宝石乙女まとめwiki

試金石と売れ残り

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匿名ユーザー

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新しいゲームの発売日ということで近くのゲームショップにやってきた。
何故か試金石まで一緒だ。曰く何をするかわからないからだとか。
目当てのゲームを見つけて会計を済ます。さぁ出ようと思って振り返ると
試金石の姿が無い。辺りを見回せば何やら黄色くて丸いぬいぐるみを見ている試金石が。
「何、それ」
「ジャック・オー・ランタンのぬいぐるみだ」
「ハロウィンは過ぎたんだけど」
どうやらそのぬいぐるみはワゴンセールされている物らしい。
欲しいとか気に入ったとかは言わずにソレを眺めつづける試金石。
何かあのかぼちゃに深い思い入れでもあるのだろうか。
「これらはハロウィンが過ぎたらこんなところにおかれてしまうのか?」
「まぁ、季節終わったら大体そうだね」
「解せない。この子達の気持ちも考えたらどうなんだ」
そう呟いて唇を強く結び、怒りからかカタカタと震えだす試金石。
怒ってる? 何でまた。怒るほどのような大事件なのだろうか、ソレは。
それを言うならクリスマス・ツリーだって鏡餅だって。あれの売れ残りは何処に?
「こんなにかわいくて柔らかくてきもちよさそうなのに……」
ついにはカボチャの人形を持ち上げてすっかり綻んだ頬に擦り合わせていた。
怒ったり笑ったり忙しいな。先程の険しい表情はサイド3辺りにまで飛んだのだろうか。
「私はこの子達全員を救うことをここに誓おう」
「……ええっと、それはつまり?」
「無論、買い占める」
……どうやら今日から部屋はかぼちゃで溢れることになるようです。
簡単に買い占めるだなんて言ってもワゴンセールされているカボチャは
その数確実に30を超える。買いすぎです、部屋中に溢れることになります。
静止しようと思った瞬間だった。本当に一瞬、まばたき一回分ぐらい。
その一瞬で、試金石は溢れんばかりのかぼちゃを両手に抱えてレジに並んでいた。
お店の人もビックリして顔がひきつっていた。当然の反応だ。当然すぎる。
紙袋にいっぱいのカボチャを入れてもらって満面の笑みを試金石は浮かべる。
それとは対照的に店員さんは引きつった笑顔で僕たちを見送っていた。
「そのカボチャ達をどするつもりで?」
「部屋に絨毯のように撒くにきまっているだろう。今日から毎日が
トリック・オア・トリート。ハロウィンだ。」
「マジですか……」
メンヘルの世界にされてしまうのは少し嫌だが、こうまでかわいい笑顔をされると
文句の一つも出てこなかったりして、まぁいいかとか思ってしまう。
こういうのも惚れた弱み、とでも言うものなのか。
いやでも財布の中身が寂しくなったことに対しては文句があるような……。まぁ、いいか。


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