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術伝流操体no.28 - (2016/08/16 (火) 15:46:38) の編集履歴(バックアップ)


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術伝流操体・操体で一通り治療 (1)ラク寝連続操体+座位で仕上げ

ラク寝連続操体+座位で仕上げ

1.はじめに

 先回までで、ラクな寝方からの操体、および、ラクな寝方か
らの連続操体を、指先での皮膚の操体も含め、説明しました。
今回からは、「操体で一通り治療篇」に入ります。

 操体で一通り治療するときには、ラクな寝方からの連続操体
が終わった後に、具体的には、操体の施術を終わりにする10分
位前になったら、座位になってもらい、仕上げに移ります。

 仕上げは、座位で重さの操体や胴体の大雑把な歪みの調整を
してから手の指揉みをします。

 つまり、40~50分かけて操体で一通り治療する手順は、以
下のようになります。

(1)ラクな寝方からの連続操体を終了10分前まで繰り返す

(2)座位からの重さの操体など

(3)座位で指揉み

 操体で一通り治療する場合に、ラクな寝方からの連続操体の
後に、仕上げとして座位での操体をするのには、理由がありま
す。殆どの人は、普段の生活で、昼間は座位や立位で活動して
いるからです。

 寝た姿勢でのバランス、つまり、背骨が重力に対して横向き
のときのバランスと、背骨が重力に対して垂直に立った座位や
立位でのバランスは、少し違うので、背骨が重力に対して立っ
た座位や立位での操体を治療の仕上げにした方が、普段の座位
や立位での活動のためには良いからです。

 具体的には、ラクな寝方からの連続操体だけで終わると、後
で眩暈を起こしたり熱が出たりする可能性が、少しですが、高
くなります。

 手の指揉みで終えるのは、近頃、按摩指圧や操体などの手技
療法を軽く行っただけでも、後で頭が痛くなったり熱が出たり
する人が増えているからです。

 この傾向は90年代後半から聞くようになり、ここ数年は、
かなり耳にします。仕上げで手の指揉みをしておくと、そうい
う可能性を減らせるので、取り入れています。

2.ゆっくり座位になってもらう

 ラクな寝方の連続操体を終えることにしたら、しばらくラク
な姿勢で休んでもらいます。それから、ゆっくり、ゆーっくり
起きて座位になってもらいます。

 起き上がり方が速いようなら「ゆっくり」と声を掛けるのを
忘れないようにしてください。ラクな寝方からの連続操体を十
分した場合には速く動くのが辛くなる場合が多いのですが、受
け手の中には操者に言われたら速く動かなくっちゃと思い込ん
でいる人もいますので。

 無理して速く起きようとするとフラついたりすることがある
ので注意してください。

3.座位での重さの操体など

 座位での大雑把なバランス調整をしていくのですが、ここで
は、重さの操体は欠かせません。直立2足歩行のヒトという動
物は、重力に対して背骨を立てた状態で普段の生活しているこ
とが多いからです。

 初めての人には重さの操体は分かりにくいので、胴体の4種
八方向の組み合わせのバランスを調整する操体をすることも多
いです。が、そういう場合にも、タワメの間がある程度決まっ
たら、どちらか体重を掛けやすい方の尻に少し余分に体重を掛
けるてもらうようにします。

1)座位での重さの操体

 座位の姿勢(写真1)から、

「右前、右横、右後ろ、左前、左横、左後ろの6つの方向に体
重を試しに移してみてください。どっちに一番移しやすいです
か? なんとなくで構いませんから、体重を一番移しやすそう
な方向を選んでください」

と声を掛けて、方向を選んでもらいます。(写真2)。

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写真1

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写真2

 操者は体重を受け止められるよう、その正面に位置し、受け
手の肩や背中などを支えてから、「支えますから、体重を掛け
やすい方に少し余分に体重を掛けてください」と声を掛けます。
操者は体の正面で、体重を受け止めると疲れずに支えることが
できます(写真3)。

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写真3

 正中線、特に臍を体重の掛かってくる方向に向け、腰で支え
るようにします。

 「体重を戻したくなったら終わりにしてよいのですが、それ
まで、充分体重をこちらに掛けてください」と声を掛け、支え
続けます(写真4)。

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写真4

 受け手の重さが少し軽く感じられたら、終わりにして良い合
図なので、「体重を戻したくなったら終わりにしましょう」と
声を掛けて、体重を戻してもらいます。

2)捻転・前後屈の組み合わせ

 操体に慣れていない人で、体重を移す、重さの操体が感覚的
に分かりにくい人の場合には、胴体の捻転や前後屈などと組み
合わせた方が分かりやすいようです。

 座位で頭の後ろで手を組んでもらいます(写真5)。

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写真5

 胴体を左右に側屈してもらい、「左と右、どちらの側屈がや
りやすいですか?何となくでも良いですから、イイ感じのする
方を選んでみてください」と、声を掛けて、イイ感じの方を選
んでもらいます(写真6)。

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写真6

 イイ感じの方に胴体を側屈したまま、その状態から、今度は
「前に曲げるのと後ろに反るのとどちらがイイ感じですか?何
となくで良いですから選んでみてください」と声を掛け、前後
屈のどちらかを選んで、その姿勢になってもらいます(写真7)。

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写真7

 そして、次に「その状態から、体を左右に捻ってみて、何と
なくイイ感じの方を選んでみてください」と声を掛けて、イイ
感じの姿勢になってもらいます(写真8)。

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写真8

 その状態から「左右のお尻のどちらに体重が掛けやすいです
か?支えていますから、掛けやすい方に体重を少し余分に掛け
てみてください」と声を掛けます。操者は体重の掛かってくる
方に移動し、体重を受け止めます(写真9)。

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写真9

 「体重を戻したくなったら終わりにしますが、それまで充分
に、体重を、こちらの方に掛けた状態を味わってください」と
声を掛け、イイ感じを充分に味わってもらいます。

 受け手が自分でスーッと体重を戻したら終わりにします。操
者に掛かる重さが軽くなっても戻らないようなら「体重を戻し
たくなったら、終わりにしても良いですよ」と、もう一度、声
を掛けると良いでしょう。

4.座位で指揉み

 ラクな姿勢の座位になってもらい、手の指揉みをします。左
右どちらから始めてもいいですが、利き手でない側から始める
のが一般的かなと思います。

 利き手の方が凝っていることが多いので、利き手を後にした
方が満足してもらいやすいように思います。どちらの手も、小
指から始め拇指で終わります。これは、後で起こるかもしれな
い頭痛発熱などを防ぐには親指で終えた方が良いからです。

 指のツボで主に揉むのは、指と指の間の水掻き状の部分(八
邪)、八邪と甲に近い指関節の間、指関節の横側の皺の端の辺
り(節紋)、爪の根本(井穴)です(図1)。

図1

1)揉み方の細かい手順

 もう少し細かく書くと、指揉みは、小指と薬指の間の八邪
(写真10)から始め、八邪と小指側の甲に近い指関節の間
(写真11)、八邪と薬指側の甲に近い指関節の間(写真12)、
小指の節紋(写真13)、小指の井穴(写真14)、薬指の節門
(写真15)、薬指の井穴の順で揉みます。

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写真10

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写真11

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写真12

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写真13

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写真14

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写真15

 節紋や井穴を揉むときは、指腹で揉むよりも指関節近くの硬
い部分で揉んだ方が少しの力で効果が上がりやすいです(写真
16)。

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写真16

 それから、薬指と中指の間に移ります。そして、同じ順番で
揉んでいき、拇指と示指の間の八邪(写真17)、示指の八邪と
節門の間(写真18)などを揉んでから、拇指の節紋、井穴で片
側を終えます(写真19、写真20)。

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写真17

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写真18

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写真19

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写真20

 反対側の手も小指側から拇指側に向けて同じように揉みます。

2)具体的な揉み方

 具体的な揉み方については、図2を参照してください。

図2

 一揉みの中には、操体で言う「動診」「タワメ」「瞬間脱力」
が入っています。

 深く押しながらツボの芯を探していき(動診)、芯を上手く
捉(とら)えたら、ツボの芯に問いかけるような感じで、芯の
方向への力を強めにしてから、一瞬同じ状態で力を維持し(タ
ワメ)、次の瞬間に脱力する(瞬間脱力)という感じです。

 脱力するといっても、皮膚から手指を離しません。芯の方向
に強めにしていた力を抜いただけで、皮膚を押し筋肉は捉えて
います。

 手指を移動するのは瞬間脱力した後で、移動しながら、次の
ツボや痼りを探します。

 見付かったら、また、深く押しながらツボの芯を探す「動診」
をして、その方向に力を入れて「タワメ」、次に「瞬間脱力」
して…という感じで繰り返していきます。

 タワメのときの強さに強弱をつけて、弱弱強、弱弱強、弱弱
強の3拍子とかにすることが多いです。人によって2拍子から
5拍子の人もいるようです。

 弱弱の時は、比較的「動診」の要素が強く、その間に、しっ
かり、ツボの芯を見付けます。3拍子なら3回目の強の時に、
しっかりツボを捉えて「タワメ」、次の瞬間に大きめの「瞬間
脱力」をします。そして、強めの「瞬間脱力」を終えた後に、
手指を移動し、次のツボを探します。

 この「①動診、②タワメ、③瞬間脱力」を意識して練習する
と、揉むという技術を身に付けやすくなります。試してみてく
ださい。

5.礼をして終わる

 指揉みを終えたら、「どうもありがとうございました」と、
深く一礼をします。

6.おわりに

 礼をした後に、立ち上がって歩いていく様子も観察します。

 もし、歩いていく様子がぎこちないようだったら、立位での
操体(写真21,22)や、足踏みの左右差の解消や、歩行しな
がらの操体をして、立位や歩行のときのバランスを整えるよう
にします。立位や歩行しながらの操体は、後で解説します。

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写真21

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写真22

 また、座位での操体も今回説明した以外のものもありますの
で、それも後で解説します。

追記:2016.8.16ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
座位や立位などからの操体は、以下に書きました
術伝流操体no.41  座位で、重さ、3軸、腕上げ
術伝流操体no.42  座位の動きの操体
術伝流操体no.43  座位の対角からの操体
術伝流操体no.44  座位の皮膚の操体、髪の毛や耳の操体
術伝流操体no.45  四つん這いなどでの操体
術伝流操体no.46  立位から動きの操体
術伝流操体no.47  立位から皮膚の操体
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 それらの解説の前に、次回から2回、初めての人の操体で一
通り治療した例をあげます。

 比較的ドンドン姿勢を変えていく例と、余り姿勢が変わらな
い例です。それから、それぞれ、比較的敏感で、どんどん動い
ていく人と、姿勢が殆ど崩れていかない人への対処法を解説し
ていく予定です。


   つぎへ>>>術伝流操体no.29



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