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文語文の作り方

口語文語対照

仮名遣ひを除く、口語文語に於ける大きなる違ひは以下なり。

  1. 動詞の終止形と連体形との分かちが口語に於きては無きこと。
  2. 形容詞の終止形と連体形との分かちが口語に於きては無きこと(「とても長い。」、「とても長い橋。」の如し)。
  3. 「な」や「た」或「だ」などが「なり」や「たり」と文語に言ふ。
  4. 文語にて「行った」を「行きたり」や「遣って」を「遣りて」などと書き、音便形を用ゐず。
  5. 文語にては「です」や「ます」などの言葉は用ゐず。

1. 動詞の文語形の見分け方は未然形、或、連用形に於きて「る」及「ら行」の脱落によりて分かる。
「わける」、「わかる」、「わかれる」に譬ひて、「わける」の未然形は「わけ」、「わかる」の未然形は「わから」、「わかれる」の未然形は「わかれ」の如し。
是より、「わける」の文語形は「わく」、「わかる」の文語形は「わかる」、「わかれる」の文語形は「わかる」なり。
但し、一段活用にてはこの応用(あた)はず。「みる」の未然形は「み」なるが終止形は「みる」なり。
然らば、文語にて一段活用なる動詞は覚ゆべし。

動詞の連体形が口語にては規律無くして、「老ゆる」を「老いる」の如く用ゐらる。
下の表の如く連体形は「焼くる(たきぎ)」、「流るる水」、「死ぬる時」の如く用ゐるが正し。

動詞活用表
活用 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
四段
上二段 uる uれ iよ
下二段 uる uれ eよ
上一段 iる iる iれ iよ
下一段 eる eる eれ eよ
カ変 くる くれ
サ変 する すれ せよ
ナ変 ぬる ぬれ
ラ変

「四段」と「ナ変」とは、「ナ変」の連体形が「uる(ぬる)」と已然形が「uれ(ぬれ)」との違ひなり。
「四段」と「ラ変」とは、「ラ変」の終止形が「i(り)」の違ひなり。
「下二」と「サ変」とは、「サ変」の連用形が「i(し)」の違ひなり。

2.形容詞の活用。

形容詞活用表
活用 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
く活用
(け)
けれ
から かり かる かれ
しく活用 しく
(しけ)
しく しき しけれ
しから しかり しかる しかれ

文語にてこれを用ゐる。
即ち、「この橋いと長し。」とて「いと長き橋。」なり。
口語にて已然形を「長いけれど」なる表現するか。然れど、「(なが)けれど」が正し。

3. 口語にて約みたる言葉あり。表に如し。

口語 文語 例文
た、だ たり 買い物に行った。
→買い物に行きたり。
科学が進んだ世の中。
→科学が進みたる世の中。
にて 公園で息子と遊ぶ。
→公園にて息子と遊ぶ。
なり 美味な酒肴。
→美味なる酒肴。

4. 音便形、数多あり。それぞれ、い音便・う音便・撥音便・促音便と称せられたり。

  • 「い(i)」が「い」になるもの(い音便)。
    • 咲いて→咲きて、動いて→動きて
  • 「い(i)」が「っ」になるもの(促音便)。
    • 去って→去りて、立って→立ちて、従って→従ひて
  • 「い(i)」が「ん」になるもの(撥音便)。
    • 荒んだ→荒みたり、飲んだ→飲みたり、なん→なに
  • 「う(u)」が「う」になるもの(う音便)。
    • ありがとございます→ありがたござります、こう(斯)→かく、はよう→はやく
  • 「う(u)」が「ん」になるもの(撥音便)。
    • 知らん→知らぬ、甘んず→甘くす、明日は晴るらん→明日は晴るらむ

然れど、音便形が熟語として成りたる言葉は直す勿れ。(かい) 築地 (ついぢ)などの如し。

5.

口語語彙と文語との対照表
口語 文語 備考
(~して)ください (し)給へ。又は、せよ
させられる させらる 助動詞「さす」の未然形「させ」に口語「られる」の文語形「らる」を合せたる言葉。連体形「させらるる」。
させる さす 「させる」は助動詞「さす」の口語形。連体形「さする」。
させる ()さす ()る」の使役を云ふ時、「()」の未然形「せ」に助動詞「さす」を合はす。連体形「せさする」。
される ()らる 口語「()る」の文語形「()」の未然形に助動詞「らる」を合せたる言葉。此の「される」に対する「さる」を文語形とせらむが本語「せらる」を用ゐるが宜し。連体形「せらるる」。
なり。又は、たり 断定。
だろう ()らむ。又は、ならむ
である なり。又は、たり
(し)ている (せ)る。又は、(し)たる 完了の助動詞を当つ。終止形は(せ)り、(し)たり。
できる 為得 (しう)。又は、()()。又は、()らる。又は、() 或は、可能の助動詞を用ゐて、現代文に於ける「~することができる」を一つとし、前の動詞に「る」又は「らる」を附く。漢語などに添ふる時は、サ変動詞の可能形を以て「せらる」を用ゐる。
(なっ)てしまう (なり)ぬ。又は、(なり)たり 完了の意の時、(ただち)に完了の助動詞を当つれど、「たり」と「ぬ」とにては、「しまう」の意を能く表さしむるは、「ぬ」なり。
(なっ)てしまうだろう (なり)なむ。又は、(なり)なむず
です なり。又は、たり
(する)な (す)な。又は、べからず。又は、(なか) 禁止の「な」は終止形に繋ぐるの違ひのみ。
ます 侍り。又は、なり。又は、たり
みたいな 如く。又は、(やう)なる 「如し」が全き文語。「(やう)なる」は口語・文語の兼ぬる言葉。
(よう) 如く。又は、(やう)なる 「如し」が全き文語。「(やう)なる」は口語・文語の兼ぬる言葉。
(し)よう (せ)む 文語にては推量の助動詞「む」を用ゐる。

文語体を(おもほ)えしむるが故に、文末に(いたづら)に「なり」を附くる事、拙し。
現代文の「である」と等しくして、断定或は強調・主張せしむる時に用ゐる言葉なり。

「せる」といふ文語表現あらむが、これ、正しからず。
「する」をいふ「せる」の正しき形は「()」の活用(サ行変格活用)の如くに終止形「す」、連体形「する」なり。
又、助動詞「させる」の文語形は「さす」の下二段活用にて終止形「さす」、連体形「さする」なり。
然れど、完了(口語の「した」)をいふに「()」と「り」とを繋ぐる時、終止形「せり」、連体形「せる」と成る。

文章例

  • 私は昨日、「明日、部屋の掃除をしよう」と言っていたがすっかりそれを忘れて一日過ごしてしまった。
    私は昨日、「明日、部屋の掃除をせむ」と言ひしが全くそれを忘れて一日過ごせり。
  • 今までできなかったことが、できるようになった。
    今までしえぬことが、しえむになれり。
  • 同僚が仕事をしないため、私が直接言って、やらせた。
    同僚が仕事をせぬため、私が直接言ひて、せさせたり。

助動詞・助詞の繋げ方

助動詞
繋がる形 意味 言葉 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用 備考
未然形 自発・受身・可能・尊敬 るる るれ れよ 下二段 四段・ナ変・ラ変
らる られ られ らる らるる らるれ られよ 下二段 四段・ナ変・ラ変以外
ゆる ゆれ えよ 下二段 四段・ナ変・ラ変
らゆ らえ らえ らゆ らゆる らゆれ らえよ 下二段 四段・ナ変・ラ変以外
使役・尊敬 する すれ せよ 下二段 四段・ナ変・ラ変
さす させ させ さす さする さすれ させよ 下二段 四段・ナ変・ラ変以外
しむ しめ しめ しむ しむる しむれ しめよ 下二段 全ての活用形
打消 (な)
(に)
特殊
ざら ざり ざる ざれ 四段
打消推量 特殊
推量 四段
むず むず むずる むずれ 下二段
反実仮想・推量 まし ませ
ましか
まし まし ましか 特殊
願望 まほし まほしから まほしく まほし まほしき まほしけれ シク活用
反復・継続 四段 四段
連用形 過去 しか 特殊 全ての活用形
けり けら けり ける けれ ラ変
完了 つる つれ てよ 下二段
ぬる ぬれ ナ変
たり たら たり たり たる たれ たれ ラ変
過去推量・過去伝聞 けむ けむ けむ けめ 四段
願望 たし たく たし たき たけれ ク活用
たから たかり たかる 四段
終止形 意志・適当・推量・可能 べし べく べし べき べけれ ク活用 ラ変は連体形
べから べかり べかる 四段
現在推量・現在伝聞 らむ らむ らむ らめ 四段
推定 らし らし らし
(らしき)
らし 特殊
推定・婉曲 めり めり めり める めれ ラ変
打消推量 まじ まじく まじ まじき まじけれ シク活用
まじから まじかり まじかる 四段
ましじ ましじく ましじ ましじき ましじけれ シク活用
ましじから ましじかり ましじかる 四段
伝聞・推定 なり なり なり なる なれ ラ変
命令形 完了 ラ変 サ変・四段。古くはサ変の未然形・四段の已然形

表の如く、打消の助動詞「ず」は終止形は「ず」なる故、「ぬ」にて終はる文は完了の意に成る。

助詞
言葉 繋がる形 備考
連体形
連体形
から 連体形
連体形
つつ 連用形
連用形
終止形
連用形 同じ動詞を繰り返す強意表現。
已然形
とも 終止形
とも 連用形 形容詞型活用。
ども 已然形
連体形
連用形 目的。~ために。同じ動詞を繰り返す強意表現。
連体形
のみ 連体形
連体形
未然形 順接仮定条件。~ならば。
已然形 確定条件。~ので。~のに。
ばかり 終止形
ばかり 連体形 限定。~だけ。
まで 連体形
終止形
連体形 逆接。~のに。
終止形
より 連体形
連体形

「ば」の繋げに於て、(いま)(しか)らねば仮定なりて未然形に附き、(すで)(しか)らば確定なりて已然形に附く。
助詞の「から」と「より」とは(いづ)れも、上代より用ゐられけり。違ひは、「から」は「(いづ)れの事柄を経る」を云ふ、経由を強調するものなりて、「より」は「(もと)より出づる」を云ふ、原因を強調するものなり。

仮名遣ひ

漢字音を除く、歴史的仮名遣ひを説く。

  1. 「い、ひ、ゐ」。
  2. 「う、ふ」」。
  3. 「え、へ、ゑ」。
  4. 「お、ほ、を」。
  5. 「じ、ぢ」。
  6. 「ず、づ」。
  7. 「は、わ」。
  8. 異に挙ぐるもの。
  9. ダ行動詞の集め。
  10. ヤ行動詞の集め。
  1. 「い、ひ、ゐ」の内、「」が最も多き故、「い」と「ゐ」とを挙ぐ。

    • ヤ行上二段活用動詞(老ゆ、悔ゆ、報ゆなど)の活用は「い」に成る。
      い音便は「い」なり。即ち、(かい) 六日 (むいか)(やいば)(やいと) 裂帛 (さいで)(ふいご)(ついたち)(さいはひ)(かうがい) 透垣 (すいがい) 松明 (たいまつ) 面懸 (おもがい)(はいたか) 築泥 (ついひぢ) 掃墨 (はいずみ)(ないがしろ)、掻い潜る、(ついば)む、(さいな)む、(のいふ)す、などなり。
      然れど、他の音便に比べ、(いた)()れたれば、一つ一つ覚ゆべし。
      発語の「」が附きたる言葉は「い」なり。い隠る、い漕ぐ、い這ふ、などなり。
       名詞:(かいがね) 肉刺 (のいずみ)(ぜんまい)(おいかけ)(老懸)、 花魁 (おいらん) 戯射 (さいだて) 梅華皮 (かいらぎ) 弟兄 (おととい) 齞脣 (あいくち) 鸊鷉 (かいつぶり) 虎杖 (さいたづま)
       動詞:(ひい)づ、(つい)づ、(おちい)る(落入)、(さいぎ)る、
       形容詞・形容動詞:たいだいし、おいらか、
       その他:(あるい)は、
       などなり。
      「い」より始まる言葉は「ゐ」より甚だ多く、中又は尾に有る「い」は少なく、殆は音便形なり。
    • の項にある言葉の如く、一字は此らなり。
       名詞:(あゐ)(ゐや) 地震 (なゐ) 田舎 (ゐなか) 囲炉裏 (ゐろり)(くらゐ)(もとゐ) 井守 (ゐもり) 乞丐 (かたゐ) 宿直 (とのゐ)(うずゐ) 髫髪 (うなゐ) 耒底 (ゐさり)(きはゐ)(くれなゐ) 紫陽花 (あぢさゐ)(ゐさらひ) 赭魁 (ゐのととき) 野猪 (くさゐなぎ)
       動詞:(まゐ)る、(もち)ゐる、(つづ)ゐる、
       その他: 騒騒 (さゐさゐ)
       などなり。
      動詞にて「ゐ」より始まる(分かり易き)複合語を除く言葉は()る、()る、()る、 膝行 (ゐざ)る、のみ。

  2. 「う、ふ」の内、「」が多き故、「う」を挙ぐ。

    • ア行・ワ行活用動詞(得、植う、飢う、蹴う、据う、聶う)の活用は「う」に成る。或は、現代仮名遣ひにて「う」にて終る動詞の殆は「ふ」なる故に、ア行・ワ行活用動詞を覚ゆべし。
      う音便は「う」なり。即ち、(かうべ)(はうき)(たうげ) 手斧 (てうな)(おとうと)(いもうと)(かうがい) 仲人 (なかうど) 蝙蝠 (かうもり)(たうば)る、(つか)(まつ)る、 神神 (かうがう)し、()う、(とう)に、(からう)じて、
      などなり。
       名詞: 八日 (やうか)(しうと) 小路 (こうぢ) 胡瓜 (きうり) 硫黄 (いわう) 寄居虫 (がうな)
       動詞:(まう)す、(まう)く、(まう)づ、(かうむ)る、
       その他:()う、(やうやく)(かつう)は、
       などにて、多くは音便なり。

  3. 「え、へ、ゑ」の内、「」が最も多き故、「え」と「ゑ」とを挙ぐ。

    • ア行・ヤ行下二段活用動詞(得、嘶ゆ、消ゆ、冴ゆ、栄ゆなど)の活用は「え」に成る。
       名詞:(ふえ)(ひえ)(ぬえ)(はえ)(にえ)(ふえ) 栄螺 (さざえ)(ながえ)(長柄)、(すはえ)(あごえ)(足蹴)、(なばえ)(ひこばえ)(孫生)、 竹刀 (あをひえ)、くえびこ、 楛木 (なまえのき)
       動詞:(さえぎ)る、
       形容詞・形容動詞:あえか、
       などなり。
    • の項にある言葉の如く、一字は此らなり。
      ワ行下二段活用動詞(植う、飢う、蹴う、据う、聶う)の活用は「ゑ」に成る。
       名詞:(すゑ)(こゑ)(つゑ)(すゑ)(ゆゑ)(ゑぬ) 仮髪 (すゑ) 湯坐 (ゆゑ)(こずゑ)(木末)、(ゑくぼ)(笑窪)、 蜻蛉 (ゑんば)(ゑにす)(いしずゑ)(石居)、 黄精 (おほゑみ)、ゑごの木、(さひづゑ)(鉏杖)、
       動詞:(くゑ)る、
       形容詞・形容動詞:(ゑぐ)し、
       その他: 所以 (そゑ)に、しゑや、ゑらゑら、(よしゑ)やし、
       などなり。
      動詞にて「ゑ」より始まる(分かり易き)複合語を除く言葉は()む、()る、()ふ、(ゑぐ)る、(ゑづ)く、()ます、ゑらく、(ゑつらか)す、のみ。

  4. 「お、ほ、を」。
    • は一音にて名詞・形容詞(語幹)など無ければ、中又は尾にて用ゐるを、複合語を除きては、無からむ。
      即ち、「(うを)」「(かほ)」「(こほり)」「 竿 (さを)」「(しほ)」「(とほ)し」「(とを)」などの形態素に於きて、「お」と成るもの、無し。
      「御」の仮名遣ひは「お」にて、此が附く言葉は全て「お」に成る。即ち、お母さん、お化け、おみおつけ、などなり。
       名詞:(おや)(おも)(おと)(おく)(おび)(おき)(おも)(おに)(おき)(おみ) 大鋸 (おが)(おき)(おり) 大人 (おとな)(おびと)(おきな)(おみな)(おうな) 季子 (おとご)(おもて)(おきて)(おかみ) 噯気 (おくび) 晩稲 (おしね)(おどろ)(おくみ)(おすひ) 螻蛄 (おけら) 万年青 (おもと)(おろし) 齵歯 (おそば)(おふし)(おゆび)(おとうと)(おとがひ)(おばしま)(おいかけ)(老懸)、 花魁 (おいらん) 玩具 (おもちゃ)(おしまづき)(おろかおひ)(疎生)、 妖言 (およづれこと) 磤馭慮島 (おのごろじま)
       形容詞・形容動詞:(おも)し、(おそ)し、(おな)じ、(おず)し、(おびたた)し、おぼつかなし、おどろおどろし、(おぼろ)(おろ)か、(おぎろ)(おろ)そか、(おごそ)か、おいらか、(おもり)か、
       その他:(おのれ)(およそ)(おのおの)(おもむろ)、おろおろ、(おの)づから
       などなり。

    •  名詞:(しほ)(かほ)(いほ)(にほ)(そほ)(ほほ)(こほり)(こほり)(ほのほ)(いはほ)(ひしほ)(うつほ) 案山子 (そほづ)(しほで)(いきほひ) 蟋蟀 (こほろぎ) 酸漿 (ほほづき)
       動詞:(とほ)る、(とほ)す、(なほ)る、(なほ)す、(おほ)ふ、(にほ)ふ、(こほ)る、(おほ)す、(おほ)す、(おほ)す、(きほ)ふ、(よそほ)ふ、(もよほ)す、(うるほ)ふ、(くづほ)る、(ほとほ)る、(もとほ)る、(くる)ほす、(とどこほ)る、(いきどほ)る、(ととのほ)る、(むすぼ)ほる、
       形容詞・形容動詞:(おほ)し、(とほ)し、(こほ)し、(いと)ほし、とほしろし、 素直 (すなほ)、ゆほびか、
       その他:(なほ)(おほ)()
       などなり。
    • の項にある言葉の如く、一字は此らなり。
      ()は「を」にて、この旨を(ふふ)む言葉は、(をす)(をひ)(をとこ)(をっと) 鰥夫 (やもを) 猟人 (さつを) 雄叫 (をたけび)、などなり。
       名詞:(うを)(をさ)(をさ) 訳語 (をさ)(とを)(あを) 竿 (さを)(をけ)(をの)(をか)(みを)(をり)(をこ)(をぎ)(をそ) 鴛鴦 (をし) 童男 (をぐな)(をみな) 少女 (をとめ)(しをり)(いさを)(をとり)(かつを)(をこぜ)(をけら)(みさを) 大蛇 (をろち)(をつつ)(をさぎ)(をさし) 一昨日 (をとつひ) 一昨年 (をととし) 俳優 (わざをぎ) 葈耳 (をなもみ)(をしかは) 竹刀 (あをひえ) 蚇蠖 (をぎむし)(ひをむし) 女郎花 (をみなへし) 儲弦 (をさゆづる) 桔梗 (をかととき) 彼面此面 (をてもこのも)
       動詞:(かを)る、(まを)す、
       形容詞・形容動詞:()し、をかし、(をさな)し、しをらし、をぢなし、(たを)やか、(とをを)
       その他: 条条 (をちをち)、をさをさ、()(をち)
       などなり。
      動詞にて「を」より始まる言葉は()ふ、()る、()る、()す、()く、()つ、()ゆ、(をさ)む、(をし)ふ、(をど)る、(をか)す、(をが)む、()しむ、(をめ)く、(をど)す、(をを)る、(をど)む、(をづ)く、(をざ)す、(をのの)く、(をこつ)る、(をろが)む、などにて、少なく殆は「お」なり。

  5. 「じ、ぢ」の内、「」が多き故、「じ」を挙ぐ。
    • の項にある言葉の如く、一字は此らなり。「し」の濁音故、の項も見よ。
      連濁の言葉としては、 小島 (こじま) 煮汁 (にじる) 網代 (あじろ)(やじり)(こじり) 歯肉 (はじし) 目印 (めじるし) 猫舌 (ねこじた) 盛塩 (もりじほ) 戸閾 (とじきみ)(まなじり)(いちじる)し、などなり。
       名詞:(にじ)(きじ)(くじ)(うじ)(つじ) 刀自 (とじ)(あるじ)(うなじ)(ひつじ)(しじみ)(むじな) 躑躅 (つつじ) 旋毛 (つむじ)(ひじり) 鹿尾菜 (ひじき)(かじか) 桟敷 (さじき) 無言 (しじま)(あじか)(かじき)(くじか)(しじら) 芋茎 (いもじ)(はじかみ)
       動詞:(はじ)む、()じる、(はじ)く、 馴染 (なじ)む、(くじ)く、(かじ)る、(にじ)む、 穿 (ほじ)る、(なじ)る、(こじ)る、(かじ)く、(にじ)る、(つじ)む、(まじな)ふ、 身動 (みじろ)ぐ、引こじろふ、
       形容詞・形容動詞:(おな)じ、いみじ、(みじか)し、(むつま)じ、(かたじけな)し、あたじけなし、 真面目 (まじめ)(なまじひ)
       その他:(あらかじめ)め、 各自 (おのがじし)
       などなり。

  6. 「ず、づ」の内、「」が多き故、「ず」を挙ぐ。
    • の項にある言葉の如く、一字は此らなり。「す」の濁音故、の項も見よ。
      連濁の言葉としては、(こずゑ)(いしずゑ) 黒酢 (くろず) 口遊 (くちずさ)むなどなり。
      動詞の内、サ変の()が濁りたるものも、連濁なりて、重んず、軽んず、先んず、(そらん)ず、などなり。又、「づ」にて終る動詞(ダ行動詞)を9にて挙ぐれば、そちらも併せ見よ。
       名詞:(かず)(きず)(すず)(すず) 百舌 (もず)(くず)(すず)(はず)(ずみ) 髻華 (うず) 国栖 (くず)(ねずみ)(すずめ) 蚯蚓 (みみず)(すずき)(すずり)(すずな) 生絹 (すずし) 芋茎 (ずいき)(うずゐ) 雪花菜 (きらず)(不切)、 唐棣花 (はねず) 鹿尾菜 (ひずき) 蘿蔔 (すずしろ) 耳蝉 (みみずく)(すずしろ) 肉刺 (のいずみ)、ずわい蟹、
       動詞:()ず、()ず、()ず、()ず、(ひず)む、(たたず)む、(なずら)ふ、(うずすま)る、
       形容詞・形容動詞:(すず)し、(おず)し、(ひずか)し、(すずろ)
       その他:(かならず)
       などなり。

  7. 「は、わ」の内、「」が多き故、「わ」を挙ぐ。

    •  名詞:(あわ)(しわ) 神酒 (みわ)(いわし)(くつわ) 埴輪 (はにわ) 硫黄 (いわう) 慈姑 (くわゐ)(ことわり) 声色 (こわいろ)(はらわた) 結果 (かくなわ) 半月 (はにわり)、ずわい蟹、
       動詞:(すわ)る、(さわ)ぐ、(かわ)く、(あわ)つ、(たわ)む、わわく、
       形容詞・形容動詞:(よわ)し、(しわ)し、
       などなり。

  8. 上の(ほか)に有る(こと)の仮名遣ひを挙ぐ。これらは少なき故、(そらに)すべし。
    • 又、苗字や地名などに多かれど、接尾辞「()」の付きたるものは(こと)に言ふ時、「~ゅう」などとなれど、仮名遣ひは全て「ふ」なり。「 麻生 (あさふ)」「 羽生 (はにふ)」「 柳生 (やぎふ)」などの如し。
      • あお:(あふ)ぐ、(あふひ) 仰向 (あふむ)く、 障泥 (あふり)(あふ)る。
      • おう:(あふぎ)(「あふぐ」の名詞形)、(あふご) 逢瀬 (あふせ)(あふち) 淡海 (あふみ)
      • きゅう: 胡瓜 (きうり)
      • きょう: 今日 (けふ)
      • こう:()う、(かうがい) 神神 (かうがう)し、(かうが)ふ、(かうぞ)(かうぢ)(かうば)し、(かうぶり)(かうべ) 河骨 (かうほね)(かうむ)る、 蝙蝠 (かうもり)(しかう)して、(つか)(まつ)る。
      • ごう: 寄居虫 (がうな)
      • しゅう:(しうと)(しうとめ) 囚人 (めしうど)
      • しょう: 兄人 (せうと)
      • そう:()う、(さうら)ふ。
      • たお:(たふ)す、(たふ)る。
      • とう:(したうづ)(たうげ)(たうば)る、(たうめ)(たふと)し、(たふと)ぶ。
      • ちょう: 手水 (てうづ) 手斧 (てうな)
      • にゅう: 埴生 (はにふ)
      • のう: 直衣 (なほし)
      • ほう:(はうき)(はうそ)(はうむ)る、(はふ)る。
      • みょう: 茗荷 (めうが) 夫婦 (めうと)
      • もう: 相撲 (すまふ)(まう)く、(まう)す、 公卿 (まうちぎみ)(まう)づ。
      • よう: 八日 (やうか)(やうや)く。
      • りゅう: 狩人 (かりうど)
      • ろう: 蔵人 (くらうど)(さうら)ふ、(まらうど) 円座 (わらふだ)

  9. 口語にて「づ」に終はる動詞は用ゐず。仮名遣ひに於て「づ」にて終はる動詞を覚ゆる事、甚だ重きなる故、分かり易き複合語を除く有る限りを挙ぐ。()は清音、即ちタ行動詞を正しとするもの。
    • (あは)づ、()づ、()づ、(かな)づ、()づ、(しこ)づ、((そほ)づ)、たづ、()(つい)づ、()づ、()づ、()づ、()づ、()づ、(ひい)づ、(まう)づ、()づ、( 紅葉 (もみ)づ)、()づ、()づ。

  10. 口語にて「ゆ」に終はる動詞は用ゐず。仮名遣ひに於て「ゆ」にて終はる動詞を覚ゆる事、甚だ重きなる故、分かり易き複合語を除く有る限りを挙ぐ。
    • ()ゆ、()ゆ、(あつ)ゆ、(あま)ゆ、()ゆ、()ゆ、(いば)ゆ、()ゆ、(おび)ゆ、(おぼ)ゆ、(おも)ほゆ、()ゆ、(きこ)ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、(こご)ゆ、()ゆ、(さか)ゆ、(しな)ゆ、()ゆ、(そび)ゆ、()ゆ、ちぼゆ、()ゆ、(つひ)ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、()ゆ、はこゆ、()ゆ、(ひこば)ゆ、()ゆ、()ゆ、ほたゆ、()ゆ、(むく)ゆ、()ゆ、()ゆ、(もだ)ゆ、(わか)ゆ、()ゆ。

疑問仮名遣ひ

又、こちらも見よ。疑問仮名遣 前編後編

  • なし、あなし
  • く、いく(稚)
  • びく、びく(誘)
  • かける、かける(駆ずる)
  • かたむ、かたむ(偏)
  • らか、からか
  • 、げ(蚰蜒)
  • けむくじゃら、けむくぢゃら(毛むくじゃら)
  • らふ、さらふ(候)
  • ささ、ささ(小筒)
  • やか、さやか(爽)
  • し、しし(籡)
  • し、しし(吝)
  • ふるひと、しふるひと
  • らし、しらし
  • る、しる(撓)
  • すあ、すあ(牙儈)
  • た、た(寸寸)
  • すま、すま(相撲)
  • ろく、たろく
  • し、たし(束子)
  • ら、たら(俵)
  • つく、つく(机)
  • ぢゃう、どじゃう、どぜう、どじょう(泥鰌)
  • とんう、とんう(蜻蛉)
  • り、はり、はり(羽織)
  • はこ、はこ
  • はらせ、はらせ(腹癒)
  • 、ひ(鶸)
  • まんう、まんう(翻車魚)
  • むか、むか(向)
  • ら、や

文語的語彙(雅言)

雅言となり得る言葉、即ち、古言や美称(或いは異名)、歌語などを記す。

名詞

言葉 説明 備考
(あかがね) (どう)の和語。
(あかがり) (あかぎれ)の古言。
(あかとき) (あかつき)の古形。
(あぎ) 上顎 (うはあご)
胡床 (あぐら) 腰掛けの古言。椅子の和語。
(あけ) (あか)の古形。 (あか)が複合語形に対し(あけ)は単独語形。
(あげばり) 幄舎の和語。
明後日 (あさて) 明後日 (あさって)の原形。
(あした) (あさ)の異名。 (あさ)が複合語形に対し(あした)は単独語形。
足駄 (あしだ) 下駄の古言。
(あしなへ) 足に不具有る事。
(あず) (がけ)の古言。
(あづま) 西の人( 都辺 (みやこべ)の人)が(ひがし) 地方 (くに)を呼ぶに用ゐる言葉。
(あなうら) 足の裏。
(あなすゑ) 後裔の和語。
(あはた) 膝蓋骨の和語。
(あばらや) (ちん)の和語。
(あふぎ) 扇子の和語。
淡海 (あふみ) 淡水の湖。
(あへぎ) 喘息の和語。
天神 (あまつかみ) 天神 (てんじん)の和語。
(あや) 模様の和語。
現人神 (あらひとがみ) 天皇 (すめろき)の異名。
青人草 (あをひとくさ) 蒼生の和訳語なるべし。
() 胆囊 (たんなう)の和語。又は(きも)
(いかき) (ざる)の古言。
兎唇 (いぐち) 口唇裂の和語。
(いくは) (まと)の異名。
(いさご) (すな)の古言。
出湯 (いでゆ) 温泉の和語。
(いなつるび) (かみなり)の古言。
(いぬゐ) 北西。
(いひぼ) (いぼ)の原形。
(いほり) 農耕或いは野営の仮の()
(いめ) (ゆめ)の古形。
郎子 (いらつこ) 男子の尊称。
郎女 (いらつめ) 女子の尊称。
(いろくづ) (いろこ)の雅言。
(いろこ) (うろこ)の古形。
(いろは) (はは)の雅言。
煎汁 (いろり) 出汁 (だしじる)の古言。
(うかみ) 斥候の和語。
親族 (うから) 親族 (しんぞく)の和語。
遊女 (うかれめ) 娼妓の和語。
(うき) (さかづき)の古言。
浮子 (うけ) 釣具の 浮子 (うき)の古形。
(うしとら) 北東。
(うすはた) ()の和語。
泡沫 (うたかた) (あわ)の異名。
(うだち) 束柱 (つかはしら)の異名。
卯月 (うづき) 四月の和語。
空蝉 (うつせみ) (うつつ)に生く人。又は(うつつ)の異名。
(うつつ) 現実の和語。
(うつはもの) (うつは)の原形。
(うつはり) (はり)の古言。
(うなて) 用水路の古言。
後妻 (うはなり) 後妻 (ごさい)の和語。 前妻 (こなみ)より(のち)の妻。
(うまき) (まき)の古形。
(うまご) (まご)の原形。
貴人 (うまひと) 貴人 (きじん)の和語。
(うまや) (えき)の和語。
(うら) 湾の和語。
(うるしね) (うるち)の原形。
(えだち) 労役の和語。
蝦夷 (えみし) 夷狄の和語。
(えやみ) 疫病 (やくびゃう)の和語。
(おかみ) 龍神の和語。
(おきな) (ぢぢ)
襲衣 (おそき) 羽織の古言。
齵歯 (おそば) 八重歯の古言。
(おとがひ) 下顎 (したあご)
(おばしま) 手摺りの古言。
(おふし) (おし)の原形。(こと)の能はぬ事。
拇指 (おほおよび) 親指の古言。
大君 (おほきみ) (きみ)の大きなる者。(きみ)の尊称。或いは 大王 (だいわう)の和語。
太政大臣 (おほまつりごとのおほまへつぎみ) 太政大臣 (だいじゃうだいじん)(内閣総理大臣)の和語。
大臣 (おほまへつぎみ) 大臣 (だいじん)の和語。
大御宝 (おほみたから) 公民或いは 国民 (こくみん)の和語。
(おほみづ) 洪水 (こうずい)の和語。
(おみな) (ばば)
(および) (ゆび)の異名。
(おりかも) 毛氈の和語。
(かいがね) 肩胛骨の和語。
(かかふ) 襤褸 (ぼろ)の古言。
(かがふり) (かんむり)の原形。
(かげ) (ひかり)の異名。
(かすがひ) (ぢゃう)の和語。
飼面 (かすも) 雀斑 (そばかす)の古言。
(かそ) (ちち)の雅言。
乞丐 (かたゐ) 乞食 (こじき)の和語。
(かち) 徒歩の和語。
(かど) (もん)の和語。
(かな) (かんな)の原形。
鉄敷 (かなしき) 鉄床の古言。
(かには) 船や器物などに用ゐる木の皮を採るべき木の総称。或いは樹皮の和語。
(かはや) 便所の和語。
(かはら) 瓦の如き(ほね)。即ち頭蓋骨・膝蓋骨の事。
(かひご) (たまご)の古言。
(かひな) 肩から肘まで部分。
禿 (かぶろ) 禿頭 (はげあたま)の古言。
霹靂 (かみとけ) (かみなり)の古言。
神無月 (かみなづき) 十月の和語。
男神 (かみろき) () 祖神 (おやがみ)
女神 (かみろみ) () 祖神 (おやがみ)
(かむだち) (かうぢ)の原形。
(かも) 獣毛の敷物。
(きざはし) 階段の和語。
如月 (きさらぎ) 二月の和語。
黄金 (くがね) 黄金 (こがね)の古形。
(くき) 岩室 (いはむろ)の異名。
傀儡 (くぐつ) 操り人形の古言。
(くさ) 種類の和語。 八色 (やくさ)の姓」等の「くさ」の事なり。
薬師 (くすし) 医者の和語。
(くそぶくろ) ()の和語。
(くだり) (しゃう)又は(でう)の和語。
竈突 (くど) 煙突の和語。
くなたぶれ 頑愚の和語。
地祇 (くにつかみ) 地神 (ぢしん)の和語。
(くに)(もの) 特産物の和語。
国人 (くにひと) 土着民の和語。
(くぬが) (りく)の和語。
(くびひす) (かかと)の古言。
𡱖 (くぼ) 女陰の和語。
蜘蛛 (くも)() 蜘蛛の巣の異名。
(くりや) 廚房の和語。
(くろ) (あぜ)の異名。
(くろがね) (てつ)の和語。
() 入れ物の古言。
食事 (けごと) 食事 (しょくじ)の和語。
(けぶり) (けむり)の古形。
() (かご)の古言。
() (こな) 今、()は複合語形のみと成れども、古くは単独語形も兼ぬ。
小指 (こおよび) 小指 (こゆび)の古言。
九重 (ここのへ) 禁中の異名。
去年 (こぞ) 去年 (きょねん)の和語。
前妻 (こなみ) 正妻の和語。初めに娶りたる妻。
(このかみ) (をさ)の異名。
(このしろ) 利息の和語。
(このみ) 果物 (くだもの)の古言。
(こはな) 後裔の和語。
(こむら) 脹脛。
(こり) 薫物の古言。芳香剤の和語。
(さかかり) 酒癖の悪き事。酒乱の和語。
(さくり) (しゃっくり)の原形。
五月 (さつき) 五月 (ごぐゎつ)の和語。
(さひ) 小刀 (こがたな)の古言。
道祖神 (さへのかみ) 道祖神 (だうそじん)の和語。
(しとね) 敷き布団又は敷物の古言。
(しな) 階段の和語。
清器 (しのはこ) 便器の和語。
師走 (しはす) 十二月の和語。
(しはぶき) (せき)の古言。
(しひね) (こぶ)の古言。
霜朽 (しもくち) 霜焼けの古言。
霜月 (しもつき) 十一月の和語。
(しもと) (むち)の異名。
酒台 (しりざら) 渡盞の和語。
尻臀 (しりたむら) 尻の左右の(しし)の豊かなる所を殊に指す言葉。 臀部 (でんぶ)或いは尻べた。
(しろかね) (ぎん)の和語。
(しろなまり) (すず)の古言。
(すだま) 物に宿れる(せい)(せい)の和語。
(すね) (ずい)の和語。
相撲 (すまひ) 相撲 (すまふ)の古形。
天皇 (すめろき) 天皇 (てんわう)の和語。
(すゑ) 陶器の和語。
(そこ) 要塞の和語。
底方 (そこひ) 奥底の古言。
案山子 (そほど) 案山子 (かかし)の古言。
赭土 (そほに) 赤土 (あかつち)の古言。
(そま) 人工林の和語。
専女 (たうめ) (おみな)の異名。
(たきぎ) (まき)の異名。
(ただむき) 肘から手首まで部分。
(たつぎ) (まさかり)の異名。
方便 (たづき) (すべ)
(たつみ) 南東。
(たなうら) 手の平。
(たなごころ) 手の平。
(たなそこ) (たなごころ)の異名。
(たなつもの) 稲の種。又は穀物の和語。
犢鼻褌 (たふさぎ) 股を被ふ衣。
(たぶて) 飛礫 (つぶて)の古言。
玉梓 (たまづさ) 使ひ(使者)の異名。又は手紙の古言。
(たまひ) 嘔吐物の和語。
(たむけ) (たうげ)の原形。
甜酒 (たむさけ) 味き酒。
垂水 (たるみ) (たき)の古言。 (たき)(滾)は古く、 早瀬 (はやせ)を指す。
手弱女 (たわやめ) たをやかなる女。
() (ちち)の元の形。 (ちち)()を重ねたる近代の俗称なり。
() (せん)の和語。
稚児 (ちご) 赤子 (あかご)
(ちのみち) 血管の和語。
(つか) 墳丘の和語。
(つかさ) (をさ)。又は官庁、官人の和語。
(つづみ) 打楽器の和語。
(つはき) (つば)の正称。
(つはもの) 兵士の和語。
𡱖 (つび) 陰門の古言。
(つぶなき) (くるぶし)の古言。
(つぶね) 召し使ひ。
(つむ) 大型船の古言。
(つむじ) 十字路又は交差点の和語。
釣船 (つりぶね) 漁船 (ぎょせん)の和語。
(てなへ) 手や(うで)に不具有る事。
() (そと)の古言。
床敷 (とこしき) 緞通(戸内にて用ゐる敷物)の和語。
遠祖 (とほつおや) 遠祖 (えんそ)の和語。
長月 (ながつき) 九月の和語。
(なづき) (なう)の和語。
名無 (ななし)(および) 薬指の古言。
(なるかみ) (かみなり)の古言。
地震 (なゐ) 地震 (ぢしん)の和語。
() 赤土 (あかつち)又は(つち)の古言。
(にきみ) 面皰 (にきび)の古言。
(にはたづみ) 水溜りの古言。
額髪 (ぬかがみ) 前髪の古言。
零余子 (ぬかご) 零余子 (むかご)の古形。
板歯 (ぬかば) (あぎ) 前歯 (まへば)
要害 (ぬみ) 要所。
()(ほし) 北極星の和語。
肉刺 (のいずみ) 肉刺 (まめ)の古言。
(のほぎり) (のこぎり)の古言。
(のみど) (のど)の原形。
野分 (のわき) 台風の和語。
歯嚙 (はがみ) 歯軋りの古言。
(はぎ) (すね)
歯肉 (はじし) 歯茎の古言。
玉茎 (はせ) 陰茎の和語。
(はた) (ひれ)の異名。
(はたて) (はて) (はて)」が()つの名詞形なりて、「(はたて)」は()()なり。
葉月 (はつき) 八月の和語。
(はつこ) 末裔の和語。
(はなひ) (くしゃみ)の古言。
鼻塞 (はなひせ) 鼻詰まりの古言。
唐棣花色 (はねずいろ) 桃色の古言。
(ははき) (はうき)の原形。
黒子 (ははくそ) 黒子 (ほくろ)の古言。
白粉 (はふに) 白粉 (おしろい)の古言。米の() 白粉 (おしろい)
速雨 (はやさめ) 俄雨の古言。
同胞 (はらから) 兄弟姉妹 (きゃうだいしまい)の和語。
(はらわた) 大腸、又は(ちゃう)の和語。
彦神 (ひこがみ) 男神 (をがみ)の敬称。
(ひさこ) 柄杓 (ひしゃく)の原形。
氷雨 (ひさめ) 氷と成りて降る天気。即ち雹や霰。
(ひじり) 聖人の和語。
(ひたき) 囲炉裏 (ゐろり)の古言。
(ひぢ) (どろ)の古言。
大雨 (ひちさめ) 大雨 (おほあめ)の古言。
(ひぢりこ) (どろ)の古言。
(ひつじさる) 南西。
髑髏 (ひとがしら) 髑髏 (されかうべ)の古言。
人民 (ひとくさ) 人民 (じんみん)の和語。
為人 (ひととなり) 気性の和語。(さが)
(ひとへぎぬ) 肌着の古言。
(ひとや) 牢獄の和語。
雛尖 (ひなさき) 陰核 (いんかく)の和語。
曾孫 (ひひこ) 曾孫 (ひまご)の古言。
(ひみ) (ひび)の古形。
(ひむかし) (ひがし)の原形。
姫神 (ひめがみ) 女神 (めがみ)の敬称。
(ひらしらげ) 玄米の和語。
(ふえ) (うを)の浮き袋の古言。
掘串 (ふくし) 土を掘る道具。
(ふくふくし) 肺臓の和語。
陰囊 (ふぐり) 陰囊 (いんなう)の和語。
(ふすべ) (こぶ)又は疣の古言。
(ふすま) 掛け布団の古言。
斑雑毛 (ふふき) 白髪交じりの頭。斑白。
文月 (ふみつき) 七月の和語。
陰核 (へのこ) 男の陰部。
(ほそ) (へそ)の異名。
小腸 (ほそわた) 小腸 (せうちゃう)の和語。
(ほたくひ) 燃え差しの古言。
(ほと) 陰門の古言。
(ほとき) 徳利の古言。
(ほはら) (ふえ)の異名。
(ほむた) (とも)の異名。
(ほむら) 火炎の和語。
(ほりき) 堀の古言。
(まけ) 任じ、遣はす事。任命の和語。
益荒男 (ますらを) 強く勇ましき男。
(まつりごと) 政治の和語。
円居 (まとゐ) 団欒の和語。
(まなしり) 目尻。
(まなぶた) (まぶた)の古形。
(まま) (がけ)の古言。
(まよ) (まゆ)の古形。
(まよ) (まゆ)の古形。
(まり) 球技に用ゐる(たま)の古言。
(まり) 丸き(うつはもの)(わん)の和語。
御殿 (みあらか) 御殿 (ごでん)の和語。
(みか) 大きなる(もたひ)
神酒 (みき) (さけ)の美称。
(みさざき) 御陵 (ごりょう)の和語。
御統 (みすまる) 装身具の和語。
三十日 (みそか) 三十日 (さんじふにち)の和語。
(みづかね) 水銀 (すいぎん)の和語。
緑児 (みどりこ) 三歳ばかりなるまでの児。
水無月 (みなづき) 六月の和語。
(みみしひ) 耳に不具有る事。
耳朶 (みみたび) 耳朶 (みみたぶ)の古形。
麦押木 (むぎおすき) 麺棒の和語。
(むぐら) 大きに茂る草の(たぐひ)
(むくろ) 胴の和語。
虫齧歯 (むしかめば) 虫歯の古言。
(むしろ) 茣蓙の古言。
睦月 (むつき) 一月の和語。
六日 (むゆか) 六日 (むいか)の古形。
群雨 (むらさめ) 時に激しく、時に弱く降る雨。俄雨の(たぐひ)
(むらと) 腎臓の和語。
(むろ) 外気を防ぎ、然るべき物を保たしむる所。 氷室 (ひむろ) 麹室 (かうぢむろ)などの言葉から窺はしむる今に云ふところの「温室」の如きものにて古代は地下或いは山腹に作れり。
(むろつみ) 旅館 (りょくゎん)の和語。
(めしひ) 盲目 (まうもく)の和語。
() 下半身の(ころも)
(もたひ) 徳利の古言。
望月 (もちづき) 満月の和語。
(もち)(よね) 糯米 (もちごめ)の古言。
(もちひ) (もち)の原形。
(もも) (ひゃく)の和語。
百族 (ももやから) 商人 (あきびと)の異名。
(もろみ) 濁醪の古言。
(やいとう) (きう)の和語。
玄孫 (やしはご) 玄孫 (やしゃご)の原形。
(やつこ) 奴婢の和語。
(やつこ) 家来の和語。
胡籙 (やなぐひ) 箙、矢筒の古言。
彌生 (やよひ) 三月の和語。
湯帷子 (ゆかたびら) 浴衣 (ゆかた)の正称。
鞦韆 (ゆさはり) 鞦韆 (ぶらんこ)の古言。
尿 (ゆばり) 尿 (ねう)の和語。
尿袋 (ゆばりぶくろ) 膀胱の和語。
長庚 (ゆふつづ) 西の空に輝く金星。
(よこがみ) 車軸の和語。
(よこし) 脾臓の和語。
(よだり) 鼻汁又は涙の事。或いは(よだれ)の原形。
流星 (よばひぼし) 流星 (ながれぼし)の古言。
(よほろ) 律令制に於ける労働者。
(よほろ) (ひかがみ)の古言。
(よろづ) (まん)の和語。又は数の多き事。
童謡 (わざうた) 人民 (あをひとくさ)の流行り歌。又は 童謡 (どうえう)の和語。
俳優 (わざをき) 芸人の和語。
(わだ) 湾の和語。
(わたくし) 私事 (しじ)の和語。 代名詞の用法は古からず。
(わらは) 十歳前後の児。
(わらはやみ) (おこり)の古言。
() (ゑさ)の古言。
童男 (をぐな) 少年の古言。
一昨日 (をとつひ) 一昨日 (をととひ)の原形。

動物

言葉 説明 備考
蜻蛉 (あきつ) 蜻蛉 (とんぼ)の古言。 虫。
蚘虫 (あくた) 蛔虫 (くゎいちゅう)の和語。 虫。
芥虫 (あくたむし) 蜚蠊 (ごきぶり)の古言。
(あさぢ) 追河の古言。 (うを)
足纏 (あしまつひ) 針金虫の古言。 虫。
甘口鼠 (あまくちねずみ) 二十日鼠の古言。 (けもの)
馬陸 (あまびこ) 馬陸 (やすで)の古言。 虫。
(あむ) (あぶ)の古形。 虫。
(いさな) (くぢら)の異名。 海獣。
鵂鶹 (いひとよ) (ふくろふ)の古言。 鳥。
疣毟 (いひぼむしり) 蟷螂 (かまきり)の古言。 虫。
鼹鼠 (うごろもち) 土竜 (もぐら)の古言。 (けもの)
(うさぎうま) 驢馬の和語。 (けもの)
馬陰貝 (うまのくぼがひ) 子安貝の古言。 (かひ)
海蛤 (うむき) (はまぐり)の古言。 (かひ)
細魚 (うるりこ) 醤蝦の異名。 甲殻類。
(うを) 魚類の和語。 総名。「(さかな)」は元「(さか)()」なり。
護田鳥 (おすめどり) 溝五位の古言。 鳥。
白貝 (おふ) 姥貝の古言。 (かひ)
おめむし 草鞋虫の古言。 虫。
(かけ) (にはとり)の古言。 鳥。
蜻蛉 (かげろふ) 蜻蛉 (とんぼ)の古言。 虫。
蝤蛑 (かざめ) 蝤蛑 (がざみ)の古言。 甲殻類。
桛鯖 (かせさば) 撞木鮫の古言。 (うを)
(かはかめ) (すっぽん)の古言。 亀。
(かはづ) (かへる)の歌語。 総名。
(かはひらこ) (てふ)の和語。 虫。
蝙蝠 (かはほり) 蝙蝠 (かうもり)の原形。 (けもの)
羚羊 (かましし) 羚羊 (かもしか)の古言。 (けもの)
(かまめ) (かもめ)の古形。 鳥。
寄居虫 (かみな) 宿借りの古言。 甲殻類。
(かやくき) 茅潜の古言。 鳥。
(からえひ) (かれひ)の古形。 (うを)
(きさ) 赤貝の古言。 (かひ)
(きぎし) (きじ)の古形。 鳥。
(きさ) (ざう)の和語。 (けもの)
(くくひ) 白鳥 (はくてう)の和語。 鳥。
(くさぶ) 針鼠の古言。 (けもの)
(くじか) 牙獐の古言。 (けもの)
糞虫 (くそむし) 食糞性の昆虫。或いは黄金虫の古言。 虫。
(くたかけ) (にはとり)の異名。 鳥。
(くちなは) (へび)の異名。 総名。
口女 (くちめ) (ぼら)の古言。 (うを)
(さけ) (ふくろふ)の古言。 鳥。
鷦鷯 (さざき) 鷦鷯 (みそさざい)の古言。 鳥。
(しくま) (ひぐま)の古言。 (けもの)
細螺 (しただみ) 喜佐古の古言。 (かひ)
(しとと) 頬白や黒鵐等の小鳥の総称。 鳥。
(しび) (まぐろ)の古言。 (うを)
白魚 (しろを) 白魚 (しらうを)の古言。 (うを)
蜾蠃 (すがる) 似我蜂の古言。 虫。
蠐螬 (すくもむし) 地虫の古言。 虫。
(そに) 翡翠 (かはせみ)の古言。 鳥。
沈鳧 (たかべ) 小鴨の古言。 鳥。
(たたけ) (たぬき)の異名。 (けもの)
(たづ) (つる)の歌語。 鳥。
田螺 (たつび) 田螺 (たにし)の古言。 (かひ)
谷蟇 (たにぐく) 蟇蛙の古言。 両生類。
(つき) (とき)の古形。 鳥。
木菟 (つく) 木菟 (みみづく)の古言。 鳥。
蜚蠊 (つのむし) 蜚蠊 (ごぎぶり)の古言。 虫。
(つばくらめ) (つばめ)の正称。 鳥。
(つび) 巻き貝の古言。 (かひ)
寺啄 (てらつつき) 啄木鳥 (きつつき)の古言。 鳥。
(なかつかみ) (へう)の和語。 (けもの)
地胆 (にはつづ) 土斑猫の古言。 虫。
(にほ) 鸊鷉の古言。 鳥。
(ぬえ) 虎鶫の古言。 鳥。
鶺鴒 (にはくなぶり) 鶺鴒 (まなばしら)の異名。 鳥。
(ねこま) (ねこ)の古言。 (けもの)
(のむし) 木食ひ虫の古言。 虫。
椒魚 (はじかみいを) 山椒魚の和語。 両生類。
螇蚸 (はたはた) 飛蝗 (ばった)の古言。 虫。
(はみ) (まむし)の古言。 蛇。
(はむ) (はも)の古形。 (うを)
(ひえどり) (ひよどり)の古形。 鳥。
鯷鰯 (ひしこいわし) 片口鰯の古言。 (うを)
(ひひる) ()の和語。 虫。
(ひむし) ()の和語。 虫。
(へみ) (へび)の古形。 総名。
針魚 (はりを) 細魚 (さより)の古言。 (うを)
(ましら) (さる)の歌語。 (けもの)
鶺鴒 (まなばしら) 鶺鴒 (せきれい)の和語。 鳥。
樹蜂 (みかばち) 樹蜂 (きばち)の古言。 虫。
海驢 (みち) 海驢 (あしか)の異名。 海獣。
(むじな) 穴熊の古言。 (けもの)
(むなぎ) (うなぎ)の古形。 (うを)
鼯鼠 (もみ) 鼯鼠 (むざさび)の異名。 (けもの)
蟒蛇 (やまかがち) 大蛇 (をろち)の異名。 蛇。
土蜂 (ゆするばち) 穴蜂 (あなばち)の古言。 虫。
米虫 (よなむし) 穀象虫の古言。 虫。
() (ゐのしし) (けもの)。「(ゐのしし)」は「()(しし)」の意にて古くは俗称。
(ゑぬ) 犬の子。 (けもの)
蚇蠖 (をぎむし) 尺取り虫の古言。 虫。
(をこじ) (をこぜ)の古形。 (うを)
(をそ) 川獺の古言。 (けもの)
大蛇 (をろち) 大蛇 (だいじゃ)の和語。 蛇。

植物

言葉 説明 備考
赤酸醤 (あかかがち) 酸漿 (ほほづき)の異名。 生薬。
檳榔 (あぢまさ) 檳榔 (びらう)の和語。 南国の喬木。
(あづさ) 夜糞峰榛の古言。 喬木。
甘草 (あまき) 甘草 (かんざう)の和語。 生薬及調味料。
(あららぎ) 野蒜の古言。 (くさびら)
ありのひふき 桔梗 (ききゃう)の古言。 草花 (くさばな)及生薬。
青菜 (あをな) (かぶら)の異名。 (くさびら)
鼬草 (いたちぐさ) 連翹の和語。 灌木及生薬。
蓬蔂 (いちびこ) 苺の古言。 草果物。
石斛 (いはぐすり) 石斛 (せきこく)の和語。 生薬。
家芋 (いへついも) 里芋の古言。 芋。
家楡 (いへにれ) 節分草の和語。 山草 (やまくさ)
薺蒿 (うはぎ) 嫁菜の古言。 野花 (のばな)
(うばら) (いばら)の古形。 総名。
青葙 (うまくさ) 野鶏頭の古言。 野花 (のばな)
牛蒡 (うまふふき) 牛蒡 (ごばう)の和語。 (くさびら)
淫羊藿 (うむきな) 碇草の古言。 生薬。
葡萄 (えび) 葡萄 (ぶだう)の和語。 果物。
葡萄葛 (えびかづら) 葡萄 (ぶだう)の和語。 果物。
夷薬 (えびすぐすり) 芍薬の和語。 生薬及 草花 (くさばな)
夷根 (えびすね) 吾木香の古言。 生薬及 野花 (のばな)
夷布 (えびすめ) 広布 (ひろめ)の異名。 藻。
龍胆 (えやみぐさ) 龍胆 (りんだう)の和語。 生薬。
大根 (おほね) 大根 (だいこん)の和語。 (くさびら)。他の異名に「 蘿蔔 (すずしろ)」有れども古からず。
苜蓿 (おほひ) 苜蓿 (うまごやし)の古言。 牧草。
大蒜 (おほびる) 大蒜 (にんにく)の和語。 (くさびら)
(おほみら) (らっきょう)の和語。 (くさびら)
(おほゐ) 太藺の古言。 野花 (のばな)
黄精 (おほゑみ) 鳴子百合の古言。 生薬。
蘿藦 (かがみ) 蘿藦 (ががいも)の古言。 生薬及蔓草。
かくま(ぐさ) 黄連の和語。 生薬。
堅香子 (かたかご) 片栗の古言。 調味料。
(かには) 船や器物などに用ゐる木の皮を採るべき木の総称。或いは樹皮の和語。 総名。
人参 (かのにけぐさ) 人参 (にんじん)の和語。 (くさびら)
かはらおはぎ 菊の和語。 草花 (くさばな)
(かぶら) (かぶ)の正称。 (くさびら)。他の異名に「(すずな)」有れども古からず。
(かへ) (かや)の古形。或いは檜や児手柏等の総称。 喬木。
蝦手木 (かへるてのき) (かえで)の原形。 喬木。
苦芺 (かまな) 姫薊の古言。 野花 (のばな)
(かみら) (にら)の古言。 (くさびら)
冬瓜 (かもうり) 冬瓜 (とうぐゎ)の和語。 瓜。
唐艾 (からよもぎ) 菊の和語。 草花 (くさばな)
橒木 (きさのき) 黄金柳の古言。 生薬及 野花 (のばな)
牛蒡 (きたきす) 牛蒡 (うまふふき)の異名。 (くさびら)
木耳 (きのみみ) 木耳 (きくらげ)の古言。 (たけ)
(きはゐ) (なづな)の異名。 野花 (のばな)
(きみ) (きび)の古形。 (たなつもの)
(くれなゐ) 紅花 (べにばな)の古言。 草花 (くさばな)
呉薑 (くれのはじかみ) 生薑 (しゃうが)の和語。 生薬。
胡荽 (こにし) 胡荽 (こすい)の和語。 (くさびら)
凝藻葉 (こるもは) 天草 (てんぐさ)の古言。 藻。
烏草樹 (さしぶ) 南燭の古言。 灌木及果物。
沢蘭 (さはあららぎ) 沢鵯の古言。 野花 (のばな)
羊蹄 (しのね) 羊蹄 (ぎしぎし)の古言。 野花 (のばな)
(しぶき) (どくだみ)の古言。 生薬。
蕎麦 (そばむぎ) 蕎麦 (そば)の正称。 (たなつもの)
(たかんな) (たけのこ)の古言。 (くさびら)
(たく) 楮の古言。 灌木。紙の原料。
(たけ) (きのこ)の古言。 総名。
虎杖 (たぢひ) 虎杖 (いたどり)の異名。 (くさびら)及生薬。
(たちばな) 食はるる柑橘類の総称。即ち蜜柑や橙、柚、檸檬、九年母、朱欒等。 果物。
忽草 (たちまちぐさ) 現の証拠の古言。 生薬。
田菜 (たな) 蒲公英の古言。 野花 (のばな)
(つき) 欅の古言。 喬木。
月草 (つきくさ) 露草の古言。 野花 (のばな)
土楤 (つちたら) 独活 (うど)の異名。 (くさびら)及生薬。
(つみ) 山桑の古言。 喬木及果物。
(つら) (つる)の古形。 総名。
(つるはみ) 櫟の異名。又は団栗の古言。 喬木及(このみ)
野老葛 (ところづら) 野老 (ところ)の古言。 芋。
茄子 (なすび) 茄子 (なす)の正称。 (くさびら)
莫告藻 (なのりそ) ほんだはらの古言。 藻。
(なまえのき) 人参木の和語。 灌木。
(ぬかえ) 紫蘇の和語。 生薬及(くさびら)
蓴菜 (ぬなは) 蓴菜 (じゅんさい)の和語。 (くさびら)
枸杞 (ぬみぐすり) 枸杞 (くこ)の和語。 生薬。
大戟 (ねびす) 高灯台の古言。 野花 (のばな)(及生薬)。
野良豆 (のらまめ) 豌豆の和語。 豆。
繁縷 (はくべら) 繁縷 (はこべ)の古形。 野花 (のばな)
(はじかみ) 山椒 (さんせう)の和語。 生薬及調味料。
(はじかみ) 生薑 (しゃうが)の和語。 生薬。
(はちす) (はす)の正称。 水草。
ははか 上溝桜の古言。 喬木。
貝母 (ははくり) 貝母 (ばいも)の和語。 生薬。
(ははそ) 小楢の古言。或いはその(たぐひ)の喬木の総称。 喬木。
杜仲 (はひまゆみ) 杜仲 (とちゅう)の和語。 喬木及生薬。
蕘花 (はまにれ) 黄雁皮の古言。 灌木。紙の原料。
天名精 (はまふくら) 藪煙草の古言。 野花 (のばな)
(ひさこ) 夕顔や瓢簞などの総称。 瓜。
広布 (ひろめ) 昆布 (こぶ)の古言。 藻。
藤菜 (ふぢな) 蒲公英の古言。 野花 (のばな)
(ふふき) (ふき)の正称。 (くさびら)
百部 (ほどづら) 百部 (びゃくぶ)の和語。 蔓草。
寄生 (ほよ) 宿木の異名。 蔓草。
(まかご) (ぜんまい)の古言。 (くさびら)
陵苕 (まかやき) 凌霄花 (のうぜんかづら)の古言。 蔓草。
(みづふふき) 鬼蓮 (おにばす)の古言。 水草。
造木 (みやつこぎ) 接骨木 (にはとこ)の古言。 灌木及生薬。
榁木 (むろのき) 杜松 (ねず)の古言。 喬木。
蘘荷 (めが) 蘘荷 (めうが)の原形。 (くさびら)
女桂 (めかつら) 肉桂の和語。 喬木及生薬。
山蘭 (やまあららぎ) 辛夷 (こぶし)の古言。 喬木及生薬。
山蕗 (やまふふき) 橐吾 (つはぶき)の異名。 草花 (くさばな)。又、葉を(はだへ)の病に用ゐる。
萱草 (わすれぐさ) 萱草 (くゎんざう)の和語。 生薬。
木天蓼 (わたたび) 木天蓼 (またたび)の古言。 蔓草及生薬。
桔梗 (をかととき) 桔梗 (ききゃう)の和語。 草花 (くさばな)及生薬。
蕓薹 (をち) 油菜の古言。 野花 (のばな)。油の原料。
をとをとし 鬼の矢柄の異名。 生薬。

代名詞

言葉 説明 備考
() ()の古形。
幾許 (いくばく) どの位。
何処 (いづく) 何処 (いづこ)の古形。 何処 (どこ)
何方 (いづち) 何方 (どちら)
(いまし) お前。
(いも) 女を云ふ二人称。
() 遠称。(かれ)の接尾辞「R(ラ行)」の無き形。 今専らに用ゐらるる()の古形。
彼方 (かなた) 方角の遠称。 彼方 (あちら)
() 男を云ふ二人称。
(せな) 男を云ふ二人称。
若干 (そこばく) 幾つか。
() (たれ)の接尾辞「R(ラ行)」の無き形。 多く「()が」と成る。
() お前。
(なむち) (なんぢ)の原形。 今用ゐられたる「(きみ)」に値する二人称。
(なれ) お前。

動詞

言葉 説明 備考
(あか) (あがな)ふの古形。
(あくが) (あこが)るの古形。
(あざは) 絡み付く。
(あざ) 魚が腐る。
(あと) 結婚す。 男が女に結婚するを「(めと)る」、女が男に結婚するを「(とつ)ぐ」とす。
(あなぐ) (さぐ)る。
(あなづ) (あなど)るの古形。
(あば) ()ぐ。
(あま)なふ 和合す。
(あむ) ()ぶの古言。
(いく) 射礼をす。
(いく) (いきどほ)る。
猶予 (いさよ) 進まく躊躇ふ。
() 凍り付く。
() ()の原形。
(いざ) (れふ)をす。
(いつ) 心身清めて神に仕ふ。
(いつ) 大切にす。
(いま) いらっしゃる。
(うけ) 神意を問ふ。占ふ。
(うしは) 統治す。
(うるた) (うった)ふの古形。
(おそ) (おそ)る。 古くは上二段活用。
拍浮 (おふ) 泳ぐ。
(おぼほ) (おぼ)るの古形。
(おら) (さけ)ぶ。又は泣き叫ぶ。
耀 (かがよ) きらきらと光り揺る。
(かく) (かこ)むの古形。
(かこ) 託ける。
(かし) 炊事す。
(かた) 崇む。
(かだ) 悪巧みをす。姦淫す。
(かづ) (もぐ)るの古言。
(かぶ) (かじ)るの古言。
(かま) 心が動く。
() 醸造す。
() (はな)る。
(きた) 罰す。
() 霧が立つ。
() ()る。
() (くぐ)り抜く。
(くさ) 繋がる。又は繋ぎ合はす。
(くじ) ()ず。 穿 (ほじく)る。
(くた) 盛りを過ぐ。最も高き所を過ぐ。
(くづほ) 衰弱す。
(くな) 交接す。
(こほ) 取り壊す。或いは(こは)すの古言。
() ()す。
(さか) 区切る。
(さか) (さか)らふの古言。
さくむ 岩や草木を押し分け行く。
(しじ) (ちぢ)むの古形。
() (ころ)す。
したふ 紅葉 (もみ)つ。
(しな) 隠す。
() (まこと)を曲げて言ふ。
(しろ) 圧搾す。
(そし) (けな)す。
(そばだ) 聳ゆ。
そほ() 細かき雨がしとしとと降る。
揺蕩 (たゆた) 漂ふ。
(ちぎ) 約束す。
(つくの) (つぐな)ふの古形。
(つづし) 少しづつ食ふ。
(つみ)なふ 罰す。
() (かじ)るの古言。
(とこ) (のろ)ふ。
(とづ) (とど)くの古形。
(とよ) 鳴り響く。
(なづ) 進まく能はず。又は拘泥す。
(なば) (かく)る。
(なや) (きた)ふ。
(のぞこ) 除かれ消ゆ。
() 日蝕又は月蝕に成る。
() 開墾す。
(ひし) (つむ)る。
() 漬る。
(ひひ) ひりひりす。
(ひひ) ひらひらと舞ひ上がる。
(ひろ)ごる 広がるの古形。
() (くしゃみ)をす
(ふつ) (いか)る。
(ふふ) 花咲かずて蕾の儘なる事。
() 古ぶ。
(ほとはし) 飛び跳ぬ。 古くはこの意味なり。
(ほり) (ほっ)すの原形。
() (ほっ)す。
() 枕にす。又は交接す。
() 探し求む。
(まつろ) 服従す。
(まろ) (ころ)ぶの古言。
(まを) (まう)すの古形。
()そなはす 「見る」の尊敬語。
(むだ) (いだ)くの古形。
(むつか) 腹立つ。
逶迤 (もごよ) うねりながら行く。
(もとほ) (まは)る。
(もと) 背く。
(もどろ) 入れ墨をす。
紅葉 (もみ) 紅葉 (こうえふ)す。
(よこ) 讒言す。
(よば) 求婚す。
() ()ふの古形。
() (わら)ふ。 古くは「(わら)ふ」は(あざけ)(こころ)有り、「()む」はにこりと頬を緩む(こころ)有り。
ゑらく 喜び楽しむ。
() 彫刻す。(ゑぐ)る。 彫刻の意の「()る」は近代の用法なり。
() (まね)く。
() 「治む」「飲む」「食ふ」「着る」の尊敬語。
() 元に戻る。又は若返る。
() 苦しみ衰ふ。
(をろが) (をが)むの古形。

形容詞・形動動詞

言葉 説明 備考
(あざら) 新鮮なり。
(あざら)けし (あざら)かの形容詞形
(あたら) 貴き故にその(あたひ)を無みせられぬ事。
あづきなし あぢけなしの古形。
(あまね) 広く行き渡りたり。
(あらた) (あたら)しの正しき形。
息衝 (いきづ)かし 嘆かはし。
(いすか) 心の(ねぢ)けたる事。
(いちしろ) (いちじる)しの古形。
鬱悒 (いぶせ) 憂し。
(いまだ) (いまだ)の形容詞。時ならず。
いよよか 木の高く峙つこと。
(うぢはや) 逼迫せり。
うむがし 喜ばし。
() ()しの古形。
(おぎろ) 深遠なり。
(おごそ)けし 厳かの形容詞形。
(おだひ) 穏やかの古形。
おどろおどろし (おどろ)を重ねたる言葉。即ち仰仰し。或いは不気味なり。
(おほ)きなり (おほ)きい。 古くは形容動詞。「(おほ)きい」は近代の言葉。
(おぼほ) 朧なり。又は憂し。
おほろか 等閑 (なほざり)なり。
(かしこ) 稜威 (いつ)有る事。即ち「(いつく)し」「恐ろし」「尊し」等の意なり。
(かそ)けし (かす)かの形容詞形。
(かな) 愛ほし。
(かだま) 狡猾なり。
(から) (つら)し。苦し。 古くは味の事の他の意多し。
(きび) 紐や縄等が堅く締まりたる事。
(くは) (くは)しく(うつく)し。微妙なり。
(けや) 殊に(さや)かなり。
こきだし 甚し。
こごし 岩多く、険し。
言痛 (こちた) 声に(うるさ)し。
(こほ) (こひ)しの古形。
(さは) 多き事。大量。
(さぶ) (さび)しの古形。
(まね) 多き事。
(さや) 明らかなり。
(さや)けし 清かの形容詞形
しけし (きたな)し。
(しづ)けし 静かの形容詞形
(すずろ) 無意識にして事が進む事。漫然。
(すみや)けし 速やかの形容詞形。
(たし)けし 確かなる事。
(たしな) 苦し。
たぎたぎし 道に凹凸有る事。
たづたづし たどたどしの古形。
(たは) 濫りがはし。
委曲 (つばら) (つぶさ)なり。
つれもなし 関はり無き事。関心の無き事。
(とき) 折節ならぬ事。或いは時に拘らぬ事。(つね)に有る事。
とほしろし 立派なり。又は偉大なり。
(とも) 珍し。又は羨まし。
() 愛ほし。
はだれ はらはらと雪の降る事。
(はる)けし 遙かの形容詞形。
(ひき)なり (ひく)し。 古くは形容動詞。
(ひすかしま) 心の(ねぢ)けたる事。
(ほしきまま) 得手勝手。或いは自由の和語。
(ゆた)けし 豊かの形容詞形
(よろこ)ぼし 喜ばしの古形。
邂逅 (わくらば) 稀なり。偶然。

副詞・接続詞

言葉 説明 備考
(あに) どうして。
(いまだ) (まだ)の原形。
() (かう)の原形。
返返 (かへすかへす) 幾度も。
(けだ) 事の起こりを推し量りて心に思ふ事。恐るらくは。
こご 手荒く揉むさまを表わす。ごしごし。
(こもこも) 次次に。
(ころ) 自づから。
たしに 確かに。
(つらつら) 能く能く。
(まな) (なかれ)
もとな 濫りに。
(やや) 次第に。
努努 (ゆめゆめ) 努めて。
(よろ)しなへ 相応 (ふさは)しく

その他

言葉 説明 備考
(あた) 大指と中の指とを広げたる時の長さ。 単位。
あな 感動詞。ああ。
五十 () 五十 (いそ)の古形。
語調を整ふる接頭辞。 接頭辞。「い漕ぐ」「い副ふ」等の「い」の事なり。
いさ 会話の中で遮る感動詞。どうだか。
(いな) いいえ。いや。
(うづ)(の) 尊き。 (接頭辞)
(おほみ) 神や天皇の美称・敬称に添ふる接頭辞。() 接頭辞。
かも 助詞「かな」の上代語。
() 単位「(すん)」の和語。 単位。
(こし) 助数詞「(かい)」の和語。 助数詞。
(ごと) (ごと)く。
(ころ) 単位「(りゃう)」の和語。 単位。
語調を整ふる接頭辞。 接頭辞。「さ夜」「さ(まね)し」等の「さ」の事なり。
(さか) 単位「(しゃく)」の和語。 単位。
(さか) 単位「(こく)」の和語。 単位。
語調を整ふる接頭辞。 接頭辞。「た(やす)し」「た(わらは)」等の「た」の事なり。
(たま) 美称・敬称に添ふる接頭辞。 接頭辞。
() (みち)の複合語形。
今の「の」に当る上代の格助詞。 「まつげ」「わたつみ」「にはつとり」「たなつもの」「よもつかみ」等の「つ」の事なり。
(つか) 手を握りたる時の長さ。即ち大指を除きたる四本の指の長さ。 単位。
(つゑ) 単位「(ぢゃう)」の和語。 単位。
(とよ) 豊かなる事を誉むるに添ふる接頭辞。 接頭辞。
() 語調を整ふる接尾辞。 接尾辞。「屋根」「杵根」「垣根」等の「根」の事なり。
(ひろ) 両腕を左右に広げたる指先から指先までの長さ。 単位。
反復及び継続を表す助動詞。 「守らふ」「流らふ」「渡らふ」「結はふ」等の「ふ」の事なり。
(ふと) 美称・敬称に添ふる接頭辞。 接頭辞。
語調を整ふる接尾辞。 接尾辞。「かへらまに」や「ふつまに」等の「ま」の事なり。
ましじ 助詞「まじ」の古形。
() 美称・敬称に添ふる接頭辞。() 接頭辞。
(みづ) 美称に添ふる接頭辞。 接頭辞。
助詞「より」の上代語。 「より」も上代より用ゐられたり。
ゆり 助詞「より」の上代語。 「より」も上代より用ゐられたり。
R(ラ行) 語調を整ふる接尾辞。或いはその詞を名詞として確立せしむる接尾辞。 接尾辞。「野ら」「()る」「()れ」「緒ろ」等。
() 小さきを表す接頭辞。或いは語調を整ふる接頭辞。 接頭辞
最終更新:2026年05月09日 16:08