ヴァリウラ・ヤクポフ師とは、
ロシア・
タタルスタン共和国カザニの地元ナンバー2の指導者だった。2012/07/19射殺された。ほぼ同時に自動車を爆破されたイルス・
ファイゾフ氏は傷を負っただけですんだ
露でイスラム教指導者狙い連続テロ 過激派勢力拡大の兆候か(2012/07/29)
産経新聞 7月29日(日)21時25分配信
ロシアでイスラム教過激派の勢力拡大が懸念されている。ロシア中部の
タタルスタン共和国では7月、穏健なイスラム教の最高指導者らが相次いで襲撃され、過激派との関係が指摘されている人物が容疑者として拘束された。ロシア連邦が抱える約1900万人のイスラム教徒とされるが、近年はチェチェン共和国など南部で過激な思想を持つ原理主義勢力が浸透しつつある。今回の事件は、彼らの影響力が南部以外の地域にも広がっていることを示している可能性もある。(黒川信雄)
襲撃事件は19日、ロシア中部タタルスタン共和国の首都カザンで発生した。同国では主流の穏健なイスラム教スンニ派の最高指導者、イルダス・ファイゾフ師が運転していた車が何者かに爆破され、同師は傷を負った。ほぼ同じ時間には、次位の指導者、ヴァリウーラ・ヤクポフ師が自宅玄関付近で射殺された。
国内でこの事件が関心を集めたのは、2人が国内に流入するイスラム過激派への徹底的な取り締まりを求めていたからだ。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ファイゾフ師は昨年、タタルスタンで最高位のイスラム教指導者に選出された。以来、「タタルスタンに大量の外国人宗教指導者らが流入し、イスラム過激派が台頭している」などと、その排除を主張。彼らと関係が懸念されるイスラム教指導者らの人事刷新を強行するなど、徹底的な取り締まりに動いていた。またヤクポフ師もファイゾフ師と歩調を合わせていた。
彼らが特に危険視していたのが、ワッハーブ派と呼ばれるイスラム教の宗派だ。ワッハーブ派は、他宗教、他宗派に不寛容な傾向を持つとされ、ヤクポフ師はロシア全域における同派信仰の禁止を主張していたという。ソ連崩壊後、チェチェンなどのロシア南部では、ワッハーブ派の信者による穏健イスラム教指導者への攻撃事件が頻発していた。
捜査当局は、翌日の20日には、近隣国の
ウズベキスタン人を含む5人を容疑者として拘束した。現地報道によると、拘束された57歳の地元旅行会社社長は、ワッハーブ派との関係が指摘されているという。
タタルスタンはソ連崩壊により主権国家となったがロシア連邦内にとどまり、ロシア正教が主流のロシアとも比較的良好な関係を続けてきた。イスラム系民族タタール人が人口の半数を占めるが、穏健派が主体で、多民族国家のロシアでは宗教融和の象徴的な存在に位置づけられていた。
関連項目
最終更新:2014年09月22日 01:29