【名前】納霊尾花(のうりょう おばな)
【性別】女
【所属】魔術
【能力】偽・百鬼夜行(イミテーション・ゴースト)
【能力説明】
術者の『頭の中にあるモノ』を現実に具象化する魔術。納霊の場合、そのイメージソースは妖怪。
霊草で作った特殊な香の煙を吸引し、術者の体内で魔力と練り合わせる事で生成する仮想物質エクトプラズマは納霊の思い描く妖怪の姿で出力される。
人魂や河童、鬼、座敷童子などポピュラーな妖怪から、一般人はまず知らないマニアックな妖怪まで、呼び出せる妖怪は多種多様。ただし同時に出せるのは3体までで、大きさは最大で2mほど。
エクトプラズマは煙のように掴み所がなく、魔力の供給が続く限り何度でも再生する。ただし強風などによって術者から遠く引き離されると、そのまま煙の如く霧散してしまう。
確固たる意思を持った魔術生命体とは異なり、その存在は所詮術者の頭の中にあるイメージを基に出力されたイミテーションでしかない。故に思考や感情といったものはなく、妖怪各々が持つ『特徴』や『性質』が実体を伴っているだけなのだが、その人間の思惑に左右されない在り方は、ある意味純粋な人知の及ばない『現象としての怪異』の本義と言えるのかもしれない。
妖怪モチーフなのに技名が横文字なのは、教えを請うた師匠への敬意からと、習得した時期が時期だった名残。
【概要】
柳田学園の高等部に通う二年生の女子生徒。学園非公認の秘密倶楽部『
ケ・セラ・セラ』に所属する新米魔術師達の一人。メンバーからはもっぱら『部長』と呼ばれている。魔法名は『その面影を追いかける(Imago043)』。
元々は廃部が噂されていた郷土史研究部唯一の部員だったが、三年前の春、新任教師
サマンサ=サンドウィッチの正体が魔術師だとバレる現場に偶然出くわした。最初の内は魔術の存在については半信半疑であり、この出会いを郷研を存続させるための好機と捉えた納霊の提案で、(形だけでもいいから)待望の新入部員と顧問になってもらう見返りに、彼女らに活動の拠点を提供したというのが『ケ・セラ・セラ』発足のあらましである。その後本物の魔術を目の当たりにして、とある目的のために魔術師を志し、本格的にサマンサの教えを仰ぐようになった。
夜都谷達からすると学園の先輩で郷研の部長なのだが、その人物像は掴み所がなくとにかく神出鬼没。というのも納霊は『ケ・セラ・セラ』の一員として魔術修行に勤しむ傍ら、郷研としての活動は今でも続けており、彼女が不在の時は学園周辺へフィールドワークに出かけている場合が殆ど。分かっているのは彼女が無類の妖怪オタクであるという事くらい。ただ学園の部長会議への出席は欠かさないなど、部長としての威厳はともかく、一応の自覚と責任感は持ち合わせている模様。
納霊が魔術師になる道を選んだ理由は、幼い頃の彼女に妖怪の素晴らしさを伝え、そしてどこかへ行ってしまった
叔父の面影を探し求めるため。魔術の存在を知った時、納霊は直感的にこう悟った。「『彼』の性格なら、迷わず魔術師になってでも妖怪を追い求めるだろう。故に同じ道を往けば、いつかは必ず『彼』とまた巡り会える筈だ」と。元々納霊が郷研を存続させようとしていた理由も、そこに残された『彼』の大切な思い出を守りたかったからで、『彼』との繋がりは単なる叔父と姪のそれよりも複雑な、憧れとは似て非なる何かである。
奇しくも同じ相手を追いかける者同士となった納霊とサマンサだが、三年間の付き合いを通して互いにその事を察しているものの、今の所は不干渉を保っている。それは『彼』と過ごした過去は彼女達だけのものであり、それぞれ他の誰とも共有する事は出来ない掛け替えのない記憶だからだろう。
【特徴】
日本人形のような長い黒髪。半開きの瞼が気だるげな印象を与える。
普段の納霊を評するなら、良く言えば儚げな、悪く言えば存在感の薄い少女。よく幽霊に例えられるが本人的には満更でもないっぽい。
しかし妖怪のウンチクを語り出したり趣味を兼ねたフィールドワークに出掛けた時などは、普段の覇気のない様子から一転してスイッチが入ったかのように饒舌な、溌剌たる少女になる。
以前はエクトプラズマを口から直接吐き出していた時期もあったが、ビジュアルが『アレ』にしか見えないという問題を克服するために、現在は曽祖父が遺した大正時代作の煙管を使っている。
【台詞】
一人称は『ボク』。二人称は年下へは『君』、年上へは『あなた』。
「横から失礼するよ。なに、日課のフィールドワークに出掛けようとしたら、偶然君達の話し声が聞こえてね。ボクも立ち聞きするつもりはなかったのだけれど、何やら面白そうな話をしていたよね。たしか、そう……魔術、がどうとか」
「妖怪とは化け物、変化とも呼ばれ、普通には人知の及ばない畏怖感をそそるような現象、または異様な物体を言うが、民俗学ではこれを信仰が衰えて零落した神の姿と見ている。妖怪と幽霊の大まかな違いは、妖怪の特徴は幽霊のように特定の人を選んで現れるような事がなく、出現の場所、時間が一定している所にあって、その出現場所によって山の怪、路傍の怪、家屋敷の怪、海の怪川の怪村内を巡る怪などに分類する事が出来る。例えば山の怪なら、代表的な妖怪としてーー」(ヒートアップしているため以下略)
「スケール弐・狐火、スケール肆・鎌鼬、スケール伍・鬼。
心象……、
具象化……‼」
「ボクと叔父さんと先生と、不思議な縁もあるものだね。でもあの人には悪いけど、叔父さんを捕まえるのはボクが先。相手が先生でも、こればかりは譲れない」
【SS使用条件】
特になし