格闘家ならば誰もが一度は夢みる言葉がある。

――世界最強の座――


「ワシを呼んだのはうぬか、小僧」

部屋の入口方向から聞こえてきた声に反応し、赤いバンダナが特徴的な黒髪の男はトレーニングを中断する。

「ん? ……誰だ勝手に入ってきて?」

赤いバンダナの男、高原日勝に宛てがわれた自宅件トレーニングルーム。そこで高原は妙な男と相対する。
まず目を引くのは天狗の面。こんな物を身に着けてる時点で不審者以外の何者でもないのだが、高原が注目したのはそこでは無い。
高原から見ても見事と言う他ない鍛え上げられた見事な肉体と、それを包む黒い道着。そして驚異的なまでの威圧感。
成る程、この男“も”格闘家だ。それもかなりデキる。

「そうか、あんたがサーヴァント。俺の初戦の相手って訳か」
「……?」
「ああ、心配しなくても趣旨は分かってるさ。俺と同じ様に呼び出された強者と闘って最後に残った奴が優勝。
 そういう催しだろ。こんな変な事態に巻き込まれんのも初めての経験って訳じゃないんでね、こっちは何時でも初められるぜぇっ!」

言うと同時に戦闘の構えを取る高原に対し、天狗の面の男――Mr.カラテは疑問に思う。
高原は間違いなく聖杯戦争の参加者として選ばれた者であり、それに関する最低限の知識は得ている筈であった。
それは「サーヴァント」の存在を知っている事からも間違いない筈なのだが、どうやら何か勘違いしているようである。

「どうした? あんたは構えないのか? まさかそっちから出向いて置いて準備が出来てないなんて事はねぇよな?」

Mr.カラテとて格闘家だ。本来であれば例え勘違いであるとは言え、挑まれた勝負を受けるのはやぶさかではないのだが、
如何せん現在の己はサーヴァントとして召喚された身である。
純粋な実力差を差し引いたとしても、目の前にいるマスターでは存在の違いという決定的な差により勝負にすらならない。
その事を説明してやっても良かったのだが、何せ相手は聖杯戦争のルールさえちゃんと伝わらなかった程の馬鹿だ。口で理解させるのは難しいだろう。
よって彼は数秒の思案の後、解りやすい様に実演してやる事を決め、威圧感の中に僅かに殺気を混ぜる。

「笑止なり。四の五の言わずにさっさとかかってこんか!」

Mr.カラテは未だ構えていない。しかし、発せられる殺気を肌で感じる事で、高原は相手がやる気になったと判断する。
ならば話は早い、後は己の技を敵に叩き込むだけだ。
高原は駆け出すと共に左腕を前方へ、右腕を後方にし、右の握り拳に力を籠める。拳の射程に入ってもMr.カラテは動こうとしない。
その事にやや引っかかりを覚えるものの、そのまま相手の胸に正拳を叩き込む。が、

「!?」

放たれた拳はMr.カラテの胸に当たった時点で完全に勢いが止まり、ダメージはおろか揺さぶる事も出来なかった。
その結果に驚きはするも高原とて一つの時代で最強と言われた格闘家だ、この程度で動きを止めるなどという事はない。
拳で駄目ならばと、今度はMr.カラテの頭部目掛けて回し蹴りを放つ。
しかし、それも拳の時同様相手を揺さぶる事も出来ず、それどころか見るからにバランスの悪そうな天狗の面をずらす事すら敵わない。

「なッッ!?」

先ほど以上の驚愕を持って後方へ飛び退く高原に、Mr.カラテは初めて行動を起こす。
右手を己の首付近やや後方まで上げる。その掌には薄いオレンジ色の輝き。
高原は既に手の届く範囲よりも外。だが、それに構わず踏み込みと同時に掌を突き出す。

「虎煌拳!」

掌から離れ光弾となった光は吸い込まれる様に高原に向かって行き。直撃、よろめかせる。

「理解出来たか。ワシとうぬの違いを。うぬ如にサーヴァントを倒す事などできぬわ!」
「……違いってやつは分かんねぇけど、それじゃコイツならどうだぁっ!」

Mr.カラテの話も聞かずに高原は右腕を振りかぶり、その場で掌底を撃つ。
否、その掌は先程のMr.カラテと同じ光――氣の力を宿し、相手に向かって放たれていた。
対してMr.カラテはここに来て初めての驚きを覚え、防御の体制を取り氣の弾丸を防いで見せる。その後には、腕にしっかりとダメージ痕を残して。

「ははっ、どうやらあんた自身の使う技でなら有効打になるみたいだな」
「貴様……どこで極限流を?」
「ん? たった今初めて見た所だぜ。面白い技だな、これ」

なんという才能であろうか。たった一度目にし、その身に受けただけの技をこうまで見事に再現して見せるとは。
Mr.カラテからすれば現状の高原はまだまだ未熟である。だがその才能は将来己すら越えかねん物であると認識する。

(面白い、だからこそ『指導者』のクラスか。聖杯め、味な真似をしてくれる)

動きの止まった相手を見るや隙かさず氣を練り上げ、もう一度虎煌拳を放とうとする高原。
だが、高原は徐ろにMr.カラテが掌を突き出すのとほぼ同時に突然後方へ吹き飛ばされ、吊るしてあったサンドバッグを巻き込みながら壁に激突する。
高原を吹き飛ばした技、それもまた虎煌拳。ただし、先の『手加減』したものとは違い、人間には眼視出来ない程弾速の速い『本気』の虎煌拳であった。
高原が立ち上がるのを待ってからMr.カラテは問いかける。

「小僧、うぬはこの闘いの末に何を願う?」
「ぐっ……いてて。そんなもん決まってんだろ。この地での最強の座。それ以外何があるってんだ?」
「行く末が楽しみな男よ……。ならばその望み叶える為、我が拳を。いや、我が極限流の奥義、欲しくはないか?」
「なんだ? 教えてくれるってか?」

Mr.カラテは初めて闘いの構えを取る。

「笑止。我が極限流を欲するのならば、ワシの拳を躱し、防ぎ、受け止め、その上で見事盗んで見せよ。
 それが叶わぬ時は、代わりにその命を置いていってもらうがな」

そう宣言すると同時、今までとは段違いの殺気を放出する。
ここから先は本気の極限流を振るう。手心を加えた拳を見せても意味がない。
本気の極限流の技を身に付けた時、それで初めて高原が聖杯戦争で勝ち残る万に一つの可能性が生まれるのだろうから。
対する高原はビリビリと感じる痛いくらいの殺気の中でも笑みを浮かべる。

「ありがとうよ、おっさん。俺は頭が悪くてな、下手に教わるよりもそういうやり方が性に合ってるんでね」
「Mr.カラテ。ワシの事はそう呼べ」

彼らは再び部屋の中央で向かい合う。第2ラウンドの幕開けだ。

「覇王翔吼拳を会得せん限り、貴様がサーヴァントに勝つ事など出来ぬぞ!」


【クラス】
メンター

【真名】
Mr.カラテ(タクマ・サカザキ)@THE KING OF FIGHTERS XIII

【ステータス】
筋力A 耐久B 敏捷A 魔力E 幸運D 宝具C

【属性】
中立・中庸

【クラススキル】
指南の心得:B
 数々の英雄を育て上げた者が得るスキル。指導者としての手腕。
 対象の才能を見極めたうえで適したスキルを対象に習得させる。
 ランクBならば自らの持つ技能であれば習得させる事が可能。
 習熟度は通常自身のものが上限となるが、対象の才覚によってはプラス補正がかかり、
 自身の技能を独自にアレンジすることで場合によってはオリジナル以上のものを継承させることができる。
 彼の指導方法は相手が格闘技の初心者であろうが一切手加減の無い鬼のような厳しさであり、並大抵の者では付いて行く事など不可能。

カリスマ:E
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
 Eランクでは一軍を率いる将官程度の役職であれば、天賦の才と言える。

【保有スキル】
極限流空手:A+++
 タクマ・サカザキが創始した流派。タクマが様々な格闘技を習得し、様々な強者と闘い技を磨き、実戦から相手の技を取り入れ、それを洗練し昇華させた武術。
 人体に流れる氣の力を攻防に応用するのが基本。Mr.カラテは特にこの氣の力の扱いに長ける。
 その力、その技極めれば、オロチの力やサイコパワーや殺意の波動などの人智を超えた超パワーに頼ることなく、
 ただ修練により高められた元々人間の持つ力のみで、それら超パワーを得た者達と同等、もしくはそれ以上の域に達する事すら可能とする。
 現界まで鍛え抜かれた肉体と高められた氣、繰り出される技の数々は神秘すら帯びる。

無窮の武練:A
 ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

古傷:B
 嘗てライバルである『最強の虎』リー・ガクスウとの闘いに引き分けた時に負った左胸の傷。
 それ自体が弱点となる他、ステータスの低下、一部の技が使用不可能となるデメリットスキル。
 の筈であったのだが、後述の宝具の影響により無効化されている。

【宝具】
『天狗の面』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:-
 タクマ・サカザキがMr.カラテとして活動する時に被る面。それ自体には特殊な力は存在しない。
 しかし、これを装備しMr.カラテとして『本気』になった彼はタクマ・サカザキ時とは大きく異る。
 まるで別人のような辛辣で攻撃的、古風な言動。隠そうともしない威圧感。年齢による衰えや古傷による影響など全く感じさせない全盛期と変わらぬ動き。
 それは機械を通して戦力を数値化したものでも、タクマと同一存在としながら全く別の高すぎる数値を叩き出す。
 面を被るだけで何故このような変化をするのか。理由は一切不明。

【weapon】
なし。己の肉体こそが武器。

【人物背景】
 全てが謎に包まれた男。『不敗の格闘家』と呼ばれ、天狗の面を被り、正体を隠している。
 生きながらにして伝説と化した人物で、過去多くの武道家、格闘家が闘いを挑んだが、いずれもかなう相手がいなかったという。
 と言うのは建前で、正体は極限流の創始者である『初代・無敵の龍』タクマ・サカザキその人。周囲の人たちからもバレバレである。
 SNK格ゲー界最強の1人であり、その鍛え抜かれた技は衛星砲から放たれたビームすら弾く。

 今回召喚されたのは黒道着を着たシリアス分100%の、ちょっと他社の拳を極めし者の影響を受けちゃっているKOF XIII仕様。

【サーヴァントとしての願い】
マスターを鍛え、その行く末を見届ける(基本的には闘いは高原に譲る)。


【マスター】
高原日勝@LIVE A LIVE

【マスターとしての願い】
この催しでの敵を倒し、この世界で『最強』となる。聖杯? 勝ち抜けばトロフィー貰えるのか?

【weapon】
なし。己の肉体こそが武器。強いて言えばバンテージ。

【能力・技能】
『格闘技』
 特定の流派などの枠には囚われず、空手やプロレス、骨法、コマンドサンボなど色々使う。

『ラーニング』
 格闘家の技をその身で受ける事で、その技の特徴を学び理解し、自分の物とする技能。
 ただし、超常の力を帯びた技は、その力を再現できないため習得する事は出来ない。

【人物背景】
 あらゆる格闘技の奥義をその肉体で受け、習得し、それを持って『最強』の座を手に入れようと野心する格闘家。
 世界でも有数の格闘家達に闘いを挑み、その奥義をものにし、そして勝利してきた。
 破戒僧オディ・オブライトとの闘いに勝利して以降は、高原を『現代最強の男』と捉えた『最強』の座を目指す格闘家達に勝負を挑まれる立場となる。
 中世の時代の魔王により討ち倒すべき時代の勝者の1人として召喚され、同じく召喚された各時代の者達と協力して魔王を倒し、自分達の時代へと帰還したという経験がある。
 永遠の知力25。

【方針】
Mr.カラテの使う極限流の技を習得する。相手がサーヴァントだろうが闘いを挑み、勝利する(聖杯戦争の趣旨は理解していません)。

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最終更新:2015年12月08日 18:29