0018:煌めく少女は粉雪と共に
ここは秋田。外界は一面の雪景色。山小屋の中、青年、
夜神月は明かりも点けずに思索に没頭していた。
屈辱だった。新世界の神となる自分が、一山幾らの命として扱われているという現実が。
許せなかった。主催者と名乗る怪人に投げかけられた、蔑むような、哀れむような、不遜な視線が。
信じられなかった。殺し合いをさせられるというのに、こんな支給品を引き当ててしまった自分の運のなさが。
生きて帰らなければならない。例え、誰を始末してでも。
生きて、生きて帰りさえすれば、自分のノート、生き物の生殺与奪を司るデスノートで、あの傲岸な化け物どもに一泡吹かせてやることも出来る。
そして、このゲームとやらはまたとない好機でもある。竜崎、いや、Lを、名前を聞き出すことなく始末することが出来る。
法から外れている、今の状況だからこそつけられる決着。だが、正面から挑むのは得策ではない。
Lは、このふざけたゲームから脱出する方法を考えているだろう。
そして、思い出すたびに不愉快になるが、広間で、主催者の一人に人間界最高の頭脳とまで絶賛されている。
彼の仲間になりたいと考える人物は、決して少なくはないはずだ。
自分にも道具がいる。適度に馬鹿で、適度な強さを持つ、操りやすい道具が。
そこまで思考が及んだとき、唐突にドアが開かれた。
二人の少女が山小屋を見つけたのは、単なる偶然だったが、僥倖といっても差し支えはなかった。
雪女の女性、
ゆきめと、ナノマシンを操る少女、イヴ。
彼女らは、互いに戦う意思がない事を知り、心細さから、行動を共にしていたのだ。
が、ここは雪国。雪女、
ゆきめにとっては何の問題もないが、イヴにはこの寒さは辛いのではないか。
そう考えていた矢先に、見つけた山小屋。
ゆきめは迷わずドアを押し開いた。
無造作に扉を開いた
ゆきめの隣でイヴは警戒していた。この山小屋の中には誰かがいる。
掃除屋(見習い)としての自分の勘がそう言っている。
ゆきめは、こういった命を奪い合う場に慣れてはいないのだろう。無理もない。
だけど、今、ここは戦場。とてつもない憎悪が蠢く呪われた場所。自分の手には悪意が形になったような鋸刀。
自分はこの空気を知っている。兵器として作られた自分は。だから、自分が守らなければ……
「失礼ですが、貴方たちはゲームに乗っているんですか?」
月の選択は、無防備に姿を現すことだった。侵入者は人の良さそうな女性が一人、幼い少女が一人。
飛び道具を携帯している様子もない。万が一襲い掛かられても、逃げ切ることも返り討つこともできる。
できるなら仲間に引き入れたい。彼女たちをうまく使えば、ネズミ算式に仲間を募ることも可能だろう。
そこまで計算して、青い髪の女性に声をかける。
「いえ、乗っていません……貴方は?」
「僕もこんなふざけたゲームに乗ってはいません。むしろ、腹を立てているくらいですよ」
穏やかな笑みを見せながら言葉を繋ぐ。
自分が警察官の息子であるということ、キラ事件の調査を手伝っていることなどを伝え、彼女らの興味を引く。
どうせ使い捨てにする駒だ。情報は惜しくはない。
「僕はこのゲームを止めたい。でも、支給品がこんなもので、途方にくれていたところなんです」
そう。新世界の神たる、
夜神月に支給されたのは苺がプリントされた女性用下着。サバイバルではとても使い物にならない。
だから、ここで緊張をほぐすために使う。
「厚かましいとは承知しています。罪もない人を守るため、僕に力を貸していただけませんか?」
【夜神月@DEATHNOTE】
所持品: 荷物一式、いちご柄のパンツ(女性用)@いちご100%
第一行動方針:使えそうな人物との接触
最終行動方針:竜崎を始末し、ゲームから生き残る
【ゆきめ@地獄先生ぬ~べ~】
所持品: 荷物一式、不明
第一行動方針:鵺野鳴介との合流
最終行動方針:ゲームから脱出する
【イヴ@BLACK CAT】
所持品: 荷物一式、無限刃@るろうに剣心
第一行動方針:トレイン・ハートネット、スヴェン・ボルフィードとの合流
最終行動方針:ゲームの破壊
【現在地:秋田県】
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最終更新:2024年08月12日 20:12