【質問 kérdés】
また,親会社の鴻海精密工業グループの役員や従業員で構成する投資会社が,保有しているシャープの種類株式を26日付で普通株式に転換する.
出資比率は13%になる.
「同投資会社は経営陣の意思決定と一体化されたものではない」(シャープ広報)ため,これによって鴻海グループの出資比率は現在の60.35%から52.5%に下がるという.
これはどんな株?
C種類株式(無議決権・普通株式を対価とする取得条項付き株式.非上場株式)
すなわち取得条項付種類株式.
これは種類株式の一種で,
発行会社が一定の事由が生じたことを条件として,その株式を取得することができる株式(会社法2条19号,会社法108条1項6号)
と定義されている.
「ある一定の事由」に関しては,定款で細かく定めることができる.
例えば,株式を公開した時,会社が定める日が到来した時,株主が亡くなった時など.
取得条項付株式の定款では他に,
- 取得条項が付与されているということ
- 取得する株式が全部ではなく一部の場合にはその旨とその詳細
を詳細に記載する必要がある.
もちろん取得の際には株主に,現金,普通株式,社債,新株予約権などの対価を支払わなければならないので,その対価についても種類,個数,算定方法等を詳細に記載しておかねばならない.
取得条項付株式を発行するメリットは,会社にとって好ましくない者に株式が渡るのを防ぐことにある.
たとえば株主が死んだとしよう.
株式も遺産として遺族その他に相続されることになる.
その相続を受ける者が,もしも会社にとって好ましからざる者だったら?
しかし,「一定の事由」を「株主が死亡した時」としておけば,株主が死亡した場合,会社が株式を取得することができ,相続人に株式が渡ることを阻止できる.
相続人が好ましからざる人物だったとしても,そういう人物から経営に干渉されずに済むという仕組みだ.
後継者問題に関しても,取得条項付株式を利用することができる.
社長の後継者候補が複数いて,まだきちんと後継者が決まっていないけれど,生前に株式を贈与することが望ましいといった場合,譲渡する株式を取得条項付株式としておけば,将来,後継者が決定した段階で後継者以外の者からは株式を買い取ることができるようにしておくことができる.
後継者以外の者に対価として金銭や他の株式などを交付する代わり,経営権を確保することができる.
なお,種類株式にはもう一種類,「全部取得条項付種類株式」というものがあるので,注意が必要だ.
全部取得条項付種類株式は,株主総会の決議により,すべての株式を会社が取得できる株式で,会社に一定の事由が発生したことが条件にはなるものの,会社の意思のみで買い取ることができる取得条項付種類株式よりも取得時の条件が厳しくなっている.
一方で発行時には,取得条項付種類株式では株主全員の同意が必要になるが,全部取得条項付種類株式は,株主総会の特別決議を経れば良い.
つまり決議に必要な株主が総会に出席すればいいので,その点では取得条項付種類株式のほうが難易度が高くなっている.
最終更新:2021年07月04日 18:49