「ふぁ~」

ジリリリとけたたましい目覚ましの音で、少女は目を覚ます。
強制的に起こされたせいか、不機嫌そうな顔しながらベッドから降りた。
眠い目を擦り、フラフラとした足取りで、寝室を出てリビングに向かう。

「おはよう、チャモ」
「おはよう」

扉を開けて、出迎えていたのは両親の朝のあいさつと、優しい笑顔だった。
その笑顔につられてか、チャモも自然と笑顔で両親にあいさつをする。
正確に言えば、チャモの両親という『ロール』を演じている、NPCにあいさつをした。

ここはチャモ・ロッソが居た世界では無い。
ここは聖杯戦争の舞台として作られた偽物の街。
聖杯戦争の参加者の一人として、この地に呼ばれた。
そしてチャモに与えられたロールは「ごく普通の両親のもとで暮らす、女子中学生」
最初は自分の両親に酷似しているが、別人であるということに違和感はあったが、そういうものだと思えばすぐに慣れた。

チャモは食卓につき、母親が朝食を作るのを待ちながら、何気なくテレビから流れるニュース映像を眺めていた。

この地に呼ばれてまず驚いたのが、文化水準の高さである。
テレビというもので遠くの出来事を、まるで自分の目で見たことのように見ることができる。
電話というもので、自分の声を遠方にいる相手に伝えられ、相手の声も聞けて、意志疎通ができる。
冷凍庫というもので、液体を短時間で凍らせることができる。

このような芸当は自分が住んでいる世界では、聖者と呼ばれる異能の力を持つ者しかできないものだ。
聖者にしかできないことを、簡単にやってのける道具がある。
そして、これらの道具は、どうやら科学と呼ばれる技術によって作られたそうだ。
仲間のアドレットが、科学が凄いとか言っていたのは思い出したが、これほどまでとは思ってもいなかった。
そんな科学の力によって、自分の世界とは比べ物にならないほどに発達した、この街の生活に適応するのに、チャモは相当苦労していた。
今では充分とは言えないが、最低限はこの科学が発達した世界に適応できている。

もし自分がこの街に呼ばれたのが、聖杯戦争開始直前なら、この世界に適応できずにいただろう。
それはこれからの戦いのうえで、致命的な弱点になりうるかもしれない。
そういった意味ではチャモは幸運と言える。

そんなことを考えているうちに、朝食を作り終えた母親が料理を食卓に置き始める。
チャモの目の前に出されたのはホットケーキだ。

チャモの身体は普通の人のように、定期的な食事を必要としない。
この朝食どころか二三日食事をとらなくても平気である。
しかし、この聖杯戦争において食事をすることで、微弱ながら魔力の回復することができる。

そして、科学の力か知らないが、この世界の食べ物は自分のいた世界の食べ物より美味い。
母親が作る料理はこの世界ではごく普通の味である。
だが、チャモにとっては、どの料理もとても美味かった。
食事をそこまで必要としないといえ、美味しいものを食べたいという欲求は、チャモにも存在する。
なので、チャモは、この世界に来てからは、一日三食を積極的にとるようになっていた。

この料理はどれだけ美味しいのだろう。
そんな期待に少し胸ふくらませながら、ホットケーキにフォークを伸ばす。
しかしホットケーキは、チャモの口に運ばれることはなかった。
ホットケーキはフォークに刺さる前に、何者かの手で奪い取られていた。

チャモは手が伸びた方向に目を向けると、そこには女性が座っており、チャモが食べる筈だったホットケーキを美味しそうに食べている。
その女性の頭には、つばが異様に大きい黒の帽子。まるで童話の魔女が被っているような三角帽子を被っていた。
髪は金髪で、三つ編みにしても膝裏まで届く長さが目をひく。

チャモはこの女性に見覚えが有った。

「チョモのご飯勝手に食べないでくれる。キャスター」

怒りの表情を浮かべ、明らかに機嫌が悪そうな声色でキャスターの行為を咎める。
しかしチャモの敵意が籠った目線を受けるが、キャスターはそれがどうしたと、言わんばかりに、ホットケーキを食べ続けていた。

「キヒヒ、人が食べるものは美味そうにみえるからな、食べたくなるんだよ。むしろ、ご主人様のために、自ら献上するぐらいの心がけを見せたらどうだ。お、これ中々イケるな」
「何でチャモがキャスターにご飯をあげなきゃいけいのさ。それに人の物を勝手に食べるなんて、育ちが悪いね。チャモでもそんなことしないよ」
「ゲロガキがこの食べ物を見た時、目を輝かせていたから奪いたくなった。魔女はいじわるをするのが仕事だからな」
「相変わらず性格悪いね。それにチャモはチャモだよ。ゲロガキじゃない」

キャスターはチャモを小バカにした態度を見せながら、ホットケーキをたいらげ、NPCの母親におかわりを要求する。

チャモはキャスターのことをサーヴァントと知っているので、突如現れたのは霊体化した身体を実体化しただけと分かっている。
だがNPCの両親はどうだろう。
文字通り突然現れた人物の言うことを、はいそうですかと、聞くだろうか
むしろ、人が突然現れた恐怖と困惑で、まともに行動することもできないだろう。
だが、NPCの母親は困惑の表情を見せながらも、メタリカの要求に応える為に、台所へ向かった。

キャスターのスキルに「魔女制圧」というものがある。
それは人の住居に無理矢理押し入り、その住人に絶対服従させる。
キャスターはチャモの家に押し入り、魔女制圧のスキルでNPCの両親を服従させていた。
これにより、キャスターのことがいかに怪しかろうが、憎かろうが命令に従わなければならなくなっていた。

チャモはキャスターの方に目をやると、テレビのリモコンを手に取り、オモシロい映像がないかとザッピングしている。
するとお菓子特集の番組にチャンネルを固定し、番組を食い入るように見始めた。
テレビにかじりついている様子を見ると、とても英霊とは思えない。
だがその力はまさに英霊と呼ぶに相応しいものだった。

◆  ◇  ◆  ◇

「あれ?」

チャモが目を覚まし、視界に飛び込んできたのは湖だった。
辺りには明かりがなく、月明かりだけが光源なので断言はできないが、おそらくそうだろう。

奇妙だった。
自分は洞窟で寝ていたのに、何故湖の近くにいる?
誰かに運ばれたのか?そう思ったチャモは辺りを見渡すとあることに気付く。

「誰もいない?」

チャモ・ロッソは六花の勇者である。
六花の勇者とは、人間を滅ぼそうとする魔神の復活を阻止するために、選ばれた六人のことである。
チャモは魔神復活を阻止するために、同じ六花の勇者である仲間と旅をしていた。
だが今は誰もいない。

「猫さ~ん。おばちゃ~ん。どこに居るの?からかっているなら、チャモ怒るよ」

居る筈である仲間に呼びかけるが、その声に応じることなく空しくチャモの声が湖畔に響き渡る。
チャモの胸中には不安が渦巻いていた。
自分には想像もできない、何かが起こっているのではないかと。

「キヒヒヒ、いくら叫ぼうが、その猫さんやおばちゃんは現われないぞ」

突如聞こえてくる声に、チャモは反応する。
声は後ろからも、横からも、前からも聞こえてこなかった。
となると上。
見上げてみると、空に浮かぶ箒に腰を掛け、自分を見下ろす女性がいた。
月明かりを背に映るその姿は妙に神秘的で、まるで魔女のようだ。

空飛ぶ箒に腰かけ、宙に浮く女性。
こんな芸当をできるのは聖者ぐらいだ。ということは聖者か?
だが聖者といえど、六花の紋章がない者は魔哭領の瘴気に耐えることができず、死んでしまうはず。
だとしたら飛行能力を持ち、変身能力を持つ凶魔か?
チャモはいつでも攻撃できるように、手元にあるネコじゃらしを口元に近づかせながら、に宙に浮かぶ女性を睨む。
箒に乗った女性はゆっくりと地面に降りはじめ、チャモの目の前に立った。

「お前がワタシのマスターか……まあ、魔力は中々に有りそうだな」

女性は値踏みをするように、チャモの隅々を観察する。

「誰?チャモに何の用?」

このよく分からない状況で、知らない人間に値踏みされるように見られたのが癪に障ったのか、声に苛立ちの様子が見られる。

「どうやら何も知らないようだから教えてやろう。キャスターのクラスで召喚されし、この大魔女!メタリカが!」

キッヒヒヒとキャスターの高笑いが辺り一面に響き渡たる。

その後チャモは現状や聖杯戦争のことをメタリカに掻い摘んで説明される。

「つまり、聖杯戦争ってのに参加している人間をぶっ殺せばいいんでしょ」
「まあ、そういうことだ。キヒヒヒ」

聖杯戦争に勝ち抜けば願いが叶う。
メタリカにそう説明されたが、チャモは聖杯については懐疑的に見ていた。
願うとするならば、自分たちの世界の人間を滅ぼす存在である、魔神復活を阻止、いや、魔神の存在自体を消滅することだ。
だが、どこの誰かがやるか知らないが、魔神をそんな簡単に消せたら苦労はしない。

となると、この世界から自分の世界に脱出したいところだ。
自分が居ない六花の勇者では魔神復活を阻止できない。
しかし、元の世界に帰る方法はメタリカも知らず、自分も方法がまるで皆目見当がつかない。
仲間のアドレットなら考えることは得意なので、もしかしたら脱出する方法を考え付くかもしれない。
だが、自分は小難しいことを考えるのは苦手だし、する気もない。

それならば有るかわからない脱出方法を探すより、自分が戦ってさっさと聖杯戦争を終わらせたほうが良い。
誰が自分を呼んだか知らないが、勝者になれば元の世界に帰してくれるだろう。
それに、万が一に願いを叶えてくれるかもしれない。

「なあ、魔力を持っているということは魔女か何か?どんな魔法を使えるんだ?」

別の世界の人間がどのような魔術を使うのか?メタリカは興味があった。
そして、有用で強力な能力なら、今後の戦いでチャモに頼るかもしれないと思案していた。

自分は魔女として、非常に秀でているという自負がある。
だが聖杯戦争において、三騎士のクラスは対魔力を持っており、忌々しいが魔法が通じず、自分単体では倒せない可能性が高い。
そうなると自分がサーヴァントを引き付けて、チャモに他のマスターを倒してもらうという戦術も使うことも充分に有り得る。

生前の昔の自分なら、人をあてにするなんて、これっぽっちも考えなかっただろうなと内心で自嘲する。
しかし、自分一人の力では限界がある。
それを友人や、仲間と言える存在と共に行動したことで、それを理解していた。

「チャモは魔女じゃなくて、聖者だよ」

聖者、メタリカはその言葉を聞いた瞬間、思わず吹き出してしまった。

「ギャハハハハ!お前が聖者?どこが聖者なんだ?お前が聖者なら、ワタシは天使か何かか?」

腹を手で押さえ、大声で笑う。その笑い声は湖畔に響き渡り、音に驚いたのか、木の上にいた鳥たちが一斉に飛び立つほどだ。

自分から聖者を名乗る時点で滑稽だった。
百歩譲って、聖者と名乗るのに相応しい外見や性格ならいい。
しかし、チャモの姿はあまりもメタリカが、想像する聖者とはかけ離れていた。

聖者とは、チャモの世界では異能の力を使う女性の総称であり、けしてメタリカが考える慈悲深さや、心の清らかさを持っているという、意味で言ったわけではない。
なので、チャモには、何故自分が笑われているのは分からなかった。
ただ、バカにされているということはわかる。

「口答えとかされたことはあったけど、ここまでバカにされたのは生まれて初めてだよ」

チャモはメタリカに敵意、いや殺意の視線を向ける。
幼い容姿からは、想像できないほどの殺気を漲らせていた

チャモは強大な力を持ってしまったせいか、生死についての倫理観が乏しい。
まるで遊び感覚で、人間を拷問しようと提案し、即座に殺そうと発言する。
そのたびに仲間に止められていたが、止められていなければ躊躇なく殺していただろう。
幼子だけが、持っているという純粋な殺意。
その殺意をそのまま宿し、常人の何十倍の力を持ってしまった少女。
それがチャモ・ロッソである。
そしてチャモを止める仲間はどこにもいない。

「ん?何だ。聖者様はそんな目で人を見るのか?まさかワタシとやろうって言うのか?」

殺気を孕んだ目線を向けられながら、平然と受け流す。それどこらか、チャモをさらに煽り立てる。
メタリカは意識的に煽るつもりはなかったが、結果的にチャモの意志を固めることになる。

こいつを殺す。

自分のサーヴァントが死に、新たなサーヴァントと契約を結ばなければ、この世界から消滅してしまうことは聞いている。
だが、怒りでそのことは頭の片隅にも残っていない。

「何の能力があるかって聞いたよね?いいよ、見せてあげる!沼の聖者の力を!死んで後悔しろ!」

チャモが臨戦態勢を取ったのを見て、歯を見せ笑いながらメタリカも臨戦態勢を取る。

「キヒヒヒ、いいだろう。ここらへんで力の差を刻み込ませてやろう」

温厚なサーヴァントなら、自分の非を詫びて、チャモを宥めるだろう。
しかし、メタリカは自分が悪いとも思っていないし、ここまで反抗的な態度を取られてはプライドが許さない。
力関係を示すのにはいい機会だ。

そして、“沼の聖者”という単語に興味を惹かれた。
メタリカは生前、沼の魔女と呼ばれていた。
その自分の目の前に沼の名を冠する異能者が現われる。
恐らく沼に関係する力なのだろう。
チャモがどのような沼の力を使うか、楽しみでもある。

チャモは手に持っていた猫じゃらしを口に入れ、喉に押し込み、ぐうえ、と派手にえずいた。
次の瞬間、チャモは大きな声をあげて嘔吐した。黒と茶色と薄汚い緑が混じった吐瀉物がまき散らされた。
それは異常な量であり、小さな体の数十倍はあった。
すると吐瀉物が、形を取っていく、巨大なヒル、ナメクジ、蛙、蛇やトカゲの凶魔の形に変わっていく。
その数は50近くにもなる

チャモの世界には凶魔と呼ばれる巨大な力を持ち、人間に敵対する異形の存在がいた。
チャモは凶魔を食べることにより、食べたものを従魔として使役することができる。

「教えてあげる。チャモのお腹の中には“沼”があるんだよ。沼にはチャモが食べた生き物が、仲良く暮らしているんだ」

メタリカは顔を引き攣らせながら、その様子をただ見ていた。

「それで沼か……“沼”というより、“ゲロ”の能力だな」

正直予想していたものとは大きく違っていた。
自分の宝具のように沼でも生成するかと思ったが、まさか沼の中の生物を使役する術とは。
吐瀉物をまき散らす様は、中々に衝撃的な絵図であり、少しだけヒイていた。

「何かを使役して戦う術か。それならワタシも同じ舞台で戦ってやろう。
キヒヒヒ、喜べ、特別に宝具を見せてやる!こい!百騎兵!」

メタリカが地面に手をかざすと、地面に円形の黒いコールタールのようなものが現われる。
そこから人型の何かが勢いよく飛び出してきた。
それは小人と言ってよいほどに小柄だった。
肌は全身黒色、頭に兜のようなものを被り、てっぺんには青い炎が燃えている。

「何それ?」
「これはワタシの宝具の百騎兵。お前の相手はこの百騎兵だ」
「そのチンチクリンが相手?チャモのこと舐めてるの?」

チャモは怒気を孕んだ声でメタリカに問いかける。
最初は地面から何かが飛び出したので警戒したが、出てきたのが百騎兵である。
その締まりのない表情、マスコット人形みたいな造形。
とても自分のペットに太刀打ちできると思えなかった。

「キヒヒヒ、お前こそ百騎兵を舐めるなよ。百騎兵、あの化け物たちを薙ぎ払え

生前と同じようにメタリカは百騎兵に指示を与える。
その声と百騎兵に向ける視線は、どこか嬉しげで懐かしむようだ。

「ワッキュ!」

その掛け声は肯定ということなのか、首を縦に振る。
百騎兵は従魔の方へ悠然と歩を進める。
その手にはいつも間にか、身の丈と同じ長さの剣が握られていた。

そこに蛇の従魔が襲い掛かる。その口が今にも百騎兵の身体に噛みつかんとする。
だがそれより先に、百騎兵の剣が蛇の従魔を切り裂いた。

それを皮切りに、チャモの従魔が次々と襲い掛かる。
その物量は驚異的だった。
チャモの従魔は再生能力を持っている。
トカゲの首を切り落としても、ナメクジの胴体を真っ二つにしても、即座に再生し、百騎兵に立ち向かう。
それは何百体の従魔を相手にしていると同じこと。
その従魔を薙ぎ払い、チャモに近づくのは困難を極める、
今までに個人で従魔の守りを突破し、チャモに攻撃できたものはいない。

だが、百騎兵は従魔の集中攻撃を受けながら、傷一つつけることなく、チャモに近づいてくる。
これにはチャモも驚愕の表情を浮かべていた。
これほどの従魔が攻撃しているのに、倒すどころか、傷一つ負わすことができないことは今までになかった。

するとチャモの目の前に突然百騎兵が現われる。
従魔の攻撃の隙をついて、チャモに向かって突っ込んできたのだ。
恐るべきはその速度。十数メートルを一瞬でゼロにした。

チャモにも相手が接近してきた用の対策は有ったが、それを実行する暇すら与えられない。
百騎兵がチャモの目の前に近づきに袈裟切りの要領で剣を振り上げようtする。
チャモにはその様子がスローモーションのように見えていた。
これは避けられない。剣に切り裂かれる痛みに少しでも耐えられるように、目をつぶり、身体を硬直させた。

しかし、いくら待っても、痛みはこない。
恐る恐る目を開けると百騎兵の姿はどこにも無い。
目の前には百騎兵ではなく、悪戯っぽい笑みを浮かべるメタリカがいた。

「キヒヒヒ、これが百騎兵の力だ。いかんともしがたい力の差を理解したか?」

その笑顔は、どうだ!うちの百騎兵はすごいだろ。そう言いたげだった。

「クソ!クソ!クソ!」

チャモは涙を流しながら、地面を殴りつける。
今までこの力でわがままを通してきた。
現代最強の聖者と謳われ、自分こそ最強だと信じていた。
ところがどうだ、自分が全力を出して戦ったが、百騎兵相手にはかすり傷すら与えられなかった。
ぐうの音も出ないほどの完敗。
チャモのプライドは粉々に砕けた..


◆  ◇  ◆  ◇

朝食を食べ終わったチャモは、自室に向い学校へ行くための準備をはじめる。
ロールに従う気はなかったが、メタリカがロールに従い、NPCとして振る舞えという助言があった。
言っていることは筋が通っていたので一応は従うことにする。

「おいゲロガキ、ちゃんと怪しまれないようにしているか?」
「うるさいな、ちゃんとしてるよ。チャモは賢いから、おばちゃんみたいに騙されたり、怪しまれたりしないよ」

チャモはメタリカのことは、そんなに好きではない。
自分本位で傍若無人。名前をちゃんと言わないし、やたら主人面してくる。
ここに来る前のチャモなら、間違いなくキレていただろう。

自分一人でこの聖杯戦争を勝ち抜けるなら、メタリカなんて殺している。
だがサーヴァントとの実力差を思い知らされた。
当代最強の聖者と謳われたチャモだが、負けたことはある。
理由としては、数の力で押し切られた、自分の能力の対策を取られていた。

だが、今回の敗戦は今までの負けとは違う。
たった一体の相手に力でねじ伏せられた。
言い訳のしようが無い敗北。
そんな化け物がゴロゴロいるのが、この聖杯戦争という戦い。
悔しいが、メタリカと協力しなければ生き残ることはできない。
生き残るために怒りを堪え、チャモはメタリカと折り合うことにする。

「学校って処は友達が居ないと怪しまれるらしいぞ、ちゃんと友達いるか?
お前の性格じゃ、友達いなそうだけどな。キヒヒヒ」
「キャスターだけに言われたくないよ。キャスターこそ、そんな性格じゃ友達いなかったでしょ」

チャモは二ヒヒと笑いながら、言い返す。
メタリカの次の反応はむきになって言い返すと思ったが、予想とは違った。

「友達はいたよ……」

悲しげな顔をし、ふと窓から見える空を見つめていた。

メタリカには一人の友人がいた。
最初は友人とは思わず、ただのうっとおしい存在だった。
友人は自分が嘆き悲しんでいる時、自分の為に怒ってくれた。
それが嬉しかった。
友人と居ると自分をさらけ出せる。
友人は自分を沼の魔女ではなくメタリカとして接してくれる。
それが心地よかった。
メタリカは友人を傷つけた。
友人の為にやったことが、結果的に傷つけてしまった。
そのことを謝ることができず、友人は死んだ。
二度とそいつと一緒に共に過ごすことができなくなった。
それがツラかった。
だから生き返らせることにした。
そして自分の命と引き換えに生き返った。
自分の行動に一切の後悔はない。
だがもっと遊びたかった。二人で色々なことをしたかった。
そして、傷つけたことを謝りたかった。
メタリカの願いそれは。

―――生き返ってビスコに会いたい、ビスコと一緒に遊びたい、そして謝りたい―――――


【クラス】
キャスター

【真名】
メタリカ@魔女と百騎兵

【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷C 魔力A 幸運C 宝具B

【属性】
混沌・善

【クラススキル】
沼地作成 B
陣地作成が変化したもの。
宝具『愛しき我が故郷』を用いて自分に有利な沼地を広げていく

道具作成 A
魔力を消費してマジックアイテムを作成できる。
生前は奇跡の霊薬エリクシールを作り上げることができた

【保有スキル】
不死:C
メタリカはエリクシールを飲んだことにより不死の身体になる。
ただ復活の際には膨大な魔力を消費することになるので魔力が尽きれば復活できない。

沼の呪縛:―
バッドスキル。
沼が近くになければ一時間程度しか現体化できず、スタータスも全て2ランク下がる。

魔女制圧:C
人が住む住居に無理矢理侵入し住民に絶対服従を強要させるスキル。
服従させた人物が提供される食事をメタリカ及びそのマスターが摂取すると通常の食事摂取より多くの魔力回復が望める

【宝具】

『愛しき我が故郷(ニブルヘンネの沼)』

ランク:C 種別:対陣地宝具 レンジ:1~1000 最大補足:1~1000

メタリカが住んでいたニブルヘンネの沼を再現する宝具。
魔力を消費して沼を作成する。
この沼は耐性が無いものが触れば体が溶ける。
また匂いを嗅いだだけでも体調不良をおこす危険な毒性を持っている。

なおメタリカが魔力を消費すればその分だけ沼は干上がる。
魔術を使用しても、自分の魔力ではなく沼を消費させることで,
魔力の消費を肩代わりできる

『愛しき我が相棒(百騎兵)』

ランクB 種別対人宝具 レンジ1~10 最大補足 1

生前沼を世界中に広げるという目的の為。大帝召喚の儀で召喚した魔法生物「百騎兵」
その百騎兵を宝具として呼び出すことができる
言葉はしゃべれないが身振り手振りで意思表示できる知能は持っている。
剣、槍、鈍槌、槍鎌、燭台の五種類の武器を駆使して闘う。


《保有スキル》

体力回復:B
傷を受けてもメタリカの魔力を使って傷を修復することができる。

カオスリバレーション:
幸福以外のステータスを一段階上げることが可能。
しかしメタリカの魔力が多大に消費し長時間使うことは難しい。

戦術トーチカ:C
以下の戦術トーチカを使用できる

8系チクボム 
爆弾型のトーチカで同時召喚1基まで。

10系ディアロ―  
弓矢型のトーチカ、同時召喚3基。
斬撃属性の遠距離攻撃、ロックオンすることで対象に向かって誘導できる。

16系デコイモ
囮型のトーチカ、同時召喚2基まで。近くにいる敵をひきつける効果。ダメージをある程度受けるか、時間経過で消滅

26系キャプテル
捕縛消滅型のトーチカ、同時召喚1基。弱った敵を捕獲する

42系プロテム
支援型トーチカ。百騎兵のステータスを上げる。同時召喚2基による効果重複可能。

1系チビヘイ
自立戦闘型のトーチカ、同時召喚8基。
召喚後、自動的に戦闘を行う自立型の戦闘トーチカ。百騎兵の移動に追従してくる。

72系ウィクック
偵察斥候型のトーチカ、同時召喚1基。
百騎兵の目となり、偵察を行うことが可能。ただし、百騎兵本体は召喚した場所に残るので注意が必要。

42系キャセリオ
戦闘砦型のトーチカ、同時召喚2基。
自動で遠距離攻撃を行う大型固定砲台。攻撃属性は魔撃。

捕食:C
生物を捕食する。
捕食した生物に応じて魔力が回復する。
相手が弱っていないと捕食不可能

【Weapon】
箒(移動用)

【人物背景】
ニブルヘンネの沼に住む沼の魔女。
百騎兵を召喚し世界を沼で満たしそうと邁進する。
性格は傍若無人。自分に敵対する者は容赦しない。
名前を間違われるのは大嫌い
魔力の源であるマナを操る術に長けており、強大な魔力を自在に操る能力は他の魔女の追随を許さない。
外見こそ少女だが年齢は113歳以上。
だがその実、沼に籠りきりで外の世界の知識は本から得た為見た目や言動に反して性格は幼い。
甘いものは好きだが、辛いものや苦いものを嫌う

【サーヴァントとしての願い】
聖杯の力で生き返りビスコと遊びたい、傷つけたことを謝りたい。


【マスター】
チャモ・ロッソ@六花の勇者

【マスターとしての願い】
魔神の消滅(願いを叶えることはそこまで期待していない)

【weapon】
無し

【能力・技能】
『沼の聖者』
聖者と呼ばれる、異能能力者。
体内に沼があり、その従魔と呼ばれるモンスターのようなものを飼っている。
従魔を使役することができる

【人物背景】
六花の勇者の一人、14歳
沼の聖者であり、現代最強との呼び声が高い。
性格は傲慢で、協調性がない子供そのもの。加えて子供特有の残酷さを持ち、破壊と殺戮に対して何の躊躇いも持っていない。

【方針】
聖杯戦争を勝ち抜く。
とりあえず学校に行く。

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最終更新:2015年12月09日 18:38