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ツボの出方の自然則

体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [3] ツボの出方、探し方
(5) ツボの出方の自然則

(1)はじめに

 体の自然というテーマで書いてきました。

 体は自然なので、病気になるのも自然なりの必然的な理由が
あります。病気になったときには、体は歪んでいて、体のあち
こちにツボが出ています。

 鍼灸では、主に病気の体に出ているツボに鍼灸することでツ
ボを消し、それによって体を整え、病気であるのが不自然にな
るようにすることで治療をしていきます。

 操体や按摩指圧なども、鍼灸ほど直接ツボを意識しませんが、
適切な治療の後は、ツボは消えています。

 出ているツボを消すというのは、ツボの出ているところの筋
肉が、一時的に機能的過緊張過弛緩した状態になっているのを、
元のような必要に応じて自在に伸び縮みする状態に戻すことで
す。

 ツボの底の硬い痼りは、筋肉が一時的に機能的過緊張の状態
になっています。表面から底までの間は、フニャフニャズブズ
ブの一時的な機能的過弛緩の状態になっています。

 ですから、鍼灸で症状を改善するためには、先ずツボを見付
けることが大切です。そこで、「体は自然」の終わりに、ツボ
の出方の自然則についてまとめ、書き残したことなどを書いて
おこうと思います。

(2)ツボの出方の自然則12

 まとめると以下の12の自然則になるかなと思います。

1.ツボは歪んだ体に掛かる負荷を分担するシステム

2.主な負荷は重力

3.立ち姿勢での重力負荷分担が十四経など
  (立ち姿勢での縦切り相関)

4.寝た姿勢での重力負荷分担が兪穴募穴など
  (立ち姿勢では横輪切り相関)

5.動作時連動筋肉内にツボが出やすい

6.大きなツボは筋肉の厚い所に出やすい

7.ツボの上の皮膚表面は凹んでいる

8.ツボから末梢側の血行や神経伝達が阻害されることがある

9.動作制限の姿勢で、伸びようとしている、
           縮もうとしている筋にツボが出る

10.内蔵の機能的関係からツボが見付けられることがある

11.病が古くなると、ツボは横にズレる

12.古い病のツボは、体の境目に出やすい

 順に今まで書いてきたことを含め説明しておきます。

1.ツボは歪んだ体に掛かる負荷を分担するシステム

 ヒトは、動く生き物、筋肉を伸び縮みさせて動く動物で、筋
肉を緊張させて負荷に耐えます。

 心の負荷にも体を緊張して耐えます。顎関節症は、辛さを歯
を食い縛って耐え続けたことに由来するようです。

 歪んだ体に掛かる負荷が1か所に集中すると壊れやすいので、
関連する筋肉で分担して受け止めています。

 筋肉が3つの状態に変化することをよく理解してください。

 必要に応じて自在に伸び縮みする状態、過緊張してカチカチ
になり伸びなくなった状態、過弛緩してフニャフニャになり縮
めなくなった状態の3つです。

 この過緊張、過弛緩は、一時的機能的なものなので、適切な
施術をすれば改善します。

 老人などの経過が長いものが治りにくいのは、一時的な機能
的過弛緩過緊張がだんだん永続的で器質的なものに近付いてい
くせいかなと思います。

2.主な負荷は重力

 ヒトは地球という星の地上で生きる生物です。地球上の生物
は、重力を基本的負荷として進化してきました。

 地球上の生物の形や動きを考えていくときに重力との関係を
無視することはできません。

 赤ん坊がハイハイし、やがて歩くようになるのも重力という
負荷を克服(利用)していく過程であるとも言えると思います。

3.立ち姿勢での重力負荷分担が十四経など

 ヒトは、地球の地上で直立2足歩行するサルです。立った姿
勢では、天から見て重なる所同士で重力を負荷分担しています。

 3.には、

「頭頂部の頭痛は、足厥陰」

「目のツボが、頭頂部の辺りで、目を通り正中線と平行な線と、
耳を通り正中線と垂直な線の、交点に出る」

「足甲の辛さを、頭のハチマキをする辺りのツボで解消できる」

とかも関係すると思います。

4.寝た姿勢での重力負荷分担が兪募穴など

 ヒトは、寝るときに体を横たえます。そのときに、重力負荷
は、体の横輪切りの方向に掛かります。

 症状が殆ど無く歪みが少ない人は、仰向け寝で寝ることが多
いので、背中側の筋肉の一番太い所、つまり、足太陽の1行線
で負荷を受け止めるので、兪穴が1行線に並ぶのだと思います。

 そして、症状が重くなり歪みが大きくなると横向き寝とかが
多くなるので、横にズレて2行線や華陀経などに出やすくなる
のかなと思います。

 兪募穴などは寝た姿勢での重力負荷分担なので、普段は歩か
ない赤ん坊や寝たきりの人の場合には、この横輪切りのツボと、
立った姿勢での負荷分担である経絡的なツボとを比較すると、
横輪切りのツボの方が効果的なことが多くなります。

 4.には、「便秘に沢田流神門」などを含めてよいかなと思っ
ています。考えすぎかも知れませんが。

5.動作時連動筋肉内にツボが出やすい

 ある動作をしたときに一緒に動く筋肉にツボが出ていること
が多いです。

 一緒に動く筋肉の一つにツボが出れば、一緒に動く他の筋肉
に余分な負荷が掛かるからです。

 5.には、巨刺、上下刺、対角刺、奇経の「左内関・右公孫」、
「バックハンドテニス肘の時は、同側下腿にツボが出る」
「フォアハンドテニス肘の時には、反対側下腿にツボが出る」
ことなども含められると思います。

6.大きなツボは、筋肉の厚い所に出やすい

 横輪切りや縦切りの原則から少し外れていても、大きな筋肉
のある所にツボが出ることが、よくあります。

 大きな筋肉の方が大きな負荷を引き受けられるからです。

 例えば、「肺の募穴が、中府」、「目が悪い人では、顎と首
の境目にツボが出る」などです。

 どちらも関係する臓器の中心の横輪切りラインからはズレて
いますが、その辺りでは最も筋肉が厚い所です。

7.ツボの上の皮膚表面は凹んでいる

 ツボが出ている所の上の皮膚表面は、ペコペコベコベコして
凹んでいます。

 これは、その皮膚表面の下の皮膚に近い筋肉が、一時的に機
能的過弛緩の状態、つまり、フニャフニャズブズブになってい
るからです。

 皮膚の下に穴が空いているような感じさえ受けることが有り
ます。昔の人が「ツボ」や「穴」と呼んだのも当然のような気
がします。

 だいたいツボが出ている辺りを予測できたときに、ツボの出
ている所を細かく特定するときの一番んの目安になります。

 また、少しベタベタ湿っていたり、艶がなく黒ずんでいたり
するのも目安になります。

8.ツボから末梢側の血行や神経伝達が、阻害されることがある

 ツボが出ていると、その奥は痼り、つまり、一時的な機能的
過緊張の状態になっています。

 その過緊張状態の筋肉が血管を圧迫したり、神経に悪影響を
与えたりして、そこから末梢側の血行や神経伝達が阻害される
ことがあります。

 座骨神経痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、手足のシビれ感、
冷え、ヒョウソ、乳腺炎、乳汁不足などのときのツボの出方で
す。

9.動作制限の姿勢で伸びようとしている筋にツボが出る

 動作制限のあるときや痛くて動作ができないときには、その
制限動作を制限される、あるいは、痛みが出る一歩手前の姿勢
で、最も伸びようとしている筋肉の一番伸びようとしている部
分にツボが出ていることが多いです。

 その姿勢で最も縮もうとしている筋肉の一番縮もうとしてい
る筋肉にも出ますが、伸びようとする側よりは少ないし、軽い
ツボが多いです。

 これと似たものとして、腱の付着部が痛い場合に、その腱の
筋腹にツボが出ていて、腱付着部を引っ張っていて痛みが出る
ことがあります。

 指を動かす動作の制限でも、その動作をする筋の筋腹にツボ
が出ていることが多く、前腕の一番太い辺りにツボを探します。

10.内蔵の機能的関係からツボが見付けられることがある

 例えば、口内炎ができたときに、そういう場合には胃腸が弱っ
ていることが多いことが思い浮かべば、胃腸の病のときにツボ
が出やすい所を調べる必要があることが思い浮かぶでしょう。

 二日酔いのときには肝臓関係のツボが出やすい所を調べると
か。

11.ツボは古くなると横にズレる

 主な負荷である重力を受け止めるために、ツボは増えていき
ますが、先ずは一番太い筋肉で受け止めようとするせいか、背
中側は1行線、腹側は腹の胃経に初めに出ることが多いようで
す。

 しかし、歪みが古くなると、そこだけでは負担しきれずに、
だんだん、横にズレて出るようです。

 背中側では、脊骨の直ぐ脇の華陀経と、脊柱起立筋の外寄り
の端(痞根、腰徹腹など)。腹側では、臍の周り、章門、五枢〜
維道の辺りなど。

 今は、1行線や腹の胃経よりも、そういう正中寄りや体の横
寄りにツボが出ている人が、とても多いです。

 昔の文献に出ているツボを参考にするときは、その点を踏ま
えて、出ているツボが、正中寄り、横寄りにズレたら、どの辺
りに出るか考えると、今の人の体を診るのに役立つことが多い
です。

 生理痛のある人は、昔から「女三里」とも呼ばれた三陰交に
出るとされてきましたが、今は、その横の蠡溝に出ている人の
方が遥かに多く、効果も上がりやすいです。

12.古い病のツボは、体の境目に出やすい

 11.の現象の成れの果てという感じなのかなとも思います。

 古い病に関わるツボは、体の境目、左右境界の正中線、前後
境界の少陽、厥陰、上下境界、頭と首の境目、手足と胴体の境
目などに出やすいです。

 上下境界は二つあって、横隔膜と、臍と命門を結ぶライン、
その2つの辺りです。

12の自然則をよく理解し応用する

 この12個の自然則をよく理解することが大切です。

 患者さんの訴えを聞いたり、体を見て触って確かめたりした
ことと、こういう自然則を照らし合わせると、だいたいツボの
出ている辺りを予測できます。

 後は、その辺りを目で見て手で触って、その辺りで一番凹ん
だ所を見付ければ、ツボは取れます。

 後に書く実技の解説では、先急つまり応急処置、養生つまり
慢性期、それぞれの運動器系と内科系、応用というふうに、一
つ一つ、項目別に詳しく四診を中心にした診察やツボの出やす
い所なども説明していきます。が、この12個の自然則をいつも
思い浮かべられるようにしておいてください。

(3)受け手の体の状態を常に見守ることが大切

 さて、ツボが見付けられるようになったとして、臨床で患者
さんを始めとする受け手の体に触れるときには、受け手の体の
状態を観察する触れ方の方が、受け手の体に施術などする触れ
方よりも重要です。

 受け手の体に触れている部分は、受け手の体の状態を常に見
守っているような感じが大切です。

 赤ん坊の額に手を当てて体温を測るときのような触れ方です。

 そういう触れ方でツボを探したり、押し手を作ったり、ある
いは、刺し手でも、あるいは、操体や按摩指圧をするときにも、
そういう感覚が優先されると思います。

 そういう感じでいると、受け手の体の変化が分かりやすいで
すし、受け手の体の状態の変化に応じて、こちらの手の内を変
化させやすいです。

(4)おわりに

 ツボの出方の12の自然則と、受け手の変化を見守ることの大
切さをよく理解して、次の「臨床は対話」を読むようにしてく
ださい。


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最終更新:2018年08月25日 06:00