焦熱の大地





広島。かつて原爆によって二十万もの命を奪われながら、すさまじい復興を果たし、
現在では中四国唯一の百万都市として君臨している。
しかし、そこにかつての面影はなかった。
死体こそ無かったものの、草木は生えておらず、岩肌が露出し、
建物といえば鉄筋コンクリートのビルと半壊した原爆ドームが立っているのみだった。
秋風が吹き荒れる広島で両津はこの光景に驚きはしたが、元来彼はのんきな性格である。
すぐに荷物を確認し、装備を固めようとした。
ホイポイ・カプセルの中には、
「おおっ。マグナムじゃないか!!これならどんなヤツが相手でも戦えるぞ」
警察官である両津にとって銃火器の扱いはお手のものだ。
そのとき、背後の建物から石が落ちたような物音が聞こえた。
両津は振り向き、マグナムを構え、
「そこに誰がいるんだ。わしは戦う気はない。答えてくれ」
数々の修羅場を潜り抜けてきた両津にとって今回の出来事は特別なものではなかった。
「あの男信用できるのか?」
男は半信半疑の気持ちから投降か交戦か決められずにいた。
「俺の武器は・・・・・・いや、武器と呼べるものではないだろう。このレーダーは。
鬼の手もこの間合いでは使えない。しかし、あいつが騙そうとしていないとも考えられる。さて、どうする?」
二つの気持ちで葛藤している鵺野に両津は、
「わしは警察官だ。市民を傷つけるような真似はしない。
 もしもわしが信じられないのならこのまま逃げてくれてもかまわない。
 しかし、 もしもわしを攻撃するつもりなら自己防衛のために戦わせてもらう」
(殺し合いをするつもりなら逃げろなどと言うはずが無い。この男は信用できるな)
鵺野は両津の言葉を信じて姿を現した。その表情は覚悟を決めた男らしいものだった。
姿を現した鵺野に銃を向けながら、
「一応聞いておこう。お前はこのゲームに参加する意志があるのか?」
両津はいつものだらしない言い方ではなく警察官らしいしっかりとした口調で言った。
「俺は小学校の教師だ!生徒を守るためなら殺すこともあるかもしれない。
また、生徒のためなら死ぬ覚悟もある。だが、こんな糞ゲームに参加する気などない!」
まさに教師の鑑と言える言葉である。両津も感心して銃を下ろした。
「なるほど。確かに立派な意見だ。しかし、わしたち公務員は社会全体の奉仕者だ。
 このゲームに参加する意志を持たない全ての人を救う義務がある」
正義感溢れる二人が理解し合うのに時間はかからなかった。二人は簡単な自己紹介をした後、今後の方針について話し合った。
「両津さん。俺のレーダーでは、広島県に俺たち以外の人はいないみたいだ。
 わがままを言ってすまないが兵庫まで一緒に行ってくれないだろうか?」
両津は静かに、
「そこに、生徒がいるんだな?」
鵺野は頷き、今のところの目標が決定した。




【広島県/1日目】
チーム【公務員】を結成しました。
第一目標→兵庫県に行き、響子を助ける。

【両津勘吉@こち亀】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式、マグナムリボルバー残弾6予備弾24

【鵺野鳴介@地獄先生ぬ~べ~】
[状態]健康
[道具]:支給品一式、スカウター@DRAGON BALL



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GAME START 両津勘吉 056:妖狐のプライド
GAME START 鵺野鳴介 056:妖狐のプライド

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最終更新:2023年12月11日 23:04