DC30B

Hendricks QRP Kits の基板キット"DCxxB"の10MHz版 "DC30B"を組み立てました。

前のバージョン"DCxxA"の7MHz版を以前こちら
で製作させていただきました。

以前に製作した"RockMite"と似ていますが、サイドトーンが聞きやすく、また回路がユニークで、ちょっと気に入ったので自分でも作ってみようと注文しました。

基板の製作自体はずいぶん前に済んでいたのですが、変更申請も通りましたので、ケーシングしてみました。

注文


2012年3月15日、Webにて注文。Paypal払い30ドル+送料15ドル。(1ドル=85.98円)
1週間で到着しました。


基板組み立て


注意点がいくつか。
  • スルーホール基板で、基板が厚くしっかりしています。その分ベタアースに落ちる部分は一度半田付けした後に部品を外すのが結構大変です。間違えないように半田付けしましょう。
  • 回路図とパーツリストをよく見ながら、手順通りに半田付けしていきましょう。回路図には適当に(笑)、間違いがあります(リストと回路図で部品の定数や番号が違う)。
  • Wのキットなので、JAのバンドプランと周波数が違います。JA向けの水晶を別途用意した方がいいです。
  • メニューボタン用のスイッチ、アンテナ端子、電源端子がついていませんので別に用意しましょう。

水晶は、オリジナルのキットには10.140MHzがついてくるのですが、国内ではこの辺は狭帯域データが使いますので、10.120MHzの水晶をサトー電気で購入しました。10.1196MHzくらいの周波数になりました。そのうちVXO化してみたいと思います。

調整


まさかとは思いますが、安定化電源とテスタとダミーロード、パドル、ヘッドホンくらいは用意しましょう。つうかこれくらいはないとムリです。

まず説明書どおりに電圧をチェックします。まあ普通に組み立てていれば大丈夫です。

調整はトリマを2カ所回すだけです。
一つは受信感度。実際にアンテナをつないで受信してみて、音が一番大きくなればOK。
二つ目は周波数シフトの調整。もう一台のリグを用意してダミーロードをつないで送信、受信してみて、サイドトーンと同じくらいのピッチになるように合わせます。まあ周波数カウンタで見てもいいんですが。

ケーシング


ケースはタカチのMB-51(110x80x25)を使用しました。

imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
左側に上からアンテナ(BNC)、電鍵、ヘッドホン、ファンクションスイッチ。

imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
右側は電源ジャック(極性統一#2)。13.8Vです。電源スイッチは省略しました。

内部の配線はできるだけピンヘッダ・コネクタを使ってみました。

imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
水晶はICソケットを切ってソケットにしました。

機能


このキットはAVRキーヤーを内蔵していて、
  • 2chのメッセージメモリ(「ビーコン」モードあり)
  • 符号速度の可変
  • 「チューン」モード
  • IAMBIC A/B切り替え

と機能があります。各機能に入るとそれぞれの音が出ます。

ボタン短押 "S" 符号速度 
DOT=遅く 
DASH=早く 
"I"で上限・下限
1秒放置→"I" で終了

ボタン短押→パドル メッセージ送出
DOT=1 
DASH=2 
送出中にDASH=一時停止
送出中にDOT=終了
ボタン短押し=ビーコンモード "B"

ボタン長押 "T"→"M"→"A"または"B"

"T" チューンモード
 DASHクリックで送信
 DOTクリックで停止
 ボタン短押で終了

"M" メッセージ入力 
 パドル操作で29文字(空白含む)
 メモリいっぱい "EM"→入力し直し
 ボタン短押で確認再生
 パドルでメモリ "MS"→終了
 ボタン短押 "EM"→ 入力し直し

"A"/"B" IAMBIC A/B切り替え

メモリーキーヤのメモリは29文字分(空白含む)なので、CQ DE JP1QYO/1 JCC100119 PSE K が入り切りません(汗。PSEって入れなきゃ入りますけど。

別にメッセージキーヤを用意した方が実際には便利ですが、この本体だけでもなんとか運用しようと思えば、出来なくもない、と言うところでしょうか。

外部にエレキーをつなぐ場合にはキーヤと本体をモノラルプラグのケーブルで接続してから電源を入れてストレートキーモードにします。

使用


申請

申請に必要な送信機系統図はこんな感じです(DCxxB各バンドで同じ)

imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。

操作

使用したボタンがちょっとチャタるのかよく分かりませんが、操作が上手くできませんでしたので、ボタンのネモトに104の積層セラミックコンデンサを入れてあります。

消費電流

説明書によると、12Vで750mWくらい、13.8Vでは1W以上とありますが、ボクの場合には2W出ました。2W出力時の消費電流はだいたい200mAくらい。受信時は40mA程度というところです。

送信

実際に送信してみると、SWRが高いアンテナをつなぐと終段の発熱が大きくなります。SWR保護の回路は入っていませんので、反射波分多く電流が流れるせいでしょう。アンテナチューナを入れてSWRを下げておいた方がいいです。なにしろ終段はBS170、TO92パッケージなので放熱板がありません。

受信

アンテナをつながない状態では何も受信音がしません(音は出てるが聞こえない)。アンテナをつなぐとかすかに「さーっ」というノイズが聞こえてきます。びっくりするほど静かです。

フィルタが入っていませんので、可聴範囲内に信号が出ていれば聞こえると思います。

夜になってくると中波の通り抜けがありますが、これはダイレクトコンバージョンなので仕方有りません。

運用

早速QSOしてみましたが、日中に2エリアの局が応答してくれました。はっきり聞こえましたが音量はとても小さかったです。AGCどころかAFボリュームすらありません。音量が小さい場合にはAFアンプを外付けするとイイでしょう。AFフィルタも入れるといいと思います。

感想


たった30ドル(+ケース等の費用)のQRPキットでもそこそこ遊べそうですね。
基板キットとしては比較的簡単ですし、調整も特に難しくありません。

このリグとパドル、イヤホン、アンテナチューナ、ロングワイヤ、釣り竿、電池(NiMHx10)くらいを持って行けばかなり小さな荷物で移動運用出来ると思います。

1~2Wでも国内なら十分に遊べるでしょう。ただ、フィルタなどは入っていませんから、7MHz版はちょっと運用が大変かも知れません。

周波数固定のダイレクトコンバージョン機なんて、と思われるかも知れませんが、まったく使えないわけじゃ有りませんし、「あえて」これで運用を楽しむのは十分アリです。
最終更新:2012年07月28日 01:08