アットウィキロゴ

戦前の辞書を読むに当りて

旧字体

今は、新字体を用ゐるが、戦前の漢字は異なり。これらを覚えねば、容易く戦前の辞書は読めず。然れば、旧字体をここに記す。
「甲」を、少し異なるが分かり易き字形。 仄 (ほの)分かる旧字体を挙ぐ。「稲、稻」、「鶏、鷄」、「拝、拜」。
「乙」を、甚だ異なる字形。「庁、廳」、「体、體」、「鉄、鐵」、「窃、竊」。
「丙」を、細かき字形の違ひ、又は、異体字。「点か線か」、「点や線の有無」、「点や線の向き」など。「歩、步」、「黒、黑」、「青、靑」。
「丁」を、別字とす。「予、豫」、「余、餘」。
「*」は漢字の一部分としての新旧関係を表す。その字の新旧関係に非ず。

甲

新字体 旧字体及諸字 備考
丬 状、壮、装、荘、寝 爿 狀、壯、裝、莊、寢
彐 縁、録、剥、禄 彑 緣、錄、剝、祿
礻 社、神、祖、祈、福 ⺬ 祓、禊、祠、祀、祇 示偏。
区 駆、欧、殴、枢 區 驅、歐、毆、樞
友* 抜、髪 犮 拔、髮
卆 酔、粋、砕 卒* 醉、粹、碎 但し「枠」は国字にて置き換へられず。
収 收
旧* 稲、児、陥、焔 臼* 稻、兒、陷、焰 「旧」は別に旧字体有り。
圣 軽、経、頚 巠 輕、經、頸
㦮 残、浅、銭、践、桟 戔 殘、淺、錢、踐、棧
夹 挟、峡 夾 挾、峽
両 兩
有* 堕、随、髄 左
月
墮、隨、髓 「辶(之繞)」と「阝(阜偏)」が付くものに限り「有」の部分が「左月」に変はる。
争 静、浄 爭 靜、淨
気 氣
麦 麺、麸、麹 麥 麵、麩、麴
来 莱 來 萊
亜 悪、唖 亞 惡、啞
条 條
㑒 検、験、険、剣、倹、鹸 僉 檢、驗、險、劍、儉、鹼
⺤夫 鶏、渓 奚 鷄、溪
尭 焼、暁 堯 燒、曉、饒
参 惨、鯵、渗 參 慘、鰺、滲
拝 拜
俞 輸、諭、愉、癒 兪 喩、揄
⺤干凵 謡、揺、遥、瑶 䍃 謠、搖、遙、瑤
乗 剰 乘 剩
显 湿、顕 㬎 濕、顯
為 偽 爲 僞
昌乚 縄、蝿 黽 繩、蠅
専 專
真 慎、鎮、填、顛 眞 愼、鎭、塡、顚
従 縦 從 縱
恵 穂 惠 穗
将 醤、奨 將 醬、奬
帯 滞 帶 滯
挿 插
晋 晉
曽 増、層、贈、憎、僧 曾 增、層、贈、憎、僧
𢚩 隠、穏 㥯 隱、穩
粛 繍 肅 繡
亀 穐 龜 龝
壷 壺
歯 齢、噛 齒 齡、嚙
温 溫
満 滿
畳 疊
遅 遲
十罒衣 壊、懐 褱 壞、懷
豊 艶 豐 艷
楽 薬 樂 藥
様 樣
雑 雜
賛 讃 贊 讚
蔵 臓 藏 臟
潜 潛
黙 默
戯 戲
霊 靈
頼 瀬 賴 瀨
覧 䌫 覽 纜
聴 聽
犠 犧
闘 (鬭)、鬪 鬭は旧字体として認めぬ字書有り。

乙

新字体 旧字体及諸字 備考
厶 仏、払 弗* 佛、拂 認めらるる新字体はこの二つのみにて「私」や「弘」は変はらず。
⺍ 営、栄、労、蛍、鴬 炏 營、榮、勞、螢、鶯 ⺍が入るものは全てこれらの略なり。
単、戦、厳、獣 吅 單、戰、嚴、獸
巣、悩、脳 巛 巢、惱、腦
学、覚 ⺽爻 學、覺
誉、挙 ⺽与 譽、擧
桜 賏 櫻
万 励 萬 勵
戸* 炉、芦 盧* 爐、蘆 認めらるる新字体はこの二つのみ。
尺* 駅、訳、沢、択、釈 睪 驛、譯、澤、擇、釋
云* 伝、転 專 傳、轉 認めらるる新字体はこの二つのみ。
丷
ハ
摂 聑 攝 同じ字の三重の略。
渋 𣥖 澁
塁 田田 壘
円 圓
双 雙
旧 舊
広 鉱、拡 廣 鑛、擴
尓 弥、祢 爾* 彌、禰
旦* 担、胆 詹 擔、膽 認めらるる新字体はこの二つのみにて「坦」や「但」は変はらず。
圧 壓
号 號
辺 邊
写 寫
処 處
礼 禮
庁 廳
会 絵 會 繪
舌* 乱、辞 𤔔 亂、辭 認めらるる新字体はこの二つのみにて「舐」や「刮」は変はらず。
虫* 独、触 蜀 獨、觸 認めらるる新字体はこの二つのみにて「融」や「蝕」の虫は変はらず。「虫」は別に旧字体有り。
亦* 変、恋、蛮、湾 䜌 變、戀、蠻、灣 「亦」が上に来る漢字のみにて「跡」は変はらず。
尽 侭 盡 儘
当 當
仮 假
団 團
灯 燈
弐 貳
売 読、続、涜 賣 讀、續、瀆
寿 鋳、祷 壽 鑄、禱
𠃊米 断、継 㡭 斷、繼
声 聲
体 體
図 圖
対 對
応 應
医 醫
囲 圍
壱 壹
国 掴 國 摑
忩 総、聡 悤 總、聰
鼡 猟、蝋 巤 獵、蠟
斉 済、剤 齊 濟、劑
画 畫
実 實
価 價
宝 寶
拠 據
岳 嶽
発 廃、醗、溌 發 廢、醱、潑
娄 数、楼、薮 婁 數、樓、藪
点 點
昼 晝
県 縣
窃 竊
竜 滝、篭 龍 瀧、籠
称 稱
帰 歸
浜 濱
党 黨
秘 祕
蚕 蠶
逓 遞
𠂉一隹 権、観、勧、歓 雚 權、觀、勸、歡
𢦏业 繊 韱 纖
斎 齋
属 嘱 屬 囑
証 證
塩 鹽
鉄 鐵
献 獻
関 關

丙

新字体 旧字体及諸字 備考
丷 平、評など ハ 秤 これらは丷の所がハに成る。
但し、「逆(屰)」や「前」、「首」、「弟」、「美(⺷)」、「岡(𦉰)」などは形変はらず。
半、判、伴など 絆、叛
关、送、咲など 鎹
兑、説、閲など 兌、說、閱、蛻
肖、消、削など 屑、鞘、稍
⺌貝、鎖 𧴪、瑣
尚、廠など 尙、氅、惝、敞
⺌冂小、幣、弊 㡀、蔽、瞥
龹、券、拳、勝、騰、謄など 𠔉、卷、捲、鰧
益 益、溢
丷酉、尊など 酋、樽、楢、擲
㒸、隊など 燧、隧
⺀ 冬、終、寒、柊 冫 疼、鼕 於は成り立ちが違ふ為、冫には成らず。
艹 艹、艹 草冠。
⻌ 近、通、遊、送、選、違、込など 辶 遜、遡、辻、迂、這、辿など 之繞。旧字体にて点の数が二つに成る。
大* 突、臭、戻、器、類、涙、捩など 犬* 突、臭、戾、器、類、淚、嗅 「大」が入るもの全てが置き換はるに非ず。
己* 巻、遷など 㔾 卷、捲、韆
包、泡、港、選、巽 巳* 鮑、鞄、巷、撰
ヨ 雪、婦、尋、寝、慧 ⺕ 寢、彗、箒 旧字体にてヨの中の横棒が縦棒を突き抜く。
及 級、吸、扱 ※ 汲、笈 旧字体にて二画目が乛になり、その下に又を書く。
※ 叫、糾 丩 (収) 旧字体にて左の縦棒と横棒を一画に書く(レに縦棒)。
「収」はレに縦棒なるが旧字体は「收」。
亡 忙、忘、妄、荒、望、網など ※ 虻、芒、茫、魍、羸、氓 旧字体にて横棒と三画目の付く所が 角 (かど)に成る。
刃、(刄) 忍、認、靭 ※ 仞、劒、訒 旧字体にて刀の左に点を書く。
刄は俗字。
「籾」は国字にて置き換へられず。
⺤ 采、妥、乳、暖、爵など 爫 淫、孵、鷄、煖、嚼、埒、稻、稱、隱、綵 爪冠。三つの点が旧字体にて左点と右点二つと成る。
「愛」や「受」、「舜」とを除く漢字は全てこれに成らむ。
内 納 內 蚋、訥、枘、衲 旧字体にて人が入に成る。
戸 所、戻、扇、偏、雇、啓など 戶 戾、騙、篇 戸の旧字体。
毋* 毎、海、梅、侮、悔、敏、繁など 母* 每、海、梅、侮、悔、敏、繁 「毒」を除く毋が入る漢字が母に成らむ。
ヰ 韋、降、粦、舜、桀など 㐄 舛 旧字体にて左の縦棒と下の横棒を一画に書く。
但し「年」のヰは四画なり。
开 形、刑、研、妍、笄 幵 硏、姸、筓 「開」は成り立ちが違ふ為、幵には成らず。
冊 柵、珊 册 栅 異体字として扱はるる事有り。
※ 芽、邪、雅、冴など 牙 穿、訝、鴉 旧字体にて左の縦棒と下の横棒を一画に書く。
羽 扇、習、翌、翼、翔、翻など 羽 翅、煽、摺、褶、櫂 羽が入る漢字は全て羽に成る。
また、曜や濯などの二つのヨも羽に成る。
成 誠、盛、城など 成 鯎 旧字体にて戊の中が丁に成る。
并 併、塀、瓶、餅、迸など 幷 倂、塀、甁、餠、逬
𠂢 派、脈 ※ 中の縦棒(四画目)がレに成る。
※ 契、潔、喫 㓞 禊、齧 刀の左側の部分の縦棒が横線三本を突き抜く(丯)。
瓜 弧、孤、狐、瓢など ※ 旧字体にて囲ひの中のムが二画にてレ丶に成る。
灰 炭 ※ 恢、詼 旧字体にて厂が𠂇に成る。
覀 覆、要、遷、譚、賈、(覇)など 襾 覈、鱏 栗、票、粟、覀の下に土が来る漢字の他は全て襾に成らむ。
全 栓 ※ 詮、筌、銓 旧字体にて人が入に成る。
告 造、酷など 吿 鵠、靠、慥 旧字体にて⺧が牛に成る。
呉 誤、娯、虞 吳 娛、茣、蜈、麌
呈 程、逞 ※ 裎 旧字体にて王が𡈼に成る。
即 節 卽 節、櫛
申又 捜、痩 叟 搜、瘦、艘、溲
豕* 塚、琢、啄 豖 塚、琢 豕の左払ひの所に点一つ。
認めらるる新字体はこの三つのみ。
臣 臣の旧字体。字形に違ひは無けど画数異なり、囲ひのLを一画に書く。然れば、一画目は一番上の横棒を書き、最後にLを書く。
没 沒
飠 𩙿 食偏。下のムがFの形に成る。
者 都、暑、著、諸、諸、緒など 者 著、諸、箸、儲、賭 日の右上に点を書く。
者が入る漢字は全て者に成る。
青 清、晴、情など 靑 淸、晴、錆、瀞 青が入る漢字は全て靑に成る。
東* 練、錬、欄、蘭 柬* 練、鍊、欄、蘭 「東」を含む漢字全てが置き換はるに非ず。
音読みがランやレンの如く読むものが柬に成る。
日匂 掲、渇、褐など 曷 葛、靄、蠍
舎 捨、舗 舍 舖 旧字体にて土が干に成る。
歩 渉、頻 步 涉、頻、捗、瀕、顰 旧字体にて少の右点が無くなる。
具 倶 ※ 俱、惧 旧字体にて目の縦棒が下の長き横棒に付く。
又虫 騒、掻 蚤 騷、搔
免 免 免の旧字体。
晩、勉 晚、勉、挽、娩、冕 旧字体にて免の真中の縦棒と儿の左払ひを一画に書く。
延 誕 ※ 涎、筵 旧字体にて止の最後の二画を一画(L)に書く。
効 效 異体字として扱はるる事有り。
届 屆 異体字として扱はるる事有り。
並 竝 異体字として扱はるる事有り。
周 調、週、彫、鯛など ※ 蜩、稠、雕、簓 旧字体にて土の部分が横棒二本を貫く縦棒に成る。
彦 顔 彥 顏、諺 旧字体にて立の縦棒が㐅に成る。
卑 碑 卑 碑、痺、顰 旧字体にて十の左上の点が無くなり、田の中の縦棒が左払ひの一画に成る。
覀土 煙、甄など 垔 旧字体にて覀が西に成る。
郎 廊 郞 廊 新字体の良の点無しが旧字体にて点有りの良に成る。
冒 帽 ※ 瑁 旧字体にて日の部分が⺜に成る。
卸 御、禦 ※ 旧字体にて六画目と七画目を一画に書く。
虐 ※ 謔 旧字体にてEの中の横棒が縦棒を突き抜く。
恒 恆 異体字として扱はるる事有り。
叙 敍 異体字として扱はるる事有り。
勅 敕 異体字として扱はるる事有り。
艹口丨三 勤、謹 堇 勤、謹、僅、懃
𦰩 漢、難、嘆 廿口夫 漢、難、嘆、灘、歎、艱
一由丶寸 博、薄、簿、縛 尃 圑、搏、傅、榑
冓 構、溝など ※ 篝、韝 旧字体にて冉の長き横棒の一つ上の横棒も突き抜く。
害 割、轄 ※ 旧字体にて龶が丯に成る。
既 概、慨 旣、既 槪、慨、廐
弱 ※ 溺、鰯、嫋、蒻 旧字体にて冫の部分が左払ひに成る。
兼 ※ 兼の旧字体。上の丷がハに成る。
嫌、謙、鎌、廉 ※ 簾、賺、蠊 旧字体にて上の丷が左払ひに成る。
旅 旅 膂
朗 朗 新字体の良の点無しが旧字体にて点有りの良に成る。
殺 殺 木の右上に点一つ。
姫 姬
黒 墨、(黙)など 黑 墨、(默) 「黙」は「里」と「犬」と「灬(れっか)」との組み合はせに無く「黒(黑)」と「犬」との組み合はせなり。
虚 嘘 虛 噓
黄 横 黃 橫、廣
軗 撃、繋 𣪠 擊、繫
郷 響 鄕、鄉 響、饗、嚮
産 產 旧字体にて立の縦棒が㐅に成る。
教 敎 異体字として扱はるる事有り。
窓 窗 異体字として扱はるる事有り。
逸 逸
盗 盜 旧字体にて冫が氵に成る。
殻 殼 冖と几の間に横棒一本。
隆 隆 夂と生の間に横棒一本。
間 簡など 閒 癇、燗 異体字として扱はるる事有り。
奥 奧 襖、燠 旧字体にて米の部分が釆に成る。
絶 絕
婿 壻 異体字として扱はるる事有り。
厨 廚 異体字として扱はるる事有り。
虜 虜
㐮 譲、嬢 襄 讓、孃 旧字体にて六の点二つの部分が吅に成る。
𤋱 勲、薫 熏 勳、薰、燻
歳 歲 穢、噦
痴 癡 異体字として扱はるる事有り。
寛 寬 見の足のところに点一つ。
聖 ※ 蟶 旧字体にて王が𡈼に成る。
徴 懲 徵 懲 山と𡈼の間に横棒一本。
徳 德 罒と心の間に横棒一本。
鼻 ※ 鼾、嬶 旧字体にて下の廾が丌に成る。
歴 歷
暦 曆
寧 寧 獰、檸、嚀 旧字体にて罒が皿に成る。
蔑 ※ 襪 旧字体にて戊の中が丶に成る。
穀 穀 冖と禾の間に横棒一本。
賓 賓 濱、嬪 旧字体にて少の右点が無く成る。
褒 襃 異体字として扱はるる事有り。
衛 衞 異体字として扱はるる事有り。
憲 憲 旧字体にて龶が一番上の横棒が左払ひの丰に成る。
隷 隸 異体字として扱はるる事有り。
覇 霸 異体字として扱はるる事有り。

丁

新字体 旧字体 備考
与 與
欠 缺
予 豫
弁 辨
辯
瓣
台 臺
虫 蟲
糸 絲
缶 罐
芸 藝
余 餘

戦前の辞書に頻出する変体仮名集

画像 元の
漢字
音
於 お*1
可 か
古 こ
志 し
多 た
奈 な*2
尔 に
八 は
者 は
王 わ
最終更新:2025年12月07日 16:15

*1 「お」も是れなるが字形少し異なり。

*2 「な」も是れなるが字形少し異なり。