【名前】章部眞之介(あやべ しんのすけ)
【性別】男
【所属】科学
【能力】論理防壁(
ロジックウォール) レベル3
【能力説明】
極度に思考に没頭する事で、外部からの感覚刺激、及び精神系能力による干渉を遮断する能力。
要は「物事に集中し過ぎるあまり周りが見えなくなる」という心理状態を任意に観測し、演算によって引き起こしている。
『書庫』のデータを基にしたシミュレーションでは、登録されている精神系能力(他者干渉タイプ)の内レベル3までを封殺し、
レベル4による干渉は全体の六割を無効化する事が理論上可能、というのは開発担当者の弁。
章部の性質的に普段よりある程度の思考(能力発動)状態であるので、不意な干渉にも動じる事はないが、
レベル3以上による干渉にはセーフティとして鈍い頭痛が生じ、意識して思考(演算)に集中する必要がある。
外部からの感覚刺激遮断については飽くまでサブ的なものであり、軽い思考中なら防音や痛覚鈍麻に応用できるが、
弊害として思考に没頭するにつれてどんどん五感が希薄になっていき、最終的には『考える人』になり一歩も動けなくなる。
無論感覚刺激は感じなくなるだけで戦闘で発生するダメージはしっかり蓄積されるので、場合によっては無痛のまま死に至る可能性もある。
思考を中断させるには章部が自発的に考えるのを止めるか、許容を超える干渉を受けるかの何れかとなる。
尤も章部自身は上記の『遮断』は自分の能力の本質ではなく、強度の成長に伴い後から発覚した付属品だと評している。
その本質は飽くまで『考える事』であり、演算を異能発動の土台とする超能力ではまさしく理論に直結していると言える。
極限まで思考に没頭した状態では、外部からのあらゆる干渉を排して内面に蓄えた情報を基に論理的推理を行う事ができ、
章部に云わせれば事件全体の八割程度の手掛かりで『証明完了』することもできるのだとか。
また推理以外でも、章部が危機的状況に陥った時に限り思考レベルを瞬間的に極限状態まで引き上げる事で、
直前までの周囲のあらゆる情報から、その場における行動の『最適解』を閃く事もできる。
しかし極度に脳を酷使するため続けての使用はできず、次の行使には一時間ほどのインターバルを置く必要がある。
過去に一時間内に三回続けて『閃き』を使った際、反動で丸三日寝込む破目に陥った教訓から、現在は多用を自粛している。
【概要】
長点上機学園に在籍する三年生。暗部組織『
ロジック』のメンバーであり、実質的なリーダー格。
日頃からとにかく尊大な態度で振舞うが、追い詰められれば弱音も零すし、認めた相手には敬意を払って接する事もある。
暗部の人間とは思えない、というか今一つ自覚が足りない掴み所のない人物。絶対に人を殺さないという、暗部らしからぬ矜持まで持つ。
ただしそれは義心から来るものではなく、『探偵』として殺人事件の犯人にだけはならないという少々歪なものであり、
逆に言えば殺人以外で事件解決に必要だと判断した行為ならば一切躊躇わないという意味でもある。
思考と
能力を兼ね備えた根っからの推理オタクで、何よりも『暴く』事を至上の悦楽とする。
一度関わった事件は必ず解き明かす事を信条とし、そのために必要ならば犠牲を厭わず、手段を選ばない。どこまでも冷徹で、利己的な探偵である。
学生寮の自室にある本棚は古典から最新のものまで古今東西の推理小説で埋め尽くされ、その殆どを空で言えるほど熟読している。
特に殺人事件を扱った本格派を好み、いつか自分が探偵役として事件現場に立ち会えないかと妄想しては、
ここが得体の知れない科学技術と超能力者で溢れた学園都市だという現実を思い出し、溜息を吐く日々を送っていた。
一時は『風紀委員』への参加も考えたが、競争率の高さや偶々普段目にしていた活動がボランティアなど地味なものばかりだったため、
「所詮は子供騙しのごっこ遊び、殺人が絡むような事件の捜査には当たらないだろう」と、すぐに諦めてしまっていた。
高校三年の時にとある事件を起こし停学、そのまま留年して現在一九歳。要はダブっている。
超エリート校の長点上機学園において『留年』とは能力開発競争からの落伍であり、通常“穏便に”転校(という名の自主退学)を勧められるのだが、
章部の能力と、それに付随する論理的推理力に目を付けた学園都市上層部による圧力が掛り、名目上『特別クラス』に籍を置くという形で、
『外』の保護者に対して暗部落ちの隠れ蓑として利用されている。登校していないにも拘らず、多額の奨学金までちゃっかり頂いている。
章部当人は能力開発にこれといって執着を持たない性格なので身の振り方には困っていなかったのだが、
ある日彼に届いた匿名の封書に提示されていた捜査資料を手掛かりに『表』で未解決扱いとされていた殺人事件を単独で解決した際、
タイミングを見計らったように掛って来た電話によって、学園都市の『裏』に蠢く闇と、同じ暗がりに身を浸しながらもそれを駆逐する存在を知る。
その際
電話の人物が提示した新興組織の活動目的と加入条件が魅力的だったので、二つ返事で自ら暗部に潜る事を選ぶ。
その条件とは「
他の三人のメンバーを『候補リスト』から章部自身がプロファイリングし、選択する」というもの。
自分がプロファイリングしたとあって、『ロジック』にとって能力的には申し分ない人材が集まったのだが、
メンバー全員が変人だったという事に頭を抱えており、その事をぼやくたびに「お前が言うな」と一同に返されるのがお約束。
しかし何だかんだで組織内の関係は悪くはなく、殺人事件を扱う推理
サークル程度の認識しかないため、その内痛い目に遭うかもしれない。
文字通り頭を使う能力なので、糖分補給は欠かさない……というのは建前の大の甘党でもある。
大事件の解決後には甘味処『黒蜜堂』で明らかにメニューに載っていそうにない常連御用達スイーツを奢ってくれるが、
未だ章部以外のメンバーで完食した者はいない。また気分転換に煙草を吸う事はあるが、酒は一口も飲めない。
『ロジック』での役割はズバリ『探偵』。基本的に分室に籠って他メンバーに指示を飛ばし、情報が集まるのを待つ安楽椅子型探偵だが、
ここ一番のヤマでは自ら現場に出張る事もある。その際は戦闘中だろうが何だろうが毎度のように推理に没頭して彫像と化し、
他のメンバーが彼を担ぎ守りつつ決死の撤退戦を強いられる事になるので、戦場ではお荷物の『車椅子型探偵』という評価は言い得て妙である。
彼は探偵でありながら、『たった一つの真実』など端から追い求めない。それはこの
舞台が先進技術や超能力者といった、
古典のミステリで禁忌とされている要素に征服されている事を知っているからこその諦観であり、しかしせめてもの妥協として
この街に相応しい推理方式に則った、存在しない『真実』に取って代わるもの――即ち『概実』の究明に情熱を燃やす。
『概実』とは限りなく『真実』に近いものの、それは言わば『章部にとっての真実』であり、本人もそれを自覚している。
それを暴く事が事件に関わった誰かを傷つけるものだとしても、拘泥したりしない。泣き崩れる者に掛ける言葉など持ち合わせていない。
能力以外での戦闘能力は素人に毛の生えた程度の格闘術のみであり、そこいらの不良相手にタイマンでもてこずり、
二人以上、武器持ち、プロの暗殺者となると最早手に負えないので他のメンバーにサポートされながら逃げに徹する。
暗部組織の構成員として拳銃が支給されているが、碌に射撃訓練も積んでおらず、安全装置を掛けたまま懐に忍ばせている。
尤も彼の矜持により、万が一にも致命傷になり得る力を振りかざす訳にもいかず、引き金を引くつもりはないらしい。
最近『
探偵稼業』の噂を耳にし、計らずも暗部絡みの事件捜査で邂逅を果たす。その推理力の高さを認める一方で、
しかし互いの『探偵』として掲げる理念が余りにもかけ離れていたため、分かり合う事は叶わなかった。
素性を隠し通す事に拘る『探偵稼業』の素顔を暴き、その正体を白日の下に曝す事を当面の目標に掲げている。
【特徴】
身長180センチ台の長身痩躯だが、普段から猫背なため威圧感はない。
ボサボサの黒髪は短く、剃るのが面倒なのか無精髭を生やしているが、モミアゲだけにはこだわりがあり毎朝セットに三〇分は要する。
夏は甚平にパナマ帽、冬は制服の上にカーディガンと緩めの服装を好む。逃走用にシューズはアスリート仕様のものを履いている。
【台詞】基本的にぶっきらぼうな物言いで、人称は「オレ」「オマエ」「アイツ」等。尊大モード(通常時)では人名を使わず、『役割』で呼ぶ。
「――、以上で証明完了だ。はいお疲れさん、『上』への報告はよろしくー」
「行くぞ『
助手』、今回はオレも現場に向かう。……ってオイなんだよその嫌そうな顔は」
『なに、まだ調べたい事があるって? あーもう良いから帰ってこい。何が引っ掛かってるのか知らねえけど、こっちはもう解けちまったから』
「ぜはっ、ぜひゅー……。がはごほっ、げほっ。……はぁ、はぁ……ッ、はぁぁぁ……。畜生が、オレは頭脳労働専門なんだっつーの」
「この街では『十戒』も『二十則』も適用されない。『真実』なんてまやかしだ。……だがまぁ、それでもオレは『探偵』だからよ。暴かずにはいられないんだわ」
【SS使用条件】
是非ミステリで……!?(冗談)
どうぞご自由に
最終更新:2014年01月03日 11:31