時は、陽が沈んだばかりでこれから夜が始まろうかという頃合い。
一人の少女が、愛らしい顔を恐怖で引きつらせながら路地裏を走っていた。
「ヒヒヒ……。待ちなよ、お嬢さんよぉ」
少女を追いかけるのは、凶悪な面構えをしたランサーのサーヴァント。
追われている少女は、聖杯戦争に関わる存在ではない。あくまでこの仮初めの世界をそれらしくするために生み出された、NPCだ。
ランサーが彼女を狙っているのは、単におのれの残虐趣味を満たすためである。
力を得るための魂食いですらない、欲望だけに基づいた行動だ。
「う……あ……」
やがて精根尽き果て、少女はアスファルトの上に倒れ込む。
ランサーは下卑た笑みを浮かべながら、槍を振りかざして少女に歩み寄る。
その瞬間、けたたましい音と共に銃弾の雨が降り注いだ。
「なんだぁ!?」
サーヴァントに対し、通常の近代兵器は意味をなさない。
だが、おのれに敵意を向ける存在を放っておくわけにもいかない。
ランサーは即座に、弾丸の飛んできた方向に視線を向けた。
彼の目に映ったのは、雑居ビルの屋上に佇む二人の青年だった。
「やはり俺では、サーヴァントはどうにもならんか……」
マシンガンを手にした片割れの青年は、忌々しげに呟く。
「仕方あるまい。いくらお前でも、無理なものは無理だ。
サーヴァントとの戦いは俺に任せろ。お前はあの子の保護を頼む」
もう一人の青年の言葉に、マシンガンの青年は無言でうなずく。
そして、微塵のためらいも見せずに屋上から飛び降りた。
「ひいっ!」
その光景を見ていた少女は、凄惨な結果を予想して叫び声を上げる。
だがその予想を裏切り、青年は全くの無傷で着地を成功させた。
「その身体能力……。てめえもサーヴァントか!?」
「いや……。あいにく、サーヴァントは向こうだ」
その言葉に合わせるように、もう一人の青年も飛び降りる。
落下による風圧を身に受けながら、青年はおのれの宝具を解放する。
「有り得ざる三人目(ザ・サード)」
青年の腰に、風車のついた大きなベルトが出現する。
続けて彼は、空中で華麗にポーズを決めた。
「変身……!」
一瞬、青年の体が光に包まれる。
そして地面に降り立った時、彼の姿はまったく違うものへと変貌していた。
端正な顔はバッタを模した仮面で覆われ、体も人工皮膚とプロテクターに包まれている。
「妙な力だな……。何者だ、てめえは!」
「俺はライダーのサーヴァント……人呼んで、仮面ライダー3号!」
◇ ◇ ◇
郊外にある、安アパートの一室。
ランサーを難なく下した二人は、そこで休息をとっていた。
ここはライダーのマスターである青年……風見志郎の自宅としてあてがわれた部屋だ。
風見には大学生の身分が与えられていたが、マスターとして覚醒して以降の彼は一度も大学に通ってはいない。
こうして街を巡回しては、悪行に走るサーヴァントやマスターを排除するということを繰り返していた。
「まだ今の方針を貫き続けるつもりか?」
椅子に座って顔を伏せたまま動かない風見に対し、ライダーが話しかける。
「今はまだ、聖杯戦争は様子見の段階だ。活発に動いてる主従は少ない。
だがそれでも、俺たちが守り切れなかった犠牲が確実に出ている。
いずれ聖杯戦争が本格化すれば、もっと多くの一般市民が巻き込まれるだろう。
全ての人を守ろうとする道は、困難を極める。それでも、やるのか」
「当然だ」
サーヴァントからの問いに、風見は即答する。
「聖杯などに興味は無い。俺は仮面ライダーとしての使命を果たすだけだ。
たとえ仮初めの命であっても、この街の住人はたしかに人間として平穏な生活を送っている。
その平和を守るのが、俺の願いだ。お前も仮面ライダーなら、わかるだろう」
「……ああ、そうだな」
わずかに間があったものの、ライダーは風見の言葉を肯定する。
「お前は俺のいた世界の仮面ライダーV3ではないが……。紛れもなく仮面ライダーだ。
お前が迷わないのなら、俺も全力で応えよう。お前の、仮面ライダーとしての魂に」
「ああ。頼むぞ、黒井」
ほんの数秒で紡がれる、短い言葉。
だがそこに、自分への全幅の信頼が詰まっているようにライダーは感じた。
【クラス】ライダー
【真名】黒井響一郎
【出典】スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号
【属性】混沌・善
【パラメーター】筋力:C 耐久:C 敏捷:C 魔力:E 幸運:E 宝具:C
(変身時)筋力:B 耐久:B 敏捷:B+ 魔力:E 幸運:E 宝具:C
【クラススキル】
対魔力:D
魔術に対する抵抗力。
一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
騎乗:A+
乗り物を乗りこなす能力。竜種を除くすべての乗り物を乗りこなす。
【保有スキル】
単独行動:B
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
Bランクならば2日は現界可能。
最速への執念:B
スピードへのこだわりがスキルとなったもの。
自分より敏捷の高いサーヴァントと交戦した時、敏捷が1ランク上昇する。
改造人間:A
肉体の大半を機械に置き換えた存在。
ランクが高いほど肉体に悪影響を及ぼすスキル・宝具に対する耐性が高まるが、英霊としての格は落ちる。
【宝具】
『有り得ざる三人目(ザ・サード)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
「仮面ライダー3号」への変身能力。
宝具を解放するとまずベルトが出現し、その後ポーズとかけ声によって変身が完了する。
特殊能力や専用武器などは特になく、基本的に肉弾戦で戦う。
『第三の旋風(トライサイクロン)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-20 最大捕捉:5人
仮面ライダー3号の相棒たる、ジェットエンジン搭載の自動車。
ミサイルや車体前部に搭載された2丁のマシンガンで武装している。
レンジと最大補足は、この武装のデータである。
【weapon】
特になし
【人物背景】
ショッカーが歴史を改変したことにより、存在しないはずの「仮面ライダー3号」となった青年。
ショッカー首領との戦いで疲弊した1号と2号を襲撃し、二人を殺害。ショッカー再興の基盤を作る。
その後もショッカーの一員として活動するが、心の奥底では1号と2号を殺した罪悪感にさいなまれ続けていた。
やがて仮面ライダードライブとの交流で迷いを振り切り、復活した1号たちと共にショッカーを滅ぼす。
それにより歴史が本来のものに戻ったため、仮面ライダーとしての彼は消滅。
だがその魂は、英霊という形で存在し続けていた。
【サーヴァントとしての願い】
今度こそ「人類の自由と平和を守る戦士」として戦う。
【マスター】風見志郎
【出典】仮面ライダーSPIRITS
【マスターとしての願い】
弱者を守り、悪を討つ
【weapon】
○マシンガンアーム
親友・結城丈二に託された高性能義手「ライダーマンアーム」の一形態。
この形態では義手として装着しなくても武器にできるため、風見は基本的にこの状態で使用している。
純然たる科学の結晶であるためサーヴァントに効果は望めないが、怪人をも殺傷する破壊力は人間にとっては十分すぎる驚異である。
【能力・技能】
○改造人間の身体能力
V3に変身せずとも、身体能力は人間のそれを大幅に上回る。
【人物背景】
大学で仮面ライダー1号・本郷猛の後輩だった青年。
悪の組織・デストロンに瀕死の重傷を負わされたところを、1号と2号に改造され3人目の仮面ライダー・V3として蘇る。
普段の言動はクールだが、心に熱い正義感と友情を秘める戦士である。
今回は四国での戦いでベルトを損傷し、V3に変身できない状態での参戦。
【方針】
聖杯を狙うつもりはない。悪事を働く参加者とのみ戦う。
最終更新:2015年12月08日 02:10