口語文語対照
仮名遣ひを除く、口語文語に於ける大きなる違ひは以下なり。
-
動詞の終止形と連体形との分かちが口語に於きては無きこと。
-
形容詞の終止形と連体形との分かちが口語に於きては無きこと(「とても長い。」、「とても長い橋。」の如し)。
-
「な」や「た」或「だ」などが「なり」や「たり」と文語に言ふ。
-
文語にて「行った」を「行きたり」や「遣って」を「遣りて」などと書き、音便形を用ゐず。
-
文語にては「です」や「ます」などの言葉は用ゐず。
1. 動詞の文語形の見分け方は未然形、或、連用形に於きて「る」及「ら行」の脱落によりて分かる。
「わける」、「わかる」、「わかれる」に譬ひて、「わける」の未然形は「わけ」、「わかる」の未然形は「わから」、「わかれる」の未然形は「わかれ」の如し。
是より、「わける」の文語形は「わく」、「わかる」の文語形は「わかる」、「わかれる」の文語形は「わかる」なり。
但し、一段活用にてはこの応用
能
はず。「みる」の未然形は「み」なるが終止形は「みる」なり。
然らば、文語にて一段活用なる動詞は覚ゆべし。
動詞の連体形が口語にては規律無くして、「老ゆる」を「老いる」の如く用ゐらる。
下の表の如く連体形は「焼くる
薪
」、「流るる水」、「死ぬる時」の如く用ゐるが正し。
動詞活用表
|
活用
|
未然形
|
連用形
|
終止形
|
連体形
|
已然形
|
命令形
|
四段
|
a
|
i
|
u
|
u
|
e
|
e
|
上二段
|
i
|
i
|
u
|
uる
|
uれ
|
iよ
|
下二段
|
e
|
e
|
u
|
uる
|
uれ
|
eよ
|
上一段
|
i
|
i
|
iる
|
iる
|
iれ
|
iよ
|
下一段
|
e
|
e
|
eる
|
eる
|
eれ
|
eよ
|
カ変
|
こ
|
き
|
く
|
くる
|
くれ
|
こ
|
サ変
|
せ
|
し
|
す
|
する
|
すれ
|
せよ
|
ナ変
|
な
|
に
|
ぬ
|
ぬる
|
ぬれ
|
ね
|
ラ変
|
ら
|
り
|
り
|
る
|
れ
|
れ
|
「四段」と「ナ変」とは、「ナ変」の連体形が「uる(ぬる)」と已然形が「uれ(ぬれ)」との違ひなり。
「四段」と「ラ変」とは、「ラ変」の終止形が「i(り)」の違ひなり。
「下二」と「サ変」とは、「サ変」の連用形が「i(し)」の違ひなり。
2.形容詞の活用。
形容詞活用表
|
活用
|
未然形
|
連用形
|
終止形
|
連体形
|
已然形
|
命令形
|
く活用
|
く (け)
|
く
|
し
|
き
|
けれ
|
|
から
|
かり
|
|
かる
|
|
かれ
|
しく活用
|
しく (しけ)
|
しく
|
し
|
しき
|
しけれ
|
|
しから
|
しかり
|
|
しかる
|
|
しかれ
|
文語にてこれを用ゐる。
即ち、「この橋いと長し。」とて「いと長き橋。」なり。
口語にて已然形を「長いけれど」なる表現するか。然れど、「
長
けれど」が正し。
3. 口語にて約みたる言葉あり。表に如し。
口語
|
文語
|
例文
|
た、だ
|
たり
|
買い物に行った。 →買い物に行きたり。 科学が進んだ世の中。 →科学が進みたる世の中。
|
で
|
にて
|
公園で息子と遊ぶ。 →公園にて息子と遊ぶ。
|
な
|
なり
|
美味な酒肴。 →美味なる酒肴。
|
4. 音便形、数多あり。それぞれ、い音便・う音便・撥音便・促音便と称せられたり。
-
「い(i)」が「い」になるもの(い音便)。
-
「い(i)」が「っ」になるもの(促音便)。
-
「い(i)」が「ん」になるもの(撥音便)。
-
「う(u)」が「う」になるもの(う音便)。
-
ありがたくござります→ありがとうございます、はやく→はよう
-
「う(u)」が「ん」になるもの(撥音便)。
-
知らぬ→知らん、甘くす→甘んず、明日は晴るらむ→明日は晴るらん
然れど、音便形が熟語として成りたる言葉は直す勿れ。
櫂
や
築地
などの如し。
5.
口語語彙と文語との対照表
|
口語
|
文語
|
備考
|
(~して)ください
|
(し)給へ。又は、せよ
|
|
させられる
|
させらる
|
助動詞「さす」の未然形「させ」に口語「られる」の文語形「らる」を合せたる言葉。連体形「させらるる」。
|
させる
|
さす
|
「させる」は助動詞「さす」の口語形。連体形「さする」。
|
させる
|
為
さす
|
「
為
る」の使役を云ふ時、「
為
」の未然形「せ」に助動詞「さす」を合はす。連体形「せさする」。
|
される
|
為
らる
|
口語「
為
る」の文語形「
為
」の未然形に助動詞「らる」を合せたる言葉。此の「される」に対する「さる」を文語形とせらむが本語「せらる」を用ゐるが宜し。連体形「せらるる」。
|
だ
|
なり。又は、たり
|
断定。
|
だろう
|
有
らむ。又は、ならむ
|
|
である
|
なり。又は、たり
|
|
(し)ている
|
(せ)る。又は、(し)たる
|
完了の助動詞を当つ。終止形は(せ)り、(し)たり。
|
できる
|
為得
。又は、
為
し
得
。又は、
為
らる。又は、
堪
ふ
|
或は、可能の助動詞を用ゐて、現代文に於ける「~することができる」を一つとし、前の動詞に「る」又は「らる」を附く。漢語などに添ふる時は、サ変動詞の可能形を以て「せらる」を用ゐる。
|
(なっ)てしまう
|
(なり)ぬ。又は、(なり)たり
|
完了の意の時、
直
に完了の助動詞を当つれど、「たり」と「ぬ」とにては、「しまう」の意を能く表さしむるは、「ぬ」なり。
|
(なっ)てしまうだろう
|
(なり)なむ。又は、(なり)なむず
|
|
です
|
なり。又は、たり
|
|
(する)な
|
(す)な。又は、べからず。又は、
勿
れ
|
禁止の「な」は終止形に繋ぐるの違ひのみ。
|
ます
|
侍り。又は、なり。又は、たり
|
|
みたいな
|
如く。又は、
様
なる
|
「如し」が全き文語。「
様
なる」は口語・文語の兼ぬる言葉。
|
様
な
|
如く。又は、
様
なる
|
「如し」が全き文語。「
様
なる」は口語・文語の兼ぬる言葉。
|
(し)よう
|
(せ)む
|
文語にては推量の助動詞「む」を用ゐる。
|
文語体を
思
えしむるが故に、文末に
徒
に「なり」を附くる事、拙し。
現代文の「である」と等しくして、断定或は強調・主張せしむる時に用ゐる言葉なり。
「せる」といふ文語表現あらむが、これ、正しからず。
「する」をいふ「せる」の正しき形は「
為
」の活用(サ行変格活用)の如くに終止形「す」、連体形「する」なり。
又、助動詞「させる」の文語形は「さす」の下二段活用にて終止形「さす」、連体形「さする」なり。
然れど、完了(口語の「した」)をいふに「
為
」と「り」とを繋ぐる時、終止形「せり」、連体形「せる」と成る。
文章例
-
私は昨日、「明日、部屋の掃除をしよう」と言っていたがすっかりそれを忘れて一日過ごしてしまった。
私は昨日、「明日、部屋の掃除をせむ」と言ひしが全くそれを忘れて一日過ごせり。
-
今までできなかったことが、できるようになった。
今までしえぬことが、しえむになれり。
-
同僚が仕事をしないため、私が直接言って、やらせた。
同僚が仕事をせぬため、私が直接言ひて、せさせたり。
助動詞・助詞の繋げ方
助動詞
|
繋がる形
|
意味
|
言葉
|
|
未然形
|
連用形
|
終止形
|
連体形
|
已然形
|
命令形
|
活用
|
備考
|
未然形
|
自発・受身・可能・尊敬
|
る
|
れ
|
れ
|
る
|
るる
|
るれ
|
れよ
|
下二段
|
四段・ナ変・ラ変
|
らる
|
られ
|
られ
|
らる
|
らるる
|
らるれ
|
られよ
|
下二段
|
四段・ナ変・ラ変以外
|
ゆ
|
え
|
え
|
ゆ
|
ゆる
|
ゆれ
|
えよ
|
下二段
|
四段・ナ変・ラ変
|
らゆ
|
らえ
|
らえ
|
らゆ
|
らゆる
|
らゆれ
|
らえよ
|
下二段
|
四段・ナ変・ラ変以外
|
使役・尊敬
|
す
|
せ
|
せ
|
す
|
する
|
すれ
|
せよ
|
下二段
|
四段・ナ変・ラ変
|
さす
|
させ
|
させ
|
さす
|
さする
|
さすれ
|
させよ
|
下二段
|
四段・ナ変・ラ変以外
|
しむ
|
しめ
|
しめ
|
しむ
|
しむる
|
しむれ
|
しめよ
|
下二段
|
全ての活用形
|
打消
|
ず
|
(な)
|
ず (に)
|
ず
|
ぬ
|
ね
|
|
特殊
|
ざら
|
ざり
|
|
ざる
|
ざれ
|
|
四段
|
打消推量
|
じ
|
|
|
じ
|
じ
|
じ
|
|
特殊
|
推量
|
む
|
ま
|
|
む
|
む
|
め
|
|
四段
|
むず
|
|
|
むず
|
むずる
|
むずれ
|
|
下二段
|
反実仮想・推量
|
まし
|
ませ ましか
|
|
まし
|
まし
|
ましか
|
|
特殊
|
願望
|
まほし
|
まほしから
|
まほしく
|
まほし
|
まほしき
|
まほしけれ
|
|
シク活用
|
反復・継続
|
ふ
|
は
|
ひ
|
ふ
|
ふ
|
へ
|
へ
|
四段
|
四段
|
|
連用形
|
過去
|
き
|
|
せ
|
|
き
|
し
|
しか
|
|
特殊
|
全ての活用形
|
けり
|
けら
|
|
けり
|
ける
|
けれ
|
|
ラ変
|
完了
|
つ
|
て
|
て
|
つ
|
つる
|
つれ
|
てよ
|
下二段
|
ぬ
|
な
|
に
|
ぬ
|
ぬる
|
ぬれ
|
ね
|
ナ変
|
たり
|
たら
|
たり
|
たり
|
たる
|
たれ
|
たれ
|
ラ変
|
過去推量・過去伝聞
|
けむ
|
|
|
けむ
|
けむ
|
けめ
|
|
四段
|
願望
|
たし
|
|
たく
|
たし
|
たき
|
たけれ
|
|
ク活用
|
たから
|
たかり
|
|
たかる
|
|
|
四段
|
|
終止形
|
意志・適当・推量・可能
|
べし
|
|
|
べく
|
べし
|
べき
|
べけれ
|
|
ク活用
|
ラ変は連体形
|
べから
|
べかり
|
|
べかる
|
|
|
四段
|
現在推量・現在伝聞
|
らむ
|
|
|
らむ
|
らむ
|
らめ
|
|
四段
|
推定
|
らし
|
|
|
らし
|
らし (らしき)
|
らし
|
|
特殊
|
推定・婉曲
|
めり
|
|
めり
|
めり
|
める
|
めれ
|
|
ラ変
|
打消推量
|
まじ
|
|
まじく
|
まじ
|
まじき
|
まじけれ
|
|
シク活用
|
まじから
|
まじかり
|
|
まじかる
|
|
|
四段
|
ましじ
|
|
ましじく
|
ましじ
|
ましじき
|
ましじけれ
|
|
シク活用
|
ましじから
|
ましじかり
|
|
ましじかる
|
|
|
四段
|
伝聞・推定
|
なり
|
|
なり
|
なり
|
なる
|
なれ
|
|
ラ変
|
|
命令形
|
完了
|
り
|
|
ら
|
り
|
り
|
る
|
れ
|
れ
|
ラ変
|
サ変・四段。古くはサ変の未然形・四段の已然形
|
表の如く、打消の助動詞「ず」は終止形は「ず」なる故、「ぬ」にて終はる文は完了の意に成る。
助詞
|
言葉
|
繋がる形
|
備考
|
か
|
連体形
|
|
が
|
連体形
|
|
から
|
連体形
|
|
ぞ
|
連体形
|
|
つつ
|
連用形
|
|
て
|
連用形
|
|
と
|
終止形
|
|
と
|
連用形
|
同じ動詞を繰り返す強意表現。
|
ど
|
已然形
|
|
とも
|
終止形
|
|
とも
|
連用形
|
形容詞型活用。
|
ども
|
已然形
|
|
に
|
連体形
|
|
に
|
連用形
|
目的。~ために。同じ動詞を繰り返す強意表現。
|
の
|
連体形
|
|
のみ
|
連体形
|
|
は
|
連体形
|
|
ば
|
未然形
|
順接仮定条件。~ならば。
|
ば
|
已然形
|
確定条件。~ので。~のに。
|
ばかり
|
終止形
|
|
ばかり
|
連体形
|
限定。~だけ。
|
まで
|
連体形
|
|
も
|
終止形
|
|
も
|
連体形
|
逆接。~のに。
|
や
|
終止形
|
|
より
|
連体形
|
|
を
|
連体形
|
|
「ば」の繋げに於て、
未
だ
然
らねば仮定なりて未然形に附き、
已
に
然
らば確定なりて已然形に附く。
助詞の「から」と「より」とは
何
れも、上代より用ゐられけり。違ひは、「から」は「
何
れの事柄を経る」を云ふ、経由を強調するものなりて、「より」は「
本
より出づる」を云ふ、原因を強調するものなり。
仮名遣ひ
漢字音を除く、歴史的仮名遣ひを説く。
-
「い、ひ、ゐ」。
-
「う、ふ」」。
-
「え、へ、ゑ」。
-
「お、ほ、を」。
-
「じ、ぢ」。
-
「ず、づ」。
-
「は、わ」。
-
異に挙ぐるもの。
-
ダ行動詞の集め。
-
ヤ行動詞の集め。
-
「い、ひ、ゐ」の内、「ひ」が最も多き故、「い」と「ゐ」とを挙ぐ。
-
い。
ヤ行上二段活用動詞(老ゆ、悔ゆ、報ゆなど)の活用は「い」に成る。
い音便は「い」なり。即ち、
櫂
、
六日
、
刃
、
灸
、
裂帛
、
鞴
、
朔
、
幸
、
笄
、
透垣
、
松明
、
面懸
、
鷂
、
築泥
、
掃墨
、
蔑
、掻い潜る、
啄
む、
苛
む、
偃
す、などなり。
然れど、他の音便に比べ、
甚
う
熟
れたれば、一つ一つ覚ゆべし。
発語の「い」が附きたる言葉は「い」なり。い隠る、い漕ぐ、い這ふ、などなり。
名詞:
胛
、
肉刺
、
薇
、
緌
(老懸)、
花魁
、
戯射
、
梅華皮
、
弟兄
、
齞脣
、
鸊鷉
、
虎杖
、
動詞:
秀
づ、
序
づ、
陥
る(落入)、
遮
る、
形容詞・形容動詞:たいだいし、おいらか、
その他:
或
は、
などなり。
「い」より始まる言葉は「ゐ」より甚だ多く、中又は尾に有る「い」は少なく、殆は音便形なり。
-
ゐの項にある言葉の如く、一字は此らなり。
名詞:
藍
、
礼
、
地震
、
田舎
、
囲炉裏
、
位
、
基
、
井守
、
乞丐
、
宿直
、
踞
、
髫髪
、
耒底
、
薺
、
紅
、
紫陽花
、
臀
、
赭魁
、
野猪
、
動詞:
参
る、
用
ゐる、
渟
ゐる、
その他:
騒騒
、
などなり。
動詞にて「ゐ」より始まる(分かり易き)複合語を除く言葉は
率
る、
居
る、
齭
る、
膝行
る、のみ。
-
「う、ふ」の内、「ふ」が多き故、「う」を挙ぐ。
-
う。
ア行・ワ行活用動詞(得、植う、飢う、蹴う、据う、聶う)の活用は「う」に成る。或は、現代仮名遣ひにて「う」にて終る動詞の殆は「ふ」なる故に、ア行・ワ行活用動詞を覚ゆべし。
う音便は「う」なり。即ち、
首
、
箒
、
峠
、
手斧
、
弟
、
妹
、
笄
、
仲人
、
蝙蝠
、
賜
る、
仕
う
奉
る、
神神
し、
斯
う、
疾
に、
辛
じて、
などなり。
名詞:
八日
、
舅
、
小路
、
胡瓜
、
硫黄
、
寄居虫
、
動詞:
申
す、
設
く、
詣
づ、
被
る、
その他:
然
う、
漸
、
且
は、
などにて、多くは音便なり。
-
「え、へ、ゑ」の内、「へ」が最も多き故、「え」と「ゑ」とを挙ぐ。
-
え。
ア行・ヤ行下二段活用動詞(得、嘶ゆ、消ゆ、冴ゆ、栄ゆなど)の活用は「え」に成る。
名詞:
笛
、
稗
、
鵺
、
鮠
、
錵
、
鰾
、
栄螺
、
轅
(長柄)、
楚
、
距
(足蹴)、
蘖
、
蘖
(孫生)、
竹刀
、くえびこ、
楛木
、
動詞:
遮
る、
形容詞・形容動詞:あえか、
などなり。
-
ゑの項にある言葉の如く、一字は此らなり。
ワ行下二段活用動詞(植う、飢う、蹴う、据う、聶う)の活用は「ゑ」に成る。
名詞:
末
、
声
、
杖
、
陶
、
故
、
狗
、
仮髪
、
湯坐
、
靨
(笑窪)、
蜻蛉
、
槐
、
礎
(石居)、
黄精
、ゑごの木、
鎛
、
動詞:
蹴
る、
形容詞・形容動詞:
蘞
し、
その他:ゑらゑら、
所以
に
などなり。
動詞にて「ゑ」より始まる(分かり易き)複合語を除く言葉は
笑
む、
彫
る、
酔
ふ、
抉
る、
嘔
く、
咲
ます、ゑらく、
嘲
す、のみ。
-
「お、ほ、を」。
-
おは一音にて名詞・形容詞(語幹)など無ければ、中又は尾にて用ゐるを、複合語を除きては、無からむ。
即ち、「
魚
」「
顔
」「
氷
」「
竿
」「
塩
」「
遠
し」「
十
」などの形態素に於きて、「お」と成るもの、無し。
「御」の仮名遣ひは「お」にて、此が附く言葉は全て「お」に成る。即ち、お母さん、お化け、おみおつけ、などなり。
名詞:
親
、
母
、
音
、
奥
、
帯
、
沖
、
面
、
鬼
、
熾
、
臣
、
大鋸
、
息
、
渣
、
大人
、
首
、
翁
、
嫗
、
嫗
、
季子
、
表
、
掟
、
龗
、
噯気
、
晩稲
、
棘
、
衽
、
襲
、
螻蛄
、
万年青
、
颪
、
齵歯
、
啞
、
指
、
弟
、
頤
、
欄
、
緌
(老懸)、
花魁
、
玩具
、
几
、
穭
(疎生)、
妖言
、
磤馭慮島
、
形容詞・形容動詞:
重
し、
遅
し、
同
じ、
悍
し、
夥
し、おぼつかなし、おどろおどろし、
朧
、
愚
か、
賾
、
疎
そか、
厳
か、おいらか、
重
か、
その他:
己
、
凡
、
各
、
徐
、おろおろ、
自
づから
などなり。
-
ほ。
名詞:
塩
、
顔
、
庵
、
鳰
、
赭
、
朴
、
氷
、
郡
、
炎
、
巌
、
醤
、
空
、
案山子
、
勢
、
蟋蟀
、
酸漿
、
動詞:
通
る、
通
す、
直
る、
直
す、
覆
ふ、
匂
ふ、
凍
る、
負
す、
生
す、
果
す、
競
ふ、
装
ふ、
催
す、
潤
ふ、
頽
る、
熱
る、
回
る、
狂
ほす、
滞
る、
憤
る、
整
る、
結
ほる、
形容詞・形容動詞:
多
し、
遠
し、
恋
し、
愛
ほし、とほしろし、
素直
、ゆほびか、
その他:
尚
、
大
、
百
、
などなり。
-
をの項にある言葉の如く、一字は此らなり。
雄
は「を」にて、この旨を
含
む言葉は、
雄
、
甥
、
男
、
夫
、
鰥夫
、
猟人
、
雄叫
、などなり。
名詞:
魚
、
長
、
筬
、
訳語
、
十
、
青
、
竿
、
桶
、
斧
、
岡
、
澪
、
檻
、
痴
、
荻
、
獺
、
鴛鴦
、
童男
、
女
、
少女
、
栞
、
功
、
囮
、
鰹
、
鰧
、
朮
、
操
、
大蛇
、
現
、
兎
、
魥
、
一昨日
、
一昨年
、
俳優
、
葈耳
、
韋
、
竹刀
、
蚇蠖
、
蜏
、
女郎花
、
儲弦
、
桔梗
、
動詞:
薫
る、
申
す、
形容詞・形容動詞:
惜
し、をかし、
幼
し、しをらし、をぢなし、
嫋
やか、
撓
、
その他:
条条
、をさをさ、
小
、
遠
、
などなり。
動詞にて「を」より始まる言葉は
終
ふ、
折
る、
居
る、
食
す、
招
く、
復
つ、
瘁
ゆ、
治
む、
教
ふ、
踊
る、
犯
す、
拝
む、
惜
しむ、
喚
く、
縅
す、
撓
る、
澱
む、
建
す、
戦
く、
誘
る、
拝
む、などにて、少なく殆は「お」なり。
-
「じ、ぢ」の内、「ぢ」が多き故、「じ」を挙ぐ。
-
じの項にある言葉の如く、一字は此らなり。「し」の濁音故、しの項も見よ。
連濁の言葉としては、
小島
、
煮汁
、
網代
、
鏃
、
鐺
、
歯肉
、
目印
、
猫舌
、
盛塩
、
戸閾
、
眦
、
著
し、などなり。
名詞:
虹
、
雉
、
籤
、
蛆
、
辻
、
刀自
、
主
、
項
、
羊
、
蜆
、
狢
、
躑躅
、
旋毛
、
聖
、
鹿尾菜
、
鰍
、
桟敷
、
無言
、
簣
、
橇
、
麕
、
縬
、
芋茎
、
薑
、
動詞:
始
む、
交
じる、
弾
く、
馴染
む、
挫
く、
齧
る、
滲
む、
穿
る、
詰
る、
拗
る、
悴
く、
躙
る、
黧
む、
呪
ふ、
身動
ぐ、引こじろふ、
形容詞・形容動詞:
同
じ、いみじ、
短
し、
睦
じ、
忝
し、あたじけなし、
真面目
、
憖
、
その他:
予
め、
各自
、
などなり。
-
「ず、づ」の内、「づ」が多き故、「ず」を挙ぐ。
-
ずの項にある言葉の如く、一字は此らなり。「す」の濁音故、すの項も見よ。
連濁の言葉としては、
梢
、
礎
、
黒酢
、
口遊
むなどなり。
動詞の内、サ変の
為
が濁りたるものも、連濁なりて、重んず、軽んず、先んず、
諳
ず、などなり。又、「づ」にて終る動詞(ダ行動詞)を9にて挙ぐれば、そちらも併せ見よ。
名詞:
数
、
傷
、
鈴
、
錫
、
百舌
、
葛
、
篠
、
筈
、
桷
、
髻華
、
国栖
、
鼠
、
雀
、
蚯蚓
、
鱸
、
硯
、
菘
、
生絹
、
芋茎
、
踞
、
雪花菜
(不切)、
唐棣花
、
鹿尾菜
、
蘿蔔
、
耳蝉
、
鬌
、
肉刺
、ずわい蟹、
動詞:
交
ず、
爆
ず、
抉
ず、
掘
ず、
歪
む、
佇
む、
準
ふ、
蹲
る、
形容詞・形容動詞:
涼
し、
悍
し、
嚚
し、
漫
、
その他:
必
、
などなり。
-
「は、わ」の内、「は」が多き故、「わ」を挙ぐ。
-
わ。
名詞:
泡
、
皺
、
神酒
、
鰯
、
轡
、
埴輪
、
硫黄
、
慈姑
、
理
、
声色
、
腸
、
結果
、
半月
、ずわい蟹、
動詞:
坐
る、
騒
ぐ、
乾
く、
慌
つ、
撓
む、わわく、
形容詞・形容動詞:
弱
し、
吝
し、
などなり。
-
上の
外
に有る
異
の仮名遣ひを挙ぐ。これらは少なき故、
諳
すべし。
-
又、苗字や地名などに多かれど、接尾辞「
生
」の付きたるものは
言
に言ふ時、「~ゅう」などとなれど、仮名遣ひは全て「ふ」なり。「
麻生
」「
羽生
」「
柳生
」などの如し。
-
あお:
仰
ぐ、
葵
、
仰向
く、
障泥
、
煽
る。
-
おう:
扇
(「あふぐ」の名詞形)、
朸
、
逢瀬
、
楝
、
淡海
。
-
きゅう:
胡瓜
。
-
きょう:
今日
。
-
こう:
斯
う、
笄
、
神神
し、
考
ふ、
楮
、
麹
、
香
し、
冠
、
首
、
河骨
、
被
る、
蝙蝠
、
而
して、
仕
う
奉
る。
-
ごう:
寄居虫
。
-
しゅう:
舅
、
姑
、
囚人
。
-
しょう:
兄人
。
-
そう:
然
う、
候
ふ。
-
たお:
倒
す、
倒
る。
-
とう:
襪
、
峠
、
賜
る、
専
、
貴
し、
貴
ぶ。
-
ちょう:
手水
、
手斧
。
-
にゅう:
埴生
。
-
のう:
直衣
。
-
ほう:
箒
、
柞
、
葬
る、
放
る。
-
みょう:
茗荷
、
夫婦
。
-
もう:
相撲
、
設
く、
申
す、
公卿
、
詣
づ。
-
よう:
八日
、
漸
く。
-
りゅう:
狩人
。
-
ろう:
蔵人
、
候
ふ、
客
。
-
口語にて「づ」に終はる動詞は用ゐず。仮名遣ひに於て「づ」にて終はる動詞を覚ゆる事、甚だ重きなる故、分かり易き複合語を除く有る限りを挙ぐ。
-
澆
づ、
出
づ、
怖
づ、
奏
づ、
垂
づ、
譖
づ、たづ、
出
、
序
づ、
閉
づ、
撫
づ、
捩
づ、
恥
づ、
漬
づ、
秀
づ、
詣
づ、
愛
づ、
茹
づ、
攀
づ。
-
口語にて「ゆ」に終はる動詞は用ゐず。仮名遣ひに於て「ゆ」にて終はる動詞を覚ゆる事、甚だ重きなる故、分かり易き複合語を除く有る限りを挙ぐ。
-
肖
ゆ、
零
ゆ、
篤
ゆ、
甘
ゆ、
癒
ゆ、
射
ゆ、
嘶
ゆ、
老
ゆ、
怯
ゆ、
覚
ゆ、
思
ほゆ、
消
ゆ、
聞
ゆ、
悔
ゆ、
崩
ゆ、
蹴
ゆ、
越
ゆ、
肥
ゆ、
臥
ゆ、
蹴
ゆ、
凍
ゆ、
冴
ゆ、
栄
ゆ、
萎
ゆ、
饐
ゆ、
聳
ゆ、
絶
ゆ、ちぼゆ、
潰
ゆ、
費
ゆ、
萎
ゆ、
煮
ゆ、
粘
ゆ、
映
ゆ、
生
ゆ、
蝕
ゆ、はこゆ、
冷
ゆ、
蘖
ゆ、
殖
ゆ、
吠
ゆ、ほたゆ、
見
ゆ、
報
ゆ、
燃
ゆ、
萌
ゆ、
悶
ゆ、
若
ゆ、
瘁
ゆ。
疑問仮名遣ひ
又、こちらも見よ。疑問仮名遣 前編・後編。
-
あいなし、あひなし
-
いわく、いはく(稚)
-
おびく、をびく(誘)
-
かけづる、かけずる(駆ずる)
-
かたずむ、かたづむ(偏)
-
かわらか、かはらか
-
げじげじ、げぢげぢ(蚰蜒)
-
けむくじゃら、けむくぢゃら(毛むくじゃら)
-
さうらふ、さふらふ(候)
-
ささえ、ささへ(小筒)
-
さわやか、さはやか(爽)
-
しいし、しひし(籡)
-
しわし、しはし(吝)
-
しわふるひと、しはふるひと
-
しをらし、しほらし
-
しをる、しほる(撓)
-
すあい、すあひ(牙儈)
-
ずたずた、づたづた(寸寸)
-
すまふ、すまう(相撲)
-
たじろく、たぢろく
-
たはし、たわし(束子)
-
たわら、たはら(俵)
-
つくえ、つくゑ(机)
-
どぢゃう、どじゃう、どぜう、どじょう(泥鰌)
-
とんばう、とんぼう(蜻蛉)
-
はおり、はをり、はふり(羽織)
-
はこえ、はこへ
-
はらいせ、はらゐせ(腹癒)
-
ひわ、ひは(鶸)
-
まんばう、まんぼう(翻車魚)
-
むかふ、むかう(向)
-
やをら、やほら
文語的表現及び語彙
口語
|
文語
|
備考
|
わたしの
|
あが(吾)
|
「我が」の古形。
|
満足していないのに
|
あかなくに(飽)
|
|
突然
|
あからさま
|
|
まるで
|
あたかも(恰)
|
|
できない
|
あたはず(能)
|
|
おしい
|
あたら(惜)
|
|
いかに
|
あど
|
「か」を伴ふ反語の時は「どうして」の意。
|
ああ
|
あな
|
感動詞。
|
ああおそれおおい
|
あなかしこ
|
|
ああ
|
あはれ
|
感動詞。
|
ゆきかうこと
|
あふさきるさ
|
|
あえて
|
あへて(敢)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
かまわない
|
あへなむ(敢)
|
|
たくさん
|
あまた(数多)
|
|
ゆきわたる
|
あまねし(遍)
|
|
そのうえに
|
あまりさへ(剰)
|
|
なんとも不思議に
|
あやに(奇)
|
|
おりがわるい
|
あやにく(生憎)
|
変化したる「あいにく」として口語にても用ゐる。
|
あらかじめ
|
あらかじめ(予)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
または
|
あるいは(或)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
どうして
|
いかで(如何)
|
|
ええと
|
いさ
|
|
さあ
|
いざ
|
口語にても用ゐる。
|
すこし
|
いささか(聊)
|
|
一時的に
|
いささめに
|
|
つく
|
いたる(至)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
どこ
|
いづく(何処)
|
|
どうして
|
いづくにぞ(安)
|
漢文訓読語。
|
ますます
|
いとど
|
|
いいえ、いや
|
いな(否)
|
|
いうには
|
いはく(曰)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
いうまでもなく
|
いはむや(況)
|
漢文訓読語。
|
俗にいう
|
いはゆる(謂)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
だけど
|
いへども(雖)
|
漢文訓読語。
|
まだ
|
いまだ(未)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
かりにも
|
いやしくも(苟)
|
漢文訓読語。
|
なおざり
|
いるかせ(忽)
|
|
ひたすら
|
うつたへに
|
|
で
|
おきて(於)
|
漢文訓読語。音便形の「おいて」として口語にても用ゐる。
|
での
|
おける(於)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
する
|
おこなふ(行)
|
口語にても用ゐる。
|
おそらく
|
おそるらくは(恐)
|
漢文訓読語。
|
みずから
|
おのづから(自)
|
|
自分
|
おのれ(己)
|
口語にても用ゐる。
|
おおきい
|
おほきなり(大)
|
此語は形容詞に非ず、文語にては形容動詞なりて必ず「なり」を附く。
|
おっしゃる
|
おほす(仰)
|
|
また
|
および(及)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
こう
|
かく(斯)
|
漢文訓読語。変化したる「こう」として口語にても用ゐる。
|
たがいに
|
かたみに(互)
|
|
そして
|
かつ(且)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
決して。以前は
|
かつて(曾)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐるも、専ら「昔は」の意に成る。
|
ゆるさない
|
かへにす(肯)
|
|
かえって
|
かへりて(却)
|
漢文訓読語。音便形の「かえって」として口語にても用ゐる。
|
た
|
き
|
助動詞(過去)。
|
霊妙
|
くし(奇)
|
|
多分
|
けだし(蓋)
|
漢文訓読語。
|
ただろう
|
けむ
|
助動詞(過去推量)。
|
たそうだ
|
けり
|
助動詞(過去回想)。
|
ような
|
ごとし(如)
|
|
つぎつぎ
|
こもごも(交)
|
漢文訓読語。
|
さいわいに
|
さきく(幸)
|
|
これといって
|
さして
|
|
あんなにも
|
さしも
|
|
まちがいなく
|
さだめて(定)
|
|
そのようにばかり
|
さのみ(然)
|
|
あきらか
|
さやか(明)
|
|
ますます
|
さらさら(更更)
|
|
だけども
|
されど(然)
|
|
まい
|
じ
|
助動詞(打消推量)。
|
それから
|
しかして(而)
|
|
しかし
|
しかしながら(然乍)
|
漢文訓読語。約まれる「しかし」として口語にても用ゐる。
|
そうはいうものの
|
しかすがに(然)
|
|
はっきりと
|
しかと(確)
|
|
そのとおりである
|
しかり(然)
|
|
それなのに
|
しかるに(然)
|
|
何度も
|
しきりに(頻)
|
口語にても用ゐる。
|
おおい
|
しげし(繁)
|
|
はげしく
|
しとと
|
|
よく
|
しばしば(屡)
|
口語にても用ゐる。
|
しばし
|
しまし(暫)
|
変化したる「しばし」として口語にても用ゐる。
|
しばらく
|
しまらく(暫)
|
漢文訓読語。変化したる「しばらく」として口語にても用ゐる。
|
すきまなく
|
しみみに(繁)
|
|
ひっきりなしに
|
しみらに(繁)
|
|
ない
|
ず
|
助動詞(打消)。口語にても用ゐる。
|
つまり
|
すなはち(即)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
当然
|
すべからく(須)
|
漢文訓読語。
|
いくつか
|
そこばく(若干)
|
|
そもそも
|
そもそも(抑)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
ただし
|
ただし(但)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
すぐに
|
ただちに(直)
|
口語にても用ゐる。
|
突然
|
たちまち(忽)
|
口語にても用ゐる。
|
たとえ
|
たとひ(仮令)
|
漢文訓読語。変化したる「たとえ」として口語にても用ゐる。
|
せめて…だけでも
|
だに
|
|
くださる
|
たまふ(給)
|
「何何したまえ」などと口語にて慣用的に用ゐる。
|
一瞬
|
たまゆら(玉響)
|
|
さまざま
|
ちぢ(千千)
|
|
た
|
つ
|
助動詞(完了)。
|
の
|
つ
|
格助詞。
|
朝早く
|
つとに(夙)
|
|
早朝
|
つとめて
|
|
できるだけ
|
つとめて(努)
|
|
くわしい
|
つばひらか(詳)
|
変化したる「つまびらか」として口語にても用ゐる。
|
くわしい
|
つばら(委曲)
|
|
完全に
|
つぶさに(具)
|
|
すこしも
|
つやつや
|
|
つくづく
|
つらつら(熟)
|
|
するどい。はやい
|
とし(利・疾)
|
|
とりわけ
|
なかにつく(就中)
|
漢文訓読語。
|
もしなかったとしたなら
|
なかりせば(無)
|
|
するな
|
なかれ(勿)
|
|
どうして…か
|
なにしか
|
|
全般
|
なべて(並)
|
|
とともに
|
なへに
|
|
無理に
|
なまじひ(憖)
|
|
そなた
|
なむぢ(汝)
|
|
および
|
ならびに(並)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
である
|
なり
|
助動詞(断定)
|
まさにそうなろうとする
|
なりなむとす(垂)
|
漢文訓読語。
|
た
|
ぬ
|
助動詞(完了)。
|
どうか
|
ねがはくは(願)
|
漢文訓読語。
|
だけ
|
のみ
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
または
|
はた(将)
|
漢文訓読語。口語の「はたまた」の「はた」なり。
|
非常に
|
はなはだ(甚)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
ます
|
はべり(侍)
|
|
ひときわ
|
ひとしほ(一入)
|
|
ひたすらに
|
ひとへに(偏)
|
|
一日中
|
ひねもす(終日)
|
|
のこらず
|
ふつくに(悉)
|
|
ことさら
|
ふりはへ(振延)
|
|
本当
|
まこと(真)
|
|
ありのままに
|
まさでに
|
|
ないだろう
|
まじ
|
助動詞(打消推量)。「あるまじき」などと口語にて慣用的に用ゐる。又、音便形の「まい」としても用ゐる。
|
早くも
|
まだき
|
|
たい
|
まほし
|
助動詞(願望)。
|
みだりに
|
みだりに(妄)
|
漢文訓読語。口語にても用ゐる。
|
みんな
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みな(皆)
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変化したる「みんな」として口語にても用ゐる。
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だろう
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む
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助動詞(推量)。
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どちらかといえば
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むしろ(寧)
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漢文訓読語。口語にても用ゐる。
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または
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もしくは(若)
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漢文訓読語。口語にても用ゐる。
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で
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もちて(以)
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漢文訓読語。「何何でもって」などと口語にて慣用的に用ゐる。
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もっとも
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もとも(尤)
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漢文訓読語。変化したる「もっとも」として口語にても用ゐる。
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最初から
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もとより(元)
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漢文訓読語。口語にても用ゐる。
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もっぱら
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もはら(専)
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漢文訓読語。変化したる「もっぱら」として口語にても用ゐる。
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ほどなく
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やがて(軈)
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どうしてか
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やはか
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けちな
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やぶさか(吝)
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ともすれば
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ややもすれば(動)
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しずかに
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やをら
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決して
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ゆめゆめ(努努)
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ため
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ゆゑ(故)
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まさか
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よもや
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から
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より
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口語にても用ゐる。
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よって
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よりて(因)
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漢文訓読語。音便形の「よって」として口語にても用ゐる。
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ちょうどよい具合に
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よろしなへ(宜)
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わたしの
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わが(我)
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口語にても用ゐる。
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最終更新:2025年10月04日 12:36