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memo ESS2012発表原稿

ESS2012発表原稿

タイトルページ

  • P.1
  • (speak) それでは,東京農工大学の村田が発表させていただきます.
    タイトルは,「センサの帯同場所を考慮した個人参加型センシングのための環境センサモジュールと基盤ソフトウェア」です.
    よろしくお願いいたします.

見出し: 【本研究の背景と目的】

  • P.2
  • (speak) まず,本研究の背景と目的について説明します.

背景1: 【スマートフォンを利用したヒューマンプローブの増加】(P.1)

  • P.3
  • (speak) 近年のセンサ技術やMEMSの発達によって小型で持ち運べるセンサデバイスが多く登場してきました.
    これによって,たくさんの参加者で色々な情報を大量に蓄積して共有する「ヒューマンプローブ」というセンシングパラダイムの研究が盛んに行われるようになりました.
    特に,近年では,スマートフォンを使ってヒューマンプローブをする研究が増えてきています.
    例えば,スマートフォン内蔵のマイクロフォンを使って,街の騒音マップを生成するシステムや,USB接続したセンサを使って,細粒度の大気汚染マップを作るシステムなどが提案されています.
    スマートフォンを使う大きな理由は,センシングへの参加の敷居を大きく下げることができることです.
    スマートフォン内蔵のセンサ,もしくは直接接続されたセンサを使えば,新しく別のセンサを持ち運ぶ必要がなくなります.
    そして,ユーザは意識せずに日常生活で環境計測を行なえるようになります.
    また,計測結果をインターネットに簡単にアップロードできることも利点の1つです.
    このような理由から,日常生活で大量の環境データをより細かく得るためには,スマートフォンを用いることが望ましいと考えられます.

背景2: 【スマートフォンを利用した環境計測の問題点】(P.2)

  • P.4
  • (speak) しかし,この方法には問題点があります.
    それは,帯同場所の自由度の高さです.
    首から下げたり,胸ポケットに入れたり,ズボンのポケットにしまうなど,人によっても,また,状況によっても身につける場所は異なります.
    この帯同場所の自由度の高さは,センサで計測された環境情報に大きな影響を与えます.
    例えば,加速度や音量,温度・湿度といった情報は,ユーザが端末をどこに身につけているかによって計測値の傾向が変わってきてしまいます.
    このデータ特性の変化は,参加者から集められたデータでどんどん蓄積していき,計測精度や結果の信頼性を低下させてしまいます.
    特に,熱中症やインフルエンザと言った環境リスク計測のシステムにとっては,大きな問題になります.
    例えば,実際には危険度が高いのに身に付けている場所の影響で危険度が低いと判断されてしまうという状況が起こりえます.

背景3: 【センサ格納場所による温度湿度の差異】(P.3)

  • P.5
  • (speak) 一例として,温度湿度センサを,異なる場所に身につけて夏に屋外を歩いたときの計測データの分布を,この図に示します.
    上の段は,横軸を首,縦軸を胸ポケットにした場合の,温度と湿度の計測データの分布です.
    下の段は,首とズボン前ポケットを比較したものです.
    この結果から,センサをしまう場所によって,実際に計測値の傾向が異なっていることが分かります.

目的1: 【本研究の目的と意義】(P.4)

  • P.6
  • (speak) 本研究では,そのような問題点に対して,センサが帯同されている場所を考慮したうえで環境計測を行う新しいヒューマンプローブシステムを提案します.
    この方式の実現によって,より高精度・高信頼なヒューマンプローブの実現が期待されます.
    本研究では,特に,先ほど述べた熱中症やインフルエンザと言った環境リスクに対する個人参加型計測アプリケーションの実現を目標とします.
    そして,本発表では,それらを実現するために必要な基盤ソフトウェア機能とスマートフォン向けの直接接続型の環境計測モジュールについてお話したいと思います.

基盤1: 【センサ帯同場所適応型ヒューマンプローブの提案】(P.5)

  • P.7
  • (speak) 提案システムのコンセプトを,この図を使って簡単に説明します.
    システムは,大きく分けて3つの要素で構成されます.
    ユーザの持つスマートフォンと,インターネット上にあるセンサデータ共有プラットホームと,情報共有プラットホームです.
    スマートフォン上では,環境情報の計測処理が行われます.
    また,それとは独立した処理として端末の帯同場所の識別が行われます.
    計測データには,識別された帯同場所メタ情報が付加され,特定の処理が施されます.
    例えば,ある特定の場所のみのデータをアップロードしたり,場所ごとに計測値を自動で補正したりすることが考えられます.
    アップロードされたデータはセンサデータ共有プラットホームに蓄積されていき,情報共有プラットホームを介して他の参加者に情報共有されます.

見出し: 【スマートフォン端末の帯同場所識別】

  • P.8
  • (speak) では,次に,帯同場所の識別方法について説明します.

基盤2-1: 【スマートフォン端末の帯同場所を識別する】(P.6)

  • P.9
  • (speak) 識別には,端末に内蔵されている加速度センサを使います.
    ユーザが歩いている時の加速度データから29種類の特徴量でニューラルネットワークの学習を行い,リアルタイムで判定を行います.
    現在対象としているのは,首,胸ポケット,ジャケットポケット,ズボンの前後ポケットの5か所です.

基盤2-2: 【スマートフォン端末の帯同場所を識別する】(P.7)

  • P.10
  • (speak) 識別精度ですが,10分割交差法で評価したところ,歩行者本人のデータで学習・分類を行った場合には約91%の精度で識別できます.
    また,本人を含まない歩行者グループのデータで学習・分類を行った場合には約72%の識別精度が出ることが分かっています.

見出し: 【Android端末向け環境計測モジュールTALESEAの開発】

  • P.11
  • (speak) それでは,次に,Android端末向けの環境計測モジュールTALESEAについてお話します.

基盤3-1: 【Android端末向け環境計測モジュールTALESEA】(P.8)

  • P.12
  • (speak) まず,このモジュールを開発した目的について説明します.
    発表の冒頭で,スマートフォンを環境計測用のセンサとして用いることで,ユーザは日常生活で意識せずにセンシングに参加できるようになると述べました.
    スマートフォンの近年の進化は目覚ましいものがあり,今後も搭載されるセンサは増えていくと予想されます.
    しかし,現状では,まだスマートフォンに搭載されているセンサには限りがあります.
    そこで,スマートフォンに直接接続する形式のセンサモジュールを作り,今回目標とする環境リスク計測システムに利用することにしました.
    本モジュールは,マイコンと計測用センサから構成され,Android端末とUSB接続で通信を行います.
    今回は熱中症やインフルエンザなどの環境リスク計測システムの実現に向けて,温度・湿度センサを搭載することにしました.
    モジュールの外観はこのようになっており,重さは20g弱です.
    また,このモジュールの制御機能を,先ほど述べた帯同場所識別とともにライブラリとしてまとめて,センサ帯同場所適応型ヒューマンプローブのアプリ開発者の支援環境として提供します.
    詳しくは,後ほど説明します.

基盤3-2: 【TALESEAの内部構成】(P.9)

  • P.13
  • (speak) では,次に,TALESEAの内部構成について簡単に説明します.
    マイクロコントローラにはArduino Pro-miniを使っており,FT232RLのUSBシリアルアダプタと接続してあります.
    また,温度湿度センサには,今回Sensirion社のSHT-71を採用しました.
    Android端末とマイコンの通信には,Android OS3.1以降で提供されているUSBホストモードを利用しています.
    この図に示すように,計測制御サービスはFT232用のデバイスドライバを介してマイコンとシリアル通信をして,定期的に計測要求を送信します.
    マイコン側ではSHT用ライブラリを介してセンサへアクセスし,計測を行います.
    計測されたデータは,計測制御サービスがデータベースに書き込み,常に最新の値が保持されます.

基盤4: 【基盤ソフトウェアとユーザアプリケーションの関係】(P.10)

  • P.14
  • (speak) 次に,今回開発した基盤ソフトウェア機能とアプリケーションの関係を,この図に示します.
    基盤ソフトウェアは,ユーザアプリケーションに対して2種類のAPIを提供しています.
    1つは,TALESEAモジュールの計測結果を保持しているデータベースへのアクセスAPIです.
    もう1つは,端末の帯同場所識別結果を受け取るためのAPIです.
    アプリケーションは,取得したこれらの情報から計測データに特定の処理を施し,インターネット上のサーバにアップロードを行います.

見出し: 【基盤ソフトウェア機能の消費電力計測実験】

  • P.15
  • (speak) それでは,次に,基盤ソフトウェア機能の消費電力計測実験について説明します.

基盤5-1: 【提供する基盤機能の消費電力計測実験】(P.11)

  • P.16
  • (speak) 今回開発した基盤ソフトウェア部分の消費電力がどの程度のものなのか,日常生活で利用できるのかを確認するために,計測実験を行いました.
    具体的には,基盤ソフトウェアの機能をすべて稼働させた状態と,基盤ソフトウェアの各処理を独立して稼働させた状態で計測を行いました.
    基盤ソフトウェアの各処理というのは,この5種類のことを指しています.
    計測時間は1時間で,バッテリ減少率を比較しました.
    また,Android端末としてはGalaxy Nexusを使いました.

基盤5-2: 【提供する基盤機能の消費電力計測実験】(P.12)

  • P.16
  • (speak) 実験結果についてまとめると,この図のようになります.
    まず,全機能を稼働させた場合には,1時間あたり37%,647mAhのバッテリを消費しました.
    これは,概算で3時間弱でバッテリを使いきることになります.
    ということで,現状の消費電力では,日常利用においてバッテリが持たなくなる可能性があることが分かりました.

基盤5-3: 【提供する基盤機能の消費電力計測実験】 (P.13)

  • P.17
  • (speak) 次に,その内訳について見てみると,最も消費電力が大きいのはモジュールへの電源供給であることが分かりました.
    また,次いで帯同場所識別とWebへのアップロード処理がそれぞれ消費電力の約1/4を占めていました.
    今後の課題として,今回分かったボトルネックとなる処理機能の消費電力を抑えることを検討していきます.
    詳しい方針については,後ほど説明します.

見出し: 【個人参加型熱中症警告マップアプリケーション】

  • P.18
  • (speak) 最後に,提案コンセプトの応用例の1つとして,熱中症を対象にした個人参加型の共有マップシステムについて説明します.

アプリ1: 【個人参加型熱中症警告マップアプリケーション】(P.14)

  • P.19
  • (speak) このシステムでは,TALESEAモジュールで計測した温度湿度データから,「WBGT」とよばれる5段階の熱中症警告レベルを算出します.
    そして,端末の帯同場所情報をもとに,警告レベルを加工してWeb上にアップロードします.
    アップロードされた警告レベルは地図上で可視化され,参加者間で共有されます.
    今回は,センサデータの共有プラットホームとしてパッチべイを,情報共有プラットホームとしてGoogle Mapを利用しました.

アプリ2: 【センサ帯同場所情報の利用】(P.15)

  • P.20
  • (speak) さきほど,端末の帯同場所情報を使って熱中症警告レベルを加工すると言いましたが,例えばこのような利用方法が考えられます.
    1つ目は,場所に応じて警告レベルを自動で補正する方法です.
    この方法は,本当は高い警告レベルだけれども帯同場所の影響で警告レベルが低く推定されてしまうといった問題を解決することができるので,最も理想的です.
    しかし,各場所における補正式を求めることが必要で,大量のキャリブレーションデータが必要になります.
    2つ目は,首にかけた状態で計測されたデータのみをアップロードするという方法です.
    首は,他の場所に比べて外気に触れる量が多く真の値に近くなるので,正確なマップをつくることができます.
    しかし,計測データ数が極端に減ってしまう可能性が大きいです.
    その他にも,このような2つの方法が考えられます.
    今後,これらの方法を実装して,ユーザにとってどのような影響があるか比較実験をしたいと考えています.
    しかし,現状ではまだ集めたデータ数が少なく,個人差や衣服の影響についても分かっていない部分があるので,今回はより簡易的に帯同場所情報を利用することを目的として,3つ目の方法を実装することにしました.
    この方法は,算出した警告レベルと一緒に,帯同されていた場所も可視化するというものです.
    この場合,直接的に熱中症警告マップの高精度化には繋がっていませんが,計測データに対してユーザがそれを信用するかどうか判断するための材料を提供しています.
    これは,帯同場所情報がなければ実現できない仕組みの1つであり,警告マップの信頼度向上に繋がっていると考えています.

アプリ3: 【熱中症警告レベルの可視化】(P.16)

  • P.21
  • (speak) 熱中症警告レベルと共に帯同場所情報を可視化した様子をこの図に示します.
    アイコンの枠の色がその地点で計測された警告レベルをあらわしています.
    また,書かれたイラストがそのとき端末を身に着けていた場所を示しています.
    今後は,更に多くのデータを収集して,先ほど述べた他の3種類の利用方法を実装することを目指します.
    そして,今回実装した方法と共にユーザ評価実験を行う予定です.

見出し: 【今後の課題と展望】

  • P.22
  • (speak) では,今後の課題と展望について説明します.

課題1: 【今後の課題と展望】(P.17)

  • P.23
  • (speak) まず,実験から分かった基盤機能の消費電力のボトルネックについて改善を図ります.
    方針としては,現在これら4種類の方法を考えています.
    1つ目は,計測の合間にマイコンを定期的にスリープモードで動かすことで,マイコンへの給電を抑制する方法です.
    特に,温度湿度センサなどはそこまで頻繁な計測が必要ないので,効果があると考えています.
    2つ目は,コンテクストアウェア技術との併用です.
    アプリケーションによっては,ユーザの位置やしている行動によって,計測したデータが利用できないケースがあると考えています.
    そこで,そのような状況ではマイコンをスリープモードにしたり,帯同場所判定を行わないといった仕組みを導入しようと思っています.
    また,既存研究において,計測データのアップロード時の電力抑制や,参加者間で分担し協調しながらセンシングを行う手法などが提案されています.
    本研究でも,それらの手法を取り入れることを検討します.
    最終的には,15時間程度のバッテリ維持を目標にして,日常生活で環境リスク計測を行えるようにすることを目指します.
    また,今回プロトタイプの実装を行った熱中症警告マップシステムのユーザ評価実験を行って,帯同場所適応型ヒューマンプローブの有効性について検証していく予定です.

まとめ: 【本発表のまとめ】(P.18)

  • P.24
  • (speak) 本発表のまとめはこのようになっています.
    以上で終わります.
    ありがとうございました.

見出し: 【補足資料】

  • P.25

補足1-1: 【TALESEAの消費電流/電力】

  • P.26

補足1-2: 【TALESEAの構成回路図】

  • P.27

補足2-1: 【「鞄」を考慮した帯同場所識別】

  • P.28

補足2-2: 【静止中の端末格納動作による帯同場所識別】

  • P.29

補足4: 【】

  • P.26
最終更新:2012年10月16日 22:45
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