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術伝流操体 【4】操体で一通り治療 [4] 座位立位などでの操体
(6) 立位からの動きの操体
立位からの動きの操体
(1)はじめに
さて今回からは、立位での操体です。
まずは、動きをきっかけにするものから。職場や野外など寝る場所
がないところでも気軽にできるので、ヤジウマしてみてください。
もちろんラクな寝方からの操体をしていて、寝た姿勢からの操体が
もう充分という感じになった場合にもつかえます。また、立位という
背骨が地面に垂直に立った状態での体のバランスをとりたいときなど
にも向いています。
ヒトは直立2足歩行するサルのせいか、寝た姿勢でのバランスが取
れても、立ち姿勢でのバランスがとれていないと、日常生活のなかで
歪みが復活しやすくなります。ていねいに操体するときには、立位で
の操体も重要になってきます。
また、長いあいだ寝たきりだった方、障害で歩行がままならない方
などにも大切な操体です。
立位でできるだけラクな姿勢になってもらってから始めます。
(2)手や腕を前で組んでもらって、前から支える
1.腕を組んだ姿勢から
座位のときと同じように、立位で腕を組んで(写真1)もらいます。

写真1
高さや胸からの位置もいい感じにしてもらいます。
その状態からどちらかの肘を前に突きだし、反対側の肘を後ろ側に
引いてみることを両方やってみます(写真2)。

写真2
イイ感じがあるほうの動きを、すこし強調してみます。操者はその
動きをすこし強調するようの上腕の皮膚をズラして支えます(写真3)。

写真3
声をかけて、首の捻転・前後屈・側屈、体重移動などでイイ感じの
ものをつけくわえてもらいます(写真4)。

写真4
おなかに息が深くはいっていったり、イイ感じがするなら操体を続
けます。姿勢を戻したくなったり、やめたくなったら、終わります。
2,合掌または手を組んだ姿勢から
この操体は、手を組んだり合掌した状態からもできます。まず、合
掌するか(写真5)、手を組むか(写真6)えらんでもらいます。

写真5

写真6
つぎに、えらんだ手の形で、手の位置をイイ感じにしていきます。
胸からの距離(写真7)、左右(写真8)、高さ(写真9)、手の方
向(写真10)などをイイ感じな位置にしてもらいます。

写真7

写真8

写真9

写真10
きめた位置から、手を橈屈・尺屈、背屈・掌屈してみてイイ感じの
状態をえらんでもらい、それから左右捻転してみてイイ感じの状態を
さがします。イイ感じが見つかったら、操者は手甲の皮膚をすこしず
らして支えてあげます(写真11)。

写真11
声をかけて、首を動かしてもらったり体重を移動してもらったりし
てイイ感じをふやしてもらいます(写真12、13、14)。

写真12

写真13

写真14
姿勢をもどしたくなるか、操体をやめたくなるまで続けます。
(3)手を体にあてて、前後屈・側屈・捻転
ラクな立位になってもらい、頭の後ろで手を組むか(写真15)か、
腰に手を当てるかをえらんでもらいます(写真16)。

写真15

写真16
胴体を左右捻転してもらい、なんとなくイイ感じのするほうをえら
んで、かるく左右捻転してもらいます(写真17)。

写真17
イイ感じのほうに胴体をかるく捻転した姿勢から、今度は左右側屈
してなんとなくイイ感じのほうをえらんで、かるく側屈をくわえても
らいます(写真18)。

写真18
つぎに、イイ感じのほうに胴体を左右捻転左右側屈した姿勢から、
前後屈をしてみて何となくイイ感じのほうをえらんでもらい、かるく
前後屈をくわえます(写真19)。

写真19
その状態から左右の尻のどちらに体重がかけやすいか聞いて、かけ
やすいほうにすこし余分に体重をかけてもらい、操者はその体重のか
かる方向にヘソが来るように移動し、体重を受け止め支えます
(写真20)。

写真20
「体重を戻したくなったら終わりにしますが、それまで充分体重を
こちらにかけた状態を味わってください」と声をかけ、イイ感じを充
分に味わってもらいます。
体重を戻したくなったり、止めたくなったら終わります。
この操体は、捻転と体重移動だけでも効果があります。操体になれ
ていない人が受け手のときには、捻転しやすいほうにかるく捻転した
あと、左右どちらか移動しやすいほうに体重を移動し、戻したくなる
まで味わいます。
また、体重を移動することのほうを先にして捻転を後にすることも
できます。この場合には、立位での重さの操体がキッカケで、それに
左右捻転という動きの操体をつけくわえたという感じになります。
また、捻転、側屈、前後屈のためす順番も変えてもかまいません。
捻転を先にしたほうが比較的わかりやすいだけです。時間があったら、
いろいろヤジウマしてみて、いちばんイイ感じのするものを見つける
ようにしてください。
(4)その場で足踏み、それから歩く
ラクな姿勢で立ってもらって、その場で足踏みをしてもらいます
(写真21)。

写真21
足を上げやすいほうと上げにくいほうがあったら、上げやすいほう
を高くあげ(写真22)、上げにくいほうはほんの少しあげるだけにし
ます(写真23)。

写真22

写真23
あげにくいほうの足は、つよく踏み込みようにします。上げやすい
ほうの足を上げているときに。
このとき腕もふって、足を大きく上げるときは大きく腕をふり、足
を少ししか上げないときは腕もすこしだけふるようにすると、なお改
善しやすいです。
しばらく続けて差が少なくなったら、歩いてもらいます。この場合、
差が残っているときは、足の上げる高さや腕の振り具合を足踏みのと
きと同じように左右で差を付けます。
差がほとんどなくなったり、止めたくなったら、終わりにします。
(5)そのほか
これまで3つ紹介しましたが、この3つ以外にも立位でのいろいろ
な動作をきっかけにした操体が可能です。
1.手の動きをキッカケにする
とくに、手の動きをキッカケにしたものには無限と言っていいくら
いのバリエーションが可能です。
たとえば、手を挙げることをキッカケにするだけでも、いろいろで
きます。
大腿前側に手をつけた状態から手首の背屈(写真24)をキッカケに
して体重移動を付け加えると腕が前から上に上がっていくことがおお
いです(写真25、26)。

写真24

写真25

写真26
手を胸の位置に上げた状態(写真27)から手首の小指側が手甲に
まわる捻転(写真28)をきっかけにして体重移動をくわえると、ち
がう動きで手が上がっていきます(写真29)。

写真27

写真28

写真29
また、ちょっと変わったものでは、手を横に反らした状態(写真30)
から手首の橈屈をキッカケにして(写真31)、体重移動を組み合わせ
たものもできます(写真32)。

写真30

写真31

写真32
これらの場合には、操者は手首のキッカケがもどらないようにかる
く強調してあげる(写真33)とイイ感じが消えにくく深くなりやすい
です。

写真33
また、体が大きく傾いていくようなら、倒れないように支えてあげ
ることも大切です。
それ以外にも、首の動きや目で見る方向をキッカケにして体重移動
をつけくわえる操体もいろいろバリエーションがあります。
いろいろヤジウマして、そのときの受け手の状態にあった操体を見
つけるようにしてください。
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最終更新:2017年02月25日 14:18