【名前】進止縫衣(しんじ ぬえ)
【性別】女
【所属】科学
【能力】人体配線(パラメータモニタリング)レベル4
【能力説明】
自分の体内にしか念動力を発生させる事ができない珍しい念動使い。厳密に言えば皮膚までは体内と勘定している。念動使いとしては特に精密操作に秀でている。
筋肉、骨、血管、神経、細胞膜など人体のあらゆる場所へ念動力を発生させ、外部から内部へ入った情報や現在人体内部で何が起こっているのかをモニタリングし、干渉する事ができる。
人体内部の調節能力とも言え、全血管に念動力を貼り付け、有毒な物質が血管に入りこめば念動力で包み込み抑え込みつつ排出するような働きをさせたり、電気信号に干渉して痛覚を鈍らせたり、できる。
念動力に目が付いているわけではないので、念動力に触れる感触でそれがどんな物質を見極めている。見極めるための非常識極まりない訓練も積んである。
人体内部であれば血液だろうが電気信号だろうが干渉可能なのが進止の操る念動力の特質である。
現実的にはあれもこれも手を出して干渉すれば演算負担が膨大になるので、自爆しないように取捨選択を重要視している。
体外で念動力を発生させたり動かす事ができないので攻撃面は念動力で固めた体を使った格闘戦しか実用的な使用方法がないのが欠点。
一方、人体構造に念動力を染み込ませるようなものであるためか防御力はピカイチ。当人が突出していると考えているのは精神系に分類される能力者への抵抗力。
精神系能力は一口に言っても原理は様々で、水分操作・電気信号操作・分泌物質操作・細胞操作・薬品使用などが候補としてよく挙げられる。
また、精神系能力は原理が同じもの同士の干渉であれば、片方が受容しない限りはレベル差に関係無く拒絶するという空間移動能力に通ずる性質がある。
進止は能力の特性としてこれら全てに一定の抵抗力を発揮する事ができる。特化すれば拒絶に近いレベルの抵抗力を生み出せる…と当人は見込んでいるが、
精神系能力者との戦闘経験は正直乏しく懐疑的な面が否めないので、知り合いの女科学者から提供して貰っているプラシーボ効果を齎す薬品によって実現性を高めるのと同時に、
今後サンプル収集に努める事が求められる事となった。しかし、例え効果が証明されたとしても特化すれば他が疎かになる・特化前に押し切られれば意味は無いなど弱点はそれなりにある。
最近世話になっている女科学者の実験に参加し、能力の噴出点製作を目的とした人工模型を与えられた。名は“自律人動(アクチュエータ)”。
これは進止縫衣自身の肉体を分析し製作されたもので、筋肉、骨、血管、神経、細胞膜など全ての人工物が進止縫衣の特徴と合致する。
もちろんどの人工物も人のソレでは無い。サイボーグのような機械を用いたものでもなく、主に高分子を用いた人工筋肉や人工骨などで構成されている。
進止は女科学者が提供したアクチュエータの内部データが、自分が常日頃モニタリングしている人体データと合致している事を理解した上で、
能力開発で用いる薬品による暗示の助けもあってアクチュエータを自分と同じ肉体と思い込む事に成功した。
能力の噴出点としてアクチュエータ内部に念動力を発生させられるようになり、己の手足のように動かせるようになった。
思い込みによるパーソナルリアリティの拡張が成し遂げられ、進止は新たな領域へ足を踏み入れる。
現在操れるアクチュエータは2体までである。アクチュエータには特殊メイクなどが施されており、外見からは進止とは別人に見えるようになっている。
【概要】
小川原中学付属高等学校二年生。一四〇支部所属風紀委員。
幼い頃より稀有な念動使いとして教師陣に注目されていたが、同学年の同じ念動使いからは欠陥品と陰口を叩かれていた少女。
理由は念動使いなら普通はできるであろう体外への念動力放出が出来ない点。元々臆病と言ってもいい程大人しめな性格であった進止は、
生徒の陰口の対象であった事に気付きながら反論せず、唯々教師陣の期待に応える為に自分の能力を磨く事に専念した。
しかし、想像以上に進止の能力は取り扱いが難しくレベルが低い頃に何度が自爆を起こしその度に死に掛けた。
次第に教師陣も自爆の責任を取りたくない為に『安全上の理由』を持ち出し、進止の能力開発を意図的に遅らせるようにカリキュラムを弄るようになった。
薄々教師陣の意図を察した進止は、しかし教師陣へ反抗せず彼等の組んだカリキュラムを淡々とこなす日々を過ごしていた。
そんな進止の淡々とした日々に転機が訪れた。中学二年生時に自分の能力の噂を聞き付けてやって来た女科学者
木原夢獏との出会いである。
「揺らがない大地の奥に潜む、マグマのような煮え滾る抗いを解放しなさい」。『抗う』事をモットーとする夢獏は進止の抱えるジレンマを見事言い当てた。
今に至る成長過程で進止の性格は元来の大人しめなものとは真逆の荒々しい激情を人知れず育んでいた。
激しい自己顕示欲と言ってもいいその激情を夢獏は認め、表に出す事を良しとした。生徒にも教師にも、果ては夢獏自身にさえ抗えと言い放った。
夢獏が扱う研究テーマと自分の能力が合致した進止は以後夢獏の世話になり、学校のカリキュラムとは別に夢獏の研究所で集中的に能力開発に勤しむようになった。
開発の為と称して夢獏が突き付ける課題はどれも挑戦的なものばかりで、一歩間違えれば進止自身の身が危うくなるものも多かったが、進止は全て乗り越えてきた。
最近ではパーソナルリアリティの拡張の為“自律人動(アクチュエータ)”を自分の体と認識するという実験に参加し、薬の助けもあって何とか認識に成功するに至った。
同時に自分の体が増えたような能力に成長した為に幻肢痛に似た症状が発症したのは誤算で、大きな違和感を何とか薬で抑えながら日常を送っている。
この違和感もいずれ乗り越えてみせると意気込む進止の荒々しい姿は、一人の時を除けば夢獏の前でしかまず見られない。
夢獏には多大な恩を抱いているが、同時に彼女の危うさにも気付いている。陰口を叩かれていた時やカリキュラムを弄られた時もそうだったが、勘はかなり鋭い方。
仮に夢獏が良からぬ事に手を染めようと動いた時は彼女を阻止する為に全力で抗う事を心に決めている。
現在通う小川原中学付属高等学校では、成績優秀な模範的生徒の一人として通っている。大人しめな性格も進止の人格を構成する要素には違いない。
教師陣や他生徒との付き合いも大人しめな割にはきちんとこなしているが、妙に押しが強いとの評判が立っている。
譲らない所は絶対に譲らず、反論されても理路整然とした指摘で自分の考えを押し通すらしい。
その態度は高等部進学を切欠とし試験に合格して所属に至った風紀委員一四〇支部でも変わらないようで、同僚の
根木名恋絵には猫を支部に招き入れる代わりにしつけやトイレの世話を全て彼女一人でやらせる事を、リーダーの
卍条一隻には破天荒な行動は認める代わりに全裸にだけはなるなと指摘し続けている。
後方支援と外回りは半々の割合。アクチュエータについては現在の所支部の同僚達には秘密にしているが、秘密裏にアクチュエータを動かして事件解決に役立てている。
特殊なメイクやコンタクトレンズなどで指紋、網膜スキャン、虹彩認識などを誤魔化しているアクチュエータは会話する事ができないので、他人と接する時は耳の聞こえない人のフリをして手話でコミュニケーションを図る。
【特徴】
160センチの標準体型。癖毛傾向がある黄色掛かったセミロングの茶髪で、編み込んだ右サイドテールと左頬の泣きぼくろが特徴。Bカップの胸を少々気にしている。趣味はクソゲー攻略。
付き合いの浅い相手に対しては、よく目を逸らしながら接する。その為、第一印象はまず間違いなく気弱な少女という感想になる。
臆病な現実主義者でありながら抗う理想主義者という、相反する性格を同居させている。これは木原夢獏の影響も大きい。
スイッチの切り替えは未だ自由に行えないが、その豹変振りは夢獏を大層喜ばせているらしい。
【台詞】
「今日はこれから一四〇支部に行って、それから研究所に寄って薬を貰って。はぁ。この違和感、まだまだ慣れないなあ」
「今はもう手術痕も残っていないけど、能力の取り扱いミスで小学生の頃に首の大きな血管を傷付けて死に掛けたの。本当、小学生の頃死に掛けた回数は片手じゃ数えられ…あれ?どうして皆ドン引きしてるの?今こうして生きてるんだから別にいいじゃない」
「夢獏先生。冗談言ってないで早く薬を下さい。もう完全下校時刻は過ぎちゃってるんですけど。あなたにか弱い少女を薬漬けにしている自覚はありますか?私じゃ無かったら即入院ですよ?」
「夢獏!あんた、また無断で実験薬の種類を変えたわね!?あんたのやり方には毎度辟易してるけど、こっちにも我慢の限度ってもんがあるんだからね!?私じゃ無かったら即あの世逝きよイカレ科学者!」
「賢い生き方?世渡り上手?何よそれ!?そんなものの為にあんた生きてんの!?アホらし!そんなもんに拘っている暇があるなら目の前のもんに抗って、逃げ出したくなる臆病な心に抗って、それでも抗い足りないくらいに馬鹿苦しい世の中を延々と謳歌してみせなさいよ!!」
【SS使用条件】
特になし
最終更新:2020年12月21日 17:55