国際連合安全保障理事会決議1874、略称UNSCR1874とは
北朝鮮の核実験をめぐる安保理決議である。
北朝鮮の核実験をめぐる安保理決議(全文)(2009/06/14 読売新聞)
北朝鮮情勢
【ニューヨーク支局】国連安全保障理事会が12日採択した北朝鮮の核実験をめぐる決議1874の全文は以下の通り。
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安全保障理事会は、決議825(1993年)、決議1540(2004年)、決議1695(06年)、特に決議1718(同)などの関連決議と06年10月6日及び09年4月13日の議長声明を想起する。
核、化学、生物兵器とその運搬手段の拡散は国際の平和と安全に対する脅威であることを再確認する。
北朝鮮が決議1718に違反して09年5月25日に行った核実験や、こうした核実験が核拡散防止条約(NPT)と2010年のNPT再検討会議に向けた核兵器不拡散の地球規模での体制強化を目指す国際的な努力に突きつけた挑戦、および地域内外の平和と安定にもたらす危険に対し、最も重大な懸念を表明する。
NPTへの集団的な支持とすべての側面におけるNPT強化への関与、核不拡散と核軍縮に向けた地球規模での取り組みを強調し、北朝鮮はいかなる場合でもNPT体制下では核兵器国の地位を得られないことを想起する。
北朝鮮のNPT脱退宣言と核兵器の追求に強い遺憾の意を示す。
北朝鮮がその他の安全保障上と人道上の国際社会の懸念に対処する重要性を再度強調する。
また、この決議が課す措置が、北朝鮮市民に人道上の悪影響を与えることを意図していないことを強調する。
北朝鮮による核実験とミサイル活動が地域内外の緊張をさらに高めたことに最も重大な懸念を表明し、国際の平和と安全に対する明白な脅威が存在し続けると認定する。
すべての加盟国が国連憲章の目的と原則を支持する重要性を再確認する。
国連憲章7章のもとで行動し、7章41条に基づく措置を取る。
1 北朝鮮が関連の諸決議、特に決議1695(06年)と1718(同)、ならびに09年4月13日の議長声明に違反し、それを公然と無視して5月25日に実施した核実験を最も強い表現で非難する。
2 北朝鮮がこれ以上の核実験や弾道ミサイル技術を使用した発射を実施しないよう要求する。
3 北朝鮮が弾道ミサイル計画に関するすべての活動を停止し、この文脈で、ミサイル発射モラトリアム(猶予)に関する既存の約束を再度確認することを決定する。
4 北朝鮮が関連する安保理の諸決議、特に決議1718の義務に直ちに全面的に従うよう要求する。
5 北朝鮮がNPT脱退宣言を直ちに撤回するよう要求する。
6 さらに、NPT加盟国の権利と義務に留意し、北朝鮮がNPTと国際原子力機関(IAEA)保障措置に早期に復帰するよう要求し、NPTに加盟するすべての国が条約上の義務に引き続き従う必要性を強調する。
7 すべての国連加盟国に、09年4月13日の議長声明に従い、決議1718に基づいて設置された制裁委員会が行った(制裁対象団体の)指定を含め、決議1718に基づく義務を実施するよう求める。
8 北朝鮮が、すべての核兵器と既存の核計画を完全で検証可能かつ後戻りできない形で放棄し、関連する活動を停止すること、NPT加盟国の義務とIAEA保障措置協定の条件に厳格に従って行動すること、さらに、IAEAが要求もしくは必要と見なす個人、文書、装置、施設へのアクセスを含む透明性のある措置をIAEAに提供することを決定する。
9 決議1718の段落8(b)の(北朝鮮による輸出禁止)措置がすべての武器と関連物資、金融取引、技術訓練、助言、サービスや支援、ならびに武器と関連物資の製造、維持、使用にも適用されることを決定する。
10 (北朝鮮への供給、売却、移転禁止の阻止を決定した)決議1718の段落8(a)の措置が小火器、小型兵器とその関連物資を除くすべての武器と関連物資に適用され、そのような武器の供与、製造、維持、使用に関連する金融取引、技術訓練、助言、サービスや支援にも適用されることを決定する。加盟国に、北朝鮮に対する小火器、小型兵器の直接、間接的な供給、売却、移転を監視するよう求め、加盟国は北朝鮮への小火器、小型兵器の売却、提供、移転に先立って5日以上前に制裁委員会に通告することを決定する。
11 すべての国に、北朝鮮を出入りするすべての貨物について、その貨物が決議1718の段落8(a)(b)(c)や本決議の段落9、10で供給、売却、移転、輸出が禁じられている品目を含んでいると信じるに足る合理的な理由を提供する情報を得た場合、上記条項の厳格な履行を確かなものとするため、自国の権限と法律に従い、また国際法に従い、港と空港を含む自国の領内で検査することを求める。
12 すべての加盟国に対して、公海上の船舶について、その貨物が決議1718の段落8(a)(b)(c)や本決議の段落9、10で供給、売却、移転、輸出が禁じられている品目を含んでいると信じるに足る合理的な理由を提供する情報を得た場合は、上記条項の厳格な履行を確かなものとするため、船籍国の同意を得て船舶検査をするよう求める。
13 すべての国に、段落11と12に基づく検査に協力することを求める。そして、船籍国が公海上での検査に同意しない場合は、段落11に基づく地元当局による検査実施のため、船籍国は船舶に対して適切で好都合な港に移動するよう指示することを決定する。
14 すべての加盟国は、決議1718の段落8(a)(b)(c)や本決議の段落9、10で供給、売却、移転、輸出が禁じられている品目が検査で確認された場合、決議1540(04年)を含む安保理関連諸決議やNPT、1997年4月29日の化学兵器禁止条約、72年4月10日の生物兵器禁止条約が定める義務に沿った形で、これらの品目を押収、廃棄する権限が与えられ、また、押収、廃棄を実行することを決定する。さらに、すべての加盟国はそうした取り組みで協力するよう決定する。
15 いかなる加盟国も、段落11、12、または13に基づく検査を行ったり、段落14に基づいて貨物を押収、廃棄したりした時は、検査、押収、廃棄に関する詳細な報告書を制裁委員会に即時提出するよう強く要請する。
16 いかなる加盟国も、段落12、13に基づく船籍国の協力を受けられない場合、制裁委員会に即座に詳細な報告書を提出するよう強く要請する。
17 北朝鮮船舶が決議1718の段落8(a)(b)(c)や本決議の段落9、10で供給、売却、移転、輸出が禁じられている品目を運んでいると信じるに足る合理的な理由を提供する情報を得た場合、加盟国は対象船舶への燃料補給や物資提供、その他のサービス提供といった補給活動が、自国民により、あるいは、自国領内から行われることを禁じることを決定する。ただし、人道目的で必要な場合やすでに貨物検査済みで押収や廃棄が必要に応じて行われている場合はこの限りではない。また、この段落が合法的な経済活動に影響を与えることを意図していないことを強調する。
18 加盟国に対して、決議1718の段落8の(d)(e)に基づく義務の履行に加え、北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連、もしくはその他の大量破壊兵器関連の計画、活動に資する金融サービスの提供や、自国領土に向けた、あるいは自国領土を通じた、あるいは自国領土からのいかなる金融その他の資産、資源の移転を、自国民や国内法に基づく団体(国外の支店を含む)あるいは自国領内の個人や金融機関に向けたものでも、あるいはそれらによるものでも阻止するよう求める。それには、自国領内にある、あるいは今後自国領内に入り、自国の法的管轄に属する、あるいは属することになる金融その他の資産、資源で、上記計画や活動に関連するものの凍結、そして、自国の権限、法律に沿った上記取引活動の監視強化が含まれる。
19 すべての加盟国と国際金融・信用機関に対して、市民の必要に直接応じる人道・開発目的のものや、非核化の促進につながるものをのぞいて、北朝鮮に対する新たな無償援助、金融支援、無利子融資の供与を行わないよう求める。また、加盟国に対して、現行の関与を減じる方向で、監視を強化するよう求める。
20 すべての加盟国に対して、北朝鮮の核関連や弾道ミサイル関連またはその他の大量破壊兵器関連の計画、活動に資する可能性のある北朝鮮との貿易に関して、公的金融支援(輸出信用の供与やそのような貿易にかかわる自国民、団体への保証や保険を含む)を提供しないことを求める。
21 すべての加盟国は、外交関係に関するウィーン条約に基づく北朝鮮国内の外交代表団の活動に不利益を与えることのない範囲で、決議1718の(ぜいたく品の供給阻止をうたった)段落8(a)の(3)と、(資産凍結をうたった)8(d)の条項に従うべきであることを強調する。
22 すべての加盟国に、決議1718の段落8と本決議の段落9、10の各条項、および本決議の段落18、19、20で定められた金融措置の条項を効果的に実施するために取った具体的措置を、本決議採択から45日以内に安保理に報告し、その後は制裁委員会の要求に応じて報告することを求める。
23 決議1718の段落8(a)(b)(c)で定められた措置を(原子力供給国グループのガイドライン)INFCIRC/254/Rev.9/Part 1aとINFCIRC/254/Rev.7/Part 2aに挙げられた品目にも適用することを決定する。
24 決議1718の段落8と本決議が課す措置を、団体、物品、個人の指定も含めて調整することを決定し、制裁委員会にそのための作業を行い、本決議採択から30日以内に安保理に報告するよう指示する。さらに、制裁委が行動しない場合は安保理がその報告を受理してから7日以内に措置を調整する行動を完了することを決定する。
25 制裁委が、決議1718と09年4月13日の議長声明、本決議についての十分な履行を促進するため、履行、調査、働きかけ、対話、支援、協力に関する作業計画を通じて、同委員会の取り組みを強化することを決定する。作業計画は09年7月15日までに安保理に提出される。また、制裁委が加盟国から本決議の段落10、15、16、22に基づく報告を受理し、検討することを決定する。
26 国連事務総長に、最初の1年間、制裁委員会の指示のもとで行動し以下の任務を実行する最多で7人の専門家グループを制裁委との協議のうえで設置することを要請する。(a)制裁委が決議1718に記された任務と本決議の段落25に記された機能を実行することを補佐する(b)加盟国、関連する国連組織やほかの関心のある団体から決議1718と本決議の措置の実施、特に非順守事案について情報を集め、精査し、分析する(c)決議1718と本決議が課す措置の履行を改善するため、安保理または制裁委または加盟国が検討する行動について勧告する(d)本決議から90日以内にその作業について安保理に中間報告を行う。任務終了に先立つ30日以上前に調査結果や勧告について安保理に最終報告を行う。
27 すべての加盟国、関連する国連組織、ほかの関心のある団体に対し、特に決議1718と本決議の措置の実施に関する情報を提供することによって、制裁委と専門家委員会に十分協力することを促す。
28 すべての加盟国に北朝鮮の国民が自国領内で、あるいは自国民によって、北朝鮮による核拡散に影響ある核活動や核兵器運搬システム開発に資する特別な教育や訓練が行われていないかを監視、阻止することを求める。
29 北朝鮮に対して、核実験全面禁止条約に早期加盟を求める。
30 平和的対話を支持し、北朝鮮に即時、無条件に6か国協議に復帰することを求め、朝鮮半島の検証可能な非核化の達成と朝鮮半島及び北東アジアの平和と安定の維持を目指し、中国、北朝鮮、日本、韓国、
ロシア、米国が05年9月19日と07年2月13日に発表した共同声明、07年2月13日と10月3日に発表した共同文書について、すべての参加国が完全かつ迅速な履行のための努力を強化するよう促す。
31 状況の平和的、外交的、政治的解決への関与を表明し、安保理理事国とその他の国連加盟国が、対話を通じた平和的、包括的解決を促進し、緊張を高めかねない行動を自制するための努力を歓迎する。
32 北朝鮮の行動を継続的に再検討すること、及び、決議1718の段落8と本決議の関連段落に含まれる措置について、決議1718と本決議の規定の北朝鮮の順守状況に照らして、必要になるかもしれない強化、修正、停止、解除など、その妥当性を見直す用意があることを確認する。
33 追加的な措置が必要な場合はさらなる決定が求められることを強調する。
34 この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。
関連項目
最終更新:2013年06月01日 19:14