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術伝流鍼灸text 下焦の病

[1] 基本的に

 下焦の病は、胴体の内側のヘソより下に、おもな症状やツボが出る
病で、泌尿生殖器系ともいえます。悪血によることがおおく、女性の
生理痛、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊、流産、難産、乳腺炎、乳汁不
足などと関係がふかいです。

 女性の場合には、治療後の生理のときに、普段よりも臭いや粘りが
強く、色濃いものが多量に排出されると良くなっていきます。体にた
まっていた悪血です。

 足の陰経(とくに厥陰経)に引きやすいです。

 また、横輪切りの背中や腰・臀部の愈穴などにも引きやすく、とく
に腰椎2番から仙骨のラインによくツボが出ます。

 症状ちかくの小腹にもツボが出て、比較すると左がおおいです。

 下半身の冷えも関係するので、それに関係するツボも使ったほうが
効果があがりやすいです。

 下焦には食毒もたまることがあり、それが毒性を増大させることも
あります(消化器系下部の大便など)。

 また、下半身の浮腫は、小腹(下焦)や足厥陰経(少陰経)との関連がふ
かいです(泌尿系)。

 悪血に関連しては、老人には下肢に悪血による静脈瘤が出ている人
もおおいです。

 また、短命のスポーツマンのなかには、打撲による悪血証が原因の
こともおおいです。手術の後に悪血証になる人もおおいです。それら
の悪血証が脳梗塞などの原因になることもあります。

[2] ツボが出やすいところやねらい目

(1) 足の陰経

 まずは、足厥陰経で、蠡溝、中封、太衝など。慢性期には、足五里
〜陰包でヘコんで冷たいところがねらい目。

 足少陰では、足首まわりの照海〜大鐘。

 足太陰の血海に出る人もいます。

 下半身の浮腫、泌尿系では、足少陰の復溜などに出ることもありま
す。

 灸なら足親指の指端や、足親指裏の関節部横紋の2指よりの端(足
1-2節紋)や、足親指ちかくの足裏中足骨遠位関節部(足1着地曲)。

 また、足4指ちかくは、下半身の浮腫に効きます。

 少しずつ、上下左右にずれることも多いです。

(2) 足の陽経

 腹表面のシコりに対応して、足陽明〜少陽に引けます。
(「縦切りの原則:十四経」参照)

 慢性期には大腿部の伏兎、風市ちかくにも出ることがあります。

 灸の場合、冷えには、足甲3~4間、浮腫には、失眠や足4指指端が
使えることがおおいです。

(3) 陽位(背)

 まず、腰椎2〜仙骨の、督脈、華陀経、足太陽1,2行線です。腎愈、
志室、大腸愈、徹腹、環跳、胞膏、上仙、次寥などに出やすいです。

 また、悪血のあるときには、肩井よりも首の付け根にツボが出てい
る人がおおいです。

 浮腫や泌尿系のときは、大椎〜至陽ちかくにツボをさがし発汗をう
ながし、八髎穴に灸をすえるとよいです。

(4) 腹部

 関元〜曲骨・水道〜帰来のちかくと、五枢維道〜衝門〜横骨のライ
ン、居寥などによく出ます。

 古くなるほど外よりに出ます。

 現在では経過が長い人がおおいので、五枢維道〜章門によく出てい
ます。とても経過が長い人では、腹をはずれて居寥に出ている人もい
ます。

 また、古くなると、臍の左右の下肓愈にも出ます。

(5) そのほか

 手の陰経では、慢性期には、上曲沢に出ていることがおおく、急性
期には、内関によく出ます。

 また、悪血証では、乳房の裾野まわりにツボが出ていて、授乳時の
乳腺炎の原因になります。

[3] 手順

(1) 慢性期

1. ツボを考慮して、慢性期の型の順で刺鍼します。

2. 慢性期の型で刺鍼したあと、必要に応じて、冷たく虚したところや
 古いツボに灸・灸頭鍼をし、手の指端の灸で仕上げます。

3. 灸・灸頭鍼中心で治療するときは、うつ伏せ、仰向けの順でツボを
 えらび施術し、手指端や骨空の灸で始末し、必要に応じて刺鍼にう
 つり、手甲の刺鍼で仕上げます。

 慢性期治療の1回目に1.または2.、2回目に2.、3回目以降に3.と
いうのが標準的です。

 慢性期の灸のねらい目は、腰臀部(上仙や次寥)、下腹部(気海
〜曲骨、下肓愈、五枢から衝門)、大腿内側(足五里〜曲泉)の三
つです。

 それぞれ1,2か所づつ灸します。

 首まわりに苦しさがあるときは、はじめに、座位で首の付け根、
胸まわりの辛さには、あお向けで、はじめに檀中付近に灸したりも
しますが、施灸後に、首の付け根や乳房の裾野まわりに必要に応じ
て鍼することのほうがおおいです。

 女性の悪血証の自己養生としては、蠡溝、内踝まわりや足親指ま
わりのツボに灸してもらい、生理期間中には、蠡溝に円皮鍼を貼っ
てもらいます。

(2) 応急処置(くわしくは内科系急性期を参照)
 内関〜足厥陰〜足陽経〜背の順で引き、頭に散鍼し手の甲で仕上
げるのが基本です。

 はじめや途中で表位に症状が出ていれば、そのつど、手甲など手
の陽経に引きます。

 背に引いたあと肩頚に症状が出たら、肩頚に刺鍼します。

 体を前に曲げて耐えているときは、背中側の一番出っ張ったあた
りに引くのがコツです。

 急性期は慎重に対応します。処置後数時間以内に痛みが復活する
ときは、器官破壊などをうたがい、救急医療と連携します。

[4]おわりに


 応急処置について、くわしくは、術伝流一本鍼no.26を見てくだ
さい。


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最終更新:2010年08月28日 08:51