「クソっ……!完全にハズレだっ……!こいつはっ……!死ぬっ……!死んじまうっ……!」

伊籐カイジには莫大な借金があった。元からあった借金に加えてギャンブルで大負けし、そこに利息なども含み今やその額は一千万に届こうとしている。
そんな破滅寸前のカイジにとって、突然巻き込まれたとはいえこの聖杯戦争はまさに天から降りてきた蜘蛛の糸、最後のチャンスだった。
しかし、それも今や風前の灯となっていた。目の前にはナイフを持った男たちが二人、先ほど自分が契約したばかりのサーヴァントはその二人に速攻でやられて転がっている。
最初に一人のサーヴァントが襲撃してきて勝負が始まったと思ったら、同じ顔のサーヴァントがもう一人出てきて後ろからカイジのサーヴァントを倒したのだ。

「ホホホ、あのサーヴァント相手が一人と思って油断してたアル」
「まぁ、無理も無いネ。冥土の土産に教えてやるアル。我らは生前、一人の殺し屋として名のしれた存在だたネ」
「しかし、その実態は同じ顔の双子の殺し屋アルアル短剣隊……おかげでアサシンとして召喚された時も二人一組の英霊として呼び出されたというわけヨ

二人の話などカイジの耳には既に聞こえていなかった。役立たずのサーヴァントには目もくれず、とにかくこの場から逃げ出そうとする……が……駄目っ……!恐怖っ……!目の前に迫る絶対的な死の恐怖がカイジの身体を重くする。

「チクショウっ……!なんで……なんで動かねえんだっ……!なんでっ……!」
「サーヴァントがいなくなればそのマスターもどうせ間もなく死んでしまうというのに愚かなやつネ」
「プロの情けアル、せめてコイツで苦しまずに逝くヨロシっ!」

カイジの姿を嘲笑いながら、アサシンは心臓にナイフを突き立てようと腕を振り下ろす。

「機巧変化(カラクリヘンゲ)、亀鋸(カメノコ)!」

だが、次の瞬間その振り下ろそうとした腕は宙を舞い、ドチャっと嫌な音を立てて落下した。

「実に力がみなぎってくる何とも心地の良い『悪意』ある攻撃だったぜ……」

いつの間にかカイジのサーヴァントが起き上がり、巨大な鋸に変化させた手甲でアサシンの腕を切断していた。

「なぁっ!?わ、私の腕がァ……!?」
「こいつよくも……イヤ!そ、それよりもなぜ心臓を貫かれて生きているアル!?」

アサシンの言葉にカイジのサーヴァントはニヤリスと笑って答える。

「んなもん決まってんだろ?オレがメチャクチャすげェからだよ」
「クッ……こうなれば、我らの奥義で始末してやるアル!」
「無敵の暗殺術を喰らって後悔するヨロシ!」

そしてアサシン達は掛け声とともに二人同時にカイジのサーヴァントに襲いかかる。

「ハイィ!」「ハイィ!」「「ハイィ!ハイィ!ハイィ!アルアル短k……!」」
「鋸挽(のこぎりびき)!」

吠えると同時に巨大な鋸になった手甲、亀鋸を一閃。二体のアサシンは真っ二つに切り裂かれ消滅した。

「うるせぇよ。雑魚は黙って死んでろ。」

戦いが終わると、カイジはようやく動くようになった足で立ち上がる。

「ニ、ニート……?お前生きて……いてぇっ!?」

よろよろと近づくカイジの鼻先を亀鋸の先っぽで軽く突く。

「オレをクラス名で呼ぶなっつったよな、カイジ?今度やったらその邪魔くせえ鼻と顎へし折るぞ」

ギロッと睨んで威圧するとカイジはヒッと小さく悲鳴を上げて慌てて顔を手で隠す。

「オレを呼ぶときは……バイスさんだ」

【クラス】
ニート(無職)

【真名】
機巧童子バイス@機巧童子ULTIMO

【ステータス】
筋力A 耐久D+ 敏捷B 魔力E 幸運C 宝具A (平常時)

筋力A+ 耐久D+ 敏捷A 魔力E 幸運C 宝具A (セカンド形態)

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
無し

【保有スキル】
無能:A
何の能力も持たない能無し。自身の全てのクラス適性を無効にして無職(ニート)になる。
本人曰く「無能こそ究極の悪のパワー、何も生み出さずただ消費し続ける。絶対的破壊力」

盗能:A(セカンド形態)
無能が極められ進化した能力。一度見たスキルをパクって体得することが出来る。
得たスキルは完全にコントロール可能。それは自身の精神に作用するようなものも例外ではない。

【宝具】
『霊(たま)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
機巧童子の発動機関。側にいる者の憎悪や欲といった悪意をエネルギーに変換し、身体の強化や自己修復を行うバイスのパワーの源。
これが壊れればバイスは完全に停止してしまうが、その破壊に悪意や敵意があった場合はそれを糧にして即座に復活することが出来る。
また、悪のエネルギーが一定値を超えるとバイスの身体をセカンド形態(バイスバックフロムダーク)へと進化させる。

『機巧変化(カラクリヘンゲ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
身体を物理法則や質量保存をガン無視して様々な形に変形させる能力。
  • 亀鋸(カメノコ)-手甲を鋸に変化させ斬りつける。
  • 鬼面(オニメン) -巨大化し鬼のような姿になる。その形態の正式名称はオーガバイス。
変形時に合体することでマスターが中に乗り込むことも可能。
  • 鬼亀鋸(オニカメノコ) -鬼面状態で使用可能。手甲を巨大な鋸に変化させ相手を真っ二つに切り裂く。
  • 鬼狐槌(オニコヅチ) -鬼面状態で使用可能。手甲を大槌に変化させ相手に叩き込む。
  • 否骨(イナボーン) - 鬼面状態で使用可能。全身から無数の骨状の棘を伸ばし相手を攻撃する。

【weapon】
手甲と眼甲、袴の内側にある飛翔ユニット。いずれも容易に出し入れが可能。

【人物背景】
「善」と「悪」のどちらが強いのかを知るために生み出された意思を持つ人形の一体。究極の悪を体現した個体。
「働いたら負け」とか言って日本国民三大義務である勤労をガン無視するほどのド悪党。
カルピスは薄めずに飲む。
モチーフは亀と鬼。
また、「全ての次元に機巧童子は1体しか存在できない」という制約があり、同一の機体が存在する時空に重ねて出現することはできない。

【サーヴァントの願い】
マスターから悪を学ぶために聖杯戦争に参加する。
基本的にはマスターの方針に従うが、悪の衝動が優先。

【マスター】
伊籐カイジ@賭博破戒録カイジ(冒頭)

【マスターとしての願い】
借金返済

【人物背景】
高校卒業後に上京したが、就職せずにしょぼい酒と博打に明け暮れ、街で見かけた高級車への悪戯で憂さを晴らす、行き詰まった最低な日々を過ごしていた青年。
平穏な環境では怠惰で自堕落なダメ人間だが、命が懸かった極限の状態に置かれると並外れた度胸と博才を発揮し、論理的思考と天才的発想による「勝つべくして勝つ策略」をもって博打地獄を必死に戦い抜いていく。
どんな状況であろうと信頼した人間を裏切ることは決してしないが、信頼を寄せた人間に裏切られる経験を何度も繰り返しており、たびたび苦い思いを味わされている。そのため他人を突き放す口ぶりが多いが、最終的には追い詰められた人を見捨てられずに己の利を蹴ってでも救おうとする、良く言えば心優しい、悪く言えば甘い性格である。
どういうわけか、普通なら苗字で呼ぶような場面でも「伊藤」ではなく下の名の「カイジ」で呼ばれる。

【方針】
聖杯を手に入れるために動くが、カイジは人殺しをする度胸はない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年12月21日 22:32