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コラム ギュゲスの指輪
…むかしむかし
羊飼いのギュゲスは、
地震で開いた穴の中で
不思議な指輪を見つけました。
指輪を身につけると
自分が透明になって
他のだれからも見えなくなってしまう
ということに気づいたのです。
ギュゲスは宮殿に忍びこむと
王さまを殺し
自分が王さまになって
王国を乗っ取ってしまいました。
羊飼いのギュゲスは、
地震で開いた穴の中で
不思議な指輪を見つけました。
指輪を身につけると
自分が透明になって
他のだれからも見えなくなってしまう
ということに気づいたのです。
ギュゲスは宮殿に忍びこむと
王さまを殺し
自分が王さまになって
王国を乗っ取ってしまいました。
このお話は
今から2400年ほど昔に
ギリシャの哲学者プラトンによって書かれた
『国家』という哲学書の一節です。
今から2400年ほど昔に
ギリシャの哲学者プラトンによって書かれた
『国家』という哲学書の一節です。
このお話は
「だれにもとがめられないような力を
手に入れてしまったら、
どんな人でも
悪い行ないの誘惑に
勝てないのではないか?」
手に入れてしまったら、
どんな人でも
悪い行ないの誘惑に
勝てないのではないか?」
という素朴な疑問を
今も私たちに投げかけています。
今も私たちに投げかけています。
最近では
ネット上の「匿名」という仕組みは
この「ギュゲスの指輪」
にあたるのではないか
という考えられるように
なってきました。
ネット上の「匿名」という仕組みは
この「ギュゲスの指輪」
にあたるのではないか
という考えられるように
なってきました。
透明人間になって
悪事を働いたギュゲスのように
悪事を働いたギュゲスのように
「匿名ならば自分の正体がバレることはなく
ネット上で何をやっても
自分が責任を問われることはない
だから悪いことをしてもいいんだ」
ネット上で何をやっても
自分が責任を問われることはない
だから悪いことをしてもいいんだ」
そんなふうに錯覚している人が
増えてしまったからです。
増えてしまったからです。
相手には自分が書いているとわからない
と思えば
ついつい気が大きくなり
と思えば
ついつい気が大きくなり
実際に面と向かっては
とても言えないような
ひどいことを書きこんだり
いやがらせをしたりしてしまう
ということもあるでしょう。
とても言えないような
ひどいことを書きこんだり
いやがらせをしたりしてしまう
ということもあるでしょう。
しかし
「自分がやったとわからなければ
何をしてもいい」
何をしてもいい」
ということはありません。
哲学者プラトンは
「不正なことをすべきではないのは
その結果が他人にばれてしまうからではない。
その人の魂が病気になってしまうからである。」
その結果が他人にばれてしまうからではない。
その人の魂が病気になってしまうからである。」
と述べています。
もし
「魂が病気になろうが、
自分さえすっきりすればそれでいいんだ」
自分さえすっきりすればそれでいいんだ」
と考える人が増えれば
社会はどんどん悪くなって
最後には
いつもおたがいのことを
疑っていなければならなくなります。
社会はどんどん悪くなって
最後には
いつもおたがいのことを
疑っていなければならなくなります。
そうなれば
みんなで「ギュゲスの指輪」である匿名を
捨てなければならなくなってしまうでしょう。
みんなで「ギュゲスの指輪」である匿名を
捨てなければならなくなってしまうでしょう。
匿名には良い面もあります。
名前を出さないことで
立場にしばられず
自らの率直な意見を
自由に発表できます。
名前を出さないことで
立場にしばられず
自らの率直な意見を
自由に発表できます。
また
それによって犯罪が明るみに出たり
犯罪を未然に防ぐこともあります。
それによって犯罪が明るみに出たり
犯罪を未然に防ぐこともあります。
それは
私たちの社会にとって
とても大事なことです。
私たちの社会にとって
とても大事なことです。
ですから匿名による発言の自由と
無責任をはき違えてはいけません。
無責任をはき違えてはいけません。
もしあなたが友達の悪口や
だれかをおとしいれるためのうそ
ましてや犯罪の予告などを
自分以外の人も目にするところに
書きこめば
その責任を取らせるために
ネット上の人があらゆる手段を使って
あなたを探し出します。
だれかをおとしいれるためのうそ
ましてや犯罪の予告などを
自分以外の人も目にするところに
書きこめば
その責任を取らせるために
ネット上の人があらゆる手段を使って
あなたを探し出します。
悪いことをした責任は
大人も子供も関係なく
自分で取らなければなりません。
大人も子供も関係なく
自分で取らなければなりません。
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