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術伝流一本鍼no.37 (術伝流・養生の一本鍼・運動器編(6))

肘の養生、灸頭鍼

(1)はじめに


 肘の応急処置は、基本的には、膝と同じでした。

 肘の慢性期も、まずは、鍼のみで慢性期の型を中心に治療します。
そして、鍼のみでは変化が遅いほど古いツボがみつかったら、灸や灸
頭鍼を併用して治療します。

 肘の痛みやつらさも、膝と似ていて、肘頭のまわりに感じることが
おおいですが、そこだけ刺しても良くならないことや、すぐぶり返す
ことがおおいです。肘の治療の基本も、肘の手のひら側にツボが出て
いたら、そのツボをまずゆるめることからはじめたほうが、再発がす
くないです。

(2)鍼のみでの膝の慢性期治療

 肘痛の慢性期の刺鍼手順の全体の流れは、基本的に慢性期の型をし
ていきます。そして、肘に関連するツボが出やすいところになったら、
くわしく観察し、ていねいにツボをとり、刺鍼します。

 ふつうは、座位で、肩首などをおえたあとに、肘に関係する刺鍼を
します。そのあと、また慢性期の型にもどり、座位で、頭の散鍼をし
て、手甲に引き鍼して、後始末します。

2.1. 肘の基本刺鍼

 基本的な刺鍼は、手甲に出ているツボに引き鍼してから、陰経の手
首ちかくの列缺・内関・陰郄あたりに出ているツボに引き鍼します。

 つぎは、肘の手のひら側のシワのあたりの刺鍼です。尺沢・曲沢・
少海の上腕より2cm、前腕より2cmほどに出ているツボに刺鍼し
ます。

 肘の親指側が痛ければ、手甲の1~2間や列缺が出ていることがおお
いです。小指側が痛ければ、手甲の4~5間に出ていることがおおいで
す。捻転制限のときには、2~3間や3~4間や内関にも出ます。

 肘の手のひら側のシワちかくのツボの出方は、膝裏とよく似ていま
す。ちがう点は、膝の場合は真ん中は少な目ですが、肘は手厥陰のラ
インもおおいことです。それぞれ、前腕よりを下曲沢などと、上腕よ
りを上曲沢などと仮称しています。

2.2. 肘の動作鍼

 できない動作やつらい動作を痛みが出る手前までしてもらいます。
その姿勢で、引っかかっているところをさがします。たいていは、そ
の姿勢で、もっとも伸びようとしているラインにいちばんおおいです。
つぎにおおいのは、もっとも縮もうとしているラインです。

 つらい一歩手前まで動かしてもらうと、そのラインが目立つように
なります。くぼんで見えることもおおいです。それらのライン上を指
でたどり、ペコッと凹んでいるところをみつけ、押してみると痛いこ
とがおおく、ツボになっているのがわかります。まれに、麻痺して痛
まないこともあります。

 痛い手前の姿勢のまま、そのツボに刺鍼します。刺鍼後、いったん
動作をもどしてから、また制限のあった動作をしてみると、前よりす
こし大きく動くようになっています。そこで、もう一度、引っかかっ
ているところをみつけて、その姿勢で刺鍼します。

 すると、またすこし大きな動作ができるようになります。こうして、
動かして引っかかるところをさがしツボをみつけて刺鍼することを、
日常生活に不自由がないぐらいまで繰り返します。

 肘の動作の場合には、引っかかっているシコリがある可能性が高い
ラインはいろいろです。手の陰経陽経すべてにツボが出る可能性があ
ります。

 伸縮動作の制限で、親指側の痛みのときには、陽明、太陰に出やす
いです。 伸縮動作の制限で、小指側の痛みのときは太陽、少陰に出や
すいです。動作制限がきついときには、肘ちかくに出ます。大きく動
作できるようになると、肩や脇の下のちかくや手首ちかくに出ます。

 捻転運動制限のときには、前腕のもっとも太い部分に出やすく、少
陽、厥陰が比較的おおいです。

2.3. 腱付着部痛の鍼

 肘頭のすぐ近くですぐ下が骨で筋肉がほとんどついていないところ
が痛い場合には、すこし特殊なツボの出方になります。痛みの原因が、
痛みを感じる場所ではないことがおおいです。痛みを感じる場所に付
着している腱の筋腹にシコリがあり、腱付着部を引っ張っているため、
痛みが出ていることがおおいです。

 動作鍼と同じように痛む直前まで動作をしてもらうと、肘頭ちかく
の痛むところに続く凹んだラインが見えます。そのラインをたどって
いき、いちばん凹んだあたりをさがすと、ツボが見つかります。その
姿勢のまま刺鍼すると、痛みがきえます。比較すると、上腕よりにお
おく、上腕のもっとも太い部分のあたりに出やすいです。

(3)灸や灸頭鍼と組み合わせた手順

 2、3回鍼のみでの慢性期治療をしてみて、鍼のみで変わりにくそ
うな古いツボがみつかったら、灸や灸頭鍼との組み合わせで治療しま
す。

 なれてきて時間があったら、はじめの慢性期治療から、灸頭鍼を組
み合わせることもあります。古いツボがお腹などで痛がられるときに
は、お灸をします。が、それ以外は、灸頭鍼のほうが変化が早いです。

 手順も、時間があるときには、慢性期の型で一通り治療したあと、
灸や灸頭鍼をします。

 前の治療や診察で古いツボが特定できているときや、時間がないと
きには、慢性期の診察をし、手の陰陽に刺鍼したあとで、あお向け、
うつ伏せ、座位の順で、灸や灸頭鍼をし、手の骨空か指端の瀉の灸で
仕上げます。

 膝のときと同じように、灸や灸頭鍼をしたあとで、動いてもらって、
ちがうところが引っかかったら、そこに動作鍼をします。また、その
過程で古いツボが見つかったら、灸や灸頭鍼にもどったりもします。

 姿勢も、座位になったり、うつ伏せになったり、あお向けになった
り、灸や灸頭鍼をする面が上になるような工夫も必要です。患者さん
がつらくない範囲で。

 そういうふうにいろいろな姿勢で、動作鍼や灸頭鍼を組み合わせた
場合でも、おわりに手の骨空か指端に瀉の灸をするのを忘れないよう
にしてください。

(4)写真つき症例

 右肘の痛みが続いているという人。

 慢性期の養生なので、あお向けになってもらい、脈診(写真1)腹
診(写真2)をしました。

写真1

写真2

 症状は右肘に出ていますが、腹診の結果は左側のほうが悪かったの
で、左手から治療をはじめ、陰経(写真3)、陽経(写真4)の順で、
刺鍼しました。

写真3

写真4

 つぎは、腹への刺鍼をしました。横腹、少腹(写真5),へそまわ
り(写真6)など。

写真5

写真6

 そして、足の刺鍼(写真7).

写真7

 うつ伏せになってもらい、背中の刺鍼。背骨すぐ脇の華佗経(写真
8),脊柱起立筋のいちばん外側(写真9)など。

写真8

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写真9

 首まわりの出ていたツボに刺鍼。付根ちかく(写真10)、横頚部中
央あたり(写真11)。

写真10

写真11

 いよいよ肘の症状への刺鍼をするので、痛みの出ているところをさ
してもらいました(写真12)。

写真12

 念のため、手甲と手陰経手首あたりに出ていたツボに引き鍼(写真
13、14)。

写真13

写真14

 痛む手前の姿勢で、痛むところに刺鍼(動作鍼、写真15)。

写真15

 肘頭あたりの痛みを、痛みが出る姿勢で上腕方向にたどり、ツボを
みつけ(写真16)、刺鍼(写真17)。

写真16

写真17

 ほかに痛むところがないか聞き、しらべてツボをみつけ(写真18)、
順に刺鍼(写真19、20)。

写真18

写真19

写真20

 仕上げにはいり、頭に散鍼(写真21)していたら、首に痛みがのこっ
ているというので、ツボをさがし刺鍼しながら(写真22)、ラクに動
かせる範囲で首を動かしてもらい(写真23)、改善。手甲に引き鍼し
て(写真24)、終了。

写真21

写真22

写真23

写真24



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