【種別】
地名
【初出】
一巻
【元ネタ】
アニメ各シリーズで共通化されている街並みは、東京都立川市の立川駅周辺および多摩市の多摩センター駅周辺がモデル。
『超電磁砲』原作版では同じく東京都町田市の町田駅周辺が背景モデルとして描かれる。
いずれも作品設定上の「学園都市」のエリアに含まれる地域。
【概要】
東京西部(いわゆる多摩地域)に位置する、最先端科学技術を研究・開発している完全独立教育研究機関。
とあるシリーズの主要な舞台。
「記憶術」や「暗記術」という名目で
超能力研究、即ち「脳の開発」を行っている。
総人口は230万人。
そのうち約8割(=180万人)は学生である(※下記【余談】の節も参照)。
設立の目的は、「
人間を超えた身体を手にすることで神様の答えにたどりつく」ことらしい。
大勢の学生を集めて「授業の一環」として脳の開発を行っており、学生の数は総人口の8割に及ぶ。
学生たちは原則的に親元を離れて都市内に居住し、都市内にある学校に在学しなければならないため、
学校や学生寮などの数も半端ではなく、教育機関を中心とした造りから「学園都市」と名付けられている。
能力開発以外の科学技術もぶっ飛んでおり、最先端の技術を実験的に実用化・運用しているため、
外よりも2, 30年分ぐらい文明が進んでおり、機密漏洩防止のため厳重な警備が敷かれている。
【政治・行政】
建前の上では日本の一都市であり法令も日本のものが適用されるが、
内部はほとんど治外法権状態であり、実質的には日本と異なる一つの独立国家である。
日本政府の意地で学園都市独自の法令は全て条例として扱われているが、司法についても独立性が高く、
作中では日本国の司法制度の一審に相当する、
学園都市汎用裁判所という施設が登場している。
治安維持に関して外部の警察組織の介入は許されておらず、
代わりに武装した教員らで構成される
警備員と、
能力者を始めとした学生で構成される
風紀委員が治安維持を担当している。
治安の警戒状況は『
警備強度(セキュリティコード)』という4段階の指標で区別されている。
通貨は日本円だが、貨幣の発行は学園都市内の造幣局が担っており、
紙幣自体もICチップが取り付けられた特殊なデザインになっている。
詳細は
学園都市の貨幣を参照。
作中では、最先端の科学技術の研究・開発は基本的に全て学園都市が独占していて、
学園都市で生み出された科学技術は全世界に輸出される。
このように全世界の各国が学園都市の恩恵を多かれ少なかれ何らかの形で受けているため、
学園都市の国際社会への影響力は極めて大きく、覇権国家的な側面を持つ。
【地理】
東京西部を一気に開発して作り出され、東端は東京都新宿に面している。
敷地の一部を神奈川・埼玉・山梨に及ばせながら、東京都の3分の1の広さを占めており、完全な円形になっている。
内部は学区と呼ばれる23個の行政区画に分かれていて、学区ごとに特徴がある。詳細は
学園都市の区分を参照。
立地の関係上、海には面していない。
【軍事】
都市内部の機密情報を外部に漏洩させないため、非常に厳重な警備が敷かれている。
都市内の各種インフラ系は世界最大の防御力を持つと言われ、
外部との交通の遮断に加えて周囲が高さ5メートル・厚さ3メートルの壁で囲まれている上に、
上空に向けて極めて指向性の高い妨害電波が発せられており、壁を超えるような通信は一切遮断されている
(
外部接続ターミナルを経由すれば外部との通信は可能)。
さらには街全体を三機(二巻以降は二機、十四巻で四機目を発射)の監視衛星が常に監視しており、
加えて街全体に統括理事長直通の情報収集用ナノデバイス『
滞空回線』が、およそ5000万機ほど秘密裏に散布されている。
……はずなのだが、
魔術師は結構ぽんぽんと侵入している。
これは単純に魔術的防御をしていないのか、あえて見逃しているのかは不明。
(初代統括理事長の正体を考えれば、おそらく後者)
かつて
カエル顔の医者がイギリスの片田舎でアレイスターの命を救い匿った後、
この街の仕組み作りに協力している。
「進んだ科学によって未知を征服する」「科学の力によってあらゆる不可思議な闇を薙ぎ払う」などという思想から、
駆動鎧の
HsPS-15などを始めとして、
学園都市製の最新鋭兵器群は、共通して自然科学(Hard Science)のイニシャルこと『Hs』の名を持つ。
しかし
MSR-001や
MPS-79のように、用いられた技術が旧世代のものに関してはその限りでもないようだ。
軍備も極めて強力であり、上述の『Hs』のコードを持つ種々の最先端兵器が実戦投入されている。
第三次世界大戦時には、一つの都市でしかないにもかかわらず、学園都市どころか
日本列島への侵攻を完璧に防ぎつつ、
ロシアの防空域を対空砲火もお構いなしに悠々と飛行したり、
果てはロシアの雪原に即席の拠点を設営してのけるなど、恐るべき戦力差を見せつけている。
常軌を逸した最新兵器群と相対した百戦錬磨のロシア軍のパイロットには
「奴らのほうがよっぽどオカルトに足を突っ込んでいるじゃないか」と言わしめている。
ちなみに、本来なら日本国は保有できないはずの爆撃機を一都市でありながら保有しており、
この点からも学園都市の治外法権ぶり・勢力の強大さが伺える。
【社会生活】
生徒達の生活費は奨学金や補助金がほとんど。
税制は学園都市特有のものが施行されており、
地の文に曰く、基本的には学園都市は勉強をするための所なので、
それに必要のない物品や嗜好品については税をかけても問題なし、という風潮があり、
子供の好きそうなものに課税されるのが暗黙の了解になっているという。
代わりに、一般的に寮の家賃や学食などが激安になるので結局プラマイゼロだったりする。
激安の理由は大学や業者の試作品だからである。
その為、怪しい
缶ジュースやら、意味もないハイテク携帯電話やら、
携帯の
ワイヤレスP2Pサービスの格安提供などが跋扈する。
はいむら氏によれば、キャラクターデザインについて鎌池氏から
「学園都市のトレンドは、外界のそれとはちょっとズレている」という指定を受けたという。
また、学生にあまり関係のないベビー用品を買える場所は少ない。
カジノのような賭博場も合法なものは存在しないか知られていない。
学バスや教材などで儲けようとする学校もあるにはあるようだ。
原則、一度入学すると学園都市内に居住しなければならなくなるらしい。
それを利用した
置き去り等の問題も抱えている。
大覇星祭や
一端覧祭等、学園都市中の学校が参加する合同行事もある。
文明が外部より遥かに進んでいる一方、
学園都市外部で一般的なIoT技術や、それを使ったスマート家電・スマートハウスのような代物は普及していない。
これは学園都市が「IoTという新技術が注目されて社会に浸透する」という段階を既に超えており、
むしろ「IoTのせいで生まれるリスクを反省して自重する」という方向に価値観が一周しているためらしい。
学園都市外部と同じ交通系ICカードやスマホ決済アプリ、スマホOS「
アルカロイド」なども一般的に使われているため、
外部のテクノロジーが必ずしも学園都市の住民から見て時代遅れというわけでもない。
【暗部】
極めて高い科学技術を有する一方で、その裏側の暗部では非人道的な研究・開発も行われている。
置き去りなどを用いた人体実験など、完全に人権を無視した凄惨な研究も多く、
国際法に抵触しかねないような危険な軍事兵器の生産も進められている。
違法な闇取引・人身売買も横行していて、暴走して私益を目的に機密の漏洩を目論んだり、
学園都市に対する破壊工作を働こうとする
暗部組織・人物も多い。
またそうした事案に対処するため、学園都市上層部からの指令で、
暗殺などの汚れ仕事を請け負う暗部組織も多く存在する。
学園都市の学校に入学すると必ず都市内に居住しなければならず、
かつDNAや技術情報などの流失防止のため自由に都市の外へ出られない事情から、
能力開発などで行き詰まった、あるいは何かの犯罪などに巻き込まれたからといって、
「学園都市から離れる」「実家へ帰る」といった選択は不可能であり、
そういった児童や学生を保護する仕組みも整っていない。
よって、敷かれたレールから脱線してしまうと、逃げ場がどこにもなく、
最終的に暗部へ身を落とすしかなくなってしまう者も多い。
第三次世界大戦が終わり、一方通行が学園都市と交渉したことで暗部組織はすべて解体されが、
学園都市上層部や暗部の人間の中にはその結果に不満を抱く者がおり、再結成された組織も多数ある。
創約一巻では一方通行がこのとき果たせなかった暗部の解体を、自身が
自首することによって確実に果たそうとした。
【正体】
その正体は「
形を変えたテレマ僧院」。
『思春期の少年少女を一カ所に集め、独自の教えを広めて、薬物投与も辞さない方法で叡智への接近を試みる』
という点で
テレマと共通しており、土御門は「
テレマの再来」と表現している。
かつて失われた僧院は、元々の創設者であるアレイスターによって
「
『幻想殺し』を宿した上条当麻という存在を最大限に活躍させる為に『悲劇』を発生させる箱庭」
という役割を与えられ、再び蘇る事となった。
「超能力を開発する科学技術機関」の形になった理由も、
「幻想殺しという『異能無効化能力』を最大限に活躍させるには、『異能が当たり前に使われる場所』が最適」であるため。
「街のシステムに穴があり、大人達が暗部で私欲を満たす企みをする闇がある」のは
「その穴を利用し上条を憤らせる事件を多発させる」ため。
例えば上条がもし将棋好きの頭脳派少年なら将棋を中心とした棋士育成機関に、
料理好きの感覚派少年なら料理バトル中心の調理師育成機関に、
登山好きの肉体派少年ならロッククライミング合戦の登山家育成機関になっていた。
アレイスター曰く「
上条の自由な法(テレマ)が手本となった」。
学園都市が今の「超能力を扱う少年少女達の裏で目を背けるような闇がある超能力育成機関」となったのは
上条当麻が「拳で悲劇を解決することで最も輝く存在」だったからにすぎない。
すなわち上条が学園都市に所属するようになったのは、幻想殺しによって誘発される不幸を科学で回避しようと考えた
父親の意向などではなく、その遥か前から施されていたアレイスターの根回しによるものだった。
他の数多の学生は別としても、こと上条に限って言えば、彼はこの学園都市に入るべくして入ったと言っても過言ではない。
一方で、アレイスターの
プランで必要とされるものの中には、
ヒューズ=カザキリ・
一方通行・
ミサカネットワークなど、構築のために学園都市が必要であったと思われるものも多く、
学園都市が本当に「上条を活躍させるため『だけ』の代物」だったのかには疑念が残る。
十九巻では、
エイワスが一方通行のことを「君(※アレイスター)が五〇年以上もかけてこんな酔狂な街を作り、ようやく発現させることに成功した」と語っている。
【沿革】
エイワスの言によると、アレイスターがこの街を作り始めたのは50年以上昔である模様。
木原脳幹のモノローグでは、アレイスターは「戦後のどさくさに紛れて」渡航してきたと語られているので、
アレイスターの公的な死亡年である1947年より少し後に作られ始めたと考えるのが妥当か。
現代の日本で東京西部にこのような一大機関を設立するチャンスはそれくらいしか無かったのだろう。
なお、旧約22巻の地の文で「すでに六〇年以上前に死亡したと公式報告は出ていた」とあるため、
作中時間は少なくとも西暦2007年以降であると思われる。
設立初期はアメリカ合衆国と協力関係にあり、冷戦期にはアメリカやソ連が超能力開発に失敗する中、
世界で唯一安定した超能力開発に成功した(初の成功例が『
発祥検体』の少女である)。
エリスと
シェリーの件を考えると、
少なくとも1巻から20年ほど前の時点で既に
能力者を生み出せる程度には発展していたようだ。
9月30日には
『0930』事件により大混乱に見舞われたが、10月下旬の
第三次世界大戦ではロシアに勝利を収めた。
その後、12月上旬に発生した
大熱波で数日間都市機能が完全にダウンし、学園都市全域に甚大な被害を被った。
12月11日、大熱波後の混乱に乗じた
コロンゾンの侵攻により学園都市の管理権が簒奪される。
しかしコロンゾンが学園都市から離れていた隙に、学園都市をコロンゾンにとって無価値なものにするため、
アレイスターが
書庫に『アレイスター以外の頭脳では駆除に最低でも2万年はかかるコンピュータウィルス』を感染させ、学園都市を事実上ロックした。
その結果、学園都市全域がブラックアウトし、学園都市の資産たる技術情報や無人兵器も利用不能に陥った。
そして、インフラ復旧のメドが立たないことを理由に、アレイスターは住民を街から集団疎開させることを宣言した。
かくして学園都市は人っ子一人いない、1ビットの情報も引き出せないゴーストタウンと化し、
統括理事長の宣言をもってここに学園都市は事実上の終焉を迎えた。
加えて『プラン』が破綻したことにより、学園都市は本来の存在意義を完全に失うこととなった。
その後、イギリスの決戦にて
メイザースに衛星爆撃を敢行するため、アレイスターによってロックが解除された。
またアレイスターが一方通行に統括理事長の全権限を譲渡したことにより、復興のメドが立った。
新約二十二巻リバースにて完全に復旧作業が完了し、集団疎開していた生徒や教師も帰還を果たした。
創約一巻にて正式に一方通行が第二代統括理事長に就任し、
これによって学園都市は名実ともに「アレイスターのプランのための街」ではなくなったのであった。
【余談】
インデックスが学園都市に来て暫く経っていることを挙げ、
普通の道なら完全記憶能力を持つ自分が未だに道に迷う事は無いのに、と疑問を感じている。
また、
アレイスターも「この街の本当の形をまるで理解していない」と強調して話していた。
何らかの仕掛けがあるのかも知れない。
総人口は序盤と中盤以降で一貫していない(6巻辺りまでは学生が230万人、9巻辺り以降は総人口が230万人)。
が、人口の8割が学生と言う設定は一貫している。学生のほぼ全員がなんらかの超能力に目覚めているが、
その内の6割弱は
無能力者(レベル0)である。
ちなみに英語表記では「Science Worship」。直訳すると「科学崇拝」的な意味になる。
これは各組織の名称に対応している七巻英字章題や、『超電磁砲』の
樹形図の設計者利用申請などで確認できる。
しかしこの設定はあまり浸透しておらず、
英訳版や英語圏のファンの間では「Academy City」「Academic City」という直訳が使われることが殆どである。
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最終更新:2023年09月28日 14:43