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救世主現る! - (2008/07/06 (日) 19:04:26) のソース
**救世主現る! はひー、たたた、大変です! さ、先程私、三浦ハルは見てしまったんです、生まれて初めて。 何をかって?それは……言えません。やっと落ち着いたというのに、また吐き気が襲ってきちゃいますから。 そしてその初体験を奪った…ワポルさんという方は何とハルたちにこう言ったんです。 殺し合いをしろ、と。 即答させてもらいますが無理です。 ハルにはそんなデンジャラスなことできません。できるわけがないです。 でも、だったらこれからどうすれば良いのでしょう。 ハルはただの乙女です、必殺技とか持ってないです。 確かに新体操はやってますから単純な運動はできるほうだと思いますが…。 戦場で女子中学生の運動神経が役に立つのでしょうか? 「助けてください、ツナさ~ん……」 そうは言ってもハルのヒーローのツナさんがここに居るとは限りません。 あの部屋にはザッと50人は居たしワポルさんの突拍子のない話にびっくりして体さえ動かなかったので、ハルはツナさんを探すことはできませんでした。 どなたか頼れるかたは居ないのでしょうか。 ツナさん、山本さん、ビアンキさん、京子ちゃん、花ちゃん…ええい、この際獄寺さんでも構いませんから。 だから……。 …だけど、やっぱり居ないほうが良いかもしれません。 みんなみんな私の大切な人です。 一人でも居なくなったらハルはとても悲しいから。 「…うん、一人でも頑張らなくちゃ!」 胸の前で拳をぎゅっと握り締めてハルは立ち上がった。 まずは敵に襲われたときの身の安全のために自分の持ち物を確認することにした。 「えっとデイパックの中身は……眼鏡と、はひー!かか、刀…しかも本物です!」 くじ引きをするようにデイパックの中に手を突っ込んで引っ張り出したのはどこにでもあるような眼鏡と 菊一文字則宗という日本刀だった。かなり重みがあるのでこれが玩具でないか否かは定か。 蒼褪めながらハルはその二つを鞄の中に片付けると次にデイパックの隣に堂々と存在するリボンのかけられた箱に視線を移した。 リボンの結び目のところに挟まっているカードには、『これはてめえの支給品てす。てめえの自由に使っテくだちい』と書いてある。 「こ、こんなに大きな武器って……」 いったい中身は何なのだろう。 開くのは正直怖いがハルはゆっくりと慎重に包みを開いていった。 「これは…!」 中に入っていたものを見るとハルの表情に笑顔が宿る。 「もしかしたらハル、帰れるかもしれません!!!」 * * * オイオイオイオイオイィィィィ!ちょーーーーっと待てェェェェェ!なぁぁぁんじゃありゃああ! 土方十四郎は三度目の異常事態に心の中で叫喚する。 ちなみに一度目は自室にてマヨ丼を食べようとしたところで見知らぬ部屋に連れてこられていたとき。 二度目は自分に支給されたものが無数の鼻くそとポテトチップスのコンソメ味とおにゃのこのパンティだったことを知ったときである。 今驚いている原因と問われれば十四郎は恐れのあまりに口を閉ざしてしまうだろう。 いやいやいや別に怖がってないから!何勘違いしてんだよ殺すぞ! ただ有り得ないだろってことに驚いただけで怖がってるとかビビってるとかそんなんじゃないから! 何か幽霊みたいな白い着物着た女がガキの足凍らせてるところに驚いてるだけだから! 足元を凍らせてるところ!だ、ここが重要だ!幽霊みたいな白い着物着た女が、は別に気にしてねーから! オイ、今笑いやがったな?斬るぞテメェェェェェェ! 恐怖をごまかしたいのか過剰に攻撃的に独白する十四郎の体は金縛りにでもあったかのように動かない。 その女のあまりの恐ろしさに。 そんな時、巨大な男が立ち上がったのに気が付いた。 男は少年と、少年を助けようとした少年の頭部を掴みあげる。 いくら幽霊が怖くとも、男にはやらねばならないことがある。 それを十四郎は知っていたから。 「チィッ!」 * * * 「どういうことだよ、ガンツ……」 玄野計は初めての事態に頭を抱えていた。 彼はガンツからの呼び出しを受けるのは初めてではない。 そのため予告無しの転送にも何も驚くことはなくただ『またか』と感じただけだった。 だが部屋についたらその異変にはすぐに気付いた。 人の多さが異常なのだ。それからそこに集められた人間たちそれぞれの違い。 その後に出たガンツからの指令。 これだけ居るからどんなに強い星人を倒さなければいけないのかと考えれば『殺し合いをしろ』。 さすがにこの言葉には計も驚き、真っ先にあちこちを見渡して小島多恵が居ないかを確認する。 しかしあまりの人の多さに彼女一人が見つかるわけもなく。 「……くそっ」 考えても考えてもわかんねぇ…!ガンツは一体何がしたいんだ!? 多恵ちゃんは…多恵ちゃんは無事なのか!?他のみんなもこっちに来てたりしないよな!? 守りきる自信など無かった。 それでも何とかせねばという思いが計を動かした。 「オイ、起きてくれ!話し合いたいことがある!誰か!」 実に勇気の要る行動だが計は簡単に大声を出して周りを囲むようにして眠る人々の体を揺さぶっていった。 ヘンテコリンな帽子にヘンテコリンな格好をした男は起きない。 ギザギザの鼻に魚のような見た目をしたやつも…起きない。 そして振り返って最後の一人を起こそうとすると……その人はもう体を起こしていた。 「……!」 「ん…………?」 その人、その女の人の格好を見て俺は体と……不可抗力でもう一つの俺を強張らせた。 真っ白い肌に華奢な手足を強調させるようなミニの浴衣 肌蹴た部分から見える胸の谷間と、綺麗に整った顔立ちに。 俺は女の人と目が合うとたじたじになりながらも必死に話し始めた。 「俺は玄野計!そ、そっちは?」 「ゆきめよ」 「ゆ、ゆきめさんか。で、でさ、俺ゆきめさんに協力してほしいんだ!」 緊張しすぎだろ、俺。多恵ちゃんごめん! 「………貴方は雪女の伝説を知ってる?」 は?何だいきなり、雪女ぁ?雪女って、あの雪女のことだよな。 ………それにしても何か急に寒くなってきた気がする。 気のせい、だよな? 「雪女っていうのはね、人間を氷付けにする悪い妖怪なのよ」 * * * 殺し合い。 これこそまさに生死を賭けた決闘。 ガンツに命じられた指令を果たすために俺は起きてからずっと歩き続けていた。 「………ん?」 歩き続けてしばらくすると一つ向こうの通りから知り合いの声が聞こえてくる。 和泉紫音は足を止めてその声の主を一瞬にして判断した。 「玄野……か」 胸が弾む。気分が高まる。頬がほころぶ。全身が疼く。 今にもはちきれそうな殺人衝動。 紫音は口角を吊り上げ、右手に獣の手のような形をした鋭い武器を握り締め、再び歩き出した。 * * * 「雪女っていうのはね、人間を氷付けにする悪い妖怪なのよ」 そう、それが私。 滅びたゆきめの体に新たに吹き込まれた命。 それが、私。 ゆきめが計に背中を向けて立ち上がると計も操られているかのように同じ動作をする。 「出逢ったらそれが最期」 「ゆ!……ゆきめさん!?」 後ろに体を向けるとゆきめはゆっくりと計のほうへと近付いた。 計は思わず後退するが途中でなぜか動けなくなり違和感がある自分の足元を見おろすと いつの間にか踵の辺りまで凍っていた。 「…な、何だこれ!?」 「もう一度自己紹介してあげる。私の名前はゆきめ。……雪女のゆきめ」 「ゆき……おん………」 「そう。残念だけど貴方はここで終わり」 ゆきめが自分より少し上に位置する頬に手を添える。 計はとてつもない冷気と何が起こるかわからないすぐそこに見える未来に身を震わせた。 それが非常に愉快に感じられたゆきめはクスクスと嘲笑いながらゆっくりと計の唇と自分のそれとの距離を詰めた。 有り得ねぇ、ちょっと待てよ!星人じゃなくて妖怪だって!? ますます何が起こってるんだよチクショウ! 俺はこんなところで終わりたくない!まだ、まだやらなきゃいけないことがある! そうだろう、なぁ多恵ちゃん。多恵ちゃん、多恵ちゃん、多恵ちゃん…。 視界いっぱいをゆきめの顔が支配したとき、目を瞑った計の瞼の裏に焼きついたのは多恵の笑顔。 (多恵ちゃん、ごめん) 「……まぁ待て、ゆきめとやら」 「誰!?」 とうとうゆきめと計の唇が重なり合うという瞬間、今まで眠っていたはずの男が計とゆきめの傍に立っていた。 それに気が付かなかったゆきめは咄嗟にその男の方に顔をやった。 「わしの名は太公望。言っておくが人間ではないので氷付けにはするな」 「何を言っているの?ここに居るやつらはみんな私が凍らせて山につれて帰るわ」 「それはかしこくないのう。おぬし一人だけでわしら何十人を相手するなど、時間と気力の無駄じゃ」 「………どういう意味?」 そんなことより、まず俺をどうにかしろって! 計が訴えるように振り返ると不適な笑みを浮かべた太公望と目が合う。 それから太公望はゆっくりとゆきめの横へと移動していく。 ゆきめの視線も自然に太公望を追う。 まるで何かの合図のようだった。 いやそれは本当に合図だったのだ。 太公望から計への、逃げろという合図。 「わしらで手を組まんか?」 「手を組む?」 「そう、わしもこのゲームに乗ろうと思っておる。何せまだ死にたくないからのう。 そこで、まずは二手に別れこのゲームに乗っていない者から順に殺していくのだ」 「…………なるほどね、それなら手間が省ける。でも…」 本当に貴方は信用できるのかしら、と続けるつもりだった言葉は途絶えた。 正面の方向にあった隔たりである計が消えていたからだ。 慌ててゆきめは左右を見渡すが計の姿はどこにも無かった。 舌打ちしてゆきめは太公望が居た方向に視線を戻す。ここでゆきめは彼が信じれる人物であるかどうかを理解した。 「あいつ…!」 「探しているのはコイツらか?」 今出逢ったばかりのやつなんかに心を揺るがせたことを後悔するゆきめ。 すると今度は背後から声がかかる。 苛立たしい出来事が起こったばかりのためゆきめはあからさまに不機嫌そうな顔で声の方を見た。 「離せーーーーー!」 「離すのじゃーーーーーーーーー!」 先程自分の近くで眠っていた男と、その男に軽々と片手で持ち上げられている自分を騙した男と凍らせようとした男。 訝しげに眉を顰めたあとでゆきめは口を開いた。 「どういうつもり?」 「そう怖い顔をするなよ。俺はアーロン、見たとおり下等な人間どもとは違う魚人だ。 コイツではないがな、俺はお前と手を組みたいと思っているんだよ」 「………」 「騙しじゃないぜ?コイツのように嘘は吐いたりなんてしない。 それに俺は強い。本当は今すぐにでもお前を殺せるくらいの力を持ってる。 だがな、俺はお前のような賢いやつが好きなんだ」 「…信じられないわね」 「シャハハハハ、そうか。それじゃあ取りあえずお前を騙したコイツらから殺してみせようか?」 途端アーロンは計と太公望の頭を掴む手に込めた力を強めた。 猛烈な握力が二人の頭部を襲う。 「う!うぎぃぃぃぃぃ!」 「うううううううう、あああああ!」 「止めろぉぉぉぉぉぉ!」 ゆきめは唾を飲んでその様子を見守る。 アーロンはシャーッハッハッハと高らかに笑いながら一層握力を強めようと 手先を強張らせると一人の男が近くの物陰から飛び出してきた。 何も問題は無いと言った風に男からの攻撃を待つ余裕のアーロンだが 背後を襲った衝撃によって思わず二人を解放してしまった。 「はひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 * * * はひーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! ハルは今とってもスリリングなことになっています! まるでジェットコースターに乗っているみたいです。 せっかく家に帰れると思ったのに、上手くコントロールできません! 誰か助けてくださいぃぃっ!!! 大きなプレゼントの包みに入っていたのはパトカーだった。 しかも運の良いことに鍵も付いていた。 無免許ではあるがこの際仕方が無い、殺し合いから脱出するにはこれしかないのだ。 そう、ハルにとっての最大の武器とはこのパトカー。 …ではなく、車なんかでゲームを脱出できるという単純でお気楽な頭だった。 車は指示も待たずに右へ左へと突き進む。 やがて真っ直ぐの一本道に出たと思いきや綺麗な町並みの中に集っている人々。 たたた、大変です!あんなところに人が! ブレーキ!ブレーキしなきゃ!ブレーキってどうすれば良いんだっけ? これかな?あれ、これはクラクション! これかな?はひー、何か窓が開いちゃいました! 早くしなきゃ!早く!早く早く早く早く早くはや……! ドサァッ! あっブレーキは踏むものでしたと気付いたときにはもう遅かった。 「はひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 ハルは一生懸命ハンドルを切るが既に手遅れだった。 叫びを木霊させながら人を一人引いてしまったという現実にあまりのショックに気絶してしまう。 最終的にパトカーはアーロンの体ごと喫茶店の壁に衝突して止まった。 「…………」 無事だったその他四名が唖然とする中、十四郎は我に返ってパトカーに近付き開いた窓から中に手を突っ込んで鍵を開ける。 「オイ、テメェら早く乗れ!アイツが起きてこねェ内にとっとと逃げるぞ!」 十四郎はハルの体を助手席に運んだ後すぐさま運転席に飛び乗る。 せかされた計と太公望は今にも離れていきそうな意識を引き戻しながらそそくさと車の中へと逃げ込んだ。 扉が閉まる音を聞いた直前で十四郎は乱雑なテクニックでUターンしその場から逃亡した。 【D-4 街の中 / 一日目 深夜】 【三浦ハル@家庭教師ヒットマンREBORN!】 【装備】:真選組パトカー@銀魂(ボッコボコになっています) 【所持品】:支給品一式 菊一文字則宗@るろうに剣心 新八の眼鏡@銀魂 【状態】:健康 気絶 【思考・行動】 1:―――――(気絶中) 【土方十四郎@銀魂】 【装備】: 無し 【所持品】:支給品一式 ビニール袋に入ったMr.5の鼻くそ×6@ONE PIECE、ポテトチップス@DEATH NOTE、ブルマのパンツ@DRAGON BALL 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ひとまず避難する。 【玄野計@GANTZ】 【装備】:無し 【所持品】:支給品一式 未確認(0~3) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ひとまず避難する。 2:みんなでこのゲームから脱出する。 ※参戦時期はゆびわ星人編前です。 【太公望@封神演義】 【装備】:無し 【所持品】:支給品一式 未確認(0~3) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ひとまず避難する。 【※】パトカーは既にボロボロの状態なのでどのくらいもつかわかりません。 * * * 「………下等動物どもめが…」 この俺をコケにしやがって……。 殺してやる。今すぐに殺してやる!! 体の上に積まれた瓦礫を一払いするとアーロンはゆっくりと上体を起こした。 ガラガラガラという派手な音がして土煙が沸く。 その煙を掻き分け通りの方へと出るとまだ一人、そこには居た。 「………さっきの話なんだけど」 「何だ、まだ居たのか」 「貴方の言っていたこと……のませてほしいの」 ゆきめは感じていた。 先程の攻撃だけでもどうやら妖力はいつもの数倍も消費されているということに。 これでは身が持たない。 そう考えたゆきめはアーロンの提案に乗ることにした。 「……ッハッハ…シャーッハッハッハッハ!やっぱりお前は違う、さすが俺の見込んだ女だ! そして貴様も『賢い人間』なのだろう!そこから見ていることに、この俺が気付いていないとでもおもったか?」 馴れ馴れしくゆきめの頭に手を乗せるアーロンが高笑いをしながら物陰をじっと見つめた。 最初はそこに潜んでいた者も出てくるのに時間を掛けたがバレているのでは仕方が無いと姿を現した。 アーロンたちの前に立った紫音は、冷や汗を垂らしながらも笑っていた。 【D-4 街の中 / 一日目 深夜】 【アーロン@ONE PIECE】 【装備】:無し 【所持品】:支給品一式 未確認(0~3) 【状態】:健康 全身に軽いかすり傷 【思考・行動】 1:ゲームに乗る賢いやつらとは協力(利用)する。 2:甘ったるいことを考えている下等動物は殺す。 ※参戦時期は九巻辺り。ルフィ戦前。 【ゆきめ@地獄先生ぬ~べ~】 【装備】:無し 【所持品】:支給品一式 未確認(0~3) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:アーロンの案に乗る。 2:他の参加者を殺す。 ※参戦時期は110話以降、ゆきめ復活直後。 【和泉紫音@GANTZ】 【装備】:首さすまた@地獄先生ぬ~べ~ 【所持品】:支給品一式 未確認(0~3) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:アーロンの案に乗る? 2:ガンツからの指令に従う。 ※参戦時期はゆびわ星人編前です。 |009:[[霊は状況が悪い時に限ってでしゃばる]]|CENTER:[[投下順>本編(投下順)]]|011:[[桜の木の下で]]| |009:[[霊は状況が悪い時に限ってでしゃばる]]|CENTER:[[時間順>本編(時間順)]]|011:[[桜の木の下で]]| |&color(skyblue){初登場}|三浦ハル|| |&color(skyblue){初登場}|土方十四郎|| |&color(skyblue){初登場}|太公望|| |&color(skyblue){初登場}|アーロン|| |&color(skyblue){初登場}|ゆきめ|| |&color(skyblue){初登場}|和泉紫音|| |000:[[オープニング]]|玄野計||