卒業式が迫るある日のこと…
「まてぇ!!」
「へへっ!捕まえられるもんなら捕まえてみな!!」
「このやろ!!」
逃走犯はバイクにまたがり、二人で逃亡を始めた。
「ほらな?いくら176支部でも、177支部みたいに区間移動(テレポーター)がいなきゃヘボいだろ?」
「だな!」
いくら稜の身体能力が凄くても、やはり乗り物相手では敵わなかった。
「くっそぉ…追えねぇ…加賀美先輩!!」
『了解』
稜の要請を受け、雅は逃走が通る道に先回りをし、道に立っていた。
「ん?おい!!危ねぇぞ!!」
「そんなにスピードを出したら…」
「なんだ!?うおわぁ!!」
雅の横を通り過ぎようとしたその瞬間、突然バイクはスリップを起こし、転倒した。
「足元掬われるわよ?」
「いってぇ…」
「くそぉ」
「あまりあたしたちを、舐めないでね?」
犯人は、あっさりと捕まった。
176支部巡回中の道にて…
「はぁ…なんとかなったぁ…」
「最近、犯罪者たちも頭を使うようなって来ましたね。」
「そうね…」
「…先輩がバイクの免許を取れば良いんじゃないすか?」
「ん~…あたしもそれ考えたけど…無理だったわよ」
「え?」
「何回も落ちたから…」
気まずい空気が流れた。
「…ところで神谷君、進路はどのようにするつもりだい?」
「え?」
「進学したら、所属支部の更新をしなきゃならないだろう?」
「…卒業式終了まで猶予があるんだろ?ぎりぎりまで考える」
「なるほど。」
映倫高校と学生寮の学区は第8学区、当然今まで所属していた支部の管轄外になってしまう。
とは言っても、所属支部を転属するも後続するも個人の自由だが、稜はそこに迷いがあった。
「他のやつらはどうするんだ?」
鏡星麗、彼女は第8学区の支部に転属するといっていた。」
「お前は?」
「ここに残る。」
「なんでだ?ここよりやりやすいかもしれねぇぞ?」
「…確かに、新天地で気分一新、と言いたい。けど、私はここで変わった、だからここに残るのが恩かなと思う。貴方は?」
「俺は…」
稜は言葉に詰まった。
176支部にて…
「みんな!今日もお疲れ!では解散!」
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
こうして今日も、大きなトラブルもなく、全員は解散し、寮へと帰宅していった。
稜と正美の部屋にて…
「ただいま」
「おかえり!」
部屋に帰ると、正美はダンボールに、物を詰めていた。
「早速やってるな」
「うん、あさっては卒業式だからね」
「俺もするかな…」
稜は部屋着に着替え、正美と同じように、荷物の整理を始めた。
「ねぇ」
「ん?」
「わたしたち、高校生になったら…離れ離れになっちゃうのかな?」
「分らない、ただ映倫高校がいうには『お互いを理解する』ってことで一部屋を男女二人で使うからな…」
「うん、そうだね…」
そして、卒業式当日、学園としには、卒業を迎える生徒の両親が、続々と卒業式会場に入場していった。
式は順調に進み、式が終了した。
卒業生はその後、自分のクラスへ戻り、最後のホームルームが行っていた。
「おばえらぁ(おまえらぁ)!!いばばでだのじがったぞぉ(今まで楽しかったぞぉ)!!」
雄介は泣きながらホームルームをしている。
「あ~はいはい」
「泣きすぎだよぉ!せんせい!!ぐすん」
最後とだけあってクラスの女子生徒のほとんどは、泣いていた。
「ほんとよく泣くわねぇ、あんたたち」
「なんで麻美は泣いてないのよぉ?!」
「え?だって泣くより…笑顔で別れたいじゃん!!」
麻美は満面の笑みで答えた。
「つーか卒業式来るたんびに泣くか?」
「神谷ぁ!!空気読めぇ!!!うおぉぉぉ!!でも俺はお前のそういう冷静な感じが好きだぞぉ!!」
「…引くわぁ…」
「あははは!!!」
こうして、最後のホームルームが終わった。
稜は、一人机の前で所属更新書にサインをしようとしていた。
「所属支部は…」
稜は、サインをし終えた。
こうして、新学期が始まり、176支部のメンバーも無事全員が進級進学ができていた。
そして、稜と正美の予感ははずれ、高校でも同じ部屋で苦楽を共にすることになった。
176支部にて…
「今年度も配属になりました、神谷稜です」
「結局こうなるのね?」
また新しい日常がスタートした。
おまけ、麗のその後は…
「なによ!!ここの風紀委員!!逝けメンしかいないじゃなーーい!!!!」
FIN

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最終更新:2012年03月10日 10:34