――そこはまさに地獄だった。

「……フフフ、代行者ともあろうものが無様ですねぇ」
ジル・ド・レェは倒れ伏しているマスターと消滅寸前のセイバーを見下ろしていた。
セイバーは代行者でかなりの実力を持っており、マスターは相当な自信を持っており
ジル・ド・レェがサーヴァントにさせていたおぞましい行為から死徒と判断して
相性が良いとジル・ド・レェに戦いを挑んできた。

――それが主従の最後の戦いとなった。

セイバーのマスターはジル・ド・レェの魔術により無理矢理生かされおり
見るも無残な姿となっていた。
敵マスターを生かす無意味な行為はセイバーに屈辱を与えるためだけに行われていた。
マスターが消えればサーヴァントは消える、それではジャンヌを死に追いやった神の従者である
セイバーには優しすぎるという思いがあった。
セイバーは敗れてから、マスターを目の前で蹂躙されるという屈辱と自らの無力さに
憤死するのでないかというほど恐ろしい形相をして叫んだ。
「キサマァ!それほど神が憎いか!!」

思えば男が代行者である事を知ると、憎しみのこもった目で睨んできたが
よもやこれほどとは思った。
身動きが取れないセイバーは思考する以外の選択肢が存在せず
戦ったサーヴァントの事を考えた。
(だいたいなぜ攻撃があまり効かなかったのだ…?)
あれは魂喰いなんて物ではなく、もっとおぞましい行為でどうみても死徒であった。

するとジル・ド・レェはセイバーが何を考えているのか分かったのか
笑顔を浮かべた。
「その顔は私のサーヴァントの事ですかな?
 残念ながら私のサーヴァントは死徒ではありませんよ。出て来なさいバーサーカー」
ジル・ド・レェが呼ぶと霊体化と解きバーサーカーが現れた。
スキンヘッドで顔の左側は無数の傷があり、左目は完全に潰れていて傷口を縫っていた。
服は昔の中国の民族衣装を着ており、爪は鋭くて長くセイバーにかなりのダメージを与える威力を持っていた。

「死徒ではないだと?では一体なんだ?」
「それは彼らが教えてくれますよ」
ジル・ド・レェが言うと、それまでバーサーカーの餌食だった死体達が起き上がった。
体が硬直しているのか、バランスを取ろうと腕を前に伸ばしてジャンプしながら
セイバーに群がって行った。
「グワァァァ!?」
絶叫を上げるセイバーにジル・ド・レェは笑顔で言い放った。

「バーサーカーはキョンシーなんですよ」

――セイバーとマスターがいなくなった場所で、ジル・ド・レェとバーサーカー以外に一人の老婆が現れた。
「私にも聖杯を使わせてくれるの?」
「ええ、もちろん。私と貴女は目的が同じですしね」
老婆の願いはバーサーカー、夫の蘇生でありジル・ド・レェはジャンヌの蘇生であった。
「では参りましょうか!聖杯戦争へ!」
バーサーカーに殺された者はキョンシーになりジル・ド・レェに従う。
当面の方針としてはバーサーカーに魂喰いをさせながらキョンシーを増やしていく事だろう。
ジル・ド・レェはそう行動方針を決めて聖杯戦争に足を進めた。

――ジル・ド・レェは笑いながら、他の者達に取っては笑えない地獄が現れようとしていた。


【クラス】
バーサーカー

【真名】
トン@キョンシー

【ステータス】
筋力A+++ 耐久A 俊敏A+ 魔力C 幸運E- 宝具C

【属性】
混沌・狂

【クラススキル】
狂化:EX
 幸運と宝具以外のパラメーターを1ランクアップさせる。
 バーサーカーはキョンシーであり理性など元から存在しない。
 規格外ではなく特殊性を表す。

【保有スキル】
キョンシー:B
 バーサーカーの種族。このスキルは同ランクの怪力、加虐体質、吸血、被虐体質を兼ねている。
 またバーサーカーに殺された者はキョンシーになる。
 キョンシーはEランクのサーヴァント扱いで、マスターに従う。
 キョンシーに殺された者はキョンシーになり、まるで伝染病のように広まる。
 代行者など西洋系の退魔術に対して同ランクの対魔力を持つ。
 反面東洋の退魔術に対して幸運と宝具以外のパラメーターを2ランクダウンさせてしまう。
 特に道教の魔術に対しては幸運と宝具以外のパラメーターを3ランクダウンさせてしまう。
 キョンシーの弱点であるもち米や鶏の血、太陽の光など受けるダメージを増加させてしまう。
 特殊スキル。

双子の幽霊:B
 バーサーカーにとりついた双子の幽霊。
 これによりキョンシーの特徴である死後硬直が無くなっており
 より柔軟な動きができる。

真実の怪物:B
 正真正銘の怪物。バーサーカーを見た者は倒すべき敵と判断する。
 このスキルは外せない。

戦闘続行:C
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、腕がもがれようと
 太陽の光で体が消し炭になろうと死の間際までバーサーカーは戦うことを止めない。

単独行動:E
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクEならば、マスターを失っても数時間は現界可能。

【宝具】
『笑えないほど恐ろしい(キョンシー)』
 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:∞ 最大補足:∞
 バーサーカーを見たNPCは恐慌状態になる。常時発動型宝具。

『死がふたりを分かつまで』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
 バーサーカーの妻である老婆が現れる。常時発動型宝具。
 老婆に戦闘能力は無く、バーサーカーの世話、マスターの会話などをする。
 サーヴァントやマスターには正体がばれなければNPCと見分けがつかない。

【weapon】
なし。爪や毟り取った鉄の棒など何でも武器にして戦う。

【人物背景】
元は口は悪いが妻を愛していた年配の男性。階段から転落死を遂げ、妻の願いを受けた
道士の術によりキョンシーになった。しかし、術は失敗し恐ろしい大殺戮を遂げる事になった。

【サーヴァントとしての願い】
なし。(代わりに妻が願う。夫の蘇生。)

【マスター】
ジル・ド・レェ@Fate/Zero

【マスターとしての願い】
ジャンヌの蘇生。

【weapon】
螺湮城教本のみ。

【能力・技能】
マスターとしての参戦のためキャスターとしての能力は持っていない。
軍の指揮などの放蕩元帥としての能力は健在。

【人物背景】
百年戦争でフランス軍元帥を務め、救国の英雄とまでいわれた騎士。
しかしジャンヌを失って以降は青髭として悪逆非道の限りを尽くした。
雨生龍之介にキャスターとして召喚され冬木の町を地獄へと変えた。

【方針】
聖杯狙い。バーサーカーのスキルから誰にも見つからず魂喰いとキョンシーを増やしていく。
討伐対象にならないためにルーラーにはなるべく見つからないように行動する。

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最終更新:2015年12月08日 18:13