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試金石とハロウィン - (2007/11/22 (木) 11:16:45) の編集履歴(バックアップ)


久しぶりに珊瑚の家に行く。ハロウィンということもあり
お土産にはパンプキンパイ。それも激甘。一口食べると舌が溶ける。
呼び鈴を鳴らすとこれまた久しぶりに見る天河石が出迎えてくれた。
「甘いお菓子をあげるし悪戯もしないから家に入れてくれるかな」
「うん。いーよ、入ってー」
部屋の隅々にはカボチャの提灯。これを一体誰が作ったのか。
珊瑚かその珊瑚のマスターの二択になるが珊瑚であろうと結論するのは普通すぎる。
何事も面白い方が楽しい。それ故に私はマスターが夜なべしてこれらを作った
ということにしておきたい。その方がとてつもなく楽しいだろう。
「おや、試金石か。久しいな」
「やあ、この家でもハロウィンはやるんだね」
いつ見ても綺麗だし素敵だ珊瑚。でもとりあえず仮装してほしかった。
天河石でさえ私のような黒衣に身を包んでいるんだし、幽霊ぐらいには化けて欲しい。
そういえば私と天河石が同じようなものを着ているのに
私の場合は魔女が相応しく天河石は魔女っ娘が相応しいのは何故だろう。
「魔女二人に侍が一人か。これはまたシュールな絵だ」
「東洋と西洋が混ざり合っているのにもかかわらず両者そのままだからな。
パイナップルとマヨネーズのように互いが分離している。シュールにもなるさ」
試したことがあるのか、それを。
「まぁ立ち話もなんだ、奥に入れ」
「わかった。じゃあお茶でも入れて、このパイを食べよう」
リビングに連れてこられたがどうやら珊瑚のマスターはいないらしい。
その分夜に三人で楽しむんだそうだ。むぅ、羨ましい。
で、私が作ったパンプキンパイは天河石には大好評で、珊瑚は噎せ返っていた。
「殺す気か……」
「砂糖の分量を少しばかり間違えた。反省はしている」
「どこが少しだ大馬鹿者!」
怒った顔もチャーミングだよ珊瑚。でも首はやめてくれ絞まる締まる……
ぐらんぐらんと首を掴んで揺するものだから苦しいったらありゃしない。
ここで死んだら主人に会わせる顔が……でもなんか幸せだしいいです。
「そろそろやめないと、死ぬぞ」
と、助け舟は意外なところから現れた。
帰ってきていたのだ、珊瑚のマスターが。
「主?……おおすまない大丈夫か試金石」
「棒読みなのがいただけないな」
「やれやれ……」
相変わらずだな、と珊瑚のマスターは肩を竦めた。
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