この街はここ最近、急激に治安が悪化していた。
失踪、殺人、原因不明の爆発事故。
そんな事件が、立て続けに発生している。
警察はこの事態を重く受け止め、別件で街を訪れていた世界一の名探偵に調査を依頼した。
それが、「L」に与えられたバックストーリーだった。


◇ ◇ ◇


「では、明日もよろしくお願いします」
「ええ、また明日」

律儀に送ってくれた刑事と別れの挨拶を交わし、Lはあてがわれたホテルの一室へと戻った。

「お疲れ様、マスター」

部屋に入るなり、実体化したサーヴァントが声をかけてくる。
Lにあてがわれたのは、キャスターのサーヴァント。
ボーダーの服を着た、英霊らしからぬ容貌の青年だ。
しかし彼が常人には持ち得ない能力を持っていることを、Lはすでに知っている。
生前の彼はその能力を使い、Lと同じく探偵として活動していたらしい。
本人いわく、正確には「探偵の相棒」らしいが。

「真実を知っているのにごまかさなくてはいけないとは、肩がこるものですね」

ソファーに寝転びながら、Lは呟く。
自らが参加者であるLは、一連の事件が聖杯戦争のせいで引き起こされたものであることを知っている。
だがそれを、警察に伝えることはしていなかった。

「仕方ないさ。真実を教えたところで、警察には何もできない。
 かえって混乱を招く危険性もある」
「しょせん彼らは、聖杯戦争の添え物にすぎないというわけですか……」

Lは、大仰に溜息をついてみせる。

「やはり気に入りませんね、この聖杯戦争を開いた人間は。
 多数の人間を拉致し、なんでも願いを叶えるという聖杯を餌に殺し合いをさせる。
 さらにはそのためだけに、大量の人ならざる人を作り上げるとは……」
「だから正体を暴き、犯した罪の責任を取らせる……かい?」
「ええ、ここは異世界らしいですから、私の世界の法は通用しません。
 ですがこのような行い、道徳に照らし合わせればどう考えても悪です。
 ですから私刑になってしまいますが、犯人……ええ、あえて犯人と呼びましょう。
 この事態を巻き起こした犯人には、何らかの形で罪を償ってもらいます」
「だが僕たちは、君の言う犯人の掌の上にいるわけだ。本当にそんなことができるのかな?」


興味津々といった面持ちで、キャスターは尋ねる。
それに対し、Lは微笑を浮かべながら返す。

「もちろんです。私、世界一の探偵ですから」
「面白い!」

身振りを交えながら、キャスターは叫ぶ。

「君は実に興味深い人間だよ、L。冷静だが冷酷ではない。
 むしろ正義感が強い人間だ。だが決してまっすぐではなく、歪みもある。
 君と組めば、お互い新たなものを得られるだろう。
 君がマスターになったのは、僕にとって当たりだったようだ」
「それはどうも」

徐々にテンションを上げていくキャスターに対し、Lはあくまで淡々と応える。

「たしかに、あなたの情報処理能力は捜査の大きな助けになるでしょうね。
 反面、戦力としては半人前のようですが……」
「人聞きの悪い言い方をしないでもらおうか。
 たしかに僕はパートナーがいなければ本来の戦闘力を発揮できないが、それでも並のキャスターよりは戦えるんだよ」
「そもそも、キャスターって魔術師のクラスなんでしょう? それが肉弾戦ってどうなんです?
 ガバガバですね、聖杯戦争」
「今のところ君の一番気に入らないところは、その減らず口の多さだね……」
「そういう性分ですので。ああ、そうそう。今から1時間ほど仮眠を取りますので、起きる時間に合わせてコーヒー淹れておいてください」
「いや、そういうことするためのサーヴァントじゃないんだけど」
「文句ならワタリを私のそばに配置しなかった、この世界に言ってください」

抗議の声を受け流し、Lは寝室へ消えていく。
残されたキャスターは、ただ溜息をつく他なかった。



【クラス】キャスター
【真名】フィリップ
【出典】仮面ライダーW
【属性】中立・善

【パラメーター】筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:A 幸運:C 宝具:B
    (変身時)筋力:C 耐久:C 敏捷:B+ 魔力:A 幸運:C 宝具:B

【クラススキル】
陣地作成:EX
自らに有利な陣地を作成可能。
彼にとっての陣地とは、精神世界内の「地球(ほし)の本棚」である。
陣地を拡張することにより、キャスターは自分の世界だけでなく今いる世界や出会った人物の出身世界の情報を得ることができる。
「規格外」ではなく、「特殊」という意味でのEXランク。

道具作成:B
魔力を帯びた器具を作成可能。
ガイアメモリや変身ベルトは、より短時間で作成できる。

【保有スキル】
蔵知の司書:B
「地球(ほし)の本棚」による膨大な知識を活用した情報処理能力。
例え明確に認識していなかった場合でも、LUC判定に成功すれば過去に知覚した情報・知識を記憶に再現できる。

仕切り直し:C
戦闘から離脱する能力。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻す。


【宝具】
『疾風の記憶(サイクロンメモリ)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
地球より汲み上げた「疾風」の記憶を封じたメモリ。
ロストドライバーにセットすることにより、仮面ライダーサイクロンへ変身することができる。

【weapon】
○ロストドライバー
ガイアメモリを使用する変身ベルトの初期型。
ガイアメモリを差し込んで展開することにより、仮面ライダーに変身できる。

【人物背景】
秘密組織「ミュージアム」の工場で、ガイアメモリの製造を行っていた青年。
鳴海荘吉により救出され、彼の弟子であった左翔太郎とコンビを組む。
翔太郎と共に「二人で一人の仮面ライダー」として、風都の平和を守るために戦った。
過去の記憶を失っており、「フィリップ」はフィリップ・マーロウにちなんで荘吉がつけた呼び名。
その正体はミュージアム総帥・園咲琉兵衛の息子である来人。
幼少の頃に地球の記憶の奔流である「ガイアストリーム」に落下し、肉体的には死亡。
それ以降の彼は地球のエネルギーを依り代に実体化しているデータ人間である。
その出自ゆえ地球上のあらゆる情報が収められた「地球(ほし)の本棚」へ精神を入り込ませることができ、
検索によって自分の知りたい情報を見つけ出す能力を持つ。

【サーヴァントとしての願い】
Lを補佐する。


【マスター】L(エル・ローライト)
【出典】デスノート(TVドラマ版)

【マスターとしての願い】
聖杯戦争を開催した者を見つけ出し、糾弾する。

【weapon】
特になし

【能力・技能】
○推理力
世界一の名探偵である。

【人物背景】
数々の難事件を解決してきた、世界一の名探偵。
キラ事件解決のため、日本警察の要請で来日。
その超人的な頭脳で、キラ=月を追い詰めた。
口調は丁寧だが挑発的な言動が多く、コミュニケーション能力は低め。

【方針】
他の参加者との戦闘は自衛だけにとどめ、情報収集を最優先とする。

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最終更新:2015年12月08日 02:29