの武器、自身のデコイなど、様々なものを作成した。

そんなドッペルゲンガーの真の目的はいわゆる自殺。それも、自らの痕跡を残さない完璧な自殺である。
まずは再び自分を組み上げる可能性のある操歯涼子を殺害し、自身と自身を再構築できるデータをバックアップしている飛行船を破壊するというのが彼女のシナリオ。
ただし、彼女や飛行船には自身を破壊できない自己保全機能が備わっていたため、高圧ガスホルダーを使い、学園都市の迎撃システムを利用して自身と飛行船を跡形もなく破壊させるはずだった。

戦闘中言葉を交わしていく中で美琴はその事実に気づき、「このまま生き続けることはできないのか」と提案するが、
ドッペルゲンガーは「魂を持たない事を嫌というほど教えてくれる」「この姿で存在し続ける事が苦痛なのだ」と告げて美琴に介錯を託した。
飛行船は、美琴が生み出した巨大な雷雲から放たれた一撃により完全に破壊され、ドッペルゲンガーも半壊の胴体と頭を残すのみとなる。

直後に現れた研究所の所長は、美琴から「魂は存在しない」という事実を告げられ錯乱。
あまつさえ操歯涼子を人質に取り、ドッペルゲンガーの引き渡しを要求する。
「魂を持たない歪な自分に苦しみ続け、自ら機能停止する道を選んだ」というドッペルゲンガーの苦悩を知った操歯は、その尊厳を守るべく所長の説得を行う。
その際に揉み合いになり、所長が誤って操歯を発砲。内蔵を損傷した操歯に命の危険が迫るが、
ドッペルゲンガーは「その女専用に設計された人工臓器(サイボーグ)がここにある」と告げ、途切れながらも、最期に操歯を救うための言葉を遺しながらその機能を停止した。

その後、内臓の一部をドッペルゲンガーが遺したものと置換することで事無きを得たようだが、
何故かドッペルゲンガーの意識は涼子と共生することとなり、彼女の夢の中に現れるようになった。
事態が収束した後、病室における美琴と操歯涼子との会話で「ドッペルゲンガーの稼働期間の中で唯一 君との戦闘は充実したものだったようだ」と伝えられている。

【口調】
操歯涼子と同じく年にそぐわない大人びた、理性的な話し方。
「人の思考は脳に宿る 命は心臓に宿る 感情は顔に宿る」「なら――身体から魂を追い出せば空きができると思うかい?」
「・・・さあな どちらにせよオマエという存在が消えることには変わりはない」 
「ただ駆動し続けることが 機械にとっての幸せと思うなら それは人間のエゴだ」