最初に思ったことは、空っぽだということだ。
自分の中に何もない、自分が何者なのかさえ分からない空虚さ。
霞がかった記憶の断片も、それが何を意味しているのかがわからない。
「オレの記憶は、オレの『思い出』はどこに行った……?」
次に感じたことは、不安。
何もない自分は何を根源とし動けばいい。何を支えに立てばいい。
記憶の断片への霞は時を増す毎に強くなり、このまま内側から壊れてしまうのではないかと恐怖を生む。
「パ、パ……」
絞りだすように。
父親を求め、か細い声を上げた。
だが、わからない。
助けを求めようとしている父親がどんな人物なのか。
自分の中で父親がどのような存在だったのか。
何故、この状況で求めたのが父親なのかさえも。
「誰、か……オレの『思い出』を……取り戻してくれ……」
「それがお前の願いか」
響く自分以外の声に、顔を上げる。
いつからいたのか、黒い衣装に身を包んだ金髪の男が少女の前に立ち、その蒼い瞳を向けていた。
それを認識すると同時に、空っぽだったはずの自分の中に、ハッキリと思い出せる記憶が存在していることに気づく。
「……お前は、オレのサーヴァント、なのか?」
セイバーだ、とだけ男は返す。
無愛想だな、などと感想を抱きつつ、少女は俯く。
少女の頭に浮かんできた記憶、それは彼女の不安を晴らせてはいない。
明らかな異物感、他の断片とは繋がりようもないその記憶の存在は、返って少女の空虚さを強めていた。
「力を貸してくれ、セイバー……オレは、『思い出』を取り戻したい」
「……後悔はしないか」
セイバーの言葉に首を捻る。
思い出を、記憶を取り戻すことで後悔などするわけがないと。
「『思い出』は、時に牙を向いて己を傷つける。俺は何度も、自分の『思い出』に負けそうになった」
その言葉の意味を、少女が正確に理解できたかは分からない。
それでも心の内に、自身へと警鐘を鳴らしている記憶の断片が存在することを認識した。
思い出すべきではないと、己の行い、所業は今の彼女を傷つけることだと。
だが、そうだとしても。
「今のオレには、他に選択肢はない。このまま内側から朽ちて、壊れ、消え去ることを、何故許容できる!」
「……いいだろう、アンタの戦いに力を貸そう」
思わず叫ぶ少女へと短く告げ、セイバーは踵を返して歩き出す。
「……待て、セイバー。お前は、聖杯に何を願う、お前の戦う理由はなんだ?」
少女の問いかけに、セイバーは肩越しに振り返り、ただ、一言。
「―――興味ないね」
全ての『思い出』を失った少女、キャロル・マールス・ディーンハイム。
長き間『思い出』の英雄と戦い続けた男、クラウド・ストライフ。
二人の戦いは、ここから始まる。
【クラス】
セイバー
【真名】
クラウド・ストライフ@FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN
【パラメータ】
筋力A 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具B
【属性】
中立・善
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランク以上の獣は乗りこなせない。
【保有スキル】
セフィロス・コピー:EX
伝説のソルジャー、セフィロスと同等の身体能力になることを目的とした人体改造実験を長きに渡って施された。
筋力、耐久、敏捷が向上するが、精神に異常をきたしてしまう。
オリジナルのセフィロスから操られるが、クラウドは仲間たちの助けもあり、精神異常と共にそれを克服している。
戦闘続行:B
名称通り戦闘を続行する為の能力。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
直感:C
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
星の開拓者:EX
人類史のターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル。
あらゆる難航・難行が、「不可能なまま」「実現可能な出来事」になる。
その時代の記述力では一歩足りない難行を人間力だけで乗り越える、一握りの天才ではなくどこにでもいる人間が持つ『誇り』を燃し尽くす力。
【宝具】
『機械仕掛けの刃狼(フェンリル)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:―
クラウドの愛車である大型バイク。
内部には6本の合体剣が搭載されており、両サイドが開く事によって取り出すことができる。
『星の守護者たる究極剣(アルテマウェポン)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
使い手の生命力を攻撃力に変える剣。
装備者の生命力が高ければ高い程威力が高まる。
紫と白の半透明な刀身を持つが、装備者の生命力が減る毎に青白く変化していく。
また、この宝具の使用中に限り「超究武神覇斬Ver.1」とでも言うべき15連斬りが可能となる。
『友との絆の証(バスターソード)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
身の丈ほどもある巨大な片刃両手剣。
神秘性・攻撃力共に低く、実用性は低い。
だが、クラウドを語る際に、この剣については欠かせない物である。
【weapon】
通称「ファースト剣」をベースに合計6本の剣が組み合わさっており、戦闘中は必要に応じて合体、分離させて戦う。
二刀流で戦う。一本を壁に突き刺し足場にする。ブーメランのように投げて攻撃する等、クラウドは様々な用途で使いこなす。
この武器を使う際の必殺技は「超究武神覇斬Ver.5」、Ver.1とは全く別物であり、分離させた剣による連続斬りとなっている。
【人物背景】
元は神羅カンパニーの一般兵士であったが、セフィロス・コピー計画と称された人体実験のサンプルにされてしまう。
実験の影響で魔光中毒となり、その後、中毒状態の意識のままミッドガルにてティファと再会した際、
彼女の記憶をクラウド自身のジェノバ細胞が読み取り、またその折に自分が理想とするクールな性格や、
何かと都合の良いザックスの立ち位置や経歴などが、クラウドの素の人格に混ぜ合わさって「偽りのクラウド」が無意識に作り上げられた。
『FFVII』の戦いで、己の弱さから目を背けるのをやめ、本当の自分を取り戻し、内向的な性分を乗り越えたかのように思えたが、
ようやく手に入れた平和な日常への戸惑いやエアリスを守れなかった事、ザックスへの自責の念、また星痕症候群の発症などにより、
「偽りのクラウド」だった時の暗い性格へと戻ってしまう。
その後、仲間たちからの叱責や、復活したセフィロスとの戦い、ライフストリームの中でのエアリスやザックスの助けもあり、再び前を向くことができた。
筋金入りの乗り物酔いだが、自分で運転する分には酔わないらしい。
【サーヴァントとしての願い】
興味ない
【マスター】
キャロル・マールス・ディーンハイム@戦姫絶唱シンフォギアGX
【マスターとしての願い】
『思い出』を取り戻す
【weapon】
無し
【能力・技能】
『思い出』の無い彼女に扱える能力は無い
【人物背景】
悠久の時を経て錬金術の全てを統括・習得した錬金術士。
かつては天真爛漫を絵に描いたような少女であったが、万象黙示録の計画を進める内に自らを「オレ」と称し、
目的の為なら手段を選ばない冷徹さと、不慮の事態に激情して暴走してしまう感情的な二面性の持ち主へと変貌を遂げていった。
過去に同じく錬金術師であった父・イザークを処刑され、「消えてしまえばいい思い出」と述べている。
イザークが死の間際遺した「世界を識る」という言葉に対し、数百年を経て「世界を分解して解析することで、万象黙示録を完成させる」という解答を導き出し、自ら創り出した兵を率いて活動する。
万象黙示録を完成させるための計画の最中、機動部隊「S.O.N.G.」と激闘を繰り広げ、その戦いの最後に全ての『思い出』を償却、記憶を全て喪失してしまう。
四大元素(アリストテレス)をはじめとする様々なエネルギーを自在に使いこなす強大な戦闘能力を秘めているが、
それらは全て『思い出』を償却し使い捨てのエネルギーと変換錬成する必要があるため、現在の彼女には使うことができない。
【方針】
聖杯を手に入れる
最終更新:2015年12月14日 20:51